絶望的な春先から佐々木朗希はなぜ甦った? 「メジャーで通用しない」と断じられた怪物を変えた名脇役との二人三脚の改造計画
悩んだ怪物の変化のキッカケとなったマンツーマン指導
日本の“怪物”が、ようやく進化の片鱗を見せ始めている。 去る現地時間5月31日のフィリーズ戦に先発登板した佐々木朗希(ドジャース)は、観る者の胸をすくような快投を見せた。2回はアレク・ボームに4シームを狙い打たれてソロ本塁打を被弾したが、失点はこの1点のみ。今季自己最速の100.4マイル(約161.5キロ)を投げ込むなど、投球の生命線であった4シームのキレが増し、6回途中(84球)で、被安打3、1失点と投げ切った。 【動画】佐々木朗希、フィリーズ打線を直球と変化球で三振を奪うシーン 開幕前の混乱状況を思えば、大きな進歩と言えよう。ワールド・ベースボール・クラシック参加を辞退してまで挑んだ春先のオープン戦での佐々木は乱調続き。フォームの修正など微調整を繰り返した4登板(計8回2/3)で、防御率15.58、WHIP2.77、与四球率15.58、被OPS1.043と散々な内容に終始した。 開幕後も内容は安定しなかった。4月も防御率7.23、WHIP1.88と精彩を欠き、一部の識者から「メジャーでは通用しない」とマイナーでの再調整を論じられた。それでも試行錯誤を繰り返した佐々木にとって、大きな変化を生むキッカケとなったのは、フィジカルトレーナーのトラビス・スミス氏とマンツーマンで実施したトレーニングだった。 いわば、フィジカル強化のプロフェッショナルの目には、佐々木の“欠陥”は明らかだった。米紙『New York Post』の取材に応じたスミス氏は「彼は非常に優れた身体能力を持っているが、その反面で筋力が弱点だった」と指摘。肉体改造に着手した際の本人とのやり取りを告白している。 「彼が最初に僕の所へ来た時、『これが僕のプログラムで、これまでにやってきたことだ』と練習メニューを見せてくれた。そこで僕らが彼に必要なものを具体的に提供し、彼に合わせてメニューを調整したことが、一番大きな違いを生んだと思う。ほとんどの筋力トレーニングは型にはまった者が多くて、あまり具体的ではない。でも、僕らは具体的に実行できたんだ」 当初は「用心深かった」という佐々木にスミス氏は下半身強化、肩周辺の筋力の安定、段階的な負荷管理を組み込んだ個別プログラムを作成。公称187ポンド(約85キロ)の体重が18ポンド(約8キロ)も増えたことで、本人も「負荷をかけても痛みを感じず、投球技術にも影響しないこと」を理解し始めたという。
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