24年版はユニット1で「be動詞、一般動詞」が、疑問文、否定文も含めて登場する。その後も当たり前のようにこれらの文法事項が使用される。ユニット2では助動詞のcanが、ユニット3では「What・Who・Why・How・When・Where」が一気に登場し、疑問詞の後にbe動詞が続く文も、一般動詞が続く文も、矢継ぎ早に現れる。もし、私たちが別の言語、例えばイタリア語を後者のような構成の教科書で習うとしたら、うまく学ぶことができるだろうか?

短縮形も登場して混乱

 退職後、福岡県で中学校の英語教育にボランティアとして関わる「新英研」の糸山京子さん(66)は、「be動詞と一般動詞の疑問文の作り方が理解できず、何をしているのか分からない状態になる生徒がけっこういる。そのような中、Where do~?と、短縮形を使ったWhere’s~?が同時に登場すれば、混乱するのも無理はない」と語る。

 2031年施行予定の次期学習指導要領の策定が、現在進められている。中央教育審議会教育課程部会外国語ワーキンググループの議論も山場を迎えているが、文京学院大学外国語学部特任教授の柏村みね子さん(64)は、「議論の中で『思考・判断・表現』が強調され、話すこと、使える英語を推進する意見が委員から多数出されている。今の教科書よりさらに抽象度が高まれば、英文や活動の難易度についていけない子どもが今以上に増える可能性がある」と危惧する。アンケートには、次のような生徒の言葉があった。

「単語や英文の決まりが分かると、英語はもっと楽しくなると思う」

 新しい教科書づくりを通じて、この声に応えていくのは我々大人の責任のはずだ。

(ライター・黒坂真由子)

AERA 2026年6月8日号

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