「御扉木」ご用材を陸曳 内宮目指し磯町慶光院奉曳団、唯一の陸路 伊勢神宮式年遷宮・三重
【伊勢】伊勢神宮(三重県伊勢市)の社殿などを建て替える令和15年の式年遷宮に向け、市内で行われている民俗行事「お木曳(きひき)」は31日、内宮正殿の「御扉木(みとびらき)」のご用材を運ぶ「磯町慶光院(いそちょうけいこういん)奉曳団」の陸曳(おかびき)が行われた。早朝から日暮れまで、市街地の約9キロの道のりを奉曳車で進み、内宮を目指した。 同市磯町は、戦国時代に約120年間中断していた遷宮の復活に尽力した慶光院家に豊臣秀吉が与えた領地で、遷宮のご用材で重要な内宮正殿の御扉に使われる木を運ぶ特権が与えられた。内宮のご用材は、五十鈴川をさかのぼる「川曳」で運ぶのが通例だが、磯町の奉曳団は唯一、奉曳車で陸路を運ぶ。市内の宮川から外宮前を通り、内宮まで約9キロを十数時間かけて運ぶため、特別な奉曳「慶光院曳(びき)」と呼ばれる。 慶光院曳は、町の人にとって誇り。奉曳団の榎原克博団長(62)は「御扉木の奉曳は町の特権。責任の重さを感じる。20年後を見据え、次の世代にも行事の中心になってもらって、後世につなげていきたい」と話す。
直径約70センチ、長さ約5メートルのヒノキの用材を載せた奉曳車は、宮川堤防下を午前6時に出発。車には「御扉木」と書かれた絵符が掲げられた。慶光院家や町民、同町にゆかりある計約1800人が参加。慶光院家の家紋「蟹牡丹」をあしらった法被に身を包み、威勢のいい木遣り唄と「エンヤー」の掛け声を響かせ、前進した。道中、休憩を挟んだり引き手を交代しながら、内宮へと続く御幸道路を力を合わせて進み、途中、神宮の久邇朝尊(くにあさたか)大宮司らも引き手に加わった。
奉曳車の上では、華やかな装束姿の男児6人が交代で木遣りを担った。豊浜西小5年の小田勝二郎君(10)は「みんなが頑張って引く姿が見えて、とてもいい景色。大人になっても忘れないと思う」と話していた。 奉曳車は内宮宇治橋前に到着した後、おはらい町通りを進み、日暮れまでかかって内宮宇治工作所へ運び入れた。