給与が突然ゼロ、全社員に“箝口令”も…社長命令で“代表取締役”になった証券会社員が「未払い分1年超」支払い求め提訴
「なぜ1円も払わないで済むと思っていたのか」
本件の争点は、男性と会社の間の雇用契約が存続しているか否かにある。 原告男性は退職届を出しておらず、会社から解雇された事実もないと主張する。代表取締役への就任は「在籍出向」にすぎず、出向が終われば当然もとの雇用関係に戻るとの立場だ。契約を終わらせる原因が存在しない以上、労働契約は消滅していないとして、労働者としての地位確認と2025年2月以降の未払い賃金の支払いを求めている。 男性はさらに、労務を受け取りながら賃金を支払わず、理由なく労働契約の存在を否定した会社の対応は不法行為に当たるとして、慰謝料200万円と弁護士費用20万円の計220万円の損害賠償も請求した。 佐々木弁護士は会見で「突然、雇用契約ではなく業務委託契約に変わっており、やや特殊な事案」と指摘。「なぜ1円も払わないで済むと思っていたのかよくわからない」と述べた。
「こんなことが許されるのか、世間に問いたい」
会見に同席した原告男性本人は、用意した文章を読み上げる形で心境を語った。「あぜんとした気持ちだった」と当時を振り返り、「長年会社のために働いてきたにもかかわらず、その日突然社員でないように扱われ、戸惑いと憤りを感じた」と述べている。 男性は「クラウドファンディングを通じて顧客から数百億円も集めるような責任のある証券会社がこんなことをするはずないと信じていた」と語り、「こんなことが許されるのか、世間に問いたい」と訴えた。 また、自身が採用を担当した従業員が今も多く在籍しているとして、「今いる従業員のためにも、裁判を通じて正しく判断していただくことを切に望んでいます」と結んだ。 SAMURAI証券は弁護士JPニュース編集部の取材に対し、「代表取締役に就任した者と当社との間の雇用契約は、同就任に伴い終了しており、当社による賃金未払はありません」と回答。「理解を求めてまいりましたが、ご理解いただけず、提訴されたことを貴社からの取材で初めて認識しまして、大変残念に思うと同時に、遺憾に感じております」としている。
弁護士JPニュース編集部