「警官が覚醒剤混入疑い」 名古屋地裁が無罪判決
覚醒剤を使用したとして覚醒剤取締法違反の罪に問われた男性被告(45)の判決で、名古屋地裁は19日、「採尿前に警察官が、被告に提供した飲料に覚醒剤を混入させた疑いを排除できない」として、無罪を言い渡した。板津正道裁判長は、警察官が逮捕後に勾留中の被告へ現金を渡していたとも認め「捜査が不正に行われた疑いを強く推認させる」とした。
弁護人は「警察の捜査を極めて痛烈に批判しており、適切な捜査を求めるという裁判所のメッセージだ」と話した。名古屋地検の築雅子次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応する」とのコメントを出した。警察官が所属する愛知県警は「判決文を精査しておらず、コメントは差し控える」としている。
判決などによると、被告は2019年12月5日、愛知県東海市の自宅近くで逮捕された後、取り調べ中に警察官からコップに入ったお茶や水を提供され、数十杯飲んだ。警察官は薬物捜査に従事しており、板津裁判長は、この際に覚醒剤を飲料に入れた可能性があると述べた。
警察官は公判の証人尋問で現金授受を否定したが、その後「虚偽だった」と地裁に申告。その後の証人尋問では「逮捕したことで家や仕事を失い、同情した」と送金の理由を説明した。判決などによると、被告の兄の名前を使って送金し、関係先から現金書留の封筒が見つかった。取り調べ中に携帯電話を使わせていたとも認めた。
被告は19年11月にも覚醒剤取締法違反容疑で逮捕されたが、自己使用を否定。公判では一貫して起訴内容を否認していた。〔共同〕