可哀想な人
更新止まってるなぁと思ったそこのあなた!
ごめんなさい!
別室見てる人は分かると思うんですけどあっちに時間取られてました。
まぁでも、一応週に一回は何かしら投稿してるので……
許してください🙇♂️
あと、最近このシリーズのウォッチリストが一万いったらしいですよ
びっくりですね
それから、スバルくんの誕生日にはケーキを買うので、スバルくんが好きそうなケーキを教えてください
先週のリゼロを見て我が家では「スバルー!ラインハルトのカウンセリングしてくれ!」と阿鼻叫喚が上がっていました
ラインハルトがテレシアさんを冷たい目で見ていたところで「え……?スバルといたときの笑顔は……?」と戦慄もしてましたね
春風的にはラインハルトは本気でテレシアさんが死体に見えていたのではと思いますけどね
どちらにしろ、ちゃんと言葉にする系男子のスバルくんを召喚した方が良かったのは思いますね
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『ははは!あっはっは!ふくっ、あははははは!』
『てめぇ、何がおかしいんだよ!?』
『おかしいに決まってるだろ!?君たちの方こそ、本当の意味で手詰まりな状況に諦めて笑ってもいいぐらいなんじゃないの?あのさ、意味わかってる?自分たちで自分たちの、首という首を絞めて回ってるってことにさぁ!』
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「──その言葉、そっくりそのままブーメランかしら。……あれだけエミリアに酷いことをしておいて、よくも未だ妻だなんて言えるものなのよ。傲慢で不遜な男……本当に、嫌な奴かしら」
ベアトリスが、その可愛らしい顔を不快げに顰める。
何より、スバルをバカにするような態度が、ベアトリスの虫の居所を悪くさせる。
最早、わざとやっているのかもしれない。
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『恥知らず』
『負け犬の遠吠えが気持ちいいね。ははは、なんとでも言いなよ。君たちがそうやって好きなだけ、負け惜しみを口にするのは敗北者の権利だ。それを優越感を味わいながら聞くのは勝利者である僕の権利……ああ、悪くない!悪くないなぁ!』
『私は自分の奥さんに相応しくないって、あなたはそう言ったはずなのに』
『うるさいな。グダグダと偉そうに権利ばかり主張して。それよりも、僕の妻たちを殺してくれた責任はどう取るんだよ?僕の理想の花嫁たち……あれだけ集めるのに何年かかったと思ってるんだ?いい歳をして妻も恋人も一人もいないなんて、僕をクソみたいな寡婦にする気か?新しい妻が見つかるまでの、繋ぎになる義務が君にはあるだろうが!』
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「──本当に、言葉も出ないわ。こんなめちゃくちゃな持論を、よくもまあ誇らしげに振りかざせたものね。あんな状態が妻や恋人であっただなんて、ラムには到底思えないけれど」
ラムが真顔のまま、呆れたと言いたげにため息とともに吐き捨てる。
「言っていることがどれもこれも……まるで自己紹介ね。自分が満たされていなくて不安だから、それを他人に押し付けているだけでしょうけど」
実際、ラムは自分に満足している。
だからこそ、他人に過度に何を求めることもない。
そんなラムからすれば、レグルスは滑稽でしかないのだ。
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『試してみるかい?他に心臓の移る場所があるかどうか。試し方は簡単だよ。今、君の目の前にいるその子を殺せばいい。その子の息の根を止めれば、自然と僕の権能が行き止まりかどうかわかるさ。すごくすごく簡単で実に合理的……あはは!できるわけないよねえ?そんなことしたら、そもそもこうして僕に挑んだ意味も意義も勝手な自己正当化の理屈もなくすもんねえ!?ほら、見なよ。そいつにはとてもできないってさ。なら、代わりに君が自分でやってやったらどうだい?簡単だよ。君が他の花嫁たちにしたことと、全く同じことをすればいい。それともなに?できないの?人の命は身勝手に奪えるくせに、自分の命は可愛くて犠牲にできないの?すごいなぁ、反吐が出るよね?』
『──スバル』
『待て、ダメだ。ホントに、それだけはダメだ』
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「なんッなんだ……こいつ……!」
ガーフィールの中で、怒りが膨らみ続ける。
スバルの讃えられるべき意志を、エミリアの高潔な決意を、レグルスは土足で踏み躙っているのだ。
スバルがエミリアを犠牲にしないやり方を探して何が悪い。
花嫁のことだって、エミリアが好きであんなことをしたと思うのか。
優しいエミリアのことだ。
罪悪感があったに、決まっているのに。
「──反吐が出るぜ」
やはり、大罪司教は理解のできない化け物だ。
少なくともガーフィールにとっては、ずっと。
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『あのさ、それじゃそろそろ終わりにしてもいいかな?君みたいないやらしい女を連れ回すのは趣味じゃないけど、ひとまず妥協してあげるよ。次の花嫁が見つかるまでの繋ぎってことでさ。そっちの彼は殺すけどね。僕の権利をこれだけ侵害して……ああ、そうだ。そういえば、笑えるよね?君、あれだろ?結婚式の前にでかい声で都市中に色々言ってた奴だろ?大罪司教を一人殺したとか……笑い種だよね?あんな出来損ないを殺したぐらいで、僕に勝てるとか勘違いしたんならご愁傷様だよ。あいつは大罪司教になる前も、なってからも、何一つ満足に為せない愚図だったんだからさぁ』
『──ぁ』
『やれる、のか……?』
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「……権利、権利って……本当に器の小さい方ですのね。求めるばかりで何もしなくて……世界でいちばん、哀れな方ですわ」
フレデリカが、冷たい瞳でスクリーンを捉えたまま、そう吐き捨てる。
スバルが倒した大罪司教が愚図であったかどうかは知らない。
だが、レグルスの言葉は、酷く不快だ。
ぎり、と奥歯が軋む音がする。
それが、原始的な怒りによるものだと、理解するまでもなかったが。
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『エミリア』
『うん』
『――俺を信じて、全部任せてくれるか?』
『うん。スバルならやってくれるって、私も信じてる』
『余裕だな?』
『余裕だけど?』
『スバル、やっちゃって』
『こいよ……見えざる手ぇぇぇ――ッ!!』
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「──スバル……」
ラインハルトが、スクリーンを見つめながら、そう口に出す。
何を考えているのか分からない表情のまま、エミリアとスバルのやり取りを、静かに見ていた。
口に出さずとも真意が伝わるふたりが、ラインハルトにとって羨望を向ける類であったことだけは、特筆せずともわかることであったが。
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『エミリア!』
『なんだ。――そこにいたんだね、ジュース』
『スバル、大丈夫。――私、二人のこと、信じてるから』
『おぉぉぉ!うなれ、俺の第三の手ぇ!!』
『捕まえ、た――!』
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魔手が、エミリアの心臓に寄生した、本来あるべきでは無い肉塊を、あるべき姿へ引き剥がす。
「おおおおォーッ!流石だッぜ、大将!!」
皆が思う賛辞を真っ先に口に出すガーフィール。
毎度の如く、オットーの耳は犠牲になった。
「エミリア様を救ったことは評価するわ。それだけだけれど」
「スバルはベティーの契約者なのよ。これくらいカッコつけたがりじゃないと、ベティーが困ってしまうかしら」
各々が、それぞれに褒める。
スバルがいたら、照れて黙ってしまいそうなくらいに。
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『スバル!』
『あ……生きてる、よな?』
『……うん、大丈夫。ちゃんと私の心臓、私の中で動いてる』
『は?なに、なんなの?自分たちだけで分かり合っちゃって、周りは置いてけぼりなんですけど?どんな三文芝居?何がどうなったのか、お前らは……』
『……お前、気付いてないのか?』
『はぁ?何を言い出してるんだよ。気付いてないもなにも、何一つ変わったところなんて……』
『足下、濡れてるぞ』
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「そんなことにも気づかないなんて、滑稽なやつかしら。最も、それに気づけるやつならこんなことにはなっていないと思うのよ」
無敵の権能を持っていながら、嫁を守ることもしない怠惰と、目の前にいる敵を警戒もしない傲慢。
早い話が、レグルスは怠惰と傲慢に負けたのだ。
「完膚なきまでにやってしまうといいのよ。ベティーはスバルを苦しめるやつを許したりしないかしら」
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『お前ら――かっ!?が、ぶぇ……こん、こんな……っ』
『やった。やっと当たる』
『おま、お前――!』
『アイスブランド・アーツ!』
『ごぼっ!なんで!なんでなんでなんでなんで!お前たちは、お前たちなんかが、どうやって何をどうして、『強欲』の権能を!僕の権利を!?』
『あれだけ見てて答えがわからないなら、お前に説明しても全部無駄だよ。まぁ、あれだ。単純な話、お前、舐めプしてる間に敵に逆襲されたんだよ』
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「相手を舐めて結果がこれじゃァわけねェぜ」
エミリアやスバルは、度を超えて優しい。
自分を害するような人間にも笑顔を向けてしまう。
ただ、そんな二人でもレグルスは許せなかった。
それが、レグルスという一人の人間の度し難さを物語っていた。
「俺ッ様ァ、こういう奴が一ッ番嫌いだからなァ」
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『最初の、花嫁さんたちの攻撃――不発だったみたいだから、ちゃんと当たってあげて』
『無敵化するために自分の時間を止めたら、自分の中にある心臓も止めなきゃならない。――完全に、時間制限がある無敵化だな?』
『あ、あのさぁ……!卑怯だと思わないのかなぁ!?二人がかりで一人を、いたぶるような真似して心が痛まないわけ?それって人として大事な部分がどうかしちゃってるんじゃないの?そんな自分たちに疑問とかないのかなぁ。あって当然だよねぇ!?』
『……お前、本当にすげぇな』
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「──これは、本当に」
オットーが、呆れて言葉を失う。
「……こいつは何を言っているのよ?ベティーの耳が不調でなければ、2対1なんて卑怯だと、そう言ったように聞こえるかしら」
「……そう言ったみたい」
「──呆れるなんて、ものじゃないのよ。こんな奴の相手をする地獄の門番が哀れになるほどかしら」
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『つまり、お前はアレか?二対一なんて卑怯だから、一対一で正々堂々と戦おう。それこそが戦いのあるべき形だと、そう言うわけか?』
『そうだよ!当たり前のことを当たり前にするだけだろ?僕が……僕を、誰だと思って!僕は魔女教大罪司教、『強欲』担当のレグルス・コルニアスだよ!?この世界でもっとも、満たされて、揺るがざる存在で……』
『言ったことがすぐに変わるし、話してる内容は空っぽ。私、あなたのこと、世界一の可哀想な人だと思うわ』
『――っ!ざけるなぁ!この僕を……『強欲』を、コケにしたことを後悔させてやるからなぁ!』
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「無抵抗な花嫁さんを殺そうとしたくせに……本当に、言うことがペラペラな人だわ」
権利やらなんやらはおそらく言い訳だ。
レグルスは、自分の思い通りにいかないことがストレスで仕方ないだけなのだから。
「──満たされてなんかいないし、すごーくゆらゆらしてるわ。……可哀想な人」
エミリアが、その整った顔を冷たく彩り、吐き捨てた。
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『人生舐めプで乗り切ってくると、思わぬところで躓くもんだ』
『はぁ……?』
『なんでもね、独り言。それより、一騎打ち受けてやってもいいぜ』
『――!そうだよ。そうこなくちゃ。もちろん、騎士が自分のご主人様を先に立たせるようなことはしないよねえ?』
『そうだな。騎士が戦うのが道理だ』
『なら』
『だから――またになっちまうが、最後は任せる』
『ああ、わかったよ。――挑まれた一騎打ち、騎士として受けよう。ルグニカ王国近衛騎士団所属、『剣聖』の家系――ラインハルト・ヴァン・アストレア』
『ま、待って!こんなっ、こんなの、おかしいだろぉ!?』
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「おかしくなんてないわ、ラインハルトは騎士だもの」
それに、
「スバルは一言も、自分がやるなんて言ってないわ」
にこりと、楽しそうにエミリアは笑う。
スバルらしいミスリード。
本当に、スバルはエミリアをずっと楽しませてくれる。
「……空に、」
打ち上げられたレグルス。
スクリーンの中で無様に嘆くそれと連動するように、スピーカーがノイズを口に出す。
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<ありえないありえないありえない。どういうことなんだよ、意味がわからないよ。なんで僕がこんな目に遭わなきゃならないんだよ。僕を誰だと思ってるんだ。僕は大罪司教『強欲』レグルス・コルニアスだ。この世でもっとも満たされて!もっとも個として確立した!心身ともに揺らぐ要素のない存在!そのはずなのに、どうしてこんな目に遭わなきゃいけないんだよ!ふざけやがって。冗談じゃない。どいつもこいつもなんでこんなわけのわからない不条理を当たり前みたいに受け入れてやがるんだどうかしてるんじゃないのか。あの男もあの女もあの騎士もちょっと僕が慈悲を見せてやったぐらいで調子に乗りやがって、僕が本気を出していたら最初から粉々のバラバラになってたっていうのに自分たちの力とでも勘違いしているんじゃないのか?そういう僕から見たら滑稽な勘違いを恥ずかしげもなくやれるから嫌なんだよ他人と関わるのは!煩わしいウザったい腹立たしい忌々しい憎たらしいいやらしい浅ましい愚図どもめ。僕はずっとずっとこれまでうまくやってきたんだよ。何年も何十年も百数十年もずっとこうして、誰より忠実に大罪司教をやってきた。初めて魔女因子に選ばれてこの権能を手に入れて、稼ぎの悪いくせに酒浸りの父親とグチグチと毎日毎日不平不満を垂れるばかりの母親と僕の取り分にまで虎視眈々と目を光らせているいやしい兄弟たちを皆殺しにして、僕を小馬鹿にしたような目で見る村の連中も、僕をあんなどうしようもない村と家に押し込んだ町の連中も、そもそもあんな町や村を何もせずに放置していた無能に運営されてた国の連中も全部バラバラにして、全部なくしてようやく僕の僕らしい生き方に気付けたんだよ!何もいらないんだよ。何もかも煩わしいだけなんだよ。満たされているんだよ。持ってなかったんじゃない。いらなかったんだよ。押し付けがましいクズ共め、僕は何もいらなかったんだよ。それなのに何か与えられたら、それは僕が余所から見てお前たちから見て欠けてて足りなくて可哀想な憐れまれる存在だって言外に言われてるってことになるだろうが。いらなかったものを押し付けてくる連中を根絶やしにして、満たされた僕に何も言わない人間だけがこの世界にはいればいいんだ。どいつもこいつも勝手なことばっかり言いやがって、クソめ。誰にも僕を憐れむ権利なんてあるものか。誰にも僕を憐れまれたと絶望させる権利なんてあるものか。誰にもそれをさせてなんてたまるものか。僕は何もいらない求めてない。稼ぎの悪いくせに酒浸りでたまに土産を買ってくる父親なんてクソだ死ね。毎日毎日不平不満を垂れるばかりの上に苦労させてごめんねなんて当たり前のこと繰り返す母親なんてクソだ死ね。僕の取り分にまで虎視眈々と目を光らせているけど僕が皿をひっくり返したときに自分の分を分けてくれるようないやしい兄弟たちはクソだ死ね。やめろクソども、僕に勝手に優しくしやがって。優しくするってことは僕を低く見てるってことだろうが下に見てるってことだろうが。他人を見下す奴なんてクソで、他人どころか家族を見下すような奴らは人間以下だって蔑まれて当然だろうが。死んで当然だ。僕は悪くない。何も悪くない。お前らが悪いんだ。お前らがお前らが僕を僕を僕を憐れんで可哀想がって一人にするんだ。自分が世界で一番どうしようもない存在なんだって思わされた感覚を味わえばいい。僕の傍には僕を憐れまないものだけがいればいい。僕が憐れまれる理由なんてこの世から全て消えてしまえばいい。笑い声が聞こえる。僕を見ているだろう。僕を見て笑ったんだろう。僕の何がおかしい。僕の何を見て笑った。どいつもこいつもへらへらと、何の力もないくせに口先ばっかり達者なクズなんだ。そんなクズにどうして僕がこんなに心を砕かれなきゃならないんだよ。僕の前に立つな僕の邪魔をするな僕を憐れむな可愛そうなのは僕じゃないお前らなんだよ無力で無知でそれなのに『強欲』で!欠けた自分を満たすために生涯這いずり回らなきゃならないお前らこそが憐れまれるべき強欲なんだよ!僕は違う僕はそんなじゃない僕は何も求めてない。何も求めていない僕は欠けているお前らより上等だ。僕を憐れむな。本当は僕が羨ましいくせに妬ましいくせに憧れているくせに、届かないから口では負け惜しんでるだけなんだ。そうだろそうなんだろそうに決まってるんだろ。待て、待って、待ってよ。やめろよ。僕のことを見るな僕の名前を出すな僕のことを話すな。良いことでも悪いことでもやめろ、僕に注目するな。僕を放っておいてくれ。個で完結していれば心は踏み躙られずに済むのにどうしてお前らは触れ合おうとするんだよ。わかり合えないんだよ。お前も僕も別の人間なんだよ。リスクを払ってリターンを得にいくなんてどう考えても道理に合ってない合理的じゃない間違ってる。頭がおかしい。冷静になってみればわかるはずだ。僕以外の全ての人間が熱に浮かされているだけだ。他人を求めるのなんてそれこそ無益で無為で無意味なことだってわかりそうなものだろうが。お前らが愛だの恋だの友情だの信頼だのと馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返す言葉なんて全部幻想なんだよ生殖活動なんて最高に気色悪い行為そのものだ。意味がわからない。何のためにする。伴侶だろうが子どもだろうが家族なんて言葉で飾っても自分とは別の存在だろうがそんなものが生きてようが死んでいようが僕に何の影響がある。そいつらが生きていたところで僕が死んだら僕は終わりだ。そいつらが死んでいようが僕が生きているなら僕は続いていくだけだ。愛や恋で人は一つになれない。人はもともと一つしかない。幻想をありがたがる人間に配慮して伴侶を揃えて、他人に蔑まれるのも馬鹿馬鹿しいから見目の整った女を集めて、選んだ相手に裏切られるほど間抜けなこともないから処女ばかり誂えて、それ以上の何を僕に求めるっていうんだよ。勝手なことを抜かすな。僕をこれだけ侵害しておいて、僕にまだ何を求めるんだ。これだけやって!これだけ考えを曲げさせて!まだ僕に要求を突きつけるのか。どこまでやれば僕は憐れまれずに済むんだ。世界一可哀想だなんて!好きな相手と結ばれたいだなんて卑俗な『強欲』に支配された売女にいわれる筋合いなんてないんだよぉ!>
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「どうしてそんなに人のせいにばかりするの?お母さんやお父さんがしてくれたことを、どうして悪い方に思っちゃうの?優しくしてもらえることが、バカにされてると思うなんて……そんなの、やっぱりおかしいわ」
「下らないわね。悪に堕ちる理由すらも薄っぺらい。そんなに人が不愉快なら、一人で生きて独りで死になさい。それも出来ないくせに、文句ばかり言うんじゃないわ」
「何を求める?求めてばかりいるのはお前なのよ。その癖、努力も何もしていない。他者を許せないのは自分の劣等感が強いからなのよ。本当に可哀想な奴かしら」
「……可哀想な奴だなァ。どうして人からの優しさを受け入れられねェんだ」
「切り捨てた?それは勘違いですね。あなたは、人を穿って見過ぎている。その結果、足りないあなたを補う隣人を永遠に失ってしまった──可哀想な人だ」
「──理解が出来ないな。……僕には、君が哀れな人間にしか見えないよ」
「他人と分かり合うことはできるとも。全ての人間と試した訳でもないのに、諦めるのは早すぎやしないかな」
「──干渉してくる全てが許せないなら、死ぬしかありませんわよ。それが嫌なら、寛容であることですわね」
「完結……それはありえないとも。この世で最も完璧に近い人を、私はよく知っている」
「──矛盾だらけですな。少なくとも私には理解ができない」
「……可哀想な人」
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『こんなぁ……馬鹿みたいな展開がぁぁぁ!!もう、もう、もう……ッ!』
『本来の決闘であれば、戦う意思をなくした時点で僕も剣を引くところだけどね。自慢じゃないけど、ジャンプ力には自信があるんだ。雲の上を飛んでいる飛竜の背に、地上から飛び乗ったこともある』
『バ、ケモノめ……!』
『そうだね。僕は化け物を狩る化け物。――君も、運命を受け入れるときだ』
そうして、スバルやエミリアの視界に入らないほどの地下で、強欲な命は、水門都市の怒りに、溺れた。
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「──化け物……」
ラインハルトの瞳が、僅かに揺れる。
英雄である彼は、一瞬でそれを抑えてしまったが。
「──最後の最後まで、恨み言ばかりな人だったのね」
あの時は知らなかった心の声も、この空間ではスピーカーを通して聞こえる。
「──一体、なんの意味があったのかしら」
ベアトリスが、静かに吐き捨てる。
それが、行為に対してか、人生に対してかは、知らない。
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『……エミリアたん、スッキリしない顔してんね。エミリアたんが優しいのはいいところだけど、こいつにまでそれを分けるのは間違ってると思うよ。どうしようもない奴ってのは、やっぱりいるんだ』
『……心配してくれてありがと。でも、違うの。そうじゃなくて』
『うん?』
『レグルス、なんだけど……私、初めて見たときからどこかで会ってた気がしてて』
『初対面じゃなかったっての?それなら、いつ』
『それがね、思い出せないの。――レグルスって、私とどこで会ってたんだろう』
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「思い出すほどの価値もない。それだけのこと、なのよ」
ベアトリスが、エミリアには聞こえないくらいの声量でつぶやく。
エミリアの記憶に、レグルスが入り込む隙間は無い。
エミリアの記憶には、愛してくれたふたりと、氷から解き放ってくれた精霊と、エミリアをいちばん愛している一人がいるくらいでいい。
「──その方が、きっとずっといいかしら」
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『それにしても、エミリアたんは大したもんだ。……花嫁と心臓が同化してるって聞かされたとき、花嫁を死なせずに助ける方法はないもんだとばっかり思ってたけどな。今回は完全に、エミリアたんに持っていかれたな』
『そんなこと、ないわよ』
『それに、スバルがレグルスの心臓を私の胸から取り出してくれなかったら、私も自分自身に同じ魔法をかけるしかなかったわ。その場合、シルフィたちも私も、溶かすの今よりもっとすごーく大変だったと思うの。また百年かかっちゃったかも』
『またまたー、さすがにそれは大げさでしょ』
『…………』
『大げさじゃないの!?やべ、紙一重のファインプレーだった!』
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「そうよっ、スバルのおかげ。すごーく助けられちゃった」
「あながち笑い事じゃないのが恐ろしいのよ……」
この先、エミリアがいなければ突破できない局面はいくつもあった。
エミリアが氷漬けになっていれば、それがどうなっていたかなんて考えるだけで気が重くなる。
「──細部が思い出せないのは、据え置きのようなのよ」
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『ラインハルト、ケガの治療もしないで出ていったけど大丈夫かしら』
『問題ないよ。なんかあいつ、放っておいても勝手に微精霊が傷を治してくれるらしいぜ。自分で言ってた』
『あ、やっぱり。このあたりにたくさんいたはずの微精霊が、ラインハルトがいなくなったらみんなついていっちゃってて……ラインハルト、精霊使いの素質あるのかも』
『俺の個性が死ぬからやめて!』
『エミリアたん、弱い俺だけど見捨てないでね』
『――?私、スバルのことすごーく頼りにしてるわよ?』
『だよね!そうだよね!これからも尽くすよ!』
『ごめん、ちょっとなんでそんなにぐいぐいくるのかわかんない……』
『……他のみんな、大丈夫かな』
『そのためのラインハルト。それにぶっちゃけ、みんな俺より強いからね』
『きっと大丈夫。みんな、だって私たちよりすごーく強くて、すごーく賢くて、すごーく頑張り屋さんだから』
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「弱いとか強いとかじゃなくて、スバルがスバルだから一緒にいるんだからねっ」
エミリアが可愛い顔を赤くしてぷりぷりと怒る。
「スバルは自己評価が低すぎるのよ」
「あとこれ以上尽くすって不安になるんですけど」
「──強い……」
ラインハルトの表情が曇る。
後悔はしていなくても、それが満点でなかったことは、分かるのだ。