《自分はMARCH出身なのに…》我が子の「Fラン大進学を許せない」と憤る親が知らない「知能は母親から遺伝」の思い込み【医師の解説】
受験を乗り切って輝かしい春を迎えたはずの子どもたちにとって、この季節が鬼門となることもある。5月の大型連休明けにいわゆる「不登校」となる子供が急増するという。 【読者投稿写真】荒れ果てた子供の部屋。母親は我が子に「勉強しろ!」と責めすぎたことを今も後悔しているという
「学校を年間30日以上欠席して『不登校』とされた小中学生は、令和6年度は過去最多の35万3970人(前年度より7488人増)。増加は12年連続です。苦しい中学受験後に念願叶って入った学校なのに自分に合わなかった、あるいは第一志望の学校ではなかったことに負い目を感じて学校に行きたがらない、なども一つの要因だと考えられます」(進学塾関係者) さらに、令和6年度の自殺統計(厚生労働省)によれば、小中高生の自殺者数は527人と過去最多を更新。自殺した子供が置かれていた状況として、受験圧力と重なりやすい「父母等の叱責」「進路問題」「学業等不振」などが報告されている。 「特に中学受験の相談に来る親御さんで多いのは、ご自身がMARCHなど難関大学の出身で、『うちの子も当然そのレベルを目指せるはず』と思われているケースです。お子さんにその実力がなくても、『何かのきっかけがあれば飛躍的に偏差値が上がるはず』と、現実を受け入れられず、『もっと勉強させれば大丈夫』という発想が先に来るんです。我が子がいわゆるFラン大学だったり、偏差値の低い大学に進学する未来は絶対に許せないとすら言うわけです。そのプレッシャーが子供に悪い形で出ることも少なくありません。ふさぎ込んだり、思いつめて体調不良になってしまう子を何人も見てきました」(前出・進学塾関係者)
■「わが子も優秀なはず」という思い込み
高学歴の親は自身の経歴を子供に投影し、過剰な期待をかけがちだと言われる。それは祖父母世代も例外ではない。「自分の血を引いているのだから」という感覚は、一世代を超えてもなお根強く残りやすい。しかし、「自分が高学歴だったら、子供もそうなると考えるのは間違いです」と言うのは、遺伝子医学に詳しい岡博史医師だ。 「遺伝子は、親から子へ完全にコピーされるわけではありません。子供は両親からそれぞれ遺伝子のパーツを受け取り、それがパズルのように組み合わさっていく。仮に父母ともに学力優秀な遺伝子のパーツを持っていたとしても、組み合わせ次第では打ち消されてしまうこともあります。そのあたりは運の要素も含まれるので、親の能力がそのまま遺伝されると考えるのは早計です」(岡医師・以下同) 世間に根強いこんな俗説も、「必ずとは言い切れない」と続ける。 「知能に関わる遺伝子がX染色体に多く、それが母親由来であることから、しばしば『頭の良さは母親から遺伝する』と言われます。しかし近年、20万人以上のゲノムデータを用いた大規模解析により、知能関連遺伝子はX染色体だけでなく全染色体に広く分散していることが確認されました。子供の知能は『両親から50%ずつ受け取った遺伝子の組み合わせによって決まる』と考えたほうがいいでしょう」 もちろん、学力は遺伝だけでなく環境の要因も大きい。 「環境といっても、家庭環境を指す『共有環境』と、学校での体験や個人的な読書など親と共有されない『非共有環境』の二つがあります。子供により大きな影響を与えるのは非共有環境の方で、共有環境の効果は12才前後でほぼゼロになる。つまり、子供や孫に何かしてあげたいと思うなら、12才までが勝負と言えるかもしれません」
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