「BIG4」と呼ばれた意地 好左腕が思い描く夏の甲子園での投球
■夏に輝く 聖隷クリストファー・高部陸投手 「選抜に出ている選手がうらやましかった」 【写真】「お母さんも打って」「大人がおおらかに」 王貞治さん野球界へ提言 聖隷クリストファー(静岡)の高部陸(3年)は本心を隠さなかった。選抜大会は選手寮のテレビで観戦した。「同じ左投げで良い投手がいっぱいいた。少しでも学べるところがないかと思って見ていました」 昨夏、躍動感のある投げっぷりが注目を浴びた。細身ながら最速147キロを投じる本格派左腕として第107回全国高校野球選手権大会1回戦に先発し、明秀日立(茨城)を1失点に抑えて完投した。 スポットライトが当たった2年生投手は、高部だけではない。沖縄尚学の末吉良丞、横浜(神奈川)の織田翔希、山梨学院の菰田陽生(はるき)。この4選手は世代を引っ張る存在として「BIG4」と呼ばれたこともあった。 高部は埼玉出身。中学時代は全国大会に出場したことがあるが、高校は地元を離れ、一度も甲子園に出たことがないチームを選んだ。 「自分が初めての甲子園に連れて行きたかった。早く試合で投げて、どんどん活躍して、注目されていきたい」 その言葉通り、1年夏に公式戦デビューを果たす。昨夏の静岡大会は5試合で防御率0点台。チームは春夏通じて甲子園初出場を決めた。 昨秋も東海大会まで勝ち進んだが、準決勝で三重に2―10でコールド負け。翌春の選抜大会は出場校に選ばれなかった。 「BIG4」のうち、今春の選抜出場を逃したのは高部だけだった。いつの間にかメディアが出す記事の見出しは「BIG3」に変わっていた。「悔しかった。全然、力が足りない」 この冬は体作りに専念した。夕食の前後でスパゲティや餅を食べて1日5食にして、体重は昨秋から6キロ増えて74キロに。球威はさらに増した。 選抜後の4月、U18(18歳以下)日本代表候補の強化合宿に参加した。「成長するためにいろんな手をつくしたい」と、末吉にスライダーの投げ方や投球フォームについて質問した。 貪欲(どんよく)な17歳は注目されるほど燃えるタイプだ。再び大舞台に立ち、かなえたい夢がある。 「甲子園を完全に支配するような投球を見せたい」(室田賢)
朝日新聞社