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議論百出、旅路は死地へ/Novel by 春風

議論百出、旅路は死地へ

8,630 character(s)17 mins

ひゃ、百!?!?
なんでこんなに続いてるんだ!?
皆様のコメントのおかげですー!
ありがとうー!!
四章範囲の時にぷち炎上してたり、初期の頃は引用が多すぎたり、今も更新遅かったり、そんな感じなのに百話まで!!
すごい!!
合流しましたが──どうでしょう?
エミリアたちの発言が減るのでは?と心配されている方が多かったので、前よりも発言を増やすことに注意したのですが──!
個人的には最後のエミリアラムの会話と、菜穂子さんとエミリアの会話がお気に入りです!

最近はうしおととらにハマっていて、それに傾倒したせいで更新が遅くなって、「申し訳ねェ──!」の気持ち。

書籍版のリゼロ読んでます。自称騎士のところ。

別室の更新をやめてしまいましたので、こちらに専念できるかと思います!
あっちは完結済みにしてます。
多分もう更新は無いので……。
こっちは春風が飽きない限りは止まりません。たぶん。
春風は飽きやすくてすぐ転生するタイプなのですが、こんなに続いているのは奇跡ですよ。
助けは求められてから来たるら辺で一回「もういいかな……」ってなってましたが、コメントで褒められてたのが嬉しくて「コメント全部批判になってるわけじゃないし続けようかな……」になりました。
99の批判より1の頑張れを大切にしたいタイプなので。(数的には批判が1だけど)
それに、批判もよく考えたら応援かもしれませんしね!

今後追加するかもしれないメンバー⬇️
アベル
セシルス
ハリベル
タンザ
グスタフ
ヴァイツ
イドラ
ヒアイン
ペトラ(しないかも)

解釈深まってないからアベルとセシルスだけになっちゃうかもしれないけど。
頑張ってpixiv大百科と原典片手に書きます。

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『……それにしても、不思議なもんだ』
『不思議って、何かあった?』
『いや、大したことじゃないよ、エミリアたん。ただまぁ、こうやって一つの竜車に仲良く乗り合わせる顔としちゃ、結構意外性があるなって思っただけ』
『まぁ、確かにそないに感じるんもおかしないかもしれんね。実際のとこ、うちもちょぉ意外に思うとるもん。ナツキくんが違和感あるんも当然やろね』

​───────​───────​─────

「監視塔……また、記憶に変な靄をかけられてるけど、驚いちゃうくらい大変だったのは覚えてるわ。それに、確か……」
やはり、この部屋では記憶に細工が施されている。
その感覚は、スバルからレムやユリウスの話をされて、知っているらしいけれど知らない感覚を味わったあの時とおなじ。
「────」
ちらりと、部屋を見渡す。
大体の説明はベアトリスがしてくれたけれど、どうにもベアトリスからは言いにくそうにしていた違う世界──スバル風に言うなら、いふるーとの話については、ロズワールがしていた。
何時間か前に、ロズワールがフレデリカにいふるーとの話をした時は、フレデリカはスバルが裏社会のボスになった世界の話を、特に嫌がっていた。
エミリアも嫌だったから、なんとなく安心した。
メィリィは、スバルが大罪司教になる世界の話を特に嫌がっていた。
やはり、自分が全然違う自分としてその世界に在るのは、なんだか気持ちが悪い。
エミリアの後ろに座っているスバルのお父さんとお母さんは、何故かそれらを知っていたから、ロズワールも説明はしていなかったけれど。
「スバル……」
この部屋にいると、酷く気分が落ちる。
魔女の瘴気でも流されているのではなかろうか。
「だとしたら、本当にこの部屋を作った人は意地が悪いわ」

​───────​───────​─────

『もっとも、居心地の悪さだけの話なら、ユリウスさんには負けるかもわからんけど?』
『これは手厳しい。ですが、ご安心ください。――私も騎士の身です。一晩あれば心の整理を付けるには十分。ましてや今回はすでに数日……決して、過日のような無様はさらさないとお約束しましょう』
『優雅やなぁ。なら、その言葉に期待しとこか』

​───────​───────​─────

「──全く、意地っ張りなやつばかりかしら」
ベアトリスだってカッコつけたい時やプライドを高く保ちたい時はあるけれど、騎士って生き物は皆意地を張ってばかりだ。
背中をついと突いたら簡単に崖から落ちてしまいそうな程に。
「面倒ったらありゃしないのよ」
ベアトリスに迷惑をかけても許されるのは、スバルと──次点で陣営のメンバー、最下位がロズワールだ。
揺るがない。

​───────​───────​─────

『懐かしの道だ。もうすぐ、ロズワール邸だな。寄り道ってだけの話じゃ、ないからな』

『言ったでしょう、安心なさい。ロズワール様は御在宅……それから、『眠り姫』も『座敷牢』も、どちらも準備は整っているわ。もっとも、どっちの準備も、ラムじゃなくてフレデリカとペトラの仕事だったけれどね』

『やーぁや、お帰りなーぁさい。無事のお戻り、何よりだーぁね』

​───────​───────​─────

「ラムお姉さんったらあ、お仕事人任せにしちゃうなんて、私のママが聞いたらすごく怒ると思うわあ」
「ラムはこんなことで怒るような気量の狭い人間には仕えないもの。ラムが仕えるのはロズワール様ただひとりだから」
「自然に惚気を入れるなんて、お姉さんったら面白い人よねえ」
「私から見れば、君たちふたりとも実に面白いとーぉも。最も、スバルくんには負けるけれどね」
ロズワールの言葉に、ラムは苦笑する。
そもそも、スバルと面白さで勝負というのは、なかなか頂けない。
あれは、ラムのような美少女には到底真似のできない類の人間だ。
「……おぞましい」
「あらあ?ラムお姉さん、一人で何怒ってるのかしらあ?」
「なんでもないわ」

​───────​───────​─────

『――それで手紙にあった通り、オットーくんとガーフィールの負傷離脱と。なーぁるほど、了解しました。実に、頼もしい功績です』
『ちょっと、二人は大ケガして、帰ってこれないぐらいなの。それなのに、そんな風に言うなんてどういうことなの』
『どーぉうか早合点されずに。二人の負傷は確かに痛ましいことですし、しばらく離脱を余儀なくされるのは痛手に違いありません。ですがその反面、陣営に致命的な被害を被ったものはいない。他陣営を含め、複数の大罪司教と遭遇していながらこの結果……実に奇跡的な巡り合わせです。無論、大罪司教の残した爪痕は早急に対処すべき事柄ではありますが、エミリア様や都市防衛に尽くした諸氏は最善の行動で被害を最少に留めた。そのことは少なからず、ご自分で認められてよいことだと思いますよーぅ』
『……そう、ありがと』

​───────​───────​───

「──まァ、大罪司教があんッだけいて、俺様たちが怪我しただけだしなァ。最小の被害ってのも、あながち間違いじゃァねェが……」
おそらく、発言したものへの信頼がないからだろう。
あまり首を縦に振りたくない気持ちだ。
「日頃の行い、ですね。あれを言ったのがベアトリスちゃんやナツキさんなら、また印象も変わりましたでしょうが」
オットーが、やや厳しめな視線を向ける。
エミリアが怒ってくれたことは素直に嬉しいが、気にしているのはそこではなく、単純にロズワールの胡散臭い言動だ。
「──本当に、二人きりにしたくない」
エミリアとスバルが、二人でロズワールと話すのは、オットーからすると不安だ。
二人は、度を超えて優しいから。

​───────​───────​─────

『まーぁ、皆さんに私がどう思われるかはこの際いいとして、話を進めるといたしましょうか。――ちなみに、そのような騒動が起きた都市プリステラに、エミリア様方を招いたのはアナスタシア様のはずですが……その点、どう思っておいでですか?』
『騒ぎの真ん中に引き入れてしもたことは、申し訳なかったって思うとるよ。謝れ言われたらちゃぁんと謝る、その心の準備はできてるから』
『そして、真摯に頭を下げればびた一文払わずに済む……と。ああ、私への謝罪はなくて結構。エミリア様も、すでに断ってしまわれたのでしょう?』
『だって、魔女教が悪さしたなら、悪いのは魔女教でしょう?ただ呼んだだけのアナスタシアに責任があるはずないじゃない。それに私たちの場合、プリステラに呼んでもらった目的は果たせたわけだし……あと、たまたま私たちがいたから魔女教を追い返せたのかもしれないじゃない。そう考えたら、むしろアナスタシアのお手柄だったんじゃ……』
『さすがにそこまで考えられるのは、他陣営への肩入れすぎるので止めますよーぅ』

​───────​───────​─────

「エミリア様……」
フレデリカが、頭を押えて苦笑する。
エミリアの前向きさは見ていて心地の良いものだ。
だが、少々お人好しすぎるところがあるのは否めない。
「わたくしは、そういうところを美点と言える世界が好ましく思いますわね」
「それにしても、エミリアは少しお人好しすぎるのよ。スバルもそうだけれど……もう少しワガママになってもいいと思うかしら」
「だって、本当にそう思ったんだもの。それに、人のせいにするより、人のおかげだって思った方が少しだけ気持ちが晴れるじゃない」
それがお人好しすぎると言っているのだが、どこまでも優しいエミリアには伝わらなかったようだ。

​───────​───────​─────

『……『賢者』シャウラとの接触、ねーぇ』
『難しいだろうってのはわかるけどな。手段が他に見つからない以上、試せることは試してみるしかない。せっかく全知全能……じゃなくて、全知扱いか。そんな賢者がいるってんなら、話聞きにいくだけ損はないだろ?』
『そーぉれをしちゃおうとした結果、命を支払う大損をする羽目になった人間が、この数百年で何人もいるわけだーぁけどね』

​───────​───────​─────

「そんな無茶をする人が何人もいるなんて……やっぱり、この世界って命を軽く見すぎじゃないかしら……」
菜穂子が訝しげな顔で眉を顰める。
「命を賭ける」や「死ぬ気で戦う」を有言実行してしまう人間が多いのだろうか。
平和主義の菜穂子からすると、少々苦言を呈したくなるのは否めない。
「命は大切にしないといけないと思うわ」
「大切にはしてるんじゃないか?賢者の方が手厳しい可能性もあるからな」
「確かに……」

​───────​───────​─────

『やーぁれやれ、だ。これだから修羅場も鉄火場も噛み分けた人は扱いが難しい。それにこれもどーぉせ、エミリア様はご納得済みなんでしょうしねーぇ』
『勝手に決めて、ごめんなさいとは思ってるからね?』
『でも、勝手に決めることをやめようとまでは思わない。それでよろしい。あなたは茨の道をあえて選んで行かれる方だ。そこにこそ、彼もついていく』

​───────​───────​─────

「────」
オットーが、やや怒った顔でロズワールの方を向く。
それに追加で、フレデリカと菜月夫妻もやや厳しめな視線だ。
「おやおや、過去の発言を掘り返されるのはなかなか厳しいねーぇ」
「別に何も言っていませんけど」
「目は口ほどに物を言う……スバルくんが言っていたねーぇ」
これ以上の問答は無駄と判断したのか、オットーは視線をスクリーンに戻す。
どうも、この空間はだめだ。
普段なら我慢できる感情が我慢できなくなる。
本当に、厄介だ。

​───────​───────​─────

『ロズワール様にとり、非常に心苦しい申し出とは思います。ですが、都市プリステラでは今も、魔女教の暴威に晒され、心身ともに傷付いた人々が大勢いるのです。我々の行動が彼らの心を救う一助になるのであれば、どうかここはお許し願いたく』
『ずーぅいぶんと優美な言い回しだ。見たところ、非凡な能力の持ち主だが……私の記憶にないのが解せない。つまり、そういうことだーぁね?『暴食』の権能で人々から忘れられ、世界に取り残される焦燥感。君は自ら置かれたその状況を打破するために、か細い希望を求めて『賢者』シャウラを目指すわけだ。べーぇつに誰かのためだなんて、言い訳する必要はないんだよ?』
『――っ。決して、そのような私利のために動くようなことは!』
『責めてるわけじゃーぁない。むしろ自然なことだし、私はその方が好ましいと思っているしね。何事も、基本的に他人のためより自分のための方が必死になるものだ。結果的に他者が救われるにせよ、その過程に救われ、満足感や達成感、優越感を得る心を否定する必要はない』

​───────​───────​─────

「──ほんま、全部が全部間違ってるとは言わんよ?現実的にものを考えるんも大事や。やけど、そのせいで仲間に睨まれとるんじゃわけないわ」
アナスタシアが、エミリアやベアトリス、若干フェリスとヴィルヘルムに厳しい視線を向けられるロズワールを見てつぶやく。
「……私としては、今後ぶつかる可能性のある難癖を先んじて忠告してあげたつもりなのですけれどねーぇ」
「日頃の行い、やない?見たところ……てか、ベアトリスちゃんから聞いた話やと、相当あくどいことしとったみたいやし」
「過去の話ですよーぉ?」
「それを判断するのはベティーたちかしら。そもそも、お前はいちいち言い方にトゲがあるのよ。もう少し考えるかしら」

​───────​───────​─────

『また、君だけが覚えているわけだ。あの、レムと同じように』
『何の因果か、だけどな』
『それは君が特別な証だよ。大事に、大事にするといーぃ。――欲しくても、得られないものが大勢いるのだから』

​───────​───────​─────

「──アルくんが覚えてなかったことを考えると、異世界転移は関係なさそうだけど」
菜穂子がそう呟くと、エミリアが銀髪を揺らし、思案する。
「──スバルは、どうして覚えていられるんだろう」
出来ることなら、エミリアも覚えていたかった。
スバルだけが覚えているということは、その苦みをスバルだけが背負わされるということだ。
そんなの、スバルがあんまりにも可哀想で、ならない。

​───────​───────​─────

『こういってはなんですが、彼女の目覚めはエミリア様にはあまり都合がよろしくないのでは?どう考えても、スバルくんはあの子に強い情がありますよ?事によればそれは、エミリア様への情にも匹敵する……』
『そうね、そうだと思う。レムが目覚めたら、スバルはしばらくその子にかかりきりになっちゃうだろうし、私のこともどうでもよくなっちゃうのかも』
『いや、それはいくらなんでも……』
『いいの。それでスバルにそっぽ向かれるなら、私が今度はこっちを向いてもらえるように頑張るだけだから。今さら、スバルがいないなんて困るもん。だからどんなにレムが可愛くて夢中になっても、私の方にもきてもらいます』
『え、エミリアたん!?』
『それが私の覚悟と、私の決めたこと。それに、誰もスバルが救われたって文句なんて言わないわ。――だからいいの。レムを、起こしてあげましょう』

​───────​───────​─────

「わたし、面倒くさい女だもの。スバルがそっぽ向くなら、私の方を無理にでも向かせてみせる。スバルの首が痛くならない程度に」
エミリアが、そう言って笑うものだから、それを聞いていた菜穂子は、酷く安堵したように笑った。
「──本当に、エミリアちゃんが昴の味方でいてくれてよかったわ」
「えっ!?あ、ありがとう……ございます」
急に話しかけられて驚いた──というよりは、自分に友好的に接してくれたことに対する驚愕がエミリアの身体を貫く。
てっきり、二人はエミリアのことを恨んでいるのだと思っていたから。
でも、そうではなかったのだ。
やはり、スバルの両親は、スバルに似ている。
「──早く、」
スバルに、会いたい。

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『ってなわけで、これが今回、魔獣関係のアドバイザーとして話を聞かせてもらうことになる、うちの屋敷の捕虜のメィリィだ』

『メィリィは最初は、もう一人の人と一緒に私たちを襲いにきたの。そのもう一人をガーフィールがやっつけて、この子は捕まえた。それからずっと、この子はこのお屋敷で匿ってるの』

『俺は自分がガキの頃、自分で取れない責任は親とか大人に取ってもらってた。だから身近で、まぁ、仲良くできる子どもが責任取れないことしたら、代わりに取ろうとしてやってもいいんじゃないの?って思う。そんだけ』

​───────​───────​─────

「甘いって言われたらそれまでだけど……やっぱり、人を信じたいって思うスバルの気持ちはわたしにもわかるもの。人を殺しちゃうことが強さなのかって聞かれたら、そうじゃないと思うし」
「そこに関しては同意ですね。ただ、少し不用心すぎるとは思いますが」
「それでもいいの。一人で何でも出来るなんて、そんな偉そうな考え方私にはできないもの。私は私のやり方で、スバルや私を大切にしてくれる人を信じるから」
エミリアの言葉には、不思議な雰囲気がある。
肩の力を入れているこちらが馬鹿らしくなってしまうほどに。
「いいと思いますよ。エミリア様はそのままで。許す人が許して、警戒する人が警戒する。適材適所というやつですから」
オットーも大概無理をする。
スバルに似ているな、とエミリアは思った。

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『アウグリア砂丘なら、二回だけいったことあるよ?手札の魔獣さんたちを補充しようって寄ったの。あそこ、魔獣がたくさんいる場所だったからすごい捗ったけどお……お兄さんたち、本当にいくの?たぶん、私以外の人って死んじゃうよ……?』

『──もお、しょうがないなあ。私、一緒にいってあげてもいいよ。私が一緒なら、魔獣さんたちのことはどうとでもしてあげる。遠ざけるのも、ペットにするのも、殺し合いさせるのも、賢者って人を食べさせるのも自由』

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「──別に、他陣営にどうこう言うつもりはにゃいけど、スバルきゅんもエミリア様も、ちょっと甘すぎるんじゃにゃい?」
フェリスが、未だ苦しそうなクルシュの肩を支えながらそう言う。
「そこも美徳ですよ、彼の」
「それで下克上されたらどうするのさー。ま、フェリちゃんには関係ないけどー」
だが、万が一にもメィリィがスバルを殺していたなら、きっと──
「またギスギスしちゃうかもネー。フェリちゃん、そういうのニガテなのに」

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『後腐れなくなくなったら、どこで死んでもいいってことお?』
『俺の耳にさえ入らなきゃ、誰がどこで死んでようが構うかよ。……って、昔のシニカル気取りの俺なら言っただろうけど、そうは言わねぇよ。関わっちまった連中は、どうあれまともな生き死にしてほしいと思うもんだ。お前が出てくのも自由にしたらいいけど、どうせなら手紙の一つでも出せよ。それができる程度には真っ当に、過ごしてくれりゃそれでいいから』
『……お兄さん、そおやってお嬢ちゃんやペトラちゃんを手懐けたのかしら。まあったく、油断も隙もないったらないわあ』

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「スバルは優しいね」
ラインハルトが、それを間近で見れば血圧の急上昇でそのまま死んでしまいそうなくらいには美しい顔で、美しく息を吐く。
スバルはそれを普通だと言うかもしれないけれど、そんなに普通では無いのだ。
ラインハルトは、少なくとも、そういう人にも、そういう状況にも幾度か直面したことがある。
だから、
「そのままでいて欲しい、スバル」
他人を見捨てることに躊躇が無くならないように、願う。

​───────​───────​─────

『帰ってたのに、顔出すのが遅れてごめんな。ちょっと色々と片付けてて……それで気後れしてるうちに、最後の最後になっちまった』

『俺は、お前を取り戻すよ、レム。――それは、俺の誓いだ』

『今回の旅、ラムも同行するんだから、その言い方は恩着せがましすぎるでしょう。感動の対面になるなら、ラムの方で勝手にやるわ』

​───────​───────​─────

「もう、ラムったら、すぐにそうやって厳しい言い方するんだから」
エミリアがぷんぷんと怒っているふりをすれば、それを華麗にラムはスルーする。
そういう図太さも含めて、ラムは本当に鬼がかっている。
「ラムお姉さんが誰を好きかは知らないけどお、そんな言い方してたら想い人に愛想つかされちゃうわよお?ラムお姉さんがいくら可愛くても、男の人っておしとやかな子をすきになるんだからあ」
「全く、余計なお世話ね。メィリィ。そもそも、色恋沙汰の話をするには経験が足りなすぎるんじゃないの?」
「ラムお姉さんが思うよりは、わたしも色んな経験をしてると思うわよお?」
それ以上聞くのはやぶ蛇な気がして、やめた。

​───────​───────​─────

『そんなわけで、思った以上の大所帯に仕上がっちまったわけだが……』

『肉体的な活動の止まっているレムはさておき、ラムの肉体は先ほど話した通りの欠陥がある。そーぉれは鬼族にとって重要な、角という器官を無くしたことが原因だ。本来、角が補うはずの肉体を動かす莫大なマナ――それを用意できないことで、体は常に苦痛と倦怠に蝕まれている』

『そう考えると、殺された相手やらぼこぼこにされた相手やらと行動できる俺って、ひょっとして大物なんじゃないか……?』
『あ、スバル、今、調子に乗ってるときの顔してる』
『そんな顔してるときあるの、俺!?』

​───────​───────​─────

「そうだ、マナ──!ラム、今しんどくない?魔法が使えないってことは、この空間はマナにも細工されてると思うの。ラムの体のことも忘れてたなんて……ほんと、記憶をいじられるって嫌な感じがするわ」
「ご心配なさらず。寧ろ、この空間には自動的に治癒魔法が掛けられているようなので、平時よりも楽な状態です。ただ、マナに細工がされているのは、疑う余地もありませんが」
「そうなの……しんどかったら言ってね?席変わったりとかするから」
「エミリア……」
ベアトリスがエミリアを見る。
今の発言は無意識にロズワールを疲労の原因と言っているようなものなのだが──、ベアトリスはスバルの味方だ。
つまり、スバルの大切であるエミリアの味方なのだ。
「知らんぷり、なのよ」

Comments

  • レイラ
    Apr 2nd
  • さくらいろのねこ。

    あの無害な兎🐇さんとか席に座らせて頂いたり…蛇でも鯨でも…

    May 13, 2025
  • パトリオット2世

    100話おめでとうございます!いつも楽しみに読んでいます!六章は特に書き甲斐がありそうですね!

    May 11, 2025
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