集中力は鍛えられる!注意を「向け直す」という考え方、ビジネスにもスポーツにも生きる思考法とは
集中力をつける三つのポイント
そして本書のタイトルにもある「集中力革命」について著者は三つのポイントを示す。 一つ目は、不安や緊張の中でどこに注意を向け、どんな行動を選び続けられるかという「メンタルの捉え方」だという。スキルとして扱う点に特徴がある。 二つ目は、どんな感情があっても、注意をどこに向け直すかを選ぶ「操作対象の更新」だという。 三つ目は、前述の「集中の捉え方の更新」だという。 著者は具体的なホークスの選手を紹介しながら解説する。25年にパ・リーグ最高出塁率を獲得した柳町達選手は、自分が緊張していることを自覚し、その中で何をすべきか、何に注意を向けるかを著者とともに整理することでシーズンを通じて安定したプレーを続けることができたという。 また昨年の日本シリーズ第5戦で延長11回に勝ち越しホームランを放った野村勇選手は「戻り先」の整理を徹底的に行った一人だった。「スタメンに定着したい」という目標に向け、どんな能力を伸ばしていくと定着する確率が上がるかを著者と整理し、注意を向けることができて再現性の高いポイントを二つまで絞ることができたという。 一方、集中を乱さないように、目標や戻り先を「結果」ではなく「積み重ねられる対象」に置いて成功したのが周東佑京選手である。目標設定の一つを打率ではなく安打数に置き、一本一本積み重ねていくことにしたという。
打率は日々上下する数字であるがゆえに一喜一憂しやすく、感情が揺れ動きやすい。このため意図的に安打数という目標をシーズンの初めにセットし、シーズン中も常に意識し続けたという。
注意を「戻す」技術とは
ただ著者は、集中は技術であり、一気に身につくものではないゆえに段階を踏むべきだとも指摘する。具体的には、最初は自分にとっての「戻り先」がどこにあったのかに気づく段階であり、次は注意がズレた時に意識的に戻り先に戻そうとする段階。さらに注意を「戻そう」という操作そのものがあまり意識にのぼらなくなる段階もあり、ズレたことに気づいても出来事の流れにそのまま注意が向き続ける時間が増えていくという。 どうすれば注意を行動に戻し続けることができるのか。著者は、注意は「信頼できる行動」に戻りやすいと指摘する。 行動への信頼とは、「そこに戻れば、本当に自分のプレーができる」という実感のことです。注意は「正しい行動」よりも、「信頼できる行動」に戻りやすいのです。その行動には、目に見える動きだけでなく、その動きを生み出す感覚や意図も含まれます。