5G ミリ波が拓く新たなコンテンツ体験
3月17日、5Gミリ波を活用した新たな体験価値を実証するため、「mmWAVE DE VTuber presented by KDDI×Mawari 〜凪乃ましろスペシャル3Dトークライブ」を、上野にあるKDDIの施設「esports Style UENO」で開催しました。
本記事では、KDDIがこのイベントに取り組んだ背景についてご紹介します。
【プロフィール】 森平 良(もりひら りょう)
所属:先端技術企画本部 システム戦略部
KDDI入社後、5G SAの検証やスマートフォンの開発業務を担当。
現在は、ミリ波の体験価値向上に向けた取り組みに従事。
なぜKDDIがVTuberのARイベントを?
このイベントは、その名の通りVTuber 凪乃ましろさんによるトークライブです。
最大の特長は、ARグラスをかけることで、まるで凪乃さんがその場にいるかのように感じられる「リアルタイムAR体験」にあります。
当日は、多くのファン(通称「ましろのおやつ」)の皆様に、凪乃さんとMCによるトークを楽しんでいただくことができました。
しかし、多くの方が「なぜ通信会社のKDDIがVTuberのイベントを?」と疑問に思われたかもしれません。
その答えは、この新しいAR体験の実現に、5Gの「ミリ波」が不可欠だからです。
5G「ミリ波」とは?
ミリ波の特長
「ミリ波」とは、5Gで利用可能になった新しい周波数帯を用いたモバイル通信です。
LTEで使われる700MHz~3.5GHz帯や、同じく5Gで使われる「Sub6」と呼ばれる3.7GHz・4.0GHz帯よりもはるかに高い、28GHzという周波数帯が使われます。
電波は周波数が高くなるほど波長が短くなります。
ミリ波は、その波長が1mm~10mmと「ミリ」単位になることから、そう呼ばれています。
ミリ波の最大の特長は、データ通信に必要な帯域幅が、既存の周波数帯に比べとても広いことです。
これにより、高速・大容量通信を実現します。
一方で、電波には障害物を迂回して回り込む「回折」という性質があります。
しかし、ミリ波は周波数が高いがゆえに直進性が強く、回折しづらいため、障害物の影響を受けやすくエリアを広げにくい、という課題も抱えています。
なぜ今、ミリ波に注力するのか?
KDDIは、このミリ波に力を入れて取り組んでいます。
なぜなら、将来にわたってお客様に快適な通信を提供し続けるためには、ミリ波のような高周波数帯の活用が不可欠だと考えているからです。
このKDDI Tech noteを読んでおられる皆様は、新しいデジタルコンテンツが次々と登場していることを、肌で感じていらっしゃるのではないでしょうか?
日常的な利用を目指したARグラスの登場
メタバース空間の普及とXR(クロスリアリティ)の再燃
文章、画像、音楽、3Dモデルまで生成するAIの進化
人間のように対話するAIコンパニオンの出現
このように、私たちが将来触れるコンテンツは、今とは比べ物にならないほどリッチで、膨大なデータ量を必要とすることが予想されます。
(出典)Beyond 5G推進コンソーシアム白書分科会:Beyond 5Gホワイトペーパー~2030 年代へのメッセージ~(2.0 版 2023.3.13)
モバイル通信のトラフィックは、スマートフォンの普及や動画コンテンツの拡大などにより、すでに加速度的に増加しています。
現在の快適な通信品質を維持し、さらに未来の新たなコンテンツ体験を支えるため、KDDIはミリ波の活用が不可欠だと考えているのです。
ミリ波の体験価値を伝える取り組み
KDDIは皆様にミリ波を広くご利用いただくため、基地局の設置を積極的に進めています。
それだけでなく、ミリ波がもたらす新たな体験価値を創造し、皆様にその可能性を伝えるための活動にも取り組んでいます。
その一つが、ミリ波環境を整備したKDDIの施設を「オープンな実験場」として、パートナー企業の皆様と共に、新しい体験を提供していくことです。
今回のイベントも、この取り組みから生まれました。
今回のイベントを行った「esports Style UENO」や、銀座にあるKDDIのブランド体験施設「GINZA 456」など、まずはKDDIの関連施設からオープンな実験場を展開していきます。
そこで、「リッチなネットワーク環境で新しいアイデアを試したい」「ミリ波を使った次世代コンテンツに興味がある」という企業の皆様と共に、さまざまなアイデアを試していくことで、ミリ波の新たな体験価値を発掘していきたいと考えています。
2025年10月のKDDI SUMMITでも、ミリ波の可能性をお伝えするデモを展示しました。
ご興味のある方は、こちらの記事もご覧いただけると幸いです。
イベントのポイント
今回のイベントでは、ミリ波通信に対応したスマートフォン「Samsung Galaxy S25 Ultra」と、6DoF(頭の回転だけでなく、位置の移動も検知できる)に対応したARグラス「XREAL Air 2 Ultra」を使用しました。
このイベントで実現した「VTuber 凪乃ましろさんが、ARグラス越しに会場へ現れる」という体験の技術的なポイントは、以下の2点です。
クラウドレンダリングによる美麗なAR映像
ARグラスに表示する映像をスマートフォン側で生成するのではなく、クラウドサーバー上で生成(レンダリング)したものをリアルタイムに配信。
これにより、デバイスの処理能力に依存しない、高品質で美麗なAR映像の体験を可能にしました。
※株式会社Mawari様の協力によって実現ミリ波による安定した高速・大容量通信
没入感のあるAR体験を、会場にいる参加者全員で共有するには、継続的かつ遅延なく、安定した高速・大容量通信が不可欠です。
それを5Gの「ミリ波」を用いることで実現しました。
バーチャルの世界にいるVTuberと、リアルの世界にいる人々が触れ合う。
そんな新しいXR体験も、ミリ波の特長を活かすことで実現できます。
ARグラスとミリ波が普及した未来では、イベント会場だけでなく、街中の様々な場所で、リアルとバーチャルが融合したコンテンツを誰もが気軽に体験できるようになるのではないでしょうか。
おわりに
本記事では、ミリ波を活用して実現した新しいXR体験イベントについてご紹介しました。
今後も、KDDIは「オープンな実験場」のような取り組みを通じて、ミリ波が拓く未来のコンテンツを発掘していきたいと考えています。

