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輝かしい笑顔が今は遠く/Novel by 春風

輝かしい笑顔が今は遠く

2,806 character(s)5 mins

短いです。
オボレルやろうか迷ってます。
次回からは鬱シーンたくさん描きたいです。
2話見ました。
ス虐酷くて笑いました。
スバルくんが何をしたって言うんだ……

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『どうして、放っておいてくれなかったんですか?』
スバルに抱えられたまま、意識を取り戻したレムが言う。
『レムがスバルくんに手を差し伸べるのを躊躇ったから、スバルくんは死にかけたんです。そして、あまりに多くの呪いを一身に浴びてしまった。だから――』
魔女の匂いのせいで。

「……スバルは、いつだってそうなの。放っておいてって手を振り払っても、絶対に助けてくれちゃうの。優しいから、犠牲が許せないの。...自分にも、優しくしてあげて欲しいけどね」
スバルは人に『無理するな』とよく言う。
誰よりも無理をしてしまう人なのに。

『スバルくんは、なんでそこまで……』
『俺の人生初デートの相手だ。見捨てるような薄情はできねぇな』

「...スバルくんは、自分のことを冷たい人だって言うことがあります。...そんなわけない...あんな酷いことをしたレムにこんな、優しくできる人が...」
スバルの行動原理はいつだって『関わったからには見捨てられない』だった。
例えそれが、証拠もなく拷問をするような女だったとしても。

ラムにレムを渡し、スバルは魔獣に立ち向かう。
シャマクを使い、刃を突き立てる。
血まみれの全身を揺すり、何とか時間を稼ぐ。
と、その時。
『――ウルゴーア』
今までの戦闘が無駄に感じられるほどの圧倒的な魔法。
『いやいやぁ、しぃかし考えたものだねぇ。本来は目くらましとして使うシャマクを、敢えて目印として利用するとは』
『くんの超絶遅ぇよ、ロズっち。俺がなんべん死を覚悟したと思ってやがる』

「...もっと早くくるべきかしら。肝心な時にいつも役に立たない男なのよお前は」
「...手厳しいね〜ぇ」
ベアトリスにチクチクと言葉で刺される。
ロズワールも本気で傷ついてなどいないが。

『――スバルくん!』
レムがスバルに抱きつく。
普段なら喜ぶが、今は全身の痛みでそれどころでは無い。
レムが気付かず抱擁を続けるのでスバルの意識は遠のく。
『今は眠るといい。目が覚めたとき、君がしてくれたことへの御礼は尽くそうじゃぁないか。――少なくとも、君を脅かすものの排除は約束する』

「...ナツキさん……」
スバルを見る度に思う。
彼は死なないルートでも、毎度死ぬほどの怪我をする。
彼にそれを言えば、『背中の傷は剣士の恥だけど、それ以外は男の勲章だよ?』と茶化されそうだが。

『――起きて、くれましたか』
寝ていたスバルと手を繋いだまま、レムが話す。
事の顛末と、その後を。
『お前がいなきゃ、俺は今頃はきっと犬にガブられてお陀仏だ。お前がいたおかげで助かりました。今もこうして生きてます。姉様だけじゃなくて、お前のおかげだ』
いつまでも後ろをむくレムにスバルがかけた言葉。
それは、酷く優しい猛毒のようで。

『レムがいてくれてよかったよ。ありがとう』

『俺の故郷じゃ、『来年の話をすると鬼が笑う』っつーんだよ。だからさ』

『笑えよ、レム。しけた面してないで、笑え。笑いながら、未来の話をしよう。お前がこれまで後ろ向いてたもったいない分を、今後は前向いてお話しようぜ。とりあえずは、明日のことからでも』

『どんなつまらねぇ話でも、明日があるからできる明日の話だよ』

『笑いながら肩組んで、明日って未来の話をしよう。俺、鬼と笑いながら来年の話すんの、夢だったんだよ』
『……鬼がかってますね』
その笑顔は、スバルの努力の対価だった。

「...やはり、彼は欲しい時に欲しい言葉をくれる。扇動者の才能...というのもあながち間違いでは無いのかもしれないね」
「そうだね、スバルは何より嬉しい言葉をなんでもないみたいに言う。そんな彼だから、みんな彼のために頑張れるんだ」
スバルは時折コミュ障とは思えないほどに正解を引く。
カリスマ性、とも言うべきそれは、父親譲りなのかもしれない。

『――別に怒ってるわけじゃないわよ。ええ、そう、怒ったりしてない。一生懸命看病してた相手が目が覚めたらいなくて、探しにいこうかと思ったら椅子にがんじがらめに縛りつけられたりしてて、完全に置いてけぼりにされたからって、そんなことで怒るような狭量な心の持ち主じゃないもの、私』
レムやスバルがあちこちでちゃいちゃいやっている間にも、エミリアは放置されていた。
ぷりぷりと怒る彼女にスバルは謝る。
エミリアは謝罪に微笑み、なんでもないみたいに許すのだった。
『それにしても、スバルってケガの絶えない子よね。このお屋敷にきたのだってケガが原因だったのに……あれから四日しか経ってないんだから』
怪我以前に死にまくっているが。
『でも、また助けられちゃったわね』
『だから、また助けられちゃったって言ったの。私の命、助けてくれたお礼をするために屋敷に呼んだのに、またこうして。すごーく、ありがと』
少しづつ、罪悪感というのは亀裂への布石になる。
『んや、いいっていいって。別に俺がやりたくてやっただけの話だし、俺に無関係ってわけじゃねぇんだから。そうだよ。俺、やったんだな』
『スバルはそう言うだろうと思ったけど、それじゃこっちの気が済まないんだから。ロズワールだって、ラムやレムだってきっと、スバルにお礼をしたがるわよ』
無欲なスバルは多くを望まない。
何となくエミリアも分かっていた。
『じゃあ、俺とデートしようぜ、エミリアたん』
『でえと?』
『一緒に二人でお出かけして、同じもの見て、同じもの食べて、同じことして、同じ思い出を共有するってこと』
『……そんなことでいいの?』
『そんなことが、いいのさ』
幾度の死を乗り越え、彼女と過ごす何気ない時間を、スバルは渇望していたから。

「...本当に、仕方ないんだから。助けられた側の気持ちをまるで分からないんだもん。」
その顔は、スクリーンの中とはうってかわり、愛おしさに染っていた。

「...以上で、第二幕を、終わります。続いて、1時間の休憩の後、第三幕を、放映します。」
忌々しい声。
それを聞く度に、少しづつ怒りが募る。

「...まだ、終わらないのね。」
「...時間的にはまだ1ヶ月も経過しないくらいなのよ。スバルが死に戻るから、長く感じるだけで……」
「...じゃあ、もっと、沢山苦しむ姿を見なきゃいけないのね。」
その顔は、酷く苦しそうで。
「...フェリちゃん的には、ここからはちょーっと苦しい気もしますけどね」
「...そう、ね」
エミリアは忘れてなんて居ない。
だからこそ、目を背けたかったのだ。
王都での、あの、自らの過ちを。
「...私は、ただの喧嘩だと思ってたの。でも」
幾度となく死んだ彼に送るには、望まぬペナルティを課せられた彼に送るには、あまりにも。
「...酷いこと、言ったから」
悪夢は続く。
それぞれに、深い傷を残した上で。

Comments

  • すけ

    スバルくんの欲しい言葉を欲しい時に言ってくれるカリスマ性を父親から受け継いだ才能って評価をよく見るけれど、個人的には両親に育まれた善性と挫折を味わって心から苦しんだことがある人間だから、同じく躓いたり、転んだりしている人の欲しい言葉が何となくわかるんじゃないかなと思ってる。

    Mar 26th
  • 近藤恵美

    いやぁ書いた人は天才ですね

    July 5, 2025
  • 推しのマスクになりたい

    オボレルはいよいよレムが死にそう

    November 12, 2024
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