中東情勢悪化が地方のガソリンスタンドを直撃――50年間愛された伊佐市の「大丸石油」が閉店 仕入れ値高騰で大幅赤字
鹿児島県伊佐市大口下殿で50年間地元で愛されたガソリンスタンド「大丸(おおまる)石油」が5月、店を閉めた。2年半後をめどに考えていたが、中東情勢悪化による経営不安などから前倒しを決断。利用者や近くの住民からは惜しむ声が寄せられている。 【写真】〈別カット〉半世紀で閉店を迎え「毎日が一生懸命だった」と振り返る大丸昭久さん、勤子さん夫婦=伊佐市大口下殿の大丸石油
大丸昭久社長(68)の父、故正昭さんが1976(昭和51)年5月に開業し、元日と日曜以外は休まず営業。大丸さんも一緒に汗を流した。昭和60年代から平成初頭までの最盛期は1日約100台が給油に来たという。人口減が進んで今は40~50台となり、妻勤子(いそこ)さん(68)と2人で切り盛りしていた。 近年はタンク、給油計量機といった設備の老朽化も負担に。2年ほど前、タンクが改修期を迎える2028年に区切りを付けようと決めた。 だが、米国とイスラエルのイラン攻撃後からガソリンの仕入れ値が高騰。2月の販売価格は1リットル160円台だったが、185~195円に上げざるを得ず、できるだけ転嫁を抑えたため大幅な赤字が出た。 「先行きが見えない」と不安が募る中、半世紀の節目での閉店に踏み切った。5月22日に営業最終日を迎えた大丸さんは「心苦しいが、長年ここまでやってこられたのはお客さんのおかげ」と感謝した。
伊佐市大口白木の川口俊二さん(65)は「昔からの付き合いでお父さんも知っている。オイル交換もここでやってもらうし残念」。冬場は灯油の配達で頼りにする高齢者宅も多く「長年よくやってくれた」「寂しい」とねぎらいや残念がる声が相次いでいる。 県石油販売業協同組合などによると、3月末現在で営業中の伊佐市内のガソリンスタンドは11カ所。24カ所だった2005年度から半分以下に減った。県全体では同時期に1162カ所から664カ所に減り、伊佐はその減少率を上回っている。
南日本新聞 | 鹿児島
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