気づけば回ってきた連絡係
子どもが小学校に上がってすぐ、地区の順番が回ってきてPTAの役員を引き受けた。
最初に顔を合わせた同学年のママ友グループは、笑顔で挨拶を返してくれる感じのいい人たちに見えた。
運動会の準備、ベルマーク集計、保護者への連絡網更新、雑務は山ほどある。
年度初めの顔合わせでは、それぞれが得意分野で動こうと和やかに役割分担も決まった。
最初の数回は実際にみんなで手を出していた。けれど夏休みを過ぎた頃から、誰かがぽつりと言うようになった。
「できる人がやればいいよね」
その一言を境に空気が変わった。資料の印刷も保護者への一斉連絡も、当然のようにこちらへ回ってくる。
断りづらい雰囲気だけが残り、平日の夜に下の子を寝かしつけてからメッセージの返信を打つのが当たり前になった。
仕事を持っている家庭もある中で、なぜこちらだけにこの量が回るのか。問いかける隙もないまま、半年が過ぎていった。
誤爆で見えた本当の輪
違和感は連絡の温度差にも出てきた。グループチャットでこちらが送った内容だけ返信が遅い。後から別のやり取りで物事が決まっていることも増えた。
役員会のあった金曜の夜、メンバー全員のグループに一枚の写真が流れてきた。
誰かのテーブルを囲んだランチ会の集合写真だった。声をかけられていない集まりだ。
すぐに「間違えた!」と短い投稿が続いたが、置かれた皿の数と並ぶ顔ぶれを見れば、誘われていないのは明らかだった。
画面を眺めたまま、しばらく言葉が出てこなかった。
雑用だけを押し付ける一方で、楽しい場には呼ばれていなかったという事実が、写真一枚で輪郭を持ってしまった。
年度末の役員引き継ぎの席だった。担任の先生が保護者の前で口を開いた。
「今年は一番動いてくださって本当に助かりました」
名指しで感謝され、視線がこちらに集まる。グループの面々がぎこちなく拍手を送る音が耳に残った。
救われたのか、突きつけられたのかは分からない。ただ、無理にあの輪へ戻る必要はないと、ようやく心が決まった瞬間だった。
翌年からは挨拶だけの距離を保つことにした。必要な連絡だけ丁寧に返し、ランチや雑談の誘いには深入りしない。仲良くしようと頑張るほど雑用と疎外が増える付き合いだったと、あの写真の沈黙が教えてくれていた。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。