6月2日に10年国債を大量に購入したのは誰だ
証券用語に「手口(てぐち)」と言うものがある。
これは株式市場など証券取引所の売買で、どの証券会社がどの銘柄に、どれだけの売りまたは買いを行なったかという売買状況を示すものである。
株式市場ではこれが公開されていたが、債券先物が東証に上場した際には、特別会員として銀行が入っていたこともあり、手口情報は伏せられることになった。
日本相互証券(BB)の売買も同様であり、端末画面上の板情報で売買の額は表示されるが、どこが出しているのかは証券会社などの端末では表示されていない。
このため、債券市場が大きく動いた際、実際にどこが買った、売ったかという情報は現実にはわからない。
財務省の国債入札では、財務省はどの金融機関がどれだけ落としたのかは当然わかる。取引所やBBでは、売り買いの手口はわかる。
しかし、たとえば某生保が某証券会社を通じて入札や売買を行った際には、その証券会社の担当しか最終的にどこが売り買いをしたのかは見えてこない。
つまり大きく動いた際、本当はどこが売り買いをしたのかは憶測に頼るしかなくなる。
ということで6月2日に大きく買われた日本の債券市場では、誰が動いたのかを勝手に推測してみたい。あくまで推測である。
2日の債券市場で起きたことをピックアップしてみたい。
この日の10年国債の入札はそれほど好調なものではないが、無難というより順調といったものとなった。
それにもかかわらず落札結果からややタイムラグがあって債券先物は大きく買い戻された。債券先物の出来高は5兆円台と久しぶりの大商いとなっていた。
10年国債の入札では、ヒアリングでのわかる範囲での落札状況から、いわゆる不明玉が大量に存在した。数千億円規模での不明玉といえるのではなかろうか。
現物債はこの10年国債を中心に買い進まれた。中期債も買われたが、日銀が利上げを躊躇するといった報道とかあったわけではない。
債券先物の動きをみると、踏み上げというより、大規模な買いにより、買い戻しを迫られたような動きであった。
ここで疑いの目が向けられられるのが生保、メガバンク、海外などである。
ただし、生保が現状、数千億円規模で長期債を買うことは考えづらい。
落札状況からみても銀行の可能性もないといえた。
海外ヘッジファンドが決算絡みでとの見方もあるが、どうも踏み上げとは違うし、何しろ現物主導にみえていた。
ここであらたな犯人、いや買い手が浮かんでくる。
実は6月1日と2日の「牛さん熊さんの本日の債券」で株式市場の動向について下記のように指摘していた。
1日、熊「ただし、プライム市場では7割超が下落するなど全体では弱含みに」
2日、牛「日経平均は一時1300円を超す下げに。東証プライム市場の約8割の銘柄が下落」
1日から2日にかけて売りが幅広い銘柄に出ていた可能性があったのである。
日経平均が過去最高値を更新していることに合わせて考えると、株を売って国債を買っている構図にも映る。
つまり大手年金が株価指数の上昇に合わせてのリバランスを行ってきた可能性がここで浮上する。
株式市場が上昇し、株式の保有比率が大きくなってしまったことで、株の一部を売却する。相対的に債券の保有率が低くなっていたため、10年国債の入札に合わせて数千億円単位でそれを購入した可能性がある。
10年国債の落札者が思うように落とせなかった可能性もあり、債券先物の買い戻し等に繋がったのではないかとの推測である。あくまで推測なのであるが。