これまでとこれから
投稿するの忘れてた
好きなVTuberがリゼロ見てて嬉しかった
アサイーボウル屋さんでバイトをする(予定)
YouTubeを始めるが全く伸びない
が今週のハイライトです
最近は書籍版を読んでいるのでWeb版との違いが楽しい
でも、アニメは書籍準拠だからWeb版にしかないのはカットされるんだよね……
かなしい
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『正直、ひやひやさせられたのよ。でも、スバルの頼みだからぐっと堪えたかしら』
『お師様は不死身の男ッスもん。あーしは心配とかしてなかったッス。むしろ、お師様の背後に立った瞬間、ちびっ子二号が爆発四散する可能性を疑ってたッス』
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「そんな爆弾みたいなことにはならないと思うけど……」
「あの女は基本何も考えずにしゃべっているのよ。頭を使うだけ無駄かしら」
「そ、そう……?」
ベアトリスの言葉にエミリアがその可愛らしい顔に可愛らしい表情を乗せる。実際、シャウラの言葉はどこまでが本音か分からない。スバルと同じで、悪ふざけと本気の境目が曖昧だ。
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『……いくらスバルの言いつけでも、ホントに落ちてくるようなら許してやったかどうかは怪しいところなのよ。だから、その点でも運がよかったかしら』
『な、な、な……お、お兄さん? あの二人、どういうことなのかしらあ……?』
『いや、こう言っちゃなんだけど、さっきの作戦って結構綱渡りだったっつーか……あんまりないことだと思いたいけど、俺がお前に突き落とされて普通に死ぬパターンもありえたわけじゃん? たまたま、今回はカッコよくお前の腕が掴めたからよかったけど』
『で、でも、お姉さんだってわたしたちのこと見張ってたんでしょお……?』
『そりゃ俺だって、エミリアちゃんがヤバい可愛い見た目よりパワフルなのはわかってるつもりだけど、万一ってこともあるしな。もしうっかり、エミリアちゃんが俺を助けようとして一緒に落っこちでもしたらシャレにならねぇ。なんで、そんな万一ってことも発生しないように手を打ったのさ。下で二人……ベアトリスとシャウラが見ててくれれば、ひとまず大丈夫だろうって見立てでな』
『そこまでして……もっと、簡単で賢い道だってあったでしょお』
『お前の言う通り、もっと賢くて簡単な道はあったと思う。思うんだが……』
『思うけどお?』
『俺の頭で考えつくレベルだと、簡単は妥協と裏表で、賢いはズルいのお隣さんなんだよ。俺は……うん、俺は妥協とズルいをしたくなかったんだ』
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「──そのために、危険な道を選ぶのはやめて欲しいんですけどねえ……」
オットーが手のひらで口元を押さえ、呆れたようにそう口にする。
だが、その考え方や精神性こそスバルの美点だとオットーは考える。そういうところを変えたいわけではないので、本人には伝えることはないが。
「でも私、メィリィとスバルくらいなら簡単に支えられると思うわ」
「エミリア様が馬鹿力……いえ、力に恵まれていることはわかっていますが、先のように落ちてしまえば大変ですから」
「馬鹿力……?」
ラムとエミリアがそんな会話をしているのを横目に、オットーは脱力したように笑みを浮かべる。
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『──スバルが相談してくれて、嬉しかった。スバルっていっつも、私が気付いたときには全部終わらせちゃう準備をしてることが多くて。だから、今度はどうしようって相談してくれて、最初から一緒に考えさせてくれたのが嬉しかったの。ふふっ、なんだかへんてこね』
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「ベティーは、スバルがいつでも頼るように考えを改めさせたいところなのよ。放っておいたら帝国に飛んだり背が縮んだり大変かしら」
「ふふっ、そうよね。私も、スバルと離れたらすぐにそういうことがあるから心配になっちゃう」
常にスバルと手を繋ぎ、危険がないか見張っておくべきだろうか。エミリアはそれでもいいが、スバルは嫌がりそうな気もする。
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『あの、ベアトリスちゃん……わたしのこと、怒ってないのお?』
『怒ってるに決まってるかしら。でも、お前はベティーがプチンとはち切れる手前で何とか踏みとどまったのよ。砂丘でのこともあるし、今のことは帳消しにしてやるかしら』
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「──ベアトリスちゃん、今も、それは変わってないかしらあ?」
「──なんとも、なのよ。でも、スバルはお前を許しているし、お前を糾弾してもスバルが救われるわけでも、スバルがそれを望んでいるわけでもない……なら、ベティーがやるべきことは、お前がもう間違えないように目を凝らしておくことだけなのよ」
「──ベアトリスちゃん、お兄さんに似てきたわねえ」
「褒め言葉として受け取っておくのよ」
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『──それで、お師様、本当にいいんスか?』
『うん?』
『お師様を死なそうとした娘ッスよ。ホントに、お咎めなしで大丈夫ッスか?』
『物騒なこと聞いてくんな、お前。……いいんだよ。お咎めなら、メィリィは先に受けたんだ。でも、そのなんでお咎めを受けるのかってところを、誰もちゃんと教えてあげてなかったからあんな感じなんだよ。それを、これから教える』
『お師様も言ってたッスけど、それでまたお師様を殺そうとしたら?』
『それは、俺がよっぽど教え下手ってとこだな。でも、俺一人でやるわけじゃねぇから』
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「──甘い、けど……うちは、ナツキくんのこういうところ嫌いやないよ」
「そうよねっ、私も、スバルのこういうところすごーくいいと思うの」
アナスタシアの言葉にエミリアが笑顔でそう返す。それを聞いていたガーフィールも、わかると言いたげに首をしきりに縦に振って。
「分かるッぜ、エミリア様……!」
「ガーフィール、風圧が……!」
ガーフィールの首を振る風圧にオットーが顔をむぎゅっと顰めていた。
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『……まったく。仕方ない人たちだわあ。いいわ、許してあげるう。でも、ここでのことは他の人たちには内緒よお』
『あのね、メィリィ、すごーく言いづらいんだけど……』
『……嫌な予感がするわあ』
『──ここにいないラムたちも、スバルからの相談はちゃんと聞いてたの』
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「ええ、聞いてたわ。そして、今は実際に一部始終を見たところよ」
「性格が悪いわあ、ラムお姉さん……」
「何を言ってるの、ラム以上に性格のいい女なんていないわ」
「それを言いきれてしまうのがすごいわあ」
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『──スバル、大丈夫? 話し合い、できそう?』
『うわぁ!?』
『あ……なんだか、目が覚めてから……ううん、記憶をなくしたって言ってから、スバルってば私に驚いてばっかりいない? 私、そんなに変? 何かついてる?』
『いや、その、全然。ただ、可愛い目と可愛い鼻と可愛い唇と可愛い耳がついてる』
『可愛い……ふふっ、ありがと。でも、それならどうして?』
『エミリアちゃんの可愛いは、パーツごとに足し算じゃなく乗算で跳ね上がってく感じがするからかな。あと声も可愛い。髪も可愛い。ダメだこれ、天使だ』
『──っ! それを、もっとスバルっぽく言うとどうなるかしら!?』
『は!? え、何が!?』
『だから、エミリアが天使に見えるって言葉を、スバルっぽく言うのよ』
『どんな辱め!? やだよ! 恥ずかしいよ! ベアトリス、お前も天使みたいに可愛いよ! 拗ねるなよ!』
『ベティーが天使みたいに可愛いのは事実だけど、そんなつもりじゃないかしら……』
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「もどかしいね……僕は、スバルの『エミリアたん』って呼び方も好きだから」
「嘘、ラインハルトあの呼び方好きだったの?」
「うん。スバルらしくてなんだか愉快じゃないかい?」
「えー、フェリちゃんは別に……」
「そっか」と残念そうにラインハルトが眉を下げる。本気だったのか、とフェリスは驚愕交じりに苦笑する。
「まあ、スバルきゅんらしいと言えばらしいけど……」
「ええ、私もそう思います……スバル様らしい明るい呼び名ですよね」
「クルシュ様……」
「フェリスもあんな風に呼んでくれてもいいんですよ」
「恥ずかしいから嫌です……」
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『ってわけで、改めて俺たちのチームにメィリィが加わった。本格参入したメィリィの社会見学のためにも、こんな砂っぽい塔から早く出たい。意見は?』
『本当に記憶がないのが疑わしくなる物言いね。……でも、バルスの記憶がないのは深刻な問題の中では軽い方だけど、それでも問題ではあるわ』
『うん、そうよね。急にぽんってなくなっちゃうわけないんだから、何とかスバルの記憶を取り戻してあげないと……』
『あー、そのことなんだけど、いったん置いとかないか?』
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スバルの言葉に、スクリーンの中でエミリアが心配そうになにか言葉を連ねている。そして、こちらでも、
「昴、そんなのダメだと思う。確かに色々やらなきゃいけないことはあるけど、記憶ってすごく大切でしょう?」
菜穂子がそう不安げに胸の前で手を結んでいた。
「エミリアちゃんたちの事だし、取り戻してくれるとは思うけどな……」
夫妻が不安げに言葉を重ねるのを、エミリアはなんとなくふわふわと落ち着かない気持ちで聞いていた。
「そうよね、心配で当たり前だわ。私は知ってるけど、スバルのお母さんたちは知らないんだから……」
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『──つまり、塔を攻略するための条件を満たしていけば、おのずとナツキくんの記憶がなくなった原因、あるいはその鍵が手に入る。そういうことかい?』
『塔の仕組みがスバルの記憶を奪ったなら、塔を攻略することで答えに近付ける。あるいはスバルが記憶をなくした切っ掛けも、答えに近付きすぎたせいかもしれない』
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「えっと、この後は……」
エミリアが記憶を頼りに未来を思い出す。スバルが死ぬようなことが、もうないといいのだが。
「この後も、結構大変だったような気が、する……」
変なところでやはり思い出せない。
「記憶って、やっぱりすごーく大切なものね。大事にしてあげなきゃ」
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『──今回は、辛くても我慢する。でも』
『でも?』
『たまには私にも、スバルのことを一番心配するのぐらい、許してね』
『う……ごめん』
『――『タイゲタ』の書庫に、レイドの本がないかみんなで探さないか?』
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「結局、塔から出たあともスバルのこと、ずっと心配してた気がする……」
「危険に巻き込まれやすい性質なのよ。そこは、ベティーたちで補助していくかしら」
「うん、そうよね」
エミリアが優しく笑い、その整った顔立ちに一層消えることの無い可憐さが加わる。
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『そ、そうか。エミリアちゃんはハーフエルフ……絶世の美少女なのも納得だ。ハーフエルフは美人で長生きってお約束だもんな』
『えと、うん、そうなの。……スバルは、記憶がなくてもハーフエルフは怖くない?』
『怖いか怖くないかって言ったら、その可愛さが怖い。マジで凶器。寝起きで油断してる状態で見たら目が潰れそう。今も正直しばしばする』
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「もう、スバルったら。そういうことが聞きたかったんじゃないのに……」
文句を言いたげに頬を膨らせながらも、嬉しそうに頬を染めるエミリアの姿があった。その姿を見れば、少なくとも嬉しくないわけではないのだと、その推測は容易であった。
「スバルは変わらないんだから……ほんとに」
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『じゃ、あのレイドが元気な死人って意見にまとまったところで最初の話だ。『タイゲタ』には『死者の書』がある、これも間違いないよな?』
『わかったのよ。なるほど、そういうことかしら。――つまり、レイドの『死者の書』を、レイドを攻略するための極意書として利用するってことなのよ』
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「今思ったんだけど、死者の書を作ったのもフリューゲルさんなの? なら、すごく危険な考えの人な気がする」
菜穂子がそう口にする。死んでしまった人の人生を本にまとめるなど、少し──否、かなりなんだか変な人だ。
「昴はそんな人に似てないと思うんだけど……」
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『ただ、これは一つ、俺が確信を持って言えるんだが……今の記憶がない俺じゃなくて、記憶がある俺でも、この攻略手段を試そうとしたと思うんだよ』
『……それは納得かしら。こんな抜け道、スバルが試さんはずがないのよ』
『正道ではなく、邪道。バルスのやりそうなことね。ラムも納得だわ』
『ん、そうね。こういうズルっこ、スバルはすごーく得意だもの』
『ズルっこってきょうび聞かねぇな……』
『──っ! うう、いけないいけない。一番大変なのはスバルだもの。私がしっかりしないと……』
『エミリア様、お気持ちはわかりますが、ほっぺたが赤くなります』
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「こういうところ、本当に変わってないって思うの。この言葉がこんなに嬉しく聞こえたの、多分この時が最初で最後。それに、『お気持ちはわかりますが』ってことは、ラムもすごーく心配してくれてたのよね。やっぱりラムは優しいわ」
「──エミリア様、その辺にしていただけないと、ラムの拳が飛ぶことになります。……ガーフかオットーに」
「何故僕らに!?」
「ふふ、すごーく仲良しさんね」
「それは否定しませんけど!」
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『……そう言えば、昨日の夜、お兄さんが『タイゲタ』でたくさんの本を広げてるところを見たわあ。あれって、そういうことだったのかしらあ』
『いったん、置く。――ところで、『死者の書』以外だと、レイドのことってどのぐらい有名なんだ? かなりヤバい感じだが』
『確かに、レイド・アストレアが各地に残した伝説は枚挙に暇がない。有名なもので言えば……龍を百頭斬った戦いや、剣奴孤島の闘技場で記録される六千戦無敗の戦績。鬼神と呼ばれる存在と酒を飲み比べして勝った、などという変わり種もある』
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「──本人の立ち居振る舞いを見たあとでは、華々しい伝説も当人の人間性に隠れるところがありますな」
「まあ、あんだけ強かったらちょーっとくらい性格ねじ曲がっててもおかしくないよネ。フェリちゃんは、ラインハルトがああならなくてよかったって思うけど」
「──うん、僕はたぶん彼のようにはなれないと思うよ」
「ならなくていいよー」
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『──ラム、ちょっとみんなの先導しててくれるか? 俺はちょっと、ユリウスと話したいことがある』
『ユリウスと? ……あまり長くかけないようになさい。上がってきたとき、ラムたちの記憶がバルスと同じように抜け落ちていたら収拾がつかなくなるわよ』
『怖いこと言うなよ。記憶をなくしたラムが、しおらしくてお淑やかな感じに仕上がるなら見物だけど……』
『ラムはもう、これ以上、何も忘れるつもりはない』
『……だよな。変な本、見つけても近付かないようにお願いな』
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「仮に記憶をなくしても、ラムは変わらず気高く可愛いわ」
「確かに、お淑やかなラムってあんまり想像できないかも……」
「ラムがお淑やかになるようなことがあったら、そっちの方が怖いのよ」
「ベアトリス様、口の利き方にはお気をつけてください」
「本当にお前は口の減らない女なのよ……!」
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『それで、話とは? わざわざ、エミリア様たちを遠ざけてのことだ。よほどのことだと思っても?』
『あー、お前って、レイドのことどう思ってる? 好き?』
『――。その質問に、何の意味があるのだろうか』
『いや、ちょっと硬い空気をほぐそうとしただけ。本命はもうちょっとだけ言い方が違う。――本命の言い方は、お前はレイドに勝つ気があるのかってこと』
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「──懐かしいな、この問答もいい思い出だ」
「吹っ切れたと言うよりなんかちょっともう怖いのよ」
「でもユリウスの気持ちわかるわ。私も、墓所でスバルと喧嘩したの、今はいい思い出だと思うの」
「お母様の墓場でお前たちは何をやっていたのよ、という言葉をベティーは飲み込んでおくかしら」
「ふふ、ありがと」
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『しがらみがないから大きく踏み出せる。お前が俺の面見て、エキドナの面見て、レイドの話を聞いて、縮こまってるのは見てられねぇ。俺も引きずる性質だから他人のこと言えた話じゃねぇが、そういうことは目をつむって、はっきり言うぜ』
『──聞こう』
『それはそれ、これはこれだ』
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「────」
ユリウスが瞑目し、優雅に笑う。
スバルの言葉はあまりに強引で、根拠が足りない。ユリウスが目の当たりにしたレイドの強さと、それに対するユリウスの複雑な感情を消化するには、あまりに稚拙な言葉だ。
だが、
「──何故だろうね。どの言葉よりも、勝つ根拠たりえると思えるのは」
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『お前が俺を見て、ギクシャクした感じになるのはわかる。昨日までの俺が、たぶんお前になんかやらかしたんだろう。その昨日までの俺がお前にしたことがこの世から消えるわけじゃないけど、俺の頭の中からは消えてる』
『そう、だね。その通りだ。だが、私は……』
『最後まで聞け。そんな状態だから、お前と俺の関係はまた一から作る必要がある。少なくとも、今の俺との関係はそうだ。昨日までの俺は、いったんよけとけ』
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「──あまりに強引ね。バルスがモテない理由がわかるわ」
ラムは桃色の髪をいじりながらそう口にする。足を組み薄く笑う姿は堂々としており、言葉よりもずっと心地の善い感情を抱いているのが見て取れた。
「一旦、ね」
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『俺たちのパーティーの中で、お前が一番強い。だから、レイドとやり合うことになるのはお前だ。うまく攻略本が見つかったとしても、戦いはお前に任せることになる。ビビる気持ちはわかる。戸惑ってんのもわかる。昨日までの俺がホントすいませんでしたって謝る。――それ全部込みで、切り替えて、戦ってくれ』
『……私は、すでに二度、彼に負けている』
『知ってる。でも、次は勝ってくれ。お前が勝てなきゃ計算が狂う。頭の中、色んなマッチアップ考えてんだけど、女の子たちに頑張ってもらわなきゃの前に男の俺たちが頑張らねぇと、騎士の名折れだぞ』
『──名折れ。今の私に、騎士の名折れ、か』
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「──信頼、というにはあまりに強引過ぎますけれど……スバル様らしいですわね」
フレデリカが瞳を閉じて笑う。
「負けてるのを知った上で次は勝ってくれって言えるの、すごーくスバルって感じがする。……たぶん私も、同じようなこと言っちゃうかもしれないけど」
「順当にエミリアもスバルに似てきたってことなのよ」
「ほんと? やった」
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『ラム女史の言う通り、君が本当に記憶をなくしているのか疑わしく思えてきたよ。あるいは君は、剣を捨てて逃げようなどと怖気づく私を止めるために、こうして記憶がないふりをしているのでは?』
『エミリアちゃんの笑顔を曇らせてまで? アホ、そんな回りくどい真似しねぇよ! 大体、そんなことしなくてもお前は剣を手放さねぇし、みんなのために戦うだろ』
『それは……矛盾している。君は、今まさに私の怖気づく心を引き締めようと』
『違うね。そうじゃない。お前に足りないのは勇気じゃない。勇気はここにちゃんと詰まってる。――足りないのは勝ち気だ。負けん気だよ』
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「勝ち気……」
「──そうだな、勇気はもう充分ある」
賢一がそう口にし、菜穂子はそれを頭の中で咀嚼する。
「──ユリウスくんが勝つって、昴は信じてるんだもんね」
なら、ユリウスにはすごく頑張ってもらわなければいけない。きっと、そうすることを昴はユリウスにお願いするのだろうから。
「──ちょっと、酷いお願いかもしれないけど」
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『……俺は、決着を見てねぇ。昨日までの記憶もねぇ。だから、俺は、お前が、レイドに負けたところなんか、一回も知らねえ。レイド・アストレアを、俺はお前に任せる。あの、一番厄介な敵を、お前が倒せ。その代わりに俺は……それ以外の全部に、また俺のやり方で手を伸ばす』
『……昨日までの記憶をなくした君が、どうして私にそうまで期待できる?』
『それは……その、イメージだ。印象、見た感じ。見た目とか喋り方とか仕草とか、持ち物とか服装とか、食べ方とか歩き方とか、なんか色々そういうのの総合芸術だよ』
『印象、か』
『そ、そうだな。お前の見え方だ。お前の全部が、俺にそう期待させる』
『そうか。……私の見栄が、そう思わせたのだね。世界に忘れられ、唯一覚えていた君にすら忘れられ、主の存在を確かめられず、私自身がどこにあるのか曖昧なものとなっていた。だが、そんな状態であっても――私が、これまで培ってきた全てが失われたわけではない。そう、言いたいのだね』
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「──そ、そこまですごい言い方はしてなかった気がするけど……」
菜穂子が少し驚いたように笑う。ユリウスが思ったよりいい解釈をしてくれたから。
「でも、昴が言いたいことはそういうことだから、間違ってはない……かな」
そう少しだけ眉を下げて笑えば、後方の席に座するユリウスが恥ずかしそうに顔を抑える。
「──ああ、大勢にこれを見られるのは少し……堪えるな」
「だ、大丈夫よユリウス! 私なんて、スバルとちゅーしてるとこみんなに見られてるから!」
「エミリア、一旦慰めはやめておくかしら……」
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『少しは前向きになったか?』
『さて、どうかな。究極、君の言葉は具体性に乏しい精神論が多く、また、私の身に起きた数多くの出来事が劇的に変わったわけでもない』
『お前な……』
『ただ──それはそれ、これはこれだ』
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「──バルスは精神論ばっかりだわ。基本的に考えがそればかり」
「でも、頑張ろうって思えるわよね!」
「エミリア様のその前向きさにはさすがのラムも驚きます」
即座にフォローを入れてくるエミリアにラムは小さく息を吐く。
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『あ! スバル、見て! レイドの本が見つかったの!』
『見つけてくれたのはメィリィよ。お手柄でしょ?』
『お手柄ってきょうび聞かねぇな……ってのは置いといて、メィリィが見つけてくれたのか! そりゃ確かに大手柄だ! よくやってくれたな』
『べ、別にい。ただ、目についた本だったから、たまたま言ってみただけよお。ちょっとだけ早く見つかっただけで、大したことじゃないと思うわあ』
『馬鹿言えよ。ちゃんと自分がやってやったことは自慢げにしていいの。偉いぞ、メィリィ。さっそく、俺を突き飛ばそうとしたマイナスをゼロに戻したな!』
『こんな簡単に取り戻せちゃうのお!?』
『いいんだよ。未遂だったし、大きい手柄で埋め合わせたってことにしよう』
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「──少し、優しすぎる気がするけど」
菜穂子が、なんとも言えない顔をする。でも、昴がこう言っているなら、仕方がないのだろうけど。
「──これから、ね。メィリィちゃんがたくさん昴を助けてくれたら、たぶん、大丈夫」
ぐっと拳を握り、そう囁く。
「それはそれ、これはこれ……この考え方、お母さんには少し難しいかも……昴」
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『一冊分、ユリウスより余裕のある未経験者の私たちが読むか、経験者であるユリウスが読むか、あるいは一度溢れた可能性のあるナツキくんが読むか……』
『すげぇ手前勝手な発言をしていいか? ――読むのは、俺が一番マシだと思う』
『スバル……悪ふざけしてる場合じゃないのよ。スバルは、自分の記憶を……』
『いや、もちろん、記憶はなくしたくねぇよ。でも、リスクマネジメント的にはこの判断が適切だろ。どう考えても、記憶がなくなった結果、みんなを危険な状態に追い込む可能性が低いのは俺だ。俺、この中で一番弱いし』
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「もっと自分のことを大切にして欲しいんですがねえ……」「大将……いや、それが正しいのかもしれねェけどよォ……」「適切かもしれないけど、やっぱり心配だわ……」
「何人も同時に喋るんじゃないのよ! 聞き取れないかしら……!」
「みんなスバルのことが心配なのよ。わたしもすごーく心配してる。ここから出たら、今度は誰にも渡したりなんてしないんだから」
「──? 今度?」
「──あれ?」
今度、とはなんだろうとエミリアは考える。まるで、誰かにスバルを奪われたかのような──、
「──言い間違えちゃった、かな」
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『俺が読む、ってことで異論はないよな?』
『……結局、どんな推論も邪推の域を出ない。できるなら、この場の全員にとって一番危険な出目の少ない選択肢を取りたかったが』
『じゃ、ひとまず、俺がかましてくるとするわ。もし、俺の記憶が吹っ飛んだ場合、すぐに氷漬けにして、懇々と説教してやってくれ』
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「そんな酷いことできないわ。それに、スバルってすごーく寒がりじゃない」
「それは知らんけど、今のナツキくんがそんな目に遭うことはないやろうねえ」
「そんな目に遭ってたら、私が絶対に助けるから平気なの」
「そりゃなによりやね」
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『──スバル』
『じゃ、いってくる。帰りは遅くなるかもしれないから、先にご飯食べてていいよ』
『……バカ』
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「──ほんと、変わらないんだから」
エミリアが瞑目し、愛おしそうに笑う。覚えていないけれど、スバルがエミリアにかけていた言葉。その事実が、エミリアを支えてくれる。
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『──あらら? お兄さんったら、またきちゃったの?』
『ここは、寂しく白い、魂の終着地点。オド・ラグナの揺り籠。――記憶の回廊』
『──あたしたちは、魔女教大罪司教『暴食』担当、ルイ・アルネブ。どうせまた、短い間だけど、よろしくね、お兄さん』
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「──ルイ」
菜穂子が口にする。金髪と可愛らしい顔とは裏腹に、禍々しい雰囲気を放つ少女。
「魔女教……なら、悪い人なのね」
願わくば、この少女が──
「昴に酷いこと、しないといいな」