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嵐の前の静けさ/Novel by 春風

嵐の前の静けさ

6,596 character(s)13 mins

書きだめしてるのでしばらくは毎日更新できる……かなあ?
レポートで100点とったりして親の目も緩くなってるので、夜更かししても怒られなさそう。
あとは、自分との戦いだ……
早く記憶なくしてくれ……
神様許してくださいを見せたくて両親この部屋に入れたんだから……

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『これが『試験』……ってことでいいのか、シャウラ』

『なるほど。答えに辿り着くまでは、何度でも考え直せるってことか』

『スバルが起きるまで、私たちも何回も『試験』には挑戦したの。だけど、肝心のこの子がシャウラかどうかも私たちには話してくれてなかったから』

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「エキドナもそうだったけど、こんなすごいものが何個もあるなんて──意外と作るのが簡単だったりするのかしら?」
「そんなわけがないのよ。母様とフリューゲルにどれくらい力量の差があったかは知らないけれど──『試練』や『試験』を作れるのなんてほんのひと握りに違いないのよ」
「そうなの?」
確かに、人の記憶から世界を形成したり間違う度に石板を移動させるなんて、なんだかすごく疲れそうだ。
「こんなことじゃなくて、もっと別のことに使ってくれたら良かったのに」

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『とりま、覚えのある名前だと……そうだな。あ、レイドは?初代『剣聖』とかあれだよ、お前が殺したんじゃないの?』

『なに、初代『剣聖』ってそんな怖い人なの?』
『馬鹿な。ラインハルトやヴィルヘルム様、アストレア家の祖に当たる御仁だ。剣の腕もさることながら、人格者であったことは疑いようがない。確かに伝聞として残る逸話には豪放磊落な気が強く、ラインハルトたちとは重ならない部分も散見するが……そうでなければ、今代までのアストレア家の歴史が歪められてしまうじゃないか』

『初代『剣聖』、レイド・アストレアに対する所感。シャウラ女史、忌憚なく貴女の意見を聞かせてもらいたい』
『人間のクズだったッス』
『忌憚なく貴女の意見を聞かせてもらいたい』
『なかったことにすんなよ!!』

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「別に、不思議なことやないけどねえ。強大な力を持たされて、驕らない子の方が少ないと思うけど?」
「ラインハルトくらいの強さで性格が最悪だにゃんて、はっきり言って災害に近いでしょ……」
「でも、ヴィルヘルムさんもラインハルトもすごーく優しいから……レイドが例外なだけだと思うの」
「あれは人間という範疇にいてはいけないやつかしら。考えるだけ無駄なのよ」

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『ほら、聞けよ。お前の知りたかった歴史の真実がそこにあるぞ。生き証人だ。剣の腕に優れた人格者、レイド・アストレアの逸話を好きなだけ語ってもらえ』
『……大なり小なり、秀でた才を持った人間は自信を持つものだよ。そのことは責められるべきではないし、むしろ誇るべきことだ。歴史に名を残す最高峰の剣士ともなれば、そうした振る舞いをするのも、そう、時代背景を鑑みれば適当で――』
『お前がそんな必死なの初めて見た』
『まー、とにかく嫌な奴だったッス。悪ガキがそのまま大きくなったみたいな性格で、弱い者イジメとか大好きだったッス。っていうか、あのクズから見たら大抵の相手は弱かったんで、もう誰と戦っても弱い者イジメッス。あーしも超やられたッス』

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「めちゃくちゃに言われてますけど……」
「どんッなやつなんだァ……?」
オットーとガーフィールが訝しげに顔を顰める。
「強さはラインハルト様と同等……それでいて、人間のクズと評されるほどの悪辣な性格──端的に言って、最悪ですわね」
絶対に関わりあいになりたくない──というより、大人しく死んでいてくれてよかったと思う。
「でもお、そんな人と一緒に戦えるくらいフリューゲルさんは強かったんでしょお?裸のお姉さん曰く、軟弱な人だったみたいだけどお」
「利害の一致、かもしれませんわね……」
「どっちにしても、わけわかんない強さのやつとわけわかんないやつが一緒にいたってだけの話なのよ」
「それだけ聞くと何も分かりませんわね」

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『パッと見やと……最初のモノリスと同じ大きさなんは七、八個かな?』
『かな?うん、私もそうだと思う。すごーく遠くの方にあるのは、みんな小さいのだと思うわ。あれも触ったらやり直しになっちゃうけど』

『モノリスに触ったときに、頭の中に声が聞こえるでしょ?あの声だけど……墓所の『試練』のときに似てない?』

『……違う、ってことなのか?』
『スバル?』
『ここが解かれることを想定してる場所だとしたら、シャウラをどうにかできないと攻略できない。それがそもそも、間違いなのか?シャウラの存在抜きで、塔を攻略できる可能性……』
『ナツキくん、なんや思いついたんなら……』
『し』

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「スバルのこの顔、わたし、すごーく好きなの。今、真面目に考えてくれてるんだーってすぐに分かるでしょう?」
「ベティーもスバルの考えてる顔は嫌いじゃないかしら。いつもは元気なのに、考え込むと静かになるところもいいと思うのよ」
エミリアとベアトリスがスバル談義で盛り上がる。
この光景を見られないスバルはやや可哀想だが、仕方ない。

「シャウラ──星の名前の方ってこと?」
「だろうな……弟子に星の名前をつけて塔や試験にもそれを絡ませるとは……フリューゲルは相当な星好きだな」
「そうねえ……」

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『シャウラをシャウラと知らなくても、シャウラがあるとしたら。俺たちはフリューゲルの功績をシャウラのものと間違って信じてた。『賢者』の功績は初代『剣聖』や『神龍』と一緒に魔女を封印したこと。だけど、『嫉妬の魔女』は間違っても英雄なんて呼ばれる器じゃねぇし、滅ぼされたわけでもない。シャウラをシャウラと知らなくても、シャウラがあるとしたら、だ』

『単純だ。――ムラクで、ちょっと高くジャンプしたい』

『上からこのモノリス、見下ろしたいんだ』

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「──?この形は……?」
ラインハルトが顔を顰める。
スバルには分かったようだが、ラインハルトには分からなかった。
「スバルはすごいね……僕には全く分からないよ」
「しょうがにゃいって。フェリちゃんにもにゃにがにゃんだか」
「スバル様は博識な方なのですね……星……プリステラでも星の話をしてらっしゃいましたし」

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『英雄の名前、わかったよ』
『ホントに!?』

『シャウラに滅ぼされた英雄、その名前はオリオンだ』

『星を人とか動物とかの形に例えた星座って考え方がある。アステリズムって考え方でもいいけどな。――で、上からモノリスを見下ろしたら、だ。最初のモノリスがど真ん中。まぁ、アルニラムあたりと睨んで、そのまま星座の形を……オリオンをなぞってやると』
『そうすると?』
『最も輝かしき、ってのが意外と曲者な言い回しだ。実は星は光り方も色々あって、ずっと明るいのもあれば、たまに強く光るのもある。そういう意味だと、オリオン座には最も輝くってのに該当する星が二つあって……俺だったら、『リゲル』の方を取るかな』

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「すげェぜ大将!俺様ァ全ッ然わかんなかッたけどよォ……!」
「──たまにはバルスの無駄知惠が役立ったという事ね。褒めてやってもいいわ」
「ラムに褒められてもスバルはそこまで嬉しくないのよ……それにしても、スバルはすごいかしら」
「星の話をしてる時のスバルってベアトリスにちょっと似てるわよね」
「そんなことないのよ」
「……ふふっ、ベアトリス嬉しそう」

「こっちの世界には星はないのよね?なら、スバル以外が来たら分からなかったんじゃないかしら……?」
「フリューゲルまじ何者だよ……」

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『思った通りに解けたのは我ながらお手柄に違いねぇんだけど……これで解けたのは逆に大問題だと思うぜ。いや、実際、フェアじゃねぇよ』
『そう、なの?スバルが物知りでいてくれたおかげで謎解きができた……って、私はそう思うんだけど』

『それで、やけど、ナツキくんのお手柄で『試験』は突破……それはええけど、ここの書庫としての役割ってなんなんやろね。どんな本があるんか、興味深いわ』
『シャウラ嬢の説明では、知りたいことであれば何でも知れる知識の宝庫――といった説明でしたが』

『この本のタイトルだけど……ひょっとして、全部、人の名前か?』

『……?』

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スクリーンが暗転する。
褐色の肌と緑色の髪を持つ少女の一幕が映し出される。
粉々に砕け散った人間の破片と、幼い頃から目の前にあった血を伴う罪と罰。
それらによって影響された少女──『傲慢の魔女』の姿が。
「──この子は……」
エミリアが顔を顰め、それから思い出す。
「エキドナの夢の城にいた、テュフォン……?」
「死者の、書……」
ベアトリスの記憶が、何かを思い出そうとする。
『──・────』
「……この部屋は、嫌な感じかしら」

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『スバル!だ、大丈夫?今、すごーく辛そうだったけど……』

『ともあれ、今、俺はその本を読んで、そのテュフォンって子の……記憶?人生?ルーツか?とにかくそんなところを追体験した。気持ちいいもんじゃなかったけど』
『それはスバルの反応を見てたらわかるけど……人の記憶を、追体験。それってなんだかますます、墓所の『試練』みたい』

『わかった気がするのよ。つまりここにある本は、読んだ人間が『見知った相手』の過去を追体験する本かしら』

『ここにある本、過去から今に至るまでの世界中の人間の名前があるんとちゃう?そうやとしたら……目的の誰かの本を探そなったら、どれだけかかるんやろね?』

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「──ねえ、ベアトリス」
「なにかしら、エミリア」
「これって、この空間にも関係あるんじゃない?」
「──と、いうと?」
「人の記憶を追体験してるのは、ここも同じでしょう?それに、死者の書──スバルは、何回も……死んじゃってる、し、死者の書が、この空間に関わってるんじゃないかって」
「……それは、ベティーも考えていたのよ。ただ、嫉妬の魔女のペナルティが発生しないことも、これだけの人数を拐かすことが出来ていることも──不思議でしかないのよ。……見終わるまでは、何者の仕業なのかも、分からないかしら」

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『……重い』
『スバル、大丈夫?』
『……ああ、大丈夫。平気だ。少し、頭がふらっとしただけ』
『それ、大丈夫って言わない……』

『時にシャウラ嬢、聞いてもいいだろうか』
『なんスか?お師様じゃない人に、あーしは簡単に口説けないッスよ』

『まず最初に……君は、ここから二層へ上がる階段がどこにあるのかは知っているかい?』
『二層『エレクトラ』の階段ッスか?さあ?あーし、四層から上にいったことなんてねッスもん。知らないッス』

『――シャウラさんが言われてる、塔を守るための内緒の決まり事。五個と違う?』

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『憤怒の魔女』の死者の書がスクリーンに映し出される。
それもエミリアにはショッキングなものだったが──、
「シャウラ、四百年も一人だったんでしょう?なのに、四層から上にはいかなかったの……?」
「シャウラはフリューゲルに塔に近づく人間を邪魔するように言われていたから、ずっと外を見ていたんじゃないかと思うのよ。それにしても、律儀なもんかしら」
「ベアトリスも律儀でしょう?」
「ベティーは本を沢山読んでいたから、シャウラよりかは有意義な四百年を過ごしていたのよ」
「そこまで変わらないと思いますわ、ベアトリス様」

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『そもそも、あーしは別に隠し事してたわけじゃないッス。ただ、聞かれないから言わなかっただけッス。そこのところ、ちゃんと書面に残してもらいたいッス』
『いいから、全部話せ』
『例えばの話ッスけど、お師様たちがあーしに内緒で塔を出ていこうとかしたら、あーしはもう容赦なくぶっ殺すッス』
『すげぇいきなりだな!?』
『別にやりたくてやるわけじゃないッス!例えの話ッス!そもそも、これはあーしにとって逆らえない問題なんスよぉ。あーしがお師様をぶっ殺すなんて、そんなのできるわけないじゃないッスか。あーしの方がぶっ殺されて終わりなのに、メチャメチャしんどいッス……』

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「あの強さを見た上で、シャウラ女史を殺すことの出来る存在が『賢者』とは……。『嫉妬の魔女』の封印の立役者である以上、相応の力を秘めた存在だとは思っていたが……想像以上だ」
「ユリウスにゃんでそんなにテンション上がってるの?」

「みんな隠し事がたくさんで困っちゃうわねえ。正直に話してくれたらもっとスムーズにいくのに」
「話せねえ事情があるんだろうな……面倒なことには変わりないが」

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『不肖、あーしが言われてることを簡単ながらお話させていただくッス。まず、大図書館プレイアデスの挑戦者は、もう絶対に外に出さないッス』
『いきなりどうしようもねぇぞ』
『大丈夫!ちゃんと抜け道があるッス!たーだーし、ちゃんと大図書館の『試験』を解き終えて、一層『マイア』までいけば問題ないッス。オールOKッス。ちなみに、この条件に違反した場合、あーしは血も涙もないキリングマシーンに早変わりするッスから、お師様との約束は無効ッス。手出しするッス』

『もう飽きたんでポンポンいくッス。一、『試験』を終えずに去ることを禁ず。二、『試験』の決まりに反することを禁ず。三、書庫への不敬を禁ず。四、塔そのものへの破壊行為を禁ず。五……あー、五は……あー、ないッス』

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「書庫への不敬を禁ず……これだけは、フリューゲルの考えに同意するのよ。でも、試験を終えるまで出さないなんて、図書館としては最悪かしら。意味が無いのよ」
「──そもそも、あの星の問題だってスバルじゃなきゃ分からなかったみたいだし……、最初から出す気がなかったってこと?」
「それ以前に、ここにたどり着く人間なんてそう居ないだろうと言うのが答えかしら。そのうえであんな問題を解かされてガチガチに固められたルールに縛られるんだから、たまったものじゃないのよ」

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『ちなみに、この決まり事を破った判定ってお前がするのか?』
『なんかわかるようになってるらしいッスよ。今、言った条件のどれが破られても、あーしにはそれがわかるらしいッス。だから、誤魔化せないんス。――あーしのことも、お師様たちのことも、絶対に』

『ねえ、私、少しだけ思ったんだけど、性格の素直じゃない人が、塔を作ったってところでずーっと考えてたの』
『言葉の選び方が可愛らしぃなってるけど、そやね。それで?』
『階段の場所なんだけど、ひょっとして――』

『やっぱり、この塔作った奴の性格、クソ最悪だな!!』
『四層とか五層の、今まで見てないところに出てくるかもって思って』

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「せ、性格悪……!」
「バルスと同レベルのひねくれ者ということね」
「ナツキさんはここまで酷くないです!」

「なーぁるほど……これはこれは、……なんとも……」
ロズワールが若干楽しげに微笑む。
「如何なさいましたかロズワール様」
「いーぃやあ?ただ、ここにいけなかったことが惜しまれると思っただけだとも」
「──そうですか」
どこまでが本心かは分からないが、ロズワールが楽しそうなことは確かだから、それでいいだろう。

Comments

  • レイラ
    Apr 2nd
  • レイラ
    May 30, 2025
  • cca
    May 30, 2025
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