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逃走経路は消え去らない/Novel by 春風

逃走経路は消え去らない

3,526 character(s)7 mins

この作品の今度についてですが、シリーズの説明文の欄に引用元を記載する、引用部分をなるべく減らす、オリジナルの部分を今まで以上に増やす、ということを厳守する形で続けることにしました。
本当はアカウントごと消そうか迷っていたのですが、やりようによっては続けられるのではないかと思案し、このような形で落とし所をつける、ということになります。
とはいえ、ありがたいことに作品の反響があまりにも大きいこともこれまた事実です。
作者様のお目に触れないよう、影を歩くことは徹底し、可能な限り誰も嫌な思いをしない創作をこれからも続けていきたいと思っています。
お騒がせして誠に申し訳ありません。
今回ご指摘下さった方がご厚意で忠告してくださったことも理解しています。
今回の非は完全にこちらですので。
二次創作はあくまで作者様のご厚意に甘えて行うものという意識を忘れず、今後も更新していきたいと思います。
これからもよろしくお願いします。

書き方を変えるので、少し更新が止まるかもしれません。
気長にお待ち頂きたいです。

なにかお伝えする際はTwitterかキャプションを介しますので、注視していただけると有難いです。

タイトルについても変更しようか迷っています。
「ナツキスバル」と検索すると関連語句の欄にヒットしてしまうようで。

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『はっ!はっ!はぁっ!』
階段を飛ぶように駆け降りて、小さな腕を大きく振りながらペトラは走る。

​───────​───────​─────

「ペトラちゃん……!」
エミリアがその表情を痛ましく歪ませる。
「……私は墓所にいたから、ここからどうなるのかは分からないけど……」
フレデリカの方に目を向ければ、フレデリカはガーフィールの頭を優しく撫でる。
「わたくしの方へはガーフが、ペトラの方へはスバル様が行かれたはずですわ」
「あァ!俺ッ様は最強だからなァ!」
ガーフィールが快活に笑えば、エミリアはその表情を緩める。
「……そう、そうね。忘れちゃうところだった」

​───────​───────​─────

『べあ、とりす様なら……!』
『ここ……違う、こっちは!?』
『いない……ここにも、いないよ……ねえさま……!』
息が切れて、その場に崩れ落ちてしまいそうになりながらペトラは涙をこぼす。
『ねえ、さまぁ……』

​───────​───────​─────

「ペトラ……!」
フレデリカが苦虫を噛み潰したように顔を顰め、ラムも軽く眉を寄せる。
「見ていて気分のいいものでは無いわね、急ぎなさいバルス。ラムの機嫌が悪くなる前に」
軽口混じりに言うが、その表情は固く、前半は本心なのだろうとわかる。
「……小さい女の子が泣いてるのを見るのは、フェリちゃんも好きじゃないなあ」
フェリスの表情にもラムやフレデリカと近しいものが刻まれる。
「……ほんと、なんで許されてるんだろうね」
その瞳は、一点を見つめていた。

​───────​───────​─────

『――スバルぅ』
『スバル、スバル……助けてよぉ、スバルぅ』
『おし、わかったぜ、ペトラ』
『──ぇ』
『遅くなって悪い。でも、助けにきた。……無事でよかった、ペトラ』
『スバル……なの?きて、くれたの?』
『俺だし、きたよ。もう大丈夫だ』

​───────​───────​─────

「!スバル……!良かった、間に合って……!」
エミリアがその紫紺の瞳に輝きを潤ませ、銀髪を揺らす。
「大将ッ!かッけェ……!」
スバルは到着第一声や大一番での啖呵をキメるのが得意だと常々思う。
「……本当に、間がいいだけの男ね」
そういうラムの顔もどこか穏やかで、悪態はついても悪意は無いのだとわかる。
「この子の立場で考えたら、ここでスバルと会えるのはすごく安心するだろうね。しかも、屋敷にいるのは……腸狩りだ」
自分が取り逃がした結果に、ラインハルトは顔を顰める。
ラインハルトのせいでは無いと思うが。

​───────​───────​─────

『スバル……フレデリカ姉様が、上で女の人と戦ってるの』
『フレデリカが?』
『黒くて、大きなナイフを持ってる人で……なんだかすごく、怖い人で』
『黒くてでかいナイフ持ってるおっかない女か……ああ、知ってる』
『お願い、フレデリカ姉様を助けて!スバル、やっつけて!』
『よっしゃ、俺に全部任せとけ!って言いたいとこだけど、フレデリカの勝てない相手に俺が突っ込んでも一瞬で死体になるだけだよ!』
『────っ』
『だから、俺の代わりに超強い援軍を送り込んでおいた』
『再会の場面にしては、ちょっと邪魔者が邪魔すぎる夜だけどな』

​───────​───────​─────

「超強い援軍……!」
スバルからの賛辞に、ガーフィールは頬を緩ませる。
「まァ、まあなァ……!俺ッ様は超強ェからなァ!」
少しテンションが上がるガーフィールに、オットーが苦笑する。
「……ほんと、ナツキさんは人を乗せるのが上手い人ですよね。僕も、ナツキさんによく乗せられちゃいますし」
「ほんとにそうなの!スバルったら口先ばっかり上手くて……ちゃらんぽらんなことばっかり言ってたら、ひどいんだからね!」
エミリアが怒ってますと言いたげに頬を膨らす。
ちゃらんぽらんなんて今日日聞かない。

​───────​───────​─────

『いいか?屋敷にいる要救助者は全部で四人。全員が女の子だ』
走る竜車の車上で、スバルは指を四本立てて説明している。
『一人はフレデリカ。ご存知ガーフィールの姉貴だ。襲撃者がきた場合、時間稼ぎが期待できるのはフレデリカぐらいだな』
『姉貴かよォ……正直、もう十年も顔合わせてねェッからなァ』

​───────​───────​─────

「……そう考えると、やはり戦力が偏りすぎていますな。」
ヴィルヘルムが僅かに眉を顰める。
「そうですね……彼女──フレデリカ様も弱いとは思えませんが、相手が悪すぎます」
剣聖でさえ取り逃がす相手を、一体どうして仕留めることが出来ようか。
それも一人となれば、それは絶望的だ。
「……うーん、せめてエミリア様がいれば好転するんだろうけど……試練しなきゃなんだもんねえ」
「……改めて聞くと、本当に役割が多いね。スバルには」
マルチタスクどころの話じゃない。

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『それで、二人目がペトラちゃんですかね』
『そうだな。ロズワール邸の期待の新人メイド、ちょっとおませなペトラが二人目。この子は裏表なしに完全に普通の村娘だから、狙われると百パーヤバい』

​───────​───────​─────

「そうよね……ほんと、こんな小さい子まで依頼の中に入れるなんて」
僅かに怒りが再燃するエミリアをフレデリカが「気持ちはわかります」と同意しながら制止。暴れられると困る。
「子供が可哀想な目に遭うのは見てられないよ……」
フェリスが小さく零した言葉に、周囲の皆が同意する。
「ほんと、心労絶えないね。スバルきゅん」

​───────​───────​─────

『もう一人がレム。ラムの妹だ。お前は覚えちゃいないだろうけどな』
『いまだに俺様ァ半信半疑だぜ、大将。ラムにそっくりの双子の妹なんて言われッてもよォ。長ェ付き合いの俺様が忘れるなんて、んなことがあんのかよォ』
『それこそ片割れのラムすら忘れる類の『呪い』だぜ。それの解決に関してはまた話は変わってくるけど……ともあれ、レムの心配は急務ってほどじゃない。屋敷を襲う殺し屋――エルザの標的にレムが入ってないからだ。多分、依頼の時点でレムの存在が知れてなかったからだと思う』

​───────​───────​─────

「……呪い、か。暴食の被害……うん」
ラインハルトが僅かに考え込む。
「……ラインハルト?」
「ああ、いや」
振り払おうとした考えを、ラインハルトは引き戻した。
「……どうして、スバルは覚えていられるのだろうか」
「……え?」
「スバルだけが暴食の被害の外側にいる。記憶を引き継ぐことが出来ている。スバルが本当に異世界から来たのだとすれば──そうしたとしても、スバルが覚えていられることにはなにか理由があると思うんだ」
「……確かに、それは……そうだな」
記憶に、靄がかかっていく。
それを取り払えるのは、スバルだけなのだろうか。

​───────​───────​─────

『最後の一人は……ベアトリスは、多分、俺じゃなきゃ連れ出せない』
『ベアトリスは俺が連れ出す。連れ出してやる。そうしなきゃならねぇんだ』
『大将がそう言うんならそうなんだろッよォ』
『近くのアーラム村の方々も、できるなら避難させるべきですかね。混乱を避ける意味でも、それはうまいこと僕がやりましょうか』

​───────​───────​─────

「スバル……」
ベアトリスが瞳を潤ませる。
「……本当に、スバルは狡い契約者なのよ。人を魅す事ばかり上手くなって……嫌だって言っても、離れてなんてやらないのよ」
頬を赤くしてそう呟くベアトリスに、エミリアが笑いかける。
「うん、そうよね。きっとそう。スバルは人が欲しがってることを言うのが上手くて……本当に、狡いと思う」
そう笑うエミリアの顔は、酷く暖かかった。

​───────​───────​─────

『お前を連れ出すぜ、ベアトリス。――今度こそ、お前は俺の手で太陽の下に引きずり出されて、そのドレスを泥だらけにして真っ黒になるまで遊ぶんだ』

​───────​───────​─────

「……!うう……」
「ベアトリス?どうしたの?」
「この後のスバルを見たい気持ちと自分の醜態を見たくない気持ちがせめぎ合っているのよ……」
「それは……私もすごーくわかる」
醜態はお互い様かもしれない。

Comments

  • レイラ
    Mar 31st
  • Chie Kouda

    今日日聞かないの部分で鳥肌が立ちました。 嘘だと言ってください、これは伏線ではないと言ってください。それはそれとしてかなり面白いですあなたのおかげで今日も生きてます本当にありがとうございます。

    August 6, 2025
  • いつも楽しく拝読させて頂いてます。これからも貴方の心と体の両方の健康を祈りつつ、続きが読めることを楽しみに待っています。

    December 19, 2024
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