今日は一段と長い一日だった。
連日続いたCeremonyのMV撮影は、
最後のカットが監督の「オッケー!」で終わった瞬間、全員の肩から重いものが降りた。
汗と埃にまみれた身体は確かに疲れていたが、
それ以上に心は高揚していた。
撮影現場をあとにし、
機材の片づけを横目に歩き出したとき、
バンチャンが言った。
もちろん、満場一致で賛成だ。
話し合いの結果、スンミンとフィリックスのデンニャンハウスにメンバー全員が集合し、軽い打ち上げをすることになった。
スンミンとフィリックスは部屋の掃除、
リノとハンとヒョンジンはお酒の買い出し、
アイエンとバンチャンとチャンビンは
チキンやそれぞれ食べたいものの買い出しで
デンニャンハウスに全員が揃ったのは19時頃。
リビングのテーブルに料理と飲み物が並び、
ソファや床に散らばるように腰を下ろす。
誰もが頬を赤くし、普段より少し声が大きい。
話題は撮影中のハプニングや監督の癖、
自分のシーンでどれほどNGを重ねたか。
笑いとからかいが途切れることなく飛び交い、
缶を開けるプシュッという音がするたびに
また新しい笑いが生まれた。
やがて時間は深夜をとうに越え、
テーブルに残った缶の数が
今日の頑張りを物語るように積み重なっていく。
熱を帯びた空気も少しずつ落ち着きを見せ、
数人のメンバーが瞼をこする様子が
お開きの合図となっていたーー。
皿や空き缶で散らかったリビングをバンチャンとリノは片付けながら、うーんと空返事をする。
今の彼らにとっては寝る場所以上に眠気が勝っていて、それどころではないようだ。
その言葉が落ちた瞬間、空気がぴたりと止まった。
広げられた布団の上に、沈黙が重たく降りる。
冗談めいた笑い声も、誰かのじゃれ合う声も消え、
ただその一言だけが鮮やかに残響していた。
視線が一斉にリノへと集まる。
当の本人は集まった視線に驚き、大きな目をぱちくりとさせ、顔に?の文字が見えるようだ。
フィリックスは場の雰囲気に気づかないのか、
気づいていながらあえて笑っているのか──
その柔らかな瞳は変わらずリノに向けられたままだった。
次の瞬間、ざわめきが弾ける。
押し殺していた本音が堰を切ったように溢れ出し、
リビングは一気に熱を帯びる。
騒がしい声が飛び交う中で、
バンチャンは既にリビングの布団に
静かに腰を下ろして隣の布団をぽんと叩く。
リビングに並べられた布団は、
ただの寝床から、いまや争奪の舞台へと変貌していた。
ついには怒号が飛び交い、押し合いへと発展。
その中心でリノは眉をひそめ、
呆れたように立ち尽くすしかなかった。
そして、その混乱のすべてを黙って眺めるスンミン。
静かな瞳に、苛立ちと決意の色が宿り始めていた。
リビングの空気がいっそう熱を帯び、
大多数が「リノの隣」を奪おうと騒ぎ立てていた。
そんな中、フィリックスは静かに立ち上がり、
隣にいたチャンビンの腕を引く。
ドアが閉まる音が響いた瞬間、
リビングのざわめきが一段と強まった。
そこで今まで一言も発していないスンミンは、
ただ静かに立ち上がり、迷いなくリノの腕を取った。
その仕草に場のざわめきが一瞬で途切れる。
誰も言葉を挟めないまま、スンミンは自分の手をリノの腰へ回し自分の部屋へと導いた。
そして即座に鍵を閉める。
部屋の外からはものすごい怒号が飛び交っていたが、閉ざされた扉は二人の世界を守るかのように、その後微動だにしなかった。
翌朝。
リビングでは仲良く雑魚寝で眠っていたバンチャン、ヒョンジン、ハン、アイエンが次々と目を覚ましていく。
そこに少し遅れてスンミンの部屋の扉が開く。
スンミンはいつも通りの涼しげな顔で、
そしてリノはぼんやりとした寝癖とまだ眠たげな表情で
部屋から出てきたのだった。
するとリノはその場で固まり、
次の瞬間、頬まで真っ赤に染め上げられた。
声は裏返り、視線は泳ぎ、耳まで熱を帯びている。
その反応が、かえってすべてを物語っていた。
ソファに腰掛けたスンミンだけが、
いつも通り静かな笑みを浮かべていた。
End…?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。