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#022 大分のU18バスケに、もう一つの道を。──「強豪校か、それ以外か」という二択を壊す話

大分でバスケを本気でやりたい
学生ボーラーはどのくらいいるだろうか?

中学3年の秋
その子はある問いを突きつけられる

「どこの高校を受ける?」

でも本当は
こう問われているのと同じだ

「バスケを取るか、学業を取るか」

第1章 「一本道」が生む、見えない犠牲

大分県の高校バスケで
ウィンターカップ・インターハイを争うのは
男子は柳ヶ浦、別府溝部学園
女子は明豊、大分高校
——この顔ぶれが長年続いている

素晴らしい指導者と選手たちが集い
全国の舞台に挑んでいる

それ自体に疑いの余地はない

だが一歩引いて見ると
この構図には
見えにくい問題が埋め込まれている

大分でバスケを
「本気で続けたい」と思ったとき

選択肢はほぼ一つということだ

これらの強豪私立校を目指すか
競技レベルを落とすか

または
県外の強豪校へ進学するか

地域によっては学校が遠い
経済的に
私立や県外の学校へ入学するのが難しい家庭もあるだろう

行きたい進学校がある子もいる

その子の「本当の希望」がどこにあるかに関わらず

「バスケを続けるなら、ここしかない」

——という構造が
日本の高校バスケ界では長年続いている

第2章 スポーツ推薦のジレンマ

強豪校に入る主なルートが
スポーツ推薦だ

この制度には
見えにくいコストがある

スポーツ推薦は
「その競技を続けること」を前提とした入学制度だ

学校によって条件は異なるが
「3年間続ける意志があること」を
暗黙の前提として求める学校は少なくない

入学後に「やっぱり違う」と感じても
簡単には方向を変えられない空気が
どうしても生まれやすい

さらに強豪校での
早朝練習・放課後練習・週末の遠征という
365日バスケット漬けの生活の中で

「本当は目指したかった学部・大学への勉強」をする時間は
なかなか生まれない

競技優先の進路を取れば
進路の選択肢が狭くなる可能性が格段にあがり

行きたい学校を取れば、バスケのレベルが落ちる傾向にある

——この二択を15歳に迫ることを
私たちはずっと「当たり前」にしてきた

第3章 JBA自身が認めた、この構造の限界

バスケットボールの公式リーグ戦
「U18日清食品リーグ」(JBA主催)は
その設立趣旨にこんな言葉を掲げている

「高校部活動だけでは、物足りない。
B.LEAGUEユースだけでは、もったいない。」

U18日清食品リーグ公式HPより

これは誇張でも批判でもなく
JBAが公式に認めたU18育成の現実だ

高校部活だけでは
競技力の天井が見えてしまうことがある

一方でBリーグのU18クラブだけが
唯一の解決策でもない

大切なのは「選択肢そのものが存在すること」だ

BリーグのU18チームであれ
地域に根ざした民間のクラブチームであれ

学校の枠を超えて本気でバスケに向き合える場が
複数あること

それが
「強豪校か、それ以外か」という
二択の構造を崩す

では、大分を含む
国内の地方の高校バスケ界にはその選択肢があるか

答えは明確に、ノーだ

第4章 クラブを選んだ選手が語ったこと

北海道のBリーグU18クラブを選んだある選手は
こう語っている

「ウインターカップという最高の舞台に立ちたいという気持ちもあった。でも、全員でボールをシェアするスタイルと環境の良さに惹かれた。高校生では味わえない貴重な経験。後悔したことは1回もない」

THE ANSWERより引用

同じくクラブを選んだ別の選手は
「試合で授業を早退する時もある」と正直に言いながら
こう続けた

「どちらを選んでもメリット、デメリットがある。最終的には自分が選んだほうで努力して成長するのが全て」

THE ANSWERより引用

ここに示されているのは
「選んだ」という事実の重さ

強豪校への進学も
クラブチームへの参加も
「自分で比較して決めた」という経緯があるとき

その選択は
自己決定の力を育てる

この選手たちが恵まれていたのは
BリーグのU18という特別な環境ではなく

「比べる対象があった」こと

クラブという選択肢が存在したから
自分で考え、選ぶことができた

大分の子どもたちには今
その「比べる対象」がない

選べないまま
「強豪校か、それ以外か」を選ばされている

第5章 競技力と学業は、本当に切り離せないのか?

民間のU18クラブが大分に存在したとしたら

何が変わるか

想像してみてほしい

大分市内の進学校に通いながら
専門のコーチのいるクラブで
週4〜5日練習する

学校の選択は「学びたい教育」で決め
バスケの環境はクラブで担保する

BリーグのU18チームに限らず
地域の民間クラブチームでも

「高校の部活動との掛け持ち」が可能な仕組みは
すでに各地で生まれている

「どの学校を受けるか」と
「どこでバスケをするか」が
別々の問いになる

これは子どもの人生の選択肢を
構造的に増やすことだ

理系の進学校に行きながら
強度の高い練習でバスケも伸ばせる

部活の顧問の方針に左右されず
専門家のコーチングを受け続けられる

3年間を
「勝利至上主義のトーナメント」だけに捧げるのではなく

自分のペースで長期的に成長できる

これは「バスケを諦めない」ための仕組みではなく

「バスケを本気でプレーしながら
自分の人生も諦めない」ための仕組みだ

第6章 地方(大分)のスポーツ界に今、必要なもの

大分市の部活地域移行検討委員会(令和7年2月)は
7つの課題の筆頭に「指導者の確保」を挙げている

中学校教員の73.3%が
「休日の部活を指導したくない」と回答し
現在の部活動は
指導者の善意と我慢の上に成り立っている現実も
明らかになった

この地域移行が本格的に動き出す
2026年度以降
大分の中学バスケ部はどうなるか

受け皿がなければ
「バスケができる環境」そのものが
消えていく地区が出てくる

その空白を埋めるのが
民間のU18クラブだ

中学・高校の枠を超えて
「大分でバスケを続けたい子」が
集まれる場所

進学する学校は自分で選べる
バスケの練習はここで続けられる

二つの問いを切り離すことで
子どもたちは初めて
「どちらも選ぶ」ことができる

第7章 「強豪校への一本道」を疑うことから始まる

念のため言っておきたい

私は強豪校のバスケを否定したいわけではない

強豪校が作ってきた歴史や文化には
本物の価値がある

ただ

それ以外の道が大分(地方)にないことに、問題がある

高校バスケという「一本道」しかないとき
そこに乗れない子どもたちのバスケは終わる

乗ることを選んだ子どもたちの進路選択は
バスケによって制約される

どちらも、もったいない

U18のクラブカルチャーが大分(地方)に根を張ることで
この構造を、根本から変えていきたいと思っている

BリーグのU18チームでも
地域の民間クラブでも
形はどうあれ

「高校部活以外でも本気でバスケができる場所」が
大分(地方)に複数存在すること

それだけで
子どもたちのキャリア選択の幅は
大きく変わる

競技力を高める環境と
自分の意志で進路を選ぶ自由を
同時に手に入れられる選択肢

大分(地方)でバスケをする子どもたちに
もう一つの答えを

それが
ONE MinDが大分に向けて動き出す理由だ

著者プロフィール

末宗直柔(Naonari Suemune)|現社会科教師・中高バスケ顧問 → Bリーグ2クラブにてU18チーム立ち上げ・ホームタウン事業部として地域貢献活動に従事 → ONE MinDバスケットスクール設立中。バスケットとキャリア


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