夜は、身体の感覚を正直にする。
明かりを消した部屋で、
スンミンはシーツの上に横になり、
スマホを耳に押し当てていた。
呼び出し音、二回。
低く、少し掠れた声。
鼓膜に触れるというより、
内側を撫でられる感じ。
それだけなのに、
声が近い。
短く息を吐う音が、
やけにリアルに聞こえる。
拒否できない沈黙。
心臓が一拍、跳ねる。
低く、落ち着いた声。
――当たってる。
即答。
一言一言が、
じわじわ近づいてくる。
少しだけ,間。
喉が,熱い。
淡々と言うのが、逆に刺さる。
声が、さらに低くなる。
“ずるい”と言いながら、
止める気配はない。
スンミンは、意を決めて言った。
一瞬。
向こうの空気が変わる。
でも,声が揺れてる
否定しない。
今度は、囁くように。
即答。
ぞくっとする
想像が、勝手に身体を追い越す。
一拍。
向こうで,静かに笑う気配。
低く,確実に。
それ以上,言わないのが反則
通話が切れる
静まり返った部屋で、
スンミンはしばらく動けなかった。
触れられてない。
何もされてない。
なのに。
耳も、呼吸も、
全部、向こうに持っていかれてる。
――次、会ったら。
考えた瞬間、
また身体が熱くなった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。