5月31日ゲンロンカフェでの辺野古デモに関する発言についての謝罪と説明 #ゲンロン260531
5月31日(日)19時よりゲンロンカフェで開催された、東浩紀氏との対談「“リベラル”はなぜ嫌われているのか」における私の辺野古デモに関する発言について、X上で多数のご批判をいただいております。この件について説明し、お詫びします。
当日の私の発言の要旨は、沖縄での基地建設反対運動をめぐって、「日当が支払われている」「アルバイトが動員されている」といった説がたびたび流れ、そのたびに否定されてきたこと。それにもかかわらず、現地でそうした話を耳にする機会があったこと。事実なのかどうか。そして、仮にそれがデマであるならば、なぜそのようなデマが繰り返し流通するのか、誰がどのように広げているのかを問う必要がある、というものでした。
しかし、いま振り返ると、確認されていない伝聞を、十分な検証や留保なしに、公の場で具体的に紹介したことは不適切でした。結果として、辺野古で抗議を続けている方々、沖縄の基地問題に向き合ってきた方々に対して、誤った印象を与えかねない発言になりました。この点について、深くお詫びします。申し訳ございませんでした。
私がお詫びすべきことは、未確認の話を聞いたことそのものではありません。情報を得ること、聞くこと自体は、取材や観察、言論活動の一部です。問題は、それを十分な確認や留保なしに、公の場で紹介してしまったことです。言論に携わる者として、事実確認の重要性を語ってきた私自身が、未確認情報の扱いを誤ったことを重く受け止めています。
私は、辺野古の抗議活動について「日当が支払われている」と主張する意図はありませんでした。また、沖縄のデモに関して、これまで否定的な発言を公の場でしたこともありません。むしろ、デモに対する根拠なき批判については、批判的に見てきました。
その姿勢を示すものとして、2024年10月21日、朝日新聞コメントプラスにおいて、『社外取締役 島耕作』の「週刊モーニング」連載における辺野古関連エピソードについてコメントしています。これは、デモで日当が支払われ動員されているという未確認の伝聞が作品内で扱われた件についてのものです。
有料会員向けサービスの内容であるため、ここでは全文ではなく、私自身のコメントの要約を記します。
- 弘兼憲史氏と編集部が「確認されていない伝聞」を掲載したことは問題であり、謝罪と修正の約束は当然である。
- 「新基地建設反対派のアルバイトがある」という話は、確認されていないデマである。
- ただし、そのような話が今も語られているのだとすれば、「日当デマ」が現在も流通していること自体に注目すべきである。
- 問うべきは、「誰がこのデマを流しているのか」「なぜ何度も繰り返されるのか」という点である。
- 名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前では、普天間飛行場移設工事に反対する座り込みなどの地道な運動が続いている。
- そうした運動を貶める形で、「日当デマ」が繰り返されてきた。
- このデマを生み出し、広げている人物や組織の存在について検証が必要である。
- 沖縄2紙だけでなく、朝日新聞にもこの問題の背景に踏み込んでほしい。
以上が、当時の私の問題意識です。
今回のゲンロンカフェでの発言も、私としては、「日当デマはなぜ繰り返し流通するのか」という問題意識から出たものでした。この問題意識自体は、今も重要だと考えています。
ただし、ここでいう「真相を知りたい」とは、「本当に日当が支払われているのではないか」と疑うことではありません。そうではなく、日当デマが繰り返し流通してきた経緯、発生源、流通経路、そしてそれが辺野古で抗議を続ける人々に与えてきた影響を明らかにする必要がある、という意味です。
日当デマは、辺野古で抗議を続ける人々を貶める形で繰り返されてきたものです。だからこそ、誰が、どのような意図で、どのようにその言説を流通させてきたのかは、検証されるべきだと考えます。この問いは、抗議活動を疑うための問いではありません。抗議活動を貶めてきた言説の構造を明らかにするための問いです。
とはいえ、その問題意識が重要であったとしても、未確認の伝聞を具体的に紹介すれば、結果としてデマの再流通に加担しかねません。この件に関して検証した先行研究、調査を追いきれていないこともまた事実です。ここに私の認識の甘さがありました。この点について、あらためてお詫びします。
「ニュース女子」の問題やBPO案件についても、ご指摘をいただきました。認識はしておりましたが、詳細にわたる把握が不十分だった部分があり、その点も反省しています。
語りにくい問題に踏み込む姿勢は、これからも持ち続けたいと思っています。しかし、その際には、未確認情報を扱うことの危うさ、とりわけ沖縄の基地問題のように長い歴史と深い傷を伴う問題において、言葉がどのように受け取られ、何を再生産しうるのかに、より慎重でなければならないと痛感しています。
今回の件を、単なる炎上対応で終わらせるつもりはありません。自分の発言の問題点を受け止めたうえで、沖縄の基地問題、社会運動をめぐるデマ、そして言論人が未確認情報をどう扱うべきかについて、あらためて考え、書いていきます。
このたびは、私の発言により不快な思いをされた方々、誤解や混乱を招かれた方々に、あらためてお詫び申し上げます。
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