第4話

始まりのお話-2
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2025/10/29 10:25 更新
正直、「男だと思われていた」ことに驚きはしなかった。
過去複数人から言われてきた言葉だったし、だからといってわざわざ自らの性別を名乗るのはおかしな話だと思って、そんなことはしなかった。
背が高く、どちらかというと筋肉質で、中性的な顔立ちに胸も豊かではない。
高い声も出せるが、地声はどちらかというと低い。
唯一女らしい部分があるとすれば髪を長く伸ばしている点だが、最近ではそう珍しくもないのかもしれない。
それに、韓国文化で育ってこなかった自分は、「オッパ」だとか「オンニ」だとか、暫く慣れることができなくて積極的には使ってこなかった。
それどころか、初めのうちは無理に使おうとし誤って「ヒョン」や「ヌナ」と呼んでしまったこともあった。
だからなのか、チャニの言葉に少しだけがっかりする自分と、「そんなものだ」と納得できる自分がいる。
🐧「クリスが気付かなかったのなら、他の人も気付いていなくて当然だよ。チャンビナも知らないんだろうなぁ」
🐺「ほんと、ごめん……」
🐧「怒らないって言ったじゃん。いや、そもそも怒る気はないんだけど」
🐺「うん……」
🐧「それで、他の人はさておきクリスが女って知ってるなら、なんで私を誘うの?」
🐺「それはさっきも伝えた通り、僕には君が必要だからだよ」
こんなときでなければ、プロポーズの言葉みたいだよと揶揄っていたかもしれない。
だが今は、チャニに誘われているというこの状況が理解できない。
🐧「なんで……?私は女で、クリスたちは男なんだよ?こんな時代に性別なんてって自分でも思うけど、男女混合グループとか、紅一点とか、そんなの聞いたことがない!」
🐺「それでも僕はあなたの下の名前がいい。ずっと一緒にやってきて、あなたの下の名前の長所も短所も、性格もなにもかも知り尽くしている。一緒なら本当に幸せだし、もっともっとよさを引き出してあげられる」
🐧「嬉しいけど……無理だよ。断らせてほしい」
🐺「あなたの下の名前は僕と一緒は嫌?」
🐧「……その聞き方はズルいよ。私もクリスと一緒がいいに決まってる。それでも……現実的に越えられない壁もある」
🐺「ヨジャがいいなら止めないよ。どんな夢でも、僕は君を応援する。だけど……ほんとにそれでいいの?」
🐧「それは……」
🐺「何度も言ってるけど、僕はあなたの下の名前がいい。だから選んで誘っているんだ。その才能が、あなたの下の名前のすべてが欲しい。他の人では代わりになれないから。……一緒に夢を追いたい。僕の夢と、君の夢を、ともに叶えたい。だから……」
🐧「……ごめんなさい」
🐺「まだ時間はあるから、可能性がゼロでないなら……考えてみてほしい。また答えを聞くから」
🐧「……わかった、一応考えておく」
その言葉に頷きだけ返し、冊子を受け取る。
チャニの真剣な瞳に、「そもそもJYPも辞めるつもりでいた」という言葉はなんとか飲み込めた。
誘われた嬉しさと、期待に答えられない辛さを抱え、チャニから逃れるように部屋を出た。

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