6.4事件

Last-modified: 2026-06-06 (土) 13:22:58

2026年6月4日のDeNA対楽天戦(横浜スタジアム)の試合内容のこと。DeNA側の目線から「三森の神走塁*16.4の奇跡*2、楽天側の目線から「ハマスタの悲劇*3とも。なお、天安門事件*4のことではないので留意されたい。



前日の6月3日の終了時点で、DeNAは「23勝29敗2分け、勝率.442、4位」楽天は「21勝32敗1分け、勝率.396、6位」と共に成績不振に苦しんでいた。特に楽天は直近のDeNAとの2試合では2連勝していたものの、それまでの12試合で「1勝11敗」と負けが込んでいて当面は最下位脱出が難しい状況に陥っていた。

成績以上にこの年の両チームはそれぞれにファンからの不満が蓄積されており、DeNAは正捕手の山本祐大がソフトバンクにトレード放出*5されたことをきっかけにした「プロ野球はパワプロじゃない」という当該記事が、楽天は「石井GM体制の限界」という当該記事がそれぞれにYahoo!ニュースのスポーツ部門の1位になっており、XなどのSNSでは「チームの雰囲気が悪いのでは」との指摘が少なからず出ていた。特に楽天は、DeNAとの3連戦の初戦の日である6月2日に、鈴木大地が主将に就任(シーズン途中での主将の設置及び就任はとても異例なことである)というテコ入れを行う*6ほど、数字以上に追い詰められている状況であった。


DeNAは東克樹、楽天は瀧中瞭太がそれぞれ先発。この試合は、DeNAにとって絶対的な中心打者の牧秀悟の復帰戦*7でもあり、スタメン出場。1回表、楽天は佐藤直樹の先頭打者本塁打を皮切りに打者10人(4安打、3四死球、1本塁打)の猛攻で一挙で4点を先制。その後は両チーム共にスコアボードに0が並ぶ。楽天は先発の瀧中が6回無失点で降板。DeNAの投手が堀岡隼人になった8回表、楽天は1死満塁から佐藤が左中間への走者一掃の3点適時二塁打を放つ。
ラスト2イニングでDeNAの救援投手である伊勢が「7-0になってたんで、正直負けかな…と今日は思ってたんですけど」*8と感じるほど、ラスト2イニングの時点で「楽天が0-7と、7点差の大量リードで、勝利をほぼ確実にした」の展開になっていた。

しかし、ドラマはここから起きた。8回裏に柴田大地が登板すると、DeNAは、先頭の蝦名達夫が左越えの3塁打で出塁。直後の牧が中前適時打で1点を返す。佐野恵太と筒香嘉智も出塁で無死満塁になり、柴田は一死もできずに4失点で降板し、加治屋蓮がマウンドに向かう。代わって最初の打者の度会隆輝は死球を受けて押し出し。その後3点差の2死1,2塁となり、代打の宮崎敏郎の右前安打で2点差に詰める。続く蝦名は死球で2死満塁に。ここで3失点を喫した加治屋は降板。
楽天の5番手投手は津留崎大成。ここで牧が左前の2点適時打を放ち同点に追いつく。

9回表、DeNAは無失点に抑える。

9回裏。楽天は西垣雅矢が登板。先頭の度会はストレートの四球で出塁し、代走に三森大貴を起用。三森は次打者の勝又温史の初球で二盗に成功する。その後2死1,2塁になり、この回の5人目は伊勢の代打の神里和毅*9。カウント1-2の4球目、内角低めをめがけたフォークがワンバウンドになって暴投に。二塁走者の三森はためらわずに三塁を回って本塁へ。球審の判定はアウトだが、三森やベンチメンバーなどは自信を持ってセーフのアピールをする。これを受けて相川亮二監督はリクエストを要求。
リプレイ検証の結果、判定が覆ってセーフ。本塁ベースカバーに入った西垣は「空タッチ」になっており、三森の右手が先に本塁ベースに触れていた。これによりDeNAは8-7で勝利した。

DeNAがラスト2イニングでの猛攻で奇跡の大逆転サヨナラ勝利になった訳だが、このラスト2イニングでは6四死球が絡んでおり、うち4死球という珍しい事象が起きていた。


打者数(打順)打者打席結果(失点)投球数
総投球数19球
1人目(1)蝦名達夫左36球
2人目(2)牧秀悟中安(1)5球
3人目(3)佐野恵太四球6球
4人目(4)筒香嘉智中安2球


打者数(打順)打者打席結果(失点)投球数
総投球数22球
1人目(5)度会隆輝死球(1)3球
2人目(6)勝又温史二ゴロ(1)4球
3人目(7)京田陽太中安(1)1球
4人目(8)松尾汐恩空三振6球
5人目(9)宮崎敏郎右安(1)4球
6人目(1)蝦名達夫死球4球


打者数(打順)打者打席結果(失点)投球数
総投球数15球
1人目(5)度会隆輝四球4球
2人目(6)勝又温史中飛*102球
3人目(7)京田陽太死球4球
4人目(8)松尾汐恩中飛1球
5人目(9)神里和毅(記録なし、暴投)*114球


2026年6月4日(木) 横浜スタジアム 11回戦(DeNA1勝2敗0分)
試合時間3:56(開始18:00 終了21:56) 入場者32,697
 
123456789RHE
楽天400000030790
DeNA000000071x8120
 
バッテリー瀧中、九谷、柴田、加治屋、津留崎、●西垣 - 太田
De東、宮城、坂本、堀岡、○伊勢 - 松尾
本塁打佐藤5号


劇的な試合展開であったことから「4.18事件の再現・再来」という趣旨の投稿もX上では散見された。これとは別に「楽天が中日みたいなことしてる、まるで5.20事件のようである」という内容の記事を中日スポーツが配信している。

救援投手が一気にリードを吐き出していく様子に、楽天の三木肇監督からは目から光が消えた模様。

試合後に楽天の三木監督は「結果こうね、試合最後、負けてしまうと。選手たちは必死にプレーしてる中でのことなので、改善と言いますか、いろいろ細かいことはあると思いますからそれは進めますが、こういう試合になって本当に申し訳ない気持ちです」とコメントした。

なお、8回以降だけで7点差以上を逆転勝利したのは2018年4月18日の日本ハムvs西武(西武が勝利)以来で、つまり「4.18事件」以来の史上7回目で、DeNAとしては史上初である


8回裏、楽天が投手を加治屋から津留崎に交代する場面での右翼手を務めていた佐藤直樹の行動。
このときの佐藤は「座り込み」「あぐら」「草むしり」「でんぐり返り」をしている感じになってしまっており、BS10で解説を務めていた辻発彦は「野手があんな格好をしちゃダメ」と指摘した

この試合で佐藤は「1番・右翼手」としてスタメン出場。1回表に左中間への先頭打者本塁打、8回表に走者一掃になる右中間への3点適時二塁打を放ち、5打数2安打1本塁打4打点の活躍で楽天が勝利すればヒーローインタビュー級の大活躍であった事情はある。勝利がほぼ確実な状況から一気に追い上げを許し、守る時間が必然的に長くなっていたことが影響した可能性があるが、いずれにせよ心証をより悪くする行動であったことが否めず、悪い意味でのネタ扱いをされることになってしまった。


この試合は楽天の救援投手陣がことごとく炎上したことが直接的な敗因になったが、この背景として2022年以降での楽天の救援投手陣の酷使傾向の強さが挙げられる。
(原則として「シーズン救援試合数50以上」を記載。順位はリーグ内での登板試合数でカウント。)

救援1救援2救援3救援4救援5
2022西口直人(61試合、1位)宋家豪(54試合、7位)松井裕樹(53試合、9位)安樂智大(52試合、11位)
2023鈴木翔天(61試合、1位)松井裕樹(59試合、2位)*12安樂智大(57試合、4位)*13内星龍(53試合、7位)渡辺翔太(51試合、11位)
2024則本昂大(54試合、1位)
2025西垣雅矢(63試合、2位)*14藤平尚真(62試合、3位)則本昂大(55試合、5位)*15加治屋蓮(54試合、6位)西口直人(52試合、8位)
2026*16加治屋蓮(26試合、1位)西垣雅矢(24試合、3位)藤平尚真(21試合、8位)鈴木翔天(21試合、8位)

2022年~2025年の4年間のうちの3年で50試合以上救援登板した投手数は楽天が最も多い。また、特に2025年は、110投球回以上を投げた先発投手がゼロであり、救援投手への依存度が他球団に比してとても強くなっていた。
この傾向は2026年でも依然として強く、6月4日時点で20試合以上で救援登板した投手はパ・リーグで15人いるが、このうち楽天が4人と最も多かった。
登板過多の傾向に加えて、当該試合で炎上してしまった加治屋は9ホールド、WHIPが1.42、西垣は8ホールド、WHIPが1.47、柴田*17はWHIPが1.69、この試合では登板しなかった鈴木は13ホールド、WHIPが1.42であり、投球内容がよくない投手を1軍の重要な役割で起用せざるを得ない苦しい投手事情も原因の一つだった。





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*1 DeNAの球団公式による。
*2 パ・リーグTVによる。
*3 日刊スポーツによる。
*4 1989年6月4日に中国・北京市の天安門広場を占拠していた民主化を求めるデモ隊に対し、中国人民解放軍が実力行使し、多数の死傷者を出した事件のこと。毎年この時期に全国ニュースで「今日は天安門事件から◎年」と取り上げられるほどの歴史的に大きな出来事であり、ウィキペディアでは「六四天安門事件」の名称で存在している。
*5 代わりに尾形崇斗と井上朋也を獲得。
*6 ロッテ時代の2014年~2017年にも、主将を務めていた経験がある。
*7 4月24日の巨人戦で右太もも裏の肉離れで負傷離脱していた。
*8 ヒーローインタビューでの発言より。この日の試合後のヒーローインタビューは、牧、伊勢、三森の3人であった。
*9 この時点でDeNAにとって起用できる控え打者は古市、柴田、神里の3人のみ。リードされていたため、めぼしい代打要員は事実上使い切っていた。
*10 一塁走者の度会の代走で出場した三森大貴が二盗に成功。
*11 暴投の間に二塁走者の三森が生還し、DeNAのサヨナラ勝利。
*12 この年のオフにMLBのサンディエゴ・パドレスへFA移籍。
*13 この年のオフに、楽天を退団、メキシカンリーグへ。
*14 1位は「ソフトバンク杉山一樹、65試合」。
*15 この年のオフに巨人へFA移籍。
*16 当該試合の終了時点での上位10位以内を記載。
*17 この試合の終了時点で14試合に登板。