なぜ今、医療経営を学ぶのか。hMBA × 海外でみた“人生の価値”の話。
大学院で医療経営を学び始めてから、日々のニュースや現場での出来事が、少し違う色で見えるようになった。普段は理学療法士として泥臭く地域を駆け回る私が、MBAでは「日本の医療の今後やしくみそのもの」を扱う。
日々、現場と制度を目まぐるしく行ったり来たりする中で、両者を見る視点がだんだんとついてきた。
そんななかで、なぜ今、医療経営を学ぶのかについて見えてきたことがある。
地域医療構想って?──“日本の医療の流れ”俯瞰してみる視点
日本の医療のこれからを学ぶ上で、必須となるのが「地域医療構想」の話である。
恥ずかしながら、現場にいるときは、この言葉自体よく意味がわかっていなかった。もちろん、その背景にある“日本の医療の流れ”もである。
地域医療構想とは、簡単にいうと「地域ごとに、必要な医療のバランスを整えるための計画」のこと。
日本では高齢化が進み、救急・手術が必要な人もいれば、リハビリや自宅での医療を必要とする人も増えている。しかし、地域によっては急性期の病院(手術・救急)が多すぎたり、逆にリハビリや在宅医療が足りなかったりと、偏りが生まれている。
そこで国は、2025年に必要となる医療の量を予測し、地域ごとに「どの病院が、どんな役割を担うか」を決め直す仕組みをつくった。これが地域医療構想である。
日本は1961年に国民皆保険を実現し、医療アクセスを急拡大してきた。けれど、その成功の裏側で、急性期に偏った病床構造、医師の偏在、医療費の膨張といった問題が積み重なっていた。団塊の世代が75歳を過ぎる「2025年問題」を前に、医療を地域ごとに最適化する必要が出てきたのだ。
「治す医療」から「支える医療」へ──現場で感じる“価値観の変化”
リハビリで患者さんと関わっていると、「余計な治療はしたくない」「最後は家で」そんな声に出会うことが多かった。本人としてはピンピンコロリで周りに迷惑をかけずに逝きたいというのが切実な願いである。
けれど、いざと言う時になると、本人の希望が、家族の不安や医療側の判断でかき消されてしまう現実がある。本人の希望はやんわり伝わっていても、決定打とはならないのだ。
しかし、ここ最近言われているのが
「団塊の世代からは、“なるべく余計なことはせずに死にたい”という価値観がもっと主流になる。」
ということだ。日本の流れとして、団塊の世代以降から「自分のことは自分で決める」という風潮が強まってきたのだということだろう。
”ACP(=Advance Care Planning アドバンス・ケア・プランニング):自分がどう生き、どう最期を迎えたいかを、早い段階から話し合っておく仕組み“という「人生会議」といった言葉が流行ってきたのも、その背景があるのだろう。
確かに、私も現場で同じ変化を感じているのもまた、事実である。
オランダやスウェーデンで痛感した、日本に足りない“話す時間”と尊厳。
“どう生きたいか、どう最期を迎えたいか”。
本来なら一番大切にすべきこのテーマを、私たち日本人はあまり話さない。
その結果、望まない延命や本人らしくない最期になってしまうこともある。
そのことに気づき始めたのが、スウェーデンやオランダに視察にいった際である。北欧では「自分の最後」をそれぞれ各自が持っている。それに向けて、誰にすすめられるわけでもなく勝手に自分のリハビリに励んでいる、そんな印象を肌で感じる。
昨年訪れたスウェーデンの高齢者施設では、医療と介護の境界が淡く、何より“本人の尊厳”が自然と守られていた。「生き方」も「死に方」も、個人の価値観を軸に考えられているようだった。
日本は日本の良さがある。しかし、“価値観を大切にする医療”という点は、もっと学べるところがあると思った。
働き方改革で変わる「医療のかたち」──便利になる部分と、不安が増える部分
そしてもう一つ。今の日本の医療が抱える問題が、医師の働き方改革によって、救急・手術・集中治療といった重症医療の担い手が減り、都市部の軽症外来だけが便利になるという“二極化”が進んでいる点である。
これは、過疎地ではもっと厳しい現状であり医療崩壊寸前、というかすでに崩壊している地域も出てきている。
むしろ、これは“医療が崩れる”という話ではなく、医療の役割がシフトしていかなければならない、という話だ。
急性期医療は集約され、在宅や生活を支える医療は広がっていく。
その境界に立つのが、地域で働く医療職やリハ職だと感じている。
知っておいてほしいことを、伝えていく
医療の未来は、政策だけで決まらない。
一人ひとりの暮らし方、価値観、選択の積み重ねが、医療のかたちをゆっくり変えていく。
だからこそ、個人的にはnoteで少しずつMBAで学んだことや現場で感じたことをシェアしていきたいと思っている。
医療は難しいものでも他人事のものでもなく、誰もが関わる“自分の人生の話”であると思うのだ。
※新著、『高齢者のくらし図鑑』がGakkenメディカルケアサービスより2025年8月28日発売。
こちらもぜひ!
いいなと思ったら応援しよう!
最後まで読んでくださりありがとうございます^^!
チップはいりませんので、良いと思った記事は、ぜひシェアしていただけると大変喜びます笑
理学療法士として、体のこと、心のこと、高齢者介護のこと、はたまた趣味の海外のくらしのことなど、体験からの学びをシェアしていきますね^^



コメント