奈良教育大付属小不適切授業問題からわかったこと① 労働訴訟は和解に至ったが…
2024年1月半ば、能登半島地震のちょっとあとくらいの時期、奈良教育大付属小不適切授業問題が報道された。
調査委員会が組まれ、再発防止策として、奈良国立大学機構は、付属小の閉鎖的な人事を改善するためだろうか、全教員の逐次出向という方針を打ち出した。
これには教員側が大反発、奈良教育大付属小を守る会という応援団もでき、学者先生たちの署名運動も起こる。
そして2024年3月、何人かの教員に出向命令が下る。これには早速、出向命令無効確認訴訟が提起され、法廷闘争にもつれ込む。
その間、2025年の3月には、機構側がおれたのか出向命令が3年から1年に短縮され、出向していた教員が奈良教育大付属小に戻った。
そして提訴から1年ちょいたった2025年8月7日、双方の和解が成立したようである。
これについての報道は、案外少なかったようだ。
産経新聞(2025/08/07)
奈良教育大付属小教諭3人の強制出向巡り和解、人事異動で健康配慮を確認
奈良新聞(2025/08/07)
奈良教育大付属小教諭3人の出向無効確認訴訟、和解が成立
毎日新聞(2025/08/08)
教諭強制出向の和解成立 奈良国立大機構、不備認める
しんぶん赤旗(奈良県ニュース 2025/08/008)
教員と大学側和解成立 奈良教育大付小強制出向裁判
奈良教育大付属小を守る会のWebサイトによると、朝日新聞の奈良版にも掲載はあったようだがネット版の掲載はなかった模様。
原告側は長々とした弁護団声明文を発表している…とはいえ、和解の内容・条件等がどういうものだったのかはよくわからない。
とはいえ、弁護団声明に記述のある「和解で確認されたこと」から推察するに、純粋な労働問題として解決にいたったようである。
さんざん応援団が主張していた「奈良教育大付属小のゆたかな教育」の是非については何も結論めいたものはでていないといったことなのだろう。
和解で終わらずに判決までいった場合、「奈良教育大付属小の教育内容・運営体制」についての判断が入ることはおそらく避けられないだろうから、そこは避けた…という感じなのかもしれない。
奈良教育大学機構側の判断により。出向期間は短縮され、原告はすでに奈良教育大付属小に復帰しているので、これ以上訴訟を継続するメリットはなくなっていた…ということもあるのだろう。
和解せず、訴訟を継続してしまえば長期化は避けられない。
原告側にとっても被告側にとってもメリットはあった…ということなのかもしれないが…、国会でも日本共産党の議員が何度か問題にしたりもあり、あれだけ大騒ぎしていて和解ですか?という気もしないでもない。
2024年夏ころまでの、各種団体の「声明・アピール等」を奈良教育大付属小を守る会のWebサイトから拾いだしてみただけでこれくらいある。
あいち民研「奈良教育大学附属小学校をめぐる問題についての緊急声明」(2024.2.6)
NPO法人School Voice Project教職員WEBアンケート結果(2024.2.16)
奈良教育大学附属学校園付属小学校分会声明(2024.2.14)
歴史教育者協議会声明「文部科学省の付属校を置く国立大学への点検の押しつけに抗議する」(2024.2.25)
全大教声明「子どもの自主性・自律性を育むために現場の教員の自主性・自律性の尊重を」(2024.2.27)
ゆたかな教育の実現をめざして(ホームページ)
奈良県教職員組合定期大会特別決議「奈良教育大学は、附小の教員の強制出向の方針を撤回し、子どもと教育を守る立場に立つことを強く求めます」(2024.3.2)
教育研究者有志緊急声明「教育課程の創造的実践を通じたゆたかな教育の実現を求めます」(2024.3.4)
全教書記長談話「奈良教育大学附属小学校の教育課程への乱暴な介入について 」(2024.3.4)
みやぎ教育文化研究センターのブログmkbkc's dialy(2024.3.7)
京都民間教育研究団体連絡協議会サークル代表会 抗議声明(2024.3.6)
全生研常任委員会 声明(2024.3.6)
鈴木大裕 「マニュアル化する社会の中で:奈良教育大附属小学校『不適切指導』事件」(2024.3.8)
新しい絵の会 声明「奈良教育大学付属小学校で起きている問題について」(2024.3.9)
全生研近畿ブロック有志 声明「奈良教育大学付属学園教職員組合の声明を支持する声明」(2024.3.11)
折出健二「奈良教育大学附属小学校教員に対する『出向』命令の取り消しを求めます」(2024.3.11)
生源寺孝浩・園部勝章「子どものものの捉え方の発達が配慮されている奈良教附小の理科ー『年次入れ替え』は授業研究の積み上げの成果ー」(2024.3.13)
京都教育センター運営委員会声明「『教育課程』の原点に立ち戻って同校の豊かな教育実践の継承と発展を求めます」(2024.3.18)
しんぶん「赤旗」主張「奈良教育大付属小 介入は明白 強制出向をやめよ」(2024.3.21)
奈良教育大附属小を守る会「奈良教育大附属小と奈良県の教職員人事に関する抗議声明」(2024.4.1)
児童言語研究会声明「教育課程編成の自由を保障し、子どもに寄り添った教育を求めます」(2024.4.2)
文芸研全国委員会声明(2024.4.20)
民主教育研究所運営委員会が「奈良教育大学附属小学校の学校づくりと教育実践のさらなる発展を求める声明」(2024.6.6)
歴史教育者協議会社員総会声明「教育の自由、教育課程編成の自主性を守り、子どもに寄り添う教育を」(2024.8.2)
全国作文教育研究大会決議「自主的・創造的な学校づくり・教育課程づくりの保障と『出向』の停止を求めます」(2024.8.12)
結局、頑張って運動しちゃったせいで、以下のようなことが世間の目からわかりやすくなったのではないだろうか?
①奈良教育大付属小ではの伝統の集団主義教育体質が続いていた
②教員養成大学の左翼思想が冷戦終結後も温存されていた
③1960年に盛んになった民間教育運動(≒国民教育運動≒日教組教研運動)でできた団体が今も多数あり、活動を続けている。
2025年4月に、奈良教育大付属小いじめ問題(いじめ→転校)が発覚して、多少運動が尻すぼみにはなったものの、出向は3年の予定が1年に短縮…というところまで行ったらしいので、労働運動としては頑張ったってところなんだろうけど…
その過程で戦後教育の闇に光を当てるだけのネタの大盤振る舞いやっちゃった感じですね。
しかし、教育オープンレター「ゆたかな教育の実現を めざして」は大笑いだったわよ。 「詭弁のためのアクロバット引用」 ここまでひどいのはそうそう見ないw。
なにせ引用元が論文ではなく学習指導要領w
教育オープンレター呼びかけ人のおひとりである片岡洋子先生が、この6月の学術会議法人化反対運動でもご活躍w
3月に報告書が発表された2023年に発覚した、学芸大大泉小のいじめ転校案件の報告書読んでみりゃ、片岡洋子先生のお名前が…というオマケまで。 いじめ…左派系の教育学者にどうにもできないでしょ。
https://www.u-gakugei.ac.jp/pickup-news/upload/041ffae4cc08b8287ae6002b6eecdc49588ef88b.pdf
集団主義教育に起因するいじめを「日本作文の会」だの教科研方面が糾弾したときに、全生研の方針転換でシャンシャンにしちゃったからねえ。 片岡先生は教育科学研究会の委員長で、日本作文の会でしたね。
1980年台、学者センセ達が、全生研の「班・核・討議づくり方式」はダメだが、集団主義は捨てられませんor集団教育は捨てられません…で全生研の方針転換でシャンシャンにしちゃったのよ。 シバイてつくる民主的・自治的な集団教育 ↓ 寄り添いと伴走でつくる民主的・自治的な集団教育 になった。
1960年前後から日教組運動で流行った「職員室の教組分会化」が、奈良教育大付属小では、まだ現役だったったという話で、大学法人すら手が付けられなかったってことなんよね。
とりあえず、奈良教育大付属小の「人事交流」という名の出向は白紙に戻されたといったところだろう。
「教育実践好き教員のねがいで作る学校」は守られた模様。
定員は今までの1学年90人から60人に減るらしい。
今後も奈良教育大付属小は、従前のような「みんなのねがいで作る学校」のままなのであろうか?
今は21世紀なんですけどねえ。
いいなと思ったら応援しよう!
猫又BBAを応援してもいい…という方は、サポートをよろしく!
いただいたサポートは妖力アップに使わせていただきます。


コメント