キーボード「FILCO」のダイヤテック、忸怩たる破産~為替デリバティブと需要減、綱渡りの資金繰り~
パソコン用キーボード「FILCO(フィルコ)」で知られあるダイヤテック(株)(TSRコード:292026617、東京都)が負債2億円あまりを抱えて4月30日、破産開始決定を受けた。ファンから惜しまれた破産は、為替予約(デリバティブ)の失敗と外付けキーボード需要の減少などが背景だった。 製品の企画販売(製造は協力会社)を手掛ける場合、商取引債権者は広がりやすいが、今回は判明する限り10名に満たない。 東京商工リサーチ(TSR)が独自入手した「破産申立書」からは、従業員や商取引債権者へ被害を最小限に食い止めようと奔走した最期がみえてくる。 ダイヤテックの破産をTSRが追った。
◇ ◇ ◇ 1982年、ゲームメーカーへの半導体の供給も目的とした専門商社として産声をあげた。創業社長(破産時まで社長職)は、商社事業だけでは衰退すると考え、独自ブランドの商材展開を模索する。試行錯誤の末、当時としては珍しい「別売りキーボード」に着目。1992年頃には台湾企業と提携し、キーボードの製造販売を開始した。 自社ブランド「FILCO(フィルコ)」は、高級志向の高価格帯のキーボードとして知られる。迷彩柄、漆塗りなどのデザインやキータッチの質感、「忍者」文字盤の印刷方法などを特徴とし、国内外で固定ファンを獲得した。 1996年9月期の売上高は約20億円に達した。以降も年商10億円台を維持した。 しかし、「破産申立書」には最初の障害が記載されている。成長したダイヤテックに、大手行を含む複数の金融機関が金融商品を提案したという。 - - - - - - 2006年~07年にかけて、「必ず円安になるので、為替の予約をした方がよい。今なら1ドル110円で予約できます」と勧誘された。5年にわたり、1ドル110円程度のレートでの為替予約を締結した。 しかし、2008年のリーマン・ショックの影響で1ドル70円台となり、その後は90-100円で推移。途中解約して清算金を払うなどしたが、5億円超の負債が生じた。清算金には金融機関からの借入や私募債を発行して対応した。(申立書、要約) - - - - - -