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不理解は消えず/Novel by 春風

不理解は消えず

7,008 character(s)14 mins

900フォロワー感謝です

ガーフィールなら泣き叫んだりせずにただただ己の過ちを悔いると思います。
エミリアもガーフィールを手放しに慰められないような気がします。
ベアトリスが止めたのは自分も似たようなことしてるからです。(本人的に)

ギスギスしてていいですね
大兎のとことか殺し合いになりそう
魔法使えない部屋って設定なので拳ですかね!
楽しみだ!

⬇️オボレルifについて話してます⬇️

オボレルスくんって痩せ細ってて隈が酷いって設定なんですけど、ifルートの中でいちばん弱くていちばん怖いんですよね。
強者を焦らせるほどの殺気を持ってて、でも「怖い思いをしたくない、安心したいだけ」っていう本質的には全く変わってなくて。
個人的にはレムの拷問はやりすぎだなぁと思っていたので寧ろリスタート出来た本編スくんの方がイカれているのかもしれませんね。
オボレルスくんの何がいいかって言うと、人間不信で他人を信じてないくせに安心して休める拠り所を探しているところです。
「誰も信じない」と言っておきながら弱れば誰かに縋るその身勝手さ。
実に傲慢で滑稽、見るに堪えない悪足掻きと言わざるを得ませんが、彼のそういうところも愛おしいですよね。
コインの裏表で人を殺して、「コインが裏だったから仕方なかった」なんて小学生でも言わないような屁理屈で責任から逃げようとして。
心はどこまでも弱くて脆いまま、力と富ばかりを手元に置いてしまったから、居座る玉座の輝きにも本当は目を焼かれていたのではないでしょうか。
他人には変わることを禁じておきながら、彼はどこまでもころころと変わる人ですよね。
「誰かを救いたい」と宣った彼から「誰も信じてない、怖いから殺す」なんて、やってることはトッドさんと大差ありませんから。
粛清王は即死で死なせていたようですしまだ温情かなとは思いますけど。
多分正史のスバルくんにも粛清王の片鱗はあると思っていて。
彼の強すぎる善性で抑え込んでるだけで、大罪司教傲慢のスバルくんも、粛清王のスバルくんも、エキドナと契約したスバルくんも、全て台無しにしてしまったスバルくんも、きっと今のスバルくんの中に少しは生きていて、たまたま誰も傷つかない道を選べただけなんだと思います。
運が良かっただけで、スバルくんは誰かを傷つけながら自分を守る方がずっと楽だっただろうなぁ。
それが出来ないからスバルくんなんですけど。
めちゃくちゃ言いましたけど、スバルくんの弱いとか醜いって言えるところまで含めてナツキ・スバルって存在を丸ごと愛しているので。
演説楽しみ♡(地方勢なので放送遅い)

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『――ぁ、ふ』
『がふっ、あはっ!』
『ぅああ、ああ!?』
『なに、が……最後……』
『ざ、斬殺、撲殺、凍死、転落死と色んな死に方してきたけど……な、なにかに最後に食わ……食われたのは、初めて……だ』
『ゆび……!?』
『あ……』
『指……ある、ってことは』
『とり……っとりあえず、は』
『エミリ……ア』
『リスタート地点、変更なし……!』

「……スバル...」
エミリアの銀髪が、虚しく風に靡く。
「喰われた……」
ベアトリスのひねり出すような言葉は、みなの耳に届いた。

『――お前はなにを、どこまで知ってる、ロズワール』
『さーぁっきまでと違ってずーぅいぶんと怒ってるね。いーぃ兆候だ』
『茶化すんじゃねぇ。それに悪ふざけにも冗談にも付き合ってやってる心の余裕が今の俺にはねぇぞ。実力行使も辞さない、その覚悟だ』

「……ふざけたことを」
ベアトリスの視線は、ロズワールに。
温厚なエミリアでさえも、視線に怒りを孕むほど。
「……ごめんね、スバル」
銀怜の声が、震えて。
「……優しい私じゃ、いられないかも」

『こうなるって、これまでのことがわかっていたんなら……』
『――お前、わかっててレムを見殺しにしたってことなのか?』
『レムって、だーぁれのことなのかーぁな?』
『なにもかもわかってて、てめぇは――!!』
『俺にレムを、見殺しにさせたのは――お前かぁ!!』

「...スバル...」
エミリアの喉から悲痛な吐息が。
「……ロズワール...!」
ベアトリスの喉からは、張り裂けるほどの激情が。

『――墓ァから出てっきて、臭ェのが増しやがったからよォ。まさかと思って見張ってたが、思った通りじゃァねェか、あァ!?』
『魔女臭ェてめェがなにする気ィだったのか、体に聞いてやろうか、オイ。あんなんでもこの場所にゃァ必要な野郎だ。ふざっけんなよ、オラ』
『わから、ねぇよ……レム』

「...ガー、フィール」
エミリアの声が、動揺を孕む。
「...俺ッ様ァ...どう、ッしたら」
もう、為す術など。

『な、なにが……!?』
『頭の、痛み……』
『死んだとしたら、俺の状態は『死に戻り』ってことになるが……』
『死に損なった……か』
『――てめェの置かれた状況の把握が早くてなにっよりじゃねェか』
『ガーフィール、か』
『それも正解だ。おつむの調子がマトモみてェでとりっあえず安心したぜ。ちっとばかし強めに殴りすぎちまったからよォ、悪ィ悪ィ』

「監禁...!」
「...なんッだ、こりゃァ……俺様ァこんなこと」
「……じゃぁ、また?」

『でも、俺はあの瞬間……』
スバルの心が、自らの抱いた殺意に怯える。
『もう、わけわっかんねぇ……』
『何一つ……答えが、出ねぇ』
『腹、減った……』

「……スバルは優しすぎるかしら」
「...ベアトリス様」
「...分かってるのよ」

『もう、無理だろ……』
『――えらく、なったもんだな、おい』
『……クソだな、俺。死んじまえよ』
『でなきゃ、なんのために……』
『なにもわからないまま戻っても、また元の木阿弥になるだけだ』
『エミリアが、俺を助けるために『試練』を突破できるなら万々歳だけど……』
『やっぱり、俺が……』
『うたた寝の真っ最中に失礼しますけどね、動けますか、ナツキさん』

「!オットーくん」
「...こんな会話は……」
いくら状況が好転したように見えても、結果は結果。
スバルはこの周回で──

『なんですか、そのありえないものでも見たみたいな自分の脳みその働きが信じられないような夢幻の果てを拝んだような素っ頓狂な顔は』
『……おおよそ、お前のその大げさな発言を訂正する必要がないぐらいのそのままの心境だよ』
『オットー、目隠し外したばっかだからかもしんないんだけど……俺の右目の視界が悪い。悪いってか、見えない。どうなってる?』
『どうなってる、って言われると僕も返答に躊躇いますが……上品に言い繕うのど、事実をありのままにお伝えするのとどっちがいいです?』
『ショックを受けないように上品に言ったあと、現実を受け入れるために率直な内容も伝えてくれ』
『欲張りですねえ。……えー、ナツキさんのご尊顔の右舷、その視界は避けられない闇の帳によって光を閉ざされており』
『あ、中二病風にってお願いしたんじゃないんでもういいです』
『治した……って話だったはずだけどな』
『止血して、砕けた骨は継いでますよ。ただ、治癒魔法も使い手を選びますし万能じゃぁありませんから。……死んだ部分まで、戻すのはさすがに』

「...俺...様が」
スバルの目を。
「...ガーフィール……」
その続きは、言葉にしてはならない。
「...こんな、」
ひどいこと。

『ナツキさんとアーラム村の方々にどんな付き合いがあったのかわかりませんが……良好な関係だったことは確かみたいですね。ナツキさんがガーフィールに暴行受けて、姿が見えなくなった途端に『聖域』の雰囲気は最悪です』
『村の方々からすればラムさんや辺境伯本人は声をかけるのも躊躇う立場でしょうし、上と繋がる窓口としてナツキさんの気安さは理想的だったんでしょう。それだけでもないと、皆さんの怒りようを見てきた僕は思いますが』

「...うん、そうね。スバルは本当に話しかけやすい子だもの」
「...ラムとしては、魔獣の件でも恩を売っているからだと思いますけど」

『あ、最後にもう一個だけいいか?』
『……なんなんですか、もう。本当にこれで最後にしてくださいよ?あまり時間かけすぎると、計画が別の段に進んで僕らが馬鹿を見るだけですからね』
『悪い悪い。……お前は、どうしてこんな危ない橋を渡るのに協力するんだ?』
『そこにお前のメリットが差し挟まる場面が見当たらねぇ。俺の頭が悪くて、想像が届かないだけかもしれねぇけど……そこがわからないと、どうも気持ち悪くてな』
『答えてくれよ、オットー。お前がどうして、こんな懸命に尽くすのか』
『ナツキさんは、僕のことをどんな人間だと思ってるんですかね』
『目の前の小金を拾おうと手を伸ばして、もう片方の手で持ってた荷物をぶちまけるみたいな……そんな抜けた感じの人物像を思い描いてるけど』
『それはそれでひどい考え方ですねえ!やらかしたことないわけじゃないのがまた見てきたみたいで腹立たしい!!』
『あのですね、ナツキさん』
『……ああ』
『――友人助けようとするってのは、そんなにおかしなことですかね?』

「...ぁ」
エミリアの瞳が、光を取り込む。
「...ふふ、オットーくん」
「何でしょう、エミリア様」
「オットーくんがスバルの友達で本当に良かった。スバルを支えてくれてありがとう」
空気が一瞬緩む。
雪解けを始めた山のように。

『わはははは!と、友達?友達かぁ!ああ、そっかそっか。オットー、お前、俺と友達になりたかったのかよ!』
『ぶはは、友達。ああ、チキショウ。オットー、てめぇ、この野郎』
『痛い痛い!なにすんですか!ああ、言った僕が馬鹿でしたよ!わかってましたって、ナツキさんがそんな風に思ってくれてないことぐらい。でも、いくらなんでもそこまで笑うこたあないでしょうよ!』
『いやいやいやいや、笑わずにいられるかってんだよ。お前がおかしいんじゃない。……自分の馬鹿さ加減がひどすぎて、笑うしかねぇんだ』
『悪かった。お前は俺の友達だよ、オットー。――助けにきてくれて、ありがとう』

「お礼を言えるのはすごーく大事。それから、それを言える相手に出会えるのも」
「...ええ、そうですわね」
「……でも、スバルは……また」
治ったそばから罅割れる。
硝子細工のような彼らの心は。

『未確認の『福音』のことも含めて、もうちょい情報がいるな』
『見えました。そろそろ、集落の方に出ます』
『今が『試練』の真っ最中なら、脱出はこのタイミングだろ。どういう手筈になってるんだか、協力者とかとはどこで落ち合うんだ?』
『協力者の方なら――』
『――心配しなくても、もうきているわ』
『まずは無事で戻ったことを……ええ、とりあえずは祝福しておくわ、バルス』

「ラム...!」
「……これは」

『避難を手伝うわ。そして、それはラムの意思。ロズワール様も、こうなってしまった以上はもう止めようとはなさらないでしょう』
『バルスが馬鹿を働いた翌日から、今日を期限と定めて避難する準備は進めていたわ。領民たちがバルスの無事を確認できなきゃ動かない、なんて駄々をこねたから仕方なく生死も曖昧なバルスを探す羽目になって時間を無駄にしたけど』
『ラムを通じて穏健派が逃走路を開いてるから、夜闇に紛れて竜車で全力逃避。オットーが先導して、俺の役割は村の人たちが憂いなく『聖域』から逃げ出すために全会一致でマスコット――ってことか』
『そのマスコットってのがなんなのかわかりませんけど、皆さんがナツキさんの無事を確認できないうちは避難できない。まあ、とどのつまり僕やラムさんでは避難誘導係として信頼を得られなかった、ってことですかね』

「...信頼なんて一朝一夕でどうにかなるものじゃないのよ」
「そうね...すごーく難しいわ」

『俺が監禁されてた場所から逃げたのを知ったら、ガーフィールは絶対に追ってくる。俺の行動が怪しいと思ってたところに脱走騒ぎだ。今度は手加減がどうとか言ってる暇はないと思う。結界も、越えるかどうかはあいつの胸先三寸だ』
『ガーフが追ってくる、という根拠はどこにあるの?少なくともあれはリューズ様の意思を尊重するはずだから、立場としては穏健派に入るわ。……バルスを監禁する行いに出たから、今は行きがかり上はどちらにも所属していない形だけど』
『ロズワールがどうにかなると、『聖域』が廻り廻って負担を受けることになる。そんな危ないことやらかそうとした俺を、あいつが逃がそうとするとは思えない』

「……上手い言い訳だこと」
「話せないんだもの、仕方ないわ」

『ナツキさん、よく聞いてください』
『ん?』
『――森がざわついています。なにか、『とてつもない』ものがきます』
『その『とてつもない』ものってのは、すぐくるのか?』
『木々の言葉は要領を得ない部分が多いので確かなことはいえませんが、今の速度だとぶつかる可能性が。せめて、もう少し速度を上げて……』
『――よォ。こんな夜更けに大勢で散歩たァ、仲間外れはつれねェじゃァねェの』
『ハッ。あんだけ痛い目ェ見ても怯まねェたァ、やっぱりいい女だぜ、お前。『光れば光るほどに眩む石に指は縮こまる』ってやつだな』

「...ガーフィール……」
嫌な予感は尽きない。
「...お願いだから……」

『片目、なくなったわりにゃァずいぶんと落ち着いてやがるじゃねェか。正直、俺様ァ恨み言と報復されるぐらいのことは覚悟してたぜ?』
『恨み言始めると夜が明けるぐらい言いたいことがあるけど時間がねぇし、報復したくても殴りかかったら左目も潰されるのがオチだ。そんな天丼はご免被る』
『なんだそりゃ。――気に入らねェなァ、オイ』
『このままお前をスルーして、みんなは村に戻しても構わないんだよな?』
『黙って出てかれて体裁が悪ィ、ってのを解消してェだけだっかんな。好きにしろや』
『それじゃ、お言葉に甘えて……』
『ただし、てめェはダメだ、居残れ。人質連中は通す。やっかましい兄ちゃんも通す。ラムも……まァ通してやらァ。だが、てめェはダメだ』
『……その心は?』
『エミリア様の『試練』に対するやる気に関わるっつーのもあっけどなァ、一番の問題はてめェの存在だ。こんだっけ魔女臭ェ野郎、あっさり外に出してやれっはずもねェだろがよ』
『条件は俺の『聖域』残留。異論はないよな?』
『素直で話がわかるってェのはいいことだぜ。あんまっし長い話にされても、俺様の頭じゃ理解も覚えもやり切れねェかんな』

「...やっぱり、魔女の匂いを消さなきゃ……」
「...そんな方法があれば、べティーも困らなかったかしら」

『いつまでも残ってても虫さされがひどくなるだけだし、戻ろうぜ。お前の監視にあってんのもいい気分じゃねぇし』
『俺様に指図するんじゃァねェよ。……そういや、エミリア様の今夜の『試練』に関して、てめェなんにも聞きやがらねェんだな』
『お前がここにいるのがそのまま答え、って俺は受け取ったけどな。それに今回は厳しいんじゃないかって、思ってなかったといえば嘘になる』
『それの見極めのためにも、だな。エミリアの『試練』突破を待てるのかどうか、なにが起こるのかを確かめた上じゃないと検討もできねぇし』
『確かめたいことが山ほどあるのにな……』
『……なんもかんもわかったような口利きやがって。てめェがどれほど、ものを知ってるってんだよ』
『ガーフィール?』
『ガーフィール!なにを……!』
『てめェが邪魔しやがんのかよ。いったい、どういう了見だ、あァ?』
『ラム!?』
『嫌な予感がして残ってみれば、思ったとおりの展開になったわね。バルスは今、首と胴がつながっていることをラムに感謝するがいいわ』
『風で狙いがそれなきゃ、首が弾けてたはずなんだがなァ』

「……うそ」
エミリアの言葉に、悲しみと驚愕、それ以上の感情が乗せられて。
嫌な予感はしていた。
でも、考えたくなかったから。
「……ガーフィール」
エミリアの声が震える。
なるべく追い詰めたくない。
でも、これは。
「どう、して?」
それを言ってはならないと、言葉にしてから気付いた。
「……エミリア、様」
「...ぁ」
エミリアとガーフィール、両者の瞳に悲しみがやどる。
「俺、様は……こんなッこと」
「...ガーフィール...」
「……エミリア、もうやめるかしら」
「べあとり、す」
「もう、取り返しがつかないのよ。スバルはこの過去を抱えた上で、ずっと……べティー達に」
「...で、も」
「……だから、慰めは逆効果なのよ」

『言い分を聞くだけ無駄だし、説得を試みるだけ無意味よ、バルス』
『もっともらしい理屈で本音を隠すのはやめなさい、ガーフ。らしくもない』
『下がりなさい、ラムが話をするわ。――いずれにせよ、ガーフはバルスを殺す気でいるようだから』
『ちょ、待て。お前ら、なにを揃って……』
『手綱だけは放さないようにしなさい。それだけ守っていれば、その地竜はバルスを守ろうと全力を尽くすでしょう。男冥利に尽きる話ね』
『聞けよ!いや、聞かせろよ!なにを知っててお前らはこんなことを!』
『話す暇はないし、話しても無駄。言ったとおりよ、バルス。――ラムが一分は稼いであげるから、その隙に逃げられるだけ逃げなさい。それだけがラムがやってあげられる、唯一の抗いのようだから』
『ラム――!』

「……まさか」
ラムの瞳が揺らぐことは無かったが、嫌な予感が的中したような顔をして。
「……自分の死に様なんて、ラムは見たくないのだけど」
ガーフィールの絶望したような顔を横目に、ラムはそう口にした。

『パトラッシュ!止まれ!止まれって、言ってんだろ!!』
『ここまで言うことを聞いてくれてたのは、お前の厚意だったってことかよ』
『ラムがやばい!ガーフィールがラムに乱暴な真似すると思いたくねぇが……今は!』
『俺が、傷付くのは……嫌だけど、取り返しがつくんだよ。だから……!』
『――え?』
『ど、どうしたんですか、ナツキさん。そんな急いで』
『通れないはずでは?ガーフィールはどうしたんです?』
『お、俺もよくわからねぇんだが……ラムとパトラッシュが……』
『あ、ナツキさん!?』
『おい、パトラッシュ!』
衝撃が地を震わせ、後ろから悲鳴が届くのがスバルには聞こえた。
思わず息を呑んで首を後ろに傾け、オットーらがいた方向に目を凝らす。
左片方だけになった視界に、暗がりの森がぼんやりと浮かび、スバルは見た。
弾け飛ぶ竜車。
地竜ごと荒々しい衝撃に呑まれたそれは、中に乗せていた避難者たちを空へと撒き散らし、悲鳴と血が森の空を赤く悲痛に染めていく。
『――ぁ』
その惨状を見るスバルは、空に浮かぶ竜車の残骸の下、そこに一頭の獣を見た。
――全身を金色の体毛で覆い尽くすそれは、スバルには巨大な虎に見えた。

「……そういうこと」
ラムは静かに理解した。
動揺しなかった訳では無い。
ただ、スバルの死んだ世界線で自分が死ぬことも織り込み済みだったから。
「...あァ?なに、なにッが...」
ガーフィールは、まだ理解していなかった。
出来ないのではなく、しないのだ。
「...ガーフ」
「ラムが止めていた君が来たというこ〜ぉとは、ラムは死んだ...と見るべきだろうね〜ぇ」
「...お、れさまが、ラムを……?」
殺した、と。
「ろ、ロズワール!そんな言い方...」
エミリアが立ち上がり抗議する。
が、エミリアの喉から優しい言葉は出てこなかった。
その事実が、エミリアは酷く悲しく。
「……どうして……私は」
きっともう、何もかも手遅れなのだろう。

Comments

  • レイラ
    Mar 29th
  • シン
    May 19, 2025
  • Kenparcel

    1話目から一気に読み進んで追いついてしまった!このタイミングでコレは…先が気になるわ

    November 15, 2024
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