44d18ae0 No.2065
清彦は夜遅く、ベッドの上でスマホをスクロールしていた。SNSのタイムラインに、グラビアアイドル「太刀葉」の最新ビーチ撮影の写真が流れてきた。青と白のビキニを着た彼女が、波の中で微笑んでいる。長い三つ編みの髪が濡れて肌に張り付き、コメント欄には「太刀葉ちゃん可愛いよー♡」というファンの声が溢れている。
海斗は写真を拡大し、じっと見つめて呟いた。
「これ、俺なんだよな~」
部屋の明かりは薄暗く、スマホの画面だけが明るく輝いている。清彦の心臓がドクドクと高鳴り、あの憑依体験が頭をよぎる。太刀葉の身体で感じた全てが、鮮明に蘇ってくるのだった。
1fcda48e No.2066
コメント欄に男の視線を思い出してしまう。
太刀葉になっていた時の、周囲のスタッフやギャラリーの視線がこのおっぱいに、尻に集まるあの感覚。
カメラマンに指示されるままに挑発的なポーズをするたびに注がれる性欲に満ちた視線。
もう自分にもどっておっぱいもないのに、リアルにあの興奮が蘇る。まるでこのコメントの主達に今この場で視姦されてるかのように。
ちょっとした好奇心、太刀葉の体を好きにできるというエロ心、一度だけの遊びだと思っていた。
だけど…もう一度、太刀葉に憑依してこいつらの視線も感じてみたい。
いや…もっとエッチな体でエロい視線と撮影…レズAV女優の双葉もよさそうだ。
日常的に憑依する機会があるクラスメイトの若葉で、クラスの男子の視線をいつでも楽しめるのもいいかもしれない。
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いつの間にかスマホにインストールされていた憑依アプリ。
初めてアプリを使ったのは、半信半疑だった。あのグラビアアイドル「太刀葉」の名前と、ネットで拾った彼女の写真を入力した瞬間、視界が暗くなり、身体が浮くような錯覚。次の瞬間、目を開けると――。
そこは眩しい陽光が降り注ぐビーチだった。波の音が耳に響き、潮の匂いが鼻をつく。清彦は自分の身体を見下ろした。細い腕、華奢な肩、そして――青と白のビキニに包まれた豊満な胸。長い三つ編みが肩に張り付き、濡れた肌が陽光にきらめく。鏡がないのに、頭に太刀葉の姿が鮮明に浮かんだ。そう、これは太刀葉の身体だ。
だが、その実感は一瞬で揺らぎ、強烈な違和感が俺を飲み込んだ。自分の身体じゃない。いつも感じる肩の硬さ、腕の重さがない。代わりに、細くて華奢な手首、柔らかな肌、ビキニに押し込まれた胸の膨らみが圧倒的な存在感を放つ。濡れた三つ編みが肩に貼りつき、冷たい水滴が背中を滑り落ちる。心臓がバクバクと鳴り、息が浅くなる。「え?…これ…本当に俺、太刀葉に…なってる?」
俺は慌てて自分の――いや、太刀葉の――手を見た。細い指、ピンクのマニキュアが陽光にきらめく。自分の手じゃない。震える指で、そっと腕を触ってみる。
滑らかな肌が、まるでシルクのように指先に触れる。「うわ…」思わず声が漏れた。
声は高く、甘く、まるで別人のものだ。自分の声じゃないことに、頭がさらに混乱する。
「待って、待って…落ち着け…」心の中で呟くが、パニックが収まらない。
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視線を下にやると、青と白のビキニに包まれた胸が目に入る。
その重さと存在感に、思わず息を飲む。好奇心と恐怖がせめぎ合い、恐る恐る手を伸ばした。
指先がビキニの布に触れ、その下の柔らかな膨らみに届く。軽く押すと、弾力のある感触が指に返ってくる。
「うっ…何これ…」顔がカッと熱くなり、鼓動が速まる。試しに、両手でそっと胸を包むように触ってみる。柔らかさと重さが手のひら全体に広がり、ビキニの布越しに温かさが伝わる。
「お、俺、グラビアアイドルのおっぱい触ってる……」
さらに、好奇心に押されるように、軽く揉んでみた。
胸が手の動きに合わせて形を変え、弾むような感触が指先に伝わる。
48b75bbc No.2503
「――葉ちゃん、何してるの? 集中して!」
鋭い声が、清彦の陶酔を切り裂いた。
我に返ったときには、眼前に巨大なレフ板と、こちらを睨みつけるカメラマンの厳しい視線があった。
周囲にはメイク担当やスタイリスト、大勢のスタッフが忙しなく動き回っている。
「っえ、……あ、すいません。ちょっと、立ちくらみが」
慌てて胸から手を離し、しどけないポーズを取り繕う。
しかし、自分の口から出た「声」の甘やかさに、清彦の心臓は再び跳ね上がった。
それは、動画配信やテレビで何度も聴いた、あの「太刀葉」の声だった。
撮影が再開されると、清彦は「太刀葉」という存在に翻弄された。
一歩踏み出すたびに、胸の重みが身体の軸を揺らす。
男性の体だったときには意識もしなかった、上半身の揺れ。
走るどころか、ただ砂浜を歩くだけで、ビキニの細い紐が肩や首に食い込み、確かな重量感として存在を主張してくる。
「よし、次は波打ち際で、四つん這いだ。少し腰を反らせて、誘うような表情で!」
カメラマンの指示に従い、膝を熱い砂につける。
突き出したお尻、強調される胸の谷間。
カメラマンの指示にしたがいながら、ぎこちない撮影が始まった。
324a3db5 No.2506
「そう、いいよ! もっとあざとく、レンズを獲物みたいに見て!」
カメラマンの威圧的な声が飛ぶ。
清彦は言われるがまま、熱を帯びた砂に膝をつき、腰を深く反らせた。
男性の体ではあり得なかった可動域。
背中から腰にかけての曲線が、自分でも驚くほどしなやかにしなる。
だが、その姿勢を取った瞬間、ビキニのトップが重力に引かれ、危ういほどに食い込んだ。
(やばい……これ、こぼれそうなんだけど……!)
意識は胸元に釘付けだが、周囲には数十人のスタッフの目がある。
清彦の心臓は、緊張と「太刀葉」として見られているという背徳感で、はち切れそうだった。
「……ねえ、太刀葉ちゃん、今日なんか変じゃない?」
不意に、レンズから目を離したカメラマンが首を傾げた。
心臓が跳ね上がる。
「えっ、あ、何がですか……?」
「ポーズはいいんだけど、指先。男の子みたいに力が入ってる。もっと柔らかく、自分を愛でるように動かして」
しかし、どう動かせば「女の子らしい」のかが分からない。
焦れば焦るほど、砂を掴む指先がぎこちなく震える
。すると、一人の女性スタイリストが駆け寄ってきた。
「ごめんね、ちょっと直すよ」
彼女はためらいもなく清彦の腰を引き寄せ、ビキニの紐の位置を微調整し、さらには胸の形を整えるために布の中に手を滑り込ませた。
「ひゃっ?!」
変な声が出た。自分の手で触るのとは違う、他人の指先が直接肌に触れる感覚。
清彦の顔は瞬時に沸騰した。
しかし、スタイリストは事務的な手つきで、はみ出た肉をカップに収め直していく。
「はい、これで綺麗。太刀葉ちゃん、顔真っ赤だよ? 暑いかな」
「あ……あ、はい。ちょっと、日差しが……」
そう、ごまかすのが精一杯だった。
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「……っ!?」
いきなり、視界がぐにゃりと歪んだ。
眩しい陽光、潮の匂い、そして肌を撫でる湿った海風が、一瞬で遠ざかっていく。
次に目を開けたとき、視界に入ってきたのは、見慣れた自分の部屋の天井だった。
安っぽいLED照明と見知った天井だった。
「はぁ……はぁ……っ!」
清彦は跳ね起きるように身を起こした。
真っ先に確認したのは、自分の手だ。
さっきまで見ていた、ピンクのマニキュアが塗られた細い指先ではない。節くれ立ち、日焼けして少しくすんだ、見慣れた男の手。
慌てて自分の胸に触れる。
そこには、柔らかい膨らみも、ビキニの布の食い込みも、重みもなかった。
あるのは、Tシャツ越しに感じる、平坦で少し硬い自分の胸板だけだ。
「……戻った、のか?」
呆然と呟いた声は、低く、少し枯れた自分の声だった。
あんなに鮮明だった波の音も、スタイリストがオイルを塗る指先の熱も、すべてが幻だったかのように消え失せている。
だが、手のひらにはまだ、あの「太刀葉」の肌の弾力と、ずっしりとした重みの残像が焼き付いていた。
「夢……じゃないよな」
震える手で、ベッドの脇に転がっていたスマホを手に取る。
画面には、例の怪しいアプリが起動したままになっていた。
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「……きたっ!」
スマホの画面を凝視していた清彦の指が震えた。
昨日から数分おきにリロードし続け、呪いのように見つめていた「チャージ中」の文字が消え、鮮やかな起動アイコンに変わった。
時計はちょうど午前10時。
どうやらこのアプリは1日1回、この時間に機能が回復する仕様らしい。
迷いはなかった。
清彦は吸い込まれるように画面をタップした。
対象は、もちろん「太刀葉」。
昨日、あのビーチで途絶えてしまった、あの甘美な続きを。あの視線と、重みを。
視界が裏返るような感覚。
胃の底が浮き上がるGを感じた直後、清彦の鼻腔を突いたのは潮の香りではなく、スプレーやパウダーが混ざり合った、化粧品の濃密な匂いだった。
「――よし、太刀葉ちゃん、ベースは終わり。次はアイラインね」
耳元で囁くような、柔らかい女性の声。
目を開けると、そこはビーチではなく、照明の明るい楽屋だった。
清彦は反射的に自分の身体を見下ろした。
視界を遮るように存在するのは、昨日のビキニを凌駕するほどの圧倒的な「膨らみ」だ。
今日の衣装は、プロ野球チームの公式チアリーダーを模したコスプレ。
超ミニ丈のプリーツスカートに、胸元が大胆にカットされたタイトなノースリーブ。
しかも、今日は寄せて上げるブラに加えて厚手のパッドが仕込まれているらしく、動くたびに胸の肉がブラの縁から溢れ出しそうなほどの圧迫感がある。
(重い……昨日より、ずっと……!)
さらに、衣装の裏地の質感が最悪だった。
動くたびに、硬いパッドと布地が、過敏になっている「先」を容赦なく擦る。
「んっ……」
思わず声が漏れた。
「どうしたの? どこか痛い?」
目の前のメイク担当が不思議そうに顔を覗き込んでくる。
「あ、いえ……なんでも、ないです」
自分の甘い声に脳が痺れる。
ふと横の鏡に目をやると、隣の席には、清彦がネットで何度も検索したことのある人気グラビアアイドル「双葉」が座っていた。
彼女も同じチア衣装に身を包み、豊満なバストをこれでもかと強調している。
「太刀葉ちゃん、今日の衣装、ちょっとキツくない? 私、パッド入れすぎちゃって肩凝りそう」
双葉が屈託のない笑顔で話しかけてくる。本物の双葉が、すぐ隣で、同じ「女」として自分に接している。
その事実に、清彦の心拍数は限界まで跳ね上がった。
「すいません、ちょっとお手洗いに……」
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撮影開始直前、清彦は逃げ出すように楽屋を出た。
一歩歩くごとに、チア衣装の短い裾がひらひらと舞い、太ももに冷たい空気が触れる。
そして何より、胸の「重み」が暴力的だ。
一歩の振動が、パッドに押し潰された乳房を激しく揺らし、その摩擦がダイレクトに神経を逆なでする。
個室に駆け込み、鍵を閉める。
「はぁ……はぁ……っ、これ、やばい……」
狭い空間に、太刀葉の甘い吐息が充満する。
清彦は「感覚の再確認」という言い訳を自分に突きつけながら、震える手で自分の、いや太刀葉の胸に触れた。
「……っ!」
指先が布越しにその山に触れた瞬間、脳内に快楽とも違和感ともつかない衝撃が走った。
パッドの硬さの奥にある、本物の肉の柔らかさ。
それを両手で下から持ち上げてみると、ずっしりとした重量が掌に伝わってきた。
男の身体では絶対に味わえない、自分の一部が「重い」という感覚。
指を少し潜り込ませ、衣装の中に手を入れる。
そこには、汗ばんで熱を持った、驚くほど滑らかな肌があった。
指先で、パッドに押し付けられて平らになっている「そこ」を、恐る恐るなぞってみる。
「あ……く、うぅ……」
背筋を電流が駆け抜け、思わず膝がガクガクと震えた。
自分の手で触っているはずなのに、触られている側の太刀葉の神経が、その刺激を何倍にも増幅して脳に送ってくる。
鏡のない個室で、清彦は自分が今、どんなに淫らな表情で自分の身体を愛でているかを想像し、激しい背徳感に身を焼かれた。
「太刀葉ちゃーん! 撮影始めるよー!」
スタッフの声が響く。
清彦は慌てて服を整え、火照った顔を抑えながら個室を出た。
これから始まるのは、双葉との「絡み」の撮影だ。
二人の巨乳が押し合い、密着し、カメラの前で「女の子同士の戯れ」を演じなければならない。
(双葉の体温に、この体で触れるのか……?)
想像しただけで、衣装に包まれた太刀葉の身体が、清彦の意志に反して熱く疼き始めていた。
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「よし、じゃあ二人並んで! 太刀葉ちゃんは双葉ちゃんの背後から抱きつく感じで。もっと、胸と胸を押し当てて!」
カメラマンの野太い声が、スタジオ内に響き渡る。
清彦は心臓が口から飛び出しそうなのを必死に抑え、双葉の背中に回った。
チア衣装の薄い布地越しに、双葉の背中の温もりが伝わってくる。
(うわ……柔らかい……。これ、本当に双葉なんだな……)
清彦は、自分の腕を双葉の脇から差し込み、その豊かな膨らみの下側に手を添えた。
「あ、いいよ! 太刀葉ちゃん、そのまま双葉ちゃんの胸を持ち上げるようにして! 谷間を強調して!」
「えっ、あ、はい……っ」
カメラマンの要求は、次第にエスカレートしていく。
「双葉ちゃんは顔を後ろに倒して、太刀葉ちゃんの頬に寄せて。そう! 二人とも、もっと欲求不満そうな、熱っぽい目でレンズを見て!」
清彦の視界は、双葉のうなじと、こぼれんばかりの胸元で埋め尽くされている。
太刀葉の身体が持つ、女性特有の鋭敏な感覚が、密着した双葉の曲線ひとつひとつを克明に脳へ伝えてくる。
自分も巨乳、相手も巨乳。
押し潰され、形を変える肉の弾力。
太刀葉の肺が、双葉の吐息を吸い込むたびに、清彦の理性は削り取られていった。
「最高だ! じゃあ次、もっと寄ろうか。向かい合って……そう、絡み合って。キスする寸前まで顔を近づけて! 唇が触れるか触れないか、そのスレスレの緊張感が欲しいんだ!」
スタジオに緊張が走る。
清彦は、正面から双葉と向き合った。
至近距離で見る双葉の瞳は、吸い込まれそうなほど潤んでいる。
二人の大きな胸が正面から衝突し、逃げ場を失った肉が左右に溢れ出す。
清彦の鼻先が、双葉の鼻先と触れ合った。
「……太刀葉ちゃん、顔、すごく赤いよ? 大丈夫?」
双葉が、囁くような甘い声で聞いてくる。
「ご、ごめんね……。こんな、変なポーズばっかり……」
清彦は太刀葉の声で、精一杯の謝罪を口にした。中身が男である申し訳なさと、あまりの興奮に、声が震えてしまう。
「ううん、気にしないで。こっちこそ、仕事だもんね。……太刀葉ちゃんの心臓の音、こっちまで響いてるよ」
双葉がクスリと笑い、さらに身体を密着させてきた。
その瞬間、脇で見ていた太刀葉のマネージャーが、険しい表情で一歩踏み出した。
「ちょっと、カメラマンさん! さすがにやりすぎじゃないですか? これ、グラビアの範疇を超えてますよ。これ以上の密着はストップです」
撮影が中断されそうになった、その時。
双葉が清彦の腕をぎゅっと握りしめ、マネージャーの方を振り返った。
「マネージャーさん、大丈夫ですよ。私、この雰囲気嫌いじゃないし……。ね、太刀葉さんがよければ、私は全然大丈夫です」
双葉の潤んだ瞳が、清彦をじっと見つめる。
まるで、こちらの正体を見透かしているかのような、それでいて誘っているかのような視線。
(……嘘だろ。双葉、お前……)
カメラマンがニヤリと笑い、清彦に問いかける。
「太刀葉ちゃんはどうだい? 嫌なら止めるけど」
清彦の頭の中は、真っ白だった。
だが、この「太刀葉」の身体が、双葉の柔らかさと香りに、もっと深く沈み込みたいと叫んでいた。
男としての欲望と、太刀葉の身体が感じる女性としての悦びが、ぐちゃぐちゃに混ざり合う。
「……っ、……やります。私も、大丈夫……です」
「よし、決まりだ! じゃあ、次はもっと深く絡んでもらおうか。太刀葉ちゃん、双葉ちゃんの腰を引き寄せて!」
再開されたシャッター音の中、清彦は、吸い寄せられるように双葉の唇へと顔を近づけていった。
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「お疲れ様でしたー!」
スタッフの声を背に、清彦は双葉と共に楽屋へ戻った。
スタジオの喧騒から切り離された瞬間、静まり返った室内で二人きり。
さっきまでの密着の余熱が、太刀葉の身体の中にまだ、よどみのように残っている。
「ふぅ……。ねえ、太刀葉ちゃん。なんだかんだ、今日の太刀葉ちゃんはいつもと違ったね。なんだか……凄く熱かったっていうか」
双葉が鏡越しにニヤリと笑いながら、チア衣装のサイドファスナーを下ろした。
清彦は心臓が跳ね上がるのを必死に隠して、裏返りそうな声で答える。
「そ、そうかな……? 緊張してただけだよ」
「あはは、冗談だよ。でも、あんなに顔真っ赤にして、可愛かった。……嫌いじゃないよ、ああいうの」
双葉はそう言いながら、手際よくノースリーブの衣装を脱ぎ捨てた。
清彦の目の前に、無防備な背中が晒される。
「……っ」
清彦も慌てて着替えを始めた。ファスナーを下ろし、タイトな衣装を脱ぎ、窮屈なパッドから胸を解放する。
衣装の下は、撮影用の特殊な下着だ。
バストを極限まで寄せていた厚手のシリコンパッドが外れると、その下には、衣装に響かないように貼られた肌色のニップレスが現れる。
そして、下半身は白の食い込みの激しいTバックショーツ。
鏡に映る太刀葉の姿――細い腰のラインから、ショーツの細い紐が肉に食い込んでいる様を見て、清彦はめまいがした。
隣では双葉も、衣装を脱いで黒の大人びたフルバックショーツ姿になっていた。
双葉は「よっ、と」と声を出しながら、自分のグラマラスな身体を惜しげもなく晒し、私服のブラジャーを手に取った。
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「ん、もう……このブラ、ホックが多くて留めにくいんだよね……」
双葉が背中に手を回して苦戦している。
清彦は、自分の着替えを止めて、その光景を凝視した。
細い指先が、黒いレースのブラのホックをまさぐっている。
双葉の背中のくぼみ、肩甲骨の動き、そして腕を上げたことで強調される脇のライン。
清彦は、一瞬たりとも見逃さないように、その光景を網膜に、いや、清彦自身の記憶に焼き付けようとした。
(これ、現実なんだよな……。双葉の着替えを、こんな至近距離で……)
「ねえ、太刀葉ちゃん? ぼーっとしてないで、ちょっと手伝ってくれない?」
「えっ!? あ、……うん、いいよ」
清彦は震える指先を伸ばし、双葉の背中に触れた。
指先に触れる、しっとりとした柔らかな肌の感触。
男の時なら絶対に許されない、聖域への侵入。
太刀葉の細い指で、双葉のブラのホックを一つずつ掛けていく。
指先から伝わる双葉の体温と、ブラの中に収まりきらずに脇からこぼれる柔らかな肉の感触。
「……ありがと。お返しに、太刀葉ちゃんのもやってあげる」
「あ……」
今度は双葉が、清彦(太刀葉)の背後に回った。
双葉の指先が、太刀葉の背中をなぞる。
「太刀葉ちゃん、肌すべすべだね……。いいなぁ、触り心地最高」
双葉の吐息が耳元にかかり、清彦の背筋にゾクゾクとした震えが走る。
ブラのホックを留めてもらう数秒間が、永遠のように感じられた。
ようやく私服のブラを身につけ、清彦は自分の私服である清楚なワンピースを頭から被った。
布地が滑らかな肌を滑り、胸の重みを柔らかく包み込んでいく。
ストッキングを履く際、片足を上げた時に見えた自分の(太刀葉の)脚の細さ、指先の繊細さ。
清彦は、自分の部屋でスマホをスクロールしていた自分を忘れ、完全にこの「女の日常」の続きに溺れていた。
「よし、着替え完了! 今日はこの後、ご飯でも行っちゃう?」
双葉が楽しそうに笑いかけてくる。
清彦は、鏡の中の美しい「自分」を見つめ、静かに、しかし深く、この快感を噛み締めていた。
(戻りたくない。ずっと、このままで……)
だが、頭の片隅で、カウントダウンが始まっているような気がして、清彦は無意識に自分の胸を強く抱きしめた。
そして、その予想どおりに、意識は自分の体に戻った。
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「……っあ!」
不意に訪れた浮遊感。
気づいたとき、清彦の指先に触れていたのは双葉の柔らかな肌ではなく、自分の安っぽいベッドのシーツだった。
カーテンの隙間から差し込む昼前の光が、あまりに現実的で、残酷だ。
「戻っちまった……」
清彦は荒い息を整えながら、しばらく仰向けで天井を睨んでいた。
平坦な胸、太い指、ゴツゴツとした膝。
さっきまで感じていた、ストッキングが滑り上がる太ももの繊細な感覚も、ブラに包まれたバストの確かな重みも、すべてが幻のように指の間をすり抜けていく。
だが、スマホの中には、その「証拠」が刻まれていた。
清彦は震える手でSNSを開き、二人のアカウントを検索した。
太刀葉 Official @tachiba_official
【お知らせ✨】
本日撮影したグラビアが、3月10日発売の『週刊ヤンググラマラス』に掲載されます!
今回はなんと、双葉ちゃんと一緒に野球チアのコスプレに挑戦しました⚾️
衣装がすっごくタイトでドキドキしちゃったけど、双葉ちゃんのおかげで楽しく撮影できたよ♡ 2人の密着ショット、楽しみにしててね!
画像には、鏡越しの自撮り。
清彦がさっきまで着ていたワンピース姿がそこにはあった。
双葉(Futaba) @fu_ta_ba_chan
太刀葉ちゃんとお仕事終了〜!
今日の撮影、カメラマンさんの指示がすごくて(笑)
でも太刀葉ちゃんの反応が初々しくて、私まで照れちゃったかも…🤭
あ、そうそう!
楽屋でブラのホックが留められなくて、2人で協力し合ったのは内緒だよ🤫笑
太刀葉ちゃん、意外と不器用で可愛かったな〜♡
3/10発売の誌面、絶対チェックしてね!
清彦はベッドの上で、双葉の投稿を何度も読み返した。
「不器用で可愛かった」
その言葉が、清彦の胸をキリキリと締め付ける。
あの時、双葉の背中に触れていたのは自分だ。不器用にホックを弄り、その体温に翻弄されていたのは、間違いなく清彦自身なのだ。
画面の中の太刀葉(自分)は、清楚なワンピース姿で、少し恥ずかしそうに微笑んでいる。
コメント欄はすでにファンたちの熱狂で埋め尽くされていた。
『チアコス最高!絶対買う!』
『ブラのホック手伝い合うとか、神イベントすぎるだろ…』
『太刀葉ちゃん、最近色気が増した気がする』
「……俺なんだよ、これ」
清彦は独りごちた。
ネットの住人たちが妄想を膨らませているその「現場」に、自分はいた。
いや、その「肉体」そのものになって、双葉と肌を寄せ合っていた。
男の視線を、女の肉体で受け止める。
その倒錯した悦びに、清彦の身体は再び疼き始めていた。
明日、また10時になれば、今度は誰になれるだろうか。
また太刀葉なのか。クラスメイトの若葉か、それとも――。
清彦はアプリのアイコンを愛おしそうになぞりながら、次の「獲物」を定めていた。
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今日は午前10時の回復を待ち、あえて午後2時までアプリの使用を温存した。
大学生としての講義中も、頭の中は昨日の双葉の感触でいっぱいだった。
「太刀葉も最高だったけど、次は、あの双葉自身になってみたい」
誰も来ない文芸サークルの部室。
古びた本の匂いが漂う静寂の中で、俺はスマホを取り出した。
ターゲットを「双葉」に設定し、彼女の宣材写真を読み込む。
視界が歪み、世界が反転する。
次に目を開けたとき、そこには古びた部室の面影は微塵もなかった。
柔らかな間接照明、鼻腔をくすぐるスッキリとしたオレンジのアロマ。
俺――いや、双葉は、今、高級エステのVIPルームにいた。
「あ……っ……」
思わず口から漏れた声は、太刀葉の甘い声とはまた違う、少しハスキーで、それでいて芯に響くような大人の女の艶を含んでいた。
紙ショーツの上に薄いタオル一枚だけ。
俺は今、グラビア界の至宝と呼ばれる双葉の、あの完璧な肉体の中にいる。
「双葉様、少しお力抜いてくださいね。お疲れが溜まっているようです」
美女エステティシャン二人が、左右から俺の……双葉の腕と脚に手をかける。
オイルをたっぷりと含んだ温かい手のひらが、滑るように肌を這う。
太刀葉よりもさらに肉厚で、弾力のある双葉の肉体。
その全身の神経が、プロの指先による刺激を敏感に拾い上げ、ダイレクトに脳へ突き刺してくる。
「ふぁ……あぁっ……」
自分の意志とは無関係に、喉の奥から熱い吐息が溢れた。
エステティシャンの指が、太ももの付け根から、さらに内側のデリケートな境界線へと滑り込む。
「ここ、かなり張ってますね。重点的に流しておきますね」
スタッフの一人が、双葉の豊かなバストの脇周辺を容赦なく圧をかけてくる。
「んっ! ぁ……は、ぅ……」
大きな胸が圧迫され、形を変え、溜まっていた老廃物が流されるような、痛みを伴う強烈な快感が全身を駆け抜ける。
「ふふ、いつものように、お声は我慢せずに出していただいて大丈夫ですよ。VIPルームですから」
スタッフは慣れた手つきで、事務的に、だが確実に「双葉の身体」を解していく。
彼女たちにとって、この日本一のグラビアボディを弄るのは日常の作業なのだろう。
だが、中身が清彦である俺にとっては、全裸で、美女二人に弄ばれているというこの状況が、正気を保てないほどの背徳感を生んでいた。
施術はさらに過熱していく。
一人が背中を、もう一人が両脚を同時にマッサージし始める。
双葉の体格の良さが、ここでは仇となった。
面積が広い分、触れられる面積も、感じる快感の総量も、太刀葉の比ではない。
「う、ぁ……あ、んっ……!」
腰のくぼみを親指で強く押された瞬間、身体が弓なりに反った。
太刀葉の時よりも、もっと身体の芯が熱い。
これが、トップアイドルの持つ生命力と、肉体の悦びなのか。
「次は仰向けになって、バスト周りのケアに移りますね」
「えっ……」
清彦の心臓が激しく脈打つ。
タオルが剥がされ、あの双葉の象徴とも言える爆乳が、エステティシャンの目の前に晒される。
彼女たちの手が、オイルを纏って、その巨大な膨らみに伸びてきた――。
(やばい、これ……戻れなくなる……!)
双葉の身体が、快楽の波に飲み込まれ、ドロドロに溶けていくのを、清彦は恍惚の中で感じていた。
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「では、仰向けで失礼しますね。こちらはバスト専用の美容オイル……ラベンダーをベースに、弾力を高める天然の植物エキスをブレンドしたものです」
エステティシャンが、手のひらで温めたオイルを俺の――双葉の胸の上に垂らした。
とろりとした重みのある液体の感触。
さっきまでのオレンジとは打って変わって、心を落ち着かせるはずのラベンダーの香りが、今の俺には逆に官能を煽る劇薬のように感じられた。
(うわぁ、すごい……。双葉の胸って、自分の重みで脇に流れるくらい大きいんだ……)
清彦は、双葉の視界を通して、その圧倒的な質量を眺めた。
そこに、四つの手が左右から一斉に伸びてくる。
「双葉様、少し失礼します。脇の下に逃げたお肉を、中心に戻していきますね」
スタッフの指先が、脇から胸の付け根にかけて、ぐいっと深く食い込んだ。
「ひゃ……っ、あ、んぅ……!」
思わず出た声が、あまりに艶っぽくて自分でも驚く。
なりすましを成功させなければならないという、変な使命感が頭をもたげた。
「あ……ごめんなさい、ちょっと敏感みたいで。もっと、そこを、丁寧……にしてください」
あえて、慣れた風を装って双葉らしいハスキーな声で注文をつけてみる。
心臓は裏側でバクバクと鳴っているが、エステティシャンは「承知いたしました」と微塵も疑う様子がない。
左右の掌が、円を描くように双葉の大きな膨らみを包み込み、ゆっくりと揉み解していく。
オイルの潤滑によって、指の動きは滑らかそのものだ。
胸の底から湧き上がるような、じわじわとした熱。
男性だった時には想像もできなかった、脂肪の塊が神経を持っているような不思議な感覚。
揉まれるたびに、双葉の全身の血流がこの二つの山に集中していくのがわかる。
(やばい……。これ、乳首が……完全に硬くなってきてる……)
オイルに濡れた指先が、何度も何度もその「先」をかすめていく。
エステティシャンのプロの技術は凄まじい。直接的な愛撫ではないのに、周囲の肉を絶妙な圧で刺激することで、中心部の感度を限界まで引き上げている。
(もっと……本当は、そこを直接……。いや、ダメだ、そんなこと言えるわけない!)
心の中では、スタッフの指を掴んでその突起に押し付けたいという衝動が渦巻いていた。
だが、そんなことを口走れば双葉のイメージが崩壊する。清彦は、双葉としての矜持(と、自分自身の理性の残骸)を保つために、唇を噛んで耐えた。
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スタッフは、双葉の身体の反応をすべて見透かしているようだった。
指先がその「中心」に触れるか触れないかの距離で、じらすように円を描き続ける。
「双葉様、かなりお身体が熱くなっておられますね。血行が良くなっている証拠です」
「は……あ……っ、そう、みたい。なんだか、意識が……とろけそうで……」
なりすましの台詞も、もはや半分は本音だった。
スタッフは、双葉の乳首が布地(タオル)を押し返すほどに硬くなっているのを見ても、プロらしく表情一つ変えない。
だが、その丁寧すぎる手つきからは、「お客様が何を求めているか」を分かった上で、あえてその寸前で寸止めする、ある種のサディスティックな優しさが感じられた。
「では、最後にお仕上げで、全体の形を整えますね。少し強めに圧をかけます」
二人のスタッフが、それぞれ両手で一つの山を、下から上へと掬い上げるように持ち上げる。
「う、あ、ぁぁああ……っ!」
オイルのラベンダーの香りが、双葉の荒い吐息と混ざり合う。
絶頂に近い快楽が脳を白く染め上げようとしていた。
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「……お疲れ様でございました。お肌が驚くほどしっとりと、内側から発光されていますね」
スタッフがタオルを優しく掛け直し、恍惚状態の俺――双葉を現実へと引き戻す。
四本の指から解放されたバストは、揉み解された熱が引かず、ドクドクと拍動しているのがわかる。
解放感よりも、寸止めされたことによる猛烈な「飢え」が、双葉の敏感な神経を支配していた。
(やばい、これ……全然収まらない……。むしろ、さっきより酷くなってる……)
立ち上がると、双葉の豊かな肉体が重力に引かれ、肌に残ったオイルが不意に一筋、背中を滑り落ちた。
その微かな刺激にさえ、身体がビクンと跳ねる。
「双葉様、あちらに専用のシャワールームをご用意しております。オイルを軽く流されますか?」
「あ……っ、は、はい。お願いします……」
なりすましの台詞も、もはや震えていた。
案内されたのは、大理石調のタイルが敷き詰められた、贅沢なプライベート・シャワー室。
脱衣スペースにある巨大な三面鏡の前に立った瞬間、清彦は息を呑んだ。
鏡の中にいたのは、上気した肌、乱れた髪、そしてオイルで濡れ光る「双葉」そのものだった。
隠しきれない熱を帯びた瞳。
タオルからこぼれんばかりの胸は、スタッフの手によって極限まで形を整えられ、その先端は、薄い布越しにもはっきりと分かるほど、硬く、昂っている。
(これが、双葉……。俺が今、この最高にエロい身体なんだ……)
「双葉様? お湯の準備ができておりますので、お早めにどうぞ」
外からスタッフの丁寧な催促の声が響く。
清彦はゴクリと唾を飲み込んだ。
一刻も早くシャワー室の鍵を閉めたい。
この、プロの手によって限界まで高められた「双葉の欲求」を、自分自身の手で解放してやりたい。
シャワーの熱い水飛沫に打たれながら、双葉の指が、自分の身体のどこをどう愛でるのか。
その未知の快楽への期待で、頭が真っ白になりそうだった。
(絶対に、シャワー室で……思いっきり楽しんでやる……!)
決意を胸に、清彦は震える手でシャワー室の重厚なドアを開け、一歩、足を踏み入れた。
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「っえ!?」
足裏に感じたのは、濡れた大理石の冷たさではなく、文芸サークル部室の、ささくれ立った古い床板の感触だった。
鼻を突くのはラベンダーの高貴な香りではなく、埃とカビの混じった、染み付いた古本の匂い。
窓の外からは、遠くの運動部のかけ声が聞こえてくる。
「嘘だろ……。今、これからだったのに……っ!」
清彦は部室の長机に突っ伏した。
自分の手を見る。
オイルでヌルヌルとしていた双葉の指先ではない。
自分の胸に触れる。
そこにあるのは、エステティシャンの神技で形を整えられた爆乳ではなく、Tシャツに包まれた、いつもの無機質な胸板だ。
あまりの虚脱感。
絶頂の寸前で世界が裏返るという、生殺しのような感覚に、清彦は激しい眩暈を覚えた。
あの時の、双葉の身体の熱、スタッフの指先の感触、そして「イキたがっていた」あの肉体の余韻が、今も幻肢痛のように清彦の脳内に焼き付いている。
清彦は這いずるような動作で、床に転がっていたスマホを手に取った。
指先を震わせながらSNSを開く。
そこには、今の「現実」が、双葉のアカウントを通じて投稿されていた。
双葉(Futaba) @fu_ta_ba_chan
今日は完全オフ日!✨
いつものエステで全身フルコース受けてきました〜💆♀️
最近撮影続きでバキバキだった身体が、プロの手でやっと人間らしく戻った感じ(笑)
ラベンダーのオイル、すっごく良い香りで癒されたなぁ……。
最後の方、あまりの気持ちよさに意識飛んじゃって、気づいたら終わってたかも……🫢
お肌もバストもふわっふわにしてもらったし、明日からの撮影も頑張れそう!
応援してくれるみんなに、最高のコンディションで会えますように💖
投稿された画像は、エステ後のロビーで、少し火照った顔を見せる双葉。
清彦が鏡で見た、あの「情事の後のような」艶っぽい瞳のままの彼女がそこにいた
「……意識飛んじゃってた、か」
清彦は自嘲気味に呟いた。
双葉本人からすれば、意識が混濁した数十分間。
だが、その「混濁」の正体は、清彦が彼女の身体の中で、美女エステティシャンに翻弄され、我を忘れて悶えていた時間そのものなのだ。
ファンたちは『お疲れ様!』『オフも自分磨きする双葉ちゃん偉い』と称賛のコメントを寄せている。
彼らは知らない。
その「ふわっふわ」になった身体を一番近くで、いや、内側から誰よりも堪能し、シャワー室で爆発しそうになっていたのが、ただの大学生である清彦だということを。
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「よし……今日こそは、あの続きを……」
大学の講義を抜け出し、俺は誰もいない旧校舎の屋上にいた。
今日のターゲットは決まっている。
14時から開催される超大型Vチューバーイベント。
そこにゲスト出演する人気グラビアアイドル「双葉」だ。
告知によれば、今日は人気Vチューバーの公式コスプレを披露することになっている。さらに、同じステージには「太刀葉」も登壇するという。
(双葉になって、太刀葉と一緒にコスプレ。
これ以上のシチュエーションはないだろ)
俺は震える指で、イベント直前の自撮りをアップしたばかりの双葉をロックオンした。
午後1時。
イベント開始の1時間前、楽屋での着替えが始まる絶好のタイミングだ。
視界がぐにゃりと歪み、冷たい屋上の風が消える。
次に肺が吸い込んだのは、甘い香水の匂いと、楽屋特有の緊張感を含んだ空気だった。
「――ふぅ。さて、変身しなきゃ」
自分の口から出たのは、あの日、エステのベッドの上で何度も漏らした、あの双葉の艶っぽいハスキーボイスだ。
目の前には、イベント用のきらびやかなVチューバー衣装がハンガーに掛かっている。
だが、その前にやるべきことがある。
俺は、双葉の私服である清楚な白いワンピースのファスナーを、背中に手を回してゆっくりと下ろした。
さらりと布地が床に落ち、鏡の中に現れたのは――。
「っ、すげぇ……」
あの日、エステティシャンのプロの技術で「ふわっふわ」に仕上げられた、最高級の肉体。
下着は、今日のコスプレ衣装に干渉しないよう、ヌードカラーのTバックと、極限まで寄せ上げる機能に特化したハーフカップのブラジャー。
鏡の中の双葉(俺)は、自分で自分を抱きしめたくなるほど、暴力的なまでの色気を放っていた。
ブラからはみ出しそうなバストの重みを、自分の手で下から支えてみる。
ずっしりとした、生きている肉の弾力。
その時だった。
「双葉ちゃーん! お疲れ様、入るよー?」
ノックの音と共に、聞き覚えのある甘い声が響いた。
扉が開くと、そこにはまだ私服姿の「太刀葉」が立っていた。
「わっ、ごめん! もう着替え始めてた?」
太刀葉が目を丸くして、下着姿の俺(双葉)を凝視する。
中身が清彦である俺は、一瞬パニックになりそうになった。だが、今の俺は双葉なのだ。
「あはは、大丈夫だよ太刀葉ちゃん。ほら、見て。コンディション最高でしょ?」
俺はあえて双葉らしく、堂々とその半裸の肉体を太刀葉に見せつけた。
太刀葉は少し顔を赤くして、吸い寄せられるように俺の傍に歩み寄ってくる。
「本当だ。双葉ちゃん、なんか、いつもより肌がツヤツヤして。その、……胸、すごいね」
太刀葉の視線が、俺のブラに収まりきらない膨らみに釘付けになっている。
かつて自分がその身体(太刀葉)に入っていた時、感じていた憧れの視線。
それを今、逆の立場(双葉)で受けている。
(たまんねぇ……。今なら、太刀葉に何をしても「双葉の悪戯」で済むんだ……)
俺は、太刀葉の細い肩を引き寄せ、耳元で悪戯っぽく囁いた。
「太刀葉ちゃんも脱いじゃいなよ。一緒に着替えよ?」
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「ほら、太刀葉ちゃん。突っ立ってないで、時間なくなっちゃうよ?」
俺——今は「双葉」の身体に宿る清彦——は、少しハスキーで余裕のある声で促した。
太刀葉は「あ、うん……そうだよね」と顔を赤らめながら、着ていたブラウスのボタンを外し始めた。
鏡の前で並び立つ、二人のグラビアアイドル。
片や、豊満でダイナミックな曲線を持つ「双葉」。
片や、華奢でありながら出るところは出ている、芸術的なプロポーションの「太刀葉」。
かつて自分がその中に入っていた太刀葉の身体が、今は目の前で無防備に晒されていく。
ブラウスが脱ぎ捨てられ、続いてスカートが足元に落ちる。
太刀葉の下着は、淡いラベンダー色のレース。
清楚な彼女のイメージにぴったりだが、その繊細な布地が、豊かなバストと引き締まった腰のラインをよりいっそう煽情的に引き立てていた。
「……ねえ、太刀葉ちゃん。今日のブラ、ちょっとアンダー緩くない? 寄せてあげなきゃ、せっかくの形がもったいないよ」
俺は双葉としての特権をフル活用し、背後から太刀葉の身体を抱きしめるように腕を回した。
「えっ、双葉ちゃん!? っあ……」
密着した瞬間、双葉の大きな胸が太刀葉の背中に押し潰され、熱い体温がダイレクトに伝わってくる。
俺は太刀葉の脇から手を滑り込ませ、ラベンダー色のブラの上から、その柔らかな膨らみを鷲掴みにした。
(うわっ。やっぱり太刀葉の胸も、手に吸い付くような弾力だ。双葉のこの大きな手で包むと、余計に柔らかく感じる……!)
「ちょ、ちょっと、双葉ちゃん……っ、そんなに強く揉んだら、跡がついちゃう……あ、んっ……」
太刀葉の甘い悲鳴が楽屋に響く。
俺はわざと指先に力を込め、ブラのカップに肉をかき集めるふりをして、その中心部を手のひらで転がすように刺激した。
かつて自分が太刀葉だった時に感じたあの「過敏さ」を、今は双葉の指先を通して「与える側」として楽しんでいる。
さらに、俺の手は太刀葉の細い腰をなぞり、ラベンダー色のショーツに包まれた、丸く上を向いたお尻へと伸びた。
「お尻も、相変わらずプリッとしてて最高だね。こっちも、少し解してあげなきゃ」
「ひゃうんっ!? だ、だめ、そこは……っ」
薄いレース越しに、指先が太刀葉の肉に食い込む。
双葉の身体が持つ、圧倒的な「女としての支配力」。
太刀葉を翻弄しているという背徳感が、双葉の肉体をさらに熱くさせ、ブラの中に収まった自分自身の胸さえも、欲求不満そうに拍動し始めた。
鏡の中では、半裸の二人が絡み合い、互いの肌を赤く染め上げている。
「ねえ、太刀葉ちゃん。今日はVチューバーのコスプレでしょ? 中身までしっかり『女の子』になっておかないと、ファンに見抜かれちゃうよ?」
俺は太刀葉の首筋に顔を埋め、双葉の香水の匂いを嗅ぎながら、さらに深くその肢体を愛で続けた。
(戻りたくない……。このまま、イベントなんて始まらなければいいのに……)
清彦としての理性が、双葉の肉体が放つ強烈な多幸感の中に、ゆっくりと溶けて消えていく。
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「双葉さーん、太刀葉さーん! そろそろ衣装チェックお願いしまーす!」
ドア越しに響いたスタッフの鋭い声に、心臓が跳ね上がった。
密着していた太刀葉が「ひゃっ!?」と肩を揺らし、慌てて俺の腕から逃れる。
鏡の中には、双葉の指の跡がうっすら残る肌を赤らめ、ブラのカップが乱れた太刀葉の姿。
そして、それを見つめる俺——欲情で瞳を潤ませた双葉が映っていた。
「やばい、準備しなきゃ……っ!」
「あはは、ごめんごめん。太刀葉ちゃんが可愛すぎるからつい」
俺は双葉の余裕ある笑みを浮かべつつ、ハンガーに掛かった「魔法少女風」のVチューバー衣装をひっ掴んだ。
これがまた、とんでもなく過激なデザインだった。
胸元がハート型に大きくくり抜かれ、双葉の爆乳が左右から押し潰されて溢れ出すような超ハイレグのレオタード。
その上に透け感のあるフリルスカートを巻き、背中には大きなリボン。
「うわ……これ、入るかな……っ」
無理やり身体を押し込むと、シリコンパッドで補強された胸が「ぎちっ」と音を立てる。
太刀葉の方も、ピンクと白のフリフリな衣装に四苦八苦していた。
そこへ「失礼します!」とメイク担当とスタイリストの集団が雪崩れ込んできた。
「はい、双葉さん動かないで! 胸元、もう少し寄せて固定しますね」
「太刀葉さん、ウィッグ被せます。顎引いて!」
嵐のような数十分。
俺の(双葉の)身体は、プロの手によって「二次元から飛び出した肉感的な魔法少女」へと改造されていく。
ラベンダーのオイルが残る肌にパウダーが叩かれ、双葉のハスキーな声がより甘く響くように、喉にスプレーを吹きかけられる。
「本番5分前です! 舞台袖へ移動お願いします!」
カツカツとヒールの音を響かせ、俺と太刀葉は薄暗い舞台袖へと向かった。
そこには今日のイベントのディレクターが待ち構えていた。
「いいですか、今日の流れの最終確認です! 最初は『新衣装の紹介』から。くるっと一周回って、魔法少女ポーズを決めてください。特に双葉さんは……その、胸の揺れを強調する感じでお願いします。ファンがそれを待ってるんで」
俺は双葉のふっくらとした唇を少し尖らせて「もう、エッチなんだから」と茶目っ気たっぷりに返した。
ディレクターの顔が瞬時に真っ赤になる。
「そ、それから! 今回はVチューバーのイベントですから、メインはモニターの中の彼女たちです。二人は『リアル身体(ボディ)』担当。中の人の喋りに合わせて、完璧に口パク(リップシンク)してください。呼吸を合わせて。いいですね?」
モニターには、今まさに配信が始まろうとしているVチューバーの3Dモデルが映し出されている。
スピーカーからは、中の人のテンション高い声。
『みんなー! 今日は最高のリアル・ボディを用意したよー!』
「……っ」
清彦の脳内に、奇妙な感覚が走る。
自分は今、双葉という「肉体」に憑依している。
そしてその肉体は今、別の魂(中の人)の言葉に従う「器」になろうとしている。
憑依の二重構造。
(俺が双葉で、双葉がVチューバーで……。もう、誰が誰だか分かんねぇな……)
幕の向こうから、地鳴りのようなファンの歓声が聞こえてくる。
太刀葉が不安そうに俺の手を握った。
「双葉ちゃん、いこう?」
「うん。世界で一番の魔法少女、見せつけてやろうね」
俺は太刀葉の柔らかな手を握り返し、眩いスポットライトの光の中へと、双葉の豊満な肢体を躍らせた。
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眩いスポットライトが網膜を焼き、数千人のファンが放つ熱気と怒号のような歓声が、双葉の鼓動を狂わせる。
ステージの中央、巨大なモニターには、俺たちが扮するVチューバーの3Dモデルが躍動していた。
『はーい、みんなお待たせ! 今日は特別に、超セクシーな「リアル・ボディ」を用意しちゃったよ! 右が双葉ちゃん、左が太刀葉ちゃん! 二人とも、私の動きに合わせて可愛くポーズしてね!』
スピーカーから響く「中の人」の、いかにもアニメ声らしい高音。
その声が耳に届くたび、俺(双葉)の身体は条件反射のように動き出した。
モニターの中のモデルがくるりと回れば、俺もフリルスカートを翻して一周する。
魔法少女風の衣装は、動くたびに胸元が波打ち、シリコンパッドで押し上げられた双葉の爆乳が、ハート型の窓からこぼれんばかりに跳ねる。
(うわ……すごい視線だ。レンズ越しじゃなくて、生身の男たちの「性欲」が、この身体に突き刺さってくる……!)
カメラマンの指示に従っていたビーチの時とは違う。
数千人の男たちが、双葉という肉体の揺れ、肌の質感、そして衣装に食い込む肉のラインを、一秒たりとも見逃すまいと凝視している。
俺は中の人の「えへへっ、どうかな? 似合ってる?」という台詞に合わせて、人差し指を唇に当て、上目遣いで首を傾げた。
(最高だ……。双葉のこのあざといポーズ、鏡で見るよりずっと「武器」になってるのがわかる……!)
しかし、イベントが中盤に差し掛かった頃、モニターの中のVチューバーが、台本にないアドリブを炸裂させた。
『ねえねえ、みんな! この二人、実は楽屋でもすっごく仲良しだったんだよ? 魔法少女なんだから、もっと「合体魔法」みたいな、親密なポーズ見せてほしいよねー!』
「……っ!?」
太刀葉が隣で小さく肩を震わせる。
中の人の指示は、さらに過激さを増していく。
『太刀葉ちゃん、双葉ちゃんの後ろに回って! 双葉ちゃんのあの「魔法の果実」を、後ろからぎゅーってしてあげて! ほら、ファンのみんなが喜ぶよ!』
「あ……っ、ちょ、太刀葉ちゃん……っ」
俺は双葉の声で、あざとく困惑したふりをした。
だが、内心では歓喜が渦巻いていた。
太刀葉が震える手で、俺の背後から腕を回してくる。
魔法少女衣装の薄い布越しに、太刀葉の細い指先が、双葉のバストの下側に潜り込む。
(これだ……。数千人の前で、太刀葉に揉まれてる……!)
『もっと深く! 二人の胸を押し当てて、密着させて! ほら、双葉ちゃん、もっと感じてるみたいな顔して!』
指示に従い、俺は背中を反らせ、太刀葉の身体に全身を預けた。
双葉の豊かな肉体が、太刀葉の華奢な胸板に押し潰され、左右に溢れ出す。
太刀葉の吐息がうなじにかかり、彼女の指先が衣装の縁をなぞるたびに、双葉の敏感な神経が火花を散らす。
「んっ……あ、はぁ……っ、太刀葉ちゃん、くすぐったいよ……っ」
俺はリップシンクに合わせて、あえて吐息混じりの声を漏らした。
会場のボルテージは最高潮に達し、ペンライトの光が激しく揺れる。
太刀葉も、中の人の『次は、お互いの顔を近づけて……キス寸前までいっちゃえ!』という無茶振りに、必死に応えようとしていた。
潤んだ瞳で見つめ合う、双葉と太刀葉。
魔法少女のコスチュームで絡み合う二人の美女。
俺は双葉の身体を通して、太刀葉の唇の熱、彼女の震える指先の感触、そして会場を埋め尽くす男たちの歪んだ欲望を、全身で受け止めていた。
(やばい、これ……双葉の身体が、本気で悦んでる……。清彦の意識が、熱狂の中に溶けていく……!)
本番のライトの下で、俺は「誰でもない存在」になりながら、最高に淫らな魔法少女を演じ続けていた。
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「はぁ……はぁ……っ、お疲れ様……」
ステージの爆音と眩い光、そして数千人の熱狂を背に、俺と太刀葉は転がり込むように控え室へと戻った。
ドアを閉めた瞬間、静寂が逆に耳鳴りのように響く。
魔法少女の過激な衣装は、激しいダンスと密着ポーズのせいでボロボロに乱れていた。
双葉の豊かなバストは、激しい上下動でブラのカップから今にも溢れ出しそうで、ハート型の窓からは谷間の汗がキラキラと光っている。
「太刀葉ちゃん……すごかったね、今の……」
俺は双葉の、熱を帯びたハスキーな声で呼びかけた。
太刀葉もまた、ピンクのフリル衣装の肩紐がずり落ち、上気した顔で荒い息をついている。
ステージ上での「絡み」の余熱が、双葉の身体の奥でドロドロと渦巻いていた。
「双葉ちゃん。私、あんなに、あんなに見られるの、初めてで……っ」
太刀葉が潤んだ瞳で俺を見上げる。その瞳には、恐怖よりも、高揚感に当てられた熱が宿っていた。
俺は抗いがたい衝動に突き動かされ、双葉の長い腕で太刀葉の細い腰を引き寄せた。
「……私も。太刀葉ちゃんにあんなに触られて、おかしくなりそうだったよ」
至近距離で見つめ合う、二人の魔法少女。
俺は双葉の指先で、太刀葉の震える唇をそっとなぞった。
双葉の肉体が、自分より一回り華奢な太刀葉を「征服したい」と叫んでいる。
今、このままこの魔法少女の衣装を引き裂いて、彼女のすべてを……。
そう思った、その時。
「失礼します!! 双葉さん、太刀葉さん!」
威勢の良い声と共に、控え室のドアが勢いよく開いた。
そこには、さっきまでモニターの中にいたVチューバーの「中の人」と思われる若い女性二人と、それぞれのマネージャーが慌てた様子で立っていた。
「あ……っ!」
抱き合い、今にもキスしそうだった俺と太刀葉は、弾かれたように距離を取った。
太刀葉は顔を真っ赤にして、ずり落ちた肩紐を慌てて直している。
「本当にすみませんでした! アドリブが過ぎちゃって……! 二人があんなにノリノリで絡んでくれるから、ついついテンション上がって無茶振りしちゃいました!」
Vチューバーの中の人は、配信用のヘッドセットを首にかけたまま、深々と頭を下げる。
マネージャーたちも「うちのタレントが失礼を……」と平謝りだ。
(……くそっ、いいところだったのに!)
清彦の心の中の叫びをよそに、俺は双葉として、余裕のある微笑みを取り繕った。
「ふふ、大丈夫ですよ。ファンのみんなも喜んでくれたみたいだし、私たちも……ね、太刀葉ちゃん? 楽しかったよね?」
「え、あ、は、はい! すごく、……刺激的でしたっ」
太刀葉はまだ動揺を隠せず、伏し目がちに答える。
俺は、謝罪に訪れた彼女たちの前で、双葉の肉体を誇示するように背筋を伸ばした。
衣装に食い込むバストの圧迫感が、中断された欲求をさらに鋭く研ぎ澄ませていく。
「じゃあ、私たちは着替えるから。ね?」
俺は含みのある笑みで、Vチューバーたちを追い出した。
ドアが閉まる音。
再び訪れた二人きりの空間。
だが、太刀葉はすでに我に返ったようで、恥ずかしそうに衣装のホックを外し始めている。
(……あと少し、あと数秒早ければ……)
清彦は、双葉の指先で自分の唇に触れ、そこに残る太刀葉の体温を惜しむように記憶に焼き付けた。
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「……あ」
控え室に漂う制汗スプレーと、太刀葉の肌から立ち上る甘い熱気。
それを吸い込もうとした瞬間、視界が強烈に明転した。
次に肺が求めたのは、埃っぽく冷えた旧校舎の空気。
俺は、誰もいない屋上のコンクリートの上で、力なくへたり込んでいた。
「戻った、のか……。あんなに、あんなに熱かったのに……」
自分の手を見る。
双葉の白くしなやかな指ではない。節くれ立った、いつもの男の手だ。
股関節に感じていたハイレグ衣装の食い込みも、肩にのしかかっていたバストの重量感も、すべてが蜃気楼のように消え失せている。
清彦は、激しい喪失感に襲われながら、震える手でスマホを操作した。
画面を開いた瞬間、通知の嵐がスマホを震わせた。
トレンド欄は、さっきまで俺がいたあのステージの話題で埋め尽くされている。
#Vフェス2026 #双葉太刀葉 #リアル魔法少女
【速報】Vフェス、双葉×太刀葉の「合体魔法(物理)」でサーバーダウン寸前www
「中の人のアドリブ神すぎんだろ。人の心がない(褒め言葉)」
「双葉のあの表情、絶対演技じゃないだろ。ガチで感じてただろあれ」
「太刀葉の指が食い込んでるシーンで俺の心臓止まった。尊死」
「公式が最大手。これもう実質結婚だろ」
双葉(Futaba) @fu_ta_ba_chan
Vフェス、ありがとうございましたー!✨
魔法少女コスプレ、どうだったかな?
中の人の無茶振りにはびっくりしちゃったけど……太刀葉ちゃんがあんまり可愛いから、つい私も本気になっちゃった🤭
太刀葉ちゃんの心臓の音、背中越しにすっごく伝わってきたよ♡
これからは「ビジネス百合」じゃなくて、もっと深い関係になっちゃうかも……?笑
画像は控え室で、太刀葉の肩を抱き寄せ、耳元で何かを囁いている双葉の自撮り。
太刀葉 Official @tachiba_official
Vフェスお疲れ様でした!🌸
あんなに大勢の前で……双葉ちゃんに……あんなことされるなんて思わなくて、頭が真っ白になっちゃいました……。
でも、双葉ちゃんの腕の中、すっごく温かくて……。
中の人さん、エグい指示ありがとうございました(笑)
新しい扉が開いちゃった気がします……。
画像は衣装が乱れたまま、頬を真っ赤にしてカメラを直視できない太刀葉のソロショット。
ハッシュタグには #ふたたち #運命の二人
清彦は、屋上の床に寝転んだまま、爆発的に増え続けるリポストの数字を眺めていた。
「中の人」のアドリブがエグい、とファンは騒いでいる。
だが、本当の意味で「エグい」のは、その肉体の中に潜り込み、双葉の情動をブーストさせ、太刀葉の肌を蹂躙していた自分自身だ。
「人の心、か……」
清彦は自嘲気味に呟いた。
双葉として太刀葉を抱きしめた時の、あの指先の震え。
太刀葉のブラの中に指を滑り込ませた時の、あの背徳的な多幸感。
それは営業用の「百合」などではなく、清彦という異物が彼女たちの肉体を介して放出した、純粋な欲望の残滓だった。
SNSでは、二人の仲の良さを「百合営業」だと揶揄する声も一部にあるが、もはやそんな次元は超えている。
清彦が彼女たちの身体に刻み込んだあの「熱」は、明日からの彼女たちの関係を、否応なしに変えてしまうだろう。
「次は……どうするかな」
アプリのチャージ完了まで、あと16時間。
清彦は、トレンド1位に輝く「#ふたたち」のタグをタップした。
そこには、ファンが撮影した、二人が密着して喘ぐような表情を見せる決定的瞬間の写真が溢れている。
「次は、太刀葉になって、双葉にやり返されるのも悪くないな……」
夕暮れの空の下、清彦の心臓は、まだ自分のものではない「女の身体」の余韻を求めて、激しく、醜く脈打っていた。
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大講義室。
教授の単調な声が子守唄のように響く中、清彦は睡魔と戦いながらノートの隅に無意味な図形を描いていた。
昨日、双葉の身体であじわった、あの極限の熱量。
魔法少女の衣装に食い込む肉の感触や、太刀葉の細い腰を抱き寄せた時の震えが、今も掌の奥に微かな痺れとして残っている。
「おい、清彦。お前これ見たか? マジでエグいぞ」
隣に座る友人が、講義中だというのに興奮した様子でスマホを突き出してきた。画面には、昨日のVフェスの切り抜き動画が再生されている。
「……あ、あぁ。SNSで流れてたな」
平静を装って答えるが、心臓がドクンと跳ねた。
画面の中で、魔法少女姿の双葉(中身は俺だ)が、太刀葉に背後から抱きつかれ、恍惚とした表情で声を漏らしている。
「これだよ、このシーン! 中の人のアドリブとか言われてるけど、双葉の反応がマジすぎて引くわ。見てみろよ、この太刀葉の手。双葉のデカい胸を後ろから完全にホールドして、指がガッツリ食い込んでるだろ? これ、絶対に仕事の域を超えてるって。中の人の心、壊れてんじゃねーの?」
友人はスマホをスワイプし、今度はスローモーションで加工された別の投稿を見せてきた。
「こっちなんか、太刀葉が双葉の耳元で何か囁いた瞬間に、双葉の肩がビクッて跳ねてんだぜ? で、その後の双葉の顔……これ、完全に『いっちゃってる』顔だろ。ネットじゃ『百合営業の終着駅』とか『公式が最大手』って、トレンド1位独占だよ。お前もこういうの好きだろ?」
「……まあ、嫌いじゃないけどな」
清彦は生返事をしながら、スマホの画面を凝視した。
友人が「エグい」と興奮しているその「双葉の震え」も、「太刀葉の指の食い込み」も、すべては清彦が双葉の身体で直接受け止めた真実の感覚だ。
数千人の男たちがモニター越しに狂喜乱舞しているその「最高にエロい瞬間」の中心にいたのは、間違いなくこの、冴えない大学生の自分なのだ。
(お前は知らないんだよな。その双葉の胸を揉んでいた太刀葉の指の冷たさも、耳元で聞こえた本物の吐息も……全部俺が知ってるんだ)
「しかもさ、これ見てよ。イベント後の太刀葉のツイート」
さらに画面をスクロールさせる。
そこには、太刀葉が投稿した「新しい扉が開いちゃった」という一文が、意味深な画像と共に並んでいた。
「これ、双葉に後ろからグイグイ攻められて、太刀葉の方が覚醒しちゃったってことだろ? ネットの考察班は、次は太刀葉が攻めに回る『逆転展開』を期待して、もう二次創作が爆発的に増えてるぜ。ほら、このイラストとか、マジで描くの早すぎだろ」
健太が見せてきたファンアートには、今度は太刀葉が双葉を背後から羽交い締めにし、その豊かなバストを乱暴に揉みしだく構図が描かれていた。
「逆転、か」
清彦の脳内に、鮮烈なイメージが閃いた。
昨日は双葉になって、太刀葉を翻弄した。次は、その逆。
太刀葉の、あの華奢で繊細な身体に入り、双葉のあの圧倒的な肉体を、今度は「後ろから」支配する。
双葉の重厚なバストを自分の両手で、太刀葉の細い指で、力任せに抱え込み、彼女の耳元で「昨日の続き、しよっか?」と囁く。
(太刀葉が、双葉を……後ろから。最高じゃねぇか……)
講義室のエアコンの風が、不意に双葉の香水の匂いを運んできたような気がして、清彦は無意識に自分の下腹部に熱が集まるのを感じた。
「おい、清彦? 顔赤いぞ。お前、まさか今のイラストで抜こうとしてんのか?」
友人がニヤニヤしながら肩を叩く。
「バカ言え、暑いだけだよ」
清彦は適当に誤魔化しながら、机の下でスマホの時計を確認した。
午前11時20分。アプリのチャージは、とっくに完了している。
太刀葉のSNSによると、今日は双葉との対談インタビューの仕事があるとのことだった。
(待ってろよ、双葉。太刀葉のこの身体で、たっぷりしてやるからな)
清彦は教科書を閉じ、友人に「腹が痛いから先に帰る」と告げた。
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「――じゃあ、今日の対談は以上になります。お疲れ様でした!」
スタッフの拍手に送られ、俺は……太刀葉として深々と頭を下げた。
憑依した瞬間、目の前には数台のカメラとレコーダー。
どうやらギリギリでインタビュー本番には間に合わなかったらしいが、逆に好都合だ。
仕事中の緊張感よりも、その後の「プライベート」こそが俺の目的だから。
鏡を見るまでもなく、視界に映る自分の肩先には桜色のシフォン生地。
今日の太刀葉は、春の妖精のような淡い桜色のロングワンピースに身を包んでいた。
対して、隣に座る双葉は、身体のラインがこれでもかと強調されるタイトなニットのマキシワンピース。
グレーの生地が、彼女の暴力的なまでのバストの起伏を克明に浮き彫りにしている。
「太刀葉ちゃん、お疲れ様! ね、この後空いてる? 事務所から『昨日のご褒美』ってことで、ランチ代出してもらえることになったんだ。一緒に行かない?」
双葉が屈託のない笑顔で、俺の細い腕をギュッと抱き寄せた。
柔らかなニット越しに、あの爆乳の弾力が太刀葉の二の腕にめり込む。
(うわ……太刀葉のこの細い身体だと、双葉の重みがダイレクトに響く……。これ、昨日の仕返しをする絶好のチャンスじゃねぇか)
「えっ、いいの? 嬉しい、お腹空いちゃった」
俺は太刀葉の鈴を転がすような甘い声で答えた。自分でも驚くほど自然に、双葉の腕に身体を預ける。
案内されたのは、双葉の事務所が「ここぞ」という時に使うという超高級料亭。
都会の喧騒を忘れさせる静かな路地裏。
通されたのは、中庭の枝垂れ桜が見える、完全個室の畳のお座敷だった。
「失礼いたします」
仲居さんがお茶を置いて去ると、途端に静寂が二人を包み込む。イ草の香りと、双葉から漂う濃厚な香水の匂い。
双葉は座布団の上にどっかと腰を下ろすと、マキシワンピースの裾を少し乱しながら、大きく伸びをした。
「ふぁ~……。やっと落ち着いたね。ねえ、見た? 今日のSNS」
「うん、さっきマネージャーさんに見せてもらった。ランキング、私たちで独占しちゃってるね」
俺はおしとやかに膝を揃えて座り、太刀葉になりきって小首を傾げた。
「そうなんだよ! もう『中の人エグい』とか『人の心がない』とか、言われ放題(笑)。でもね、さっき事務所の偉い人に呼び出されてさ……『やりすぎだ!』ってめちゃくちゃ怒られた後に、『でも数字は過去最高だから、次はもっと上手くやってくれ』ってニヤニヤしながら褒められちゃった」
「あはは、まさに『大人の事情』だね……。でも、昨日の双葉ちゃん、本当にかっこよかったよ。私、あんなにドキドキしたの初めてだったかも」
(……言えねぇ。その『エグい中の人』が、今まさに目の前の太刀葉の中にいて、お前の胸の隙間を狙ってるなんて、絶対言えねぇ……!)
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運ばれてきた懐石料理を突きながら、他愛もない会話が続く。
だが、俺の意識は会話の内容よりも、畳の上で無防備に崩された双葉の「隙」に釘付けだった。
「ねえ、太刀葉ちゃん……。昨日の魔法少女のときさ、私、ちょっと本気になっちゃったところあるんだよね」
双葉が煮物を口に運びながら、少し真面目なトーンで呟いた。
「本気、って……?」
「太刀葉ちゃんが、私の後ろで震えてるのが伝わってきて……。なんだか、もっといじめたくなっちゃったっていうか。私、意外とドSなのかな?」
「もしかしたら、そうかもね。でも……」
俺は、桜色のワンピースの裾を揺らしながら、ゆっくりと立ち上がった。
「お茶、淹れ直すね」と言い訳をして、双葉の背後に回り込む。
(今だ。健太が見せてくれた、あのイラストみたいに。太刀葉のこの華奢な指で、双葉のあの重みを、後ろから!)
「あ、ありがと……太刀葉ちゃん?」
双葉が振り返ろうとした瞬間、俺は太刀葉の細い両腕を、双葉のニットワンピースの上から、彼女の豊かなバストの「下」へと滑り込ませた。
「昨日は、やりたい放題だったもんね、双葉ちゃん」
耳元で、昨日よりも少し低く、太刀葉の唇を双葉のうなじに近づける。
双葉の身体が、一瞬でビクッと硬直したのがわかった。
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「ちょ、ちょっと太刀葉ちゃん!? どうしたの、急に……っ」
双葉の動揺した声が、静かな個室に響く。
俺は構わず、太刀葉の細い指を双葉の肋骨のラインに沿わせ、そのまま上へと、ニットの生地ごと彼女の膨大な質量を掬い上げた。
(……重い。双葉になっていた時も感じたけど、太刀葉のこの華奢な腕で支えると、その重みがより鮮明に伝わってくる……!)
「あんな大勢の前で、あんな恥ずかしいポーズさせて。双葉ちゃん、楽しそうだったもんね」
俺は太刀葉の吐息を、双葉の敏感な耳元にわざと吹きかけた。
双葉の身体が、ニット越しにも分かるほど熱を帯び、小刻みに震え始める。
「あっ、それは、中の人の指示だったし……う、んぅ……っ」
言い訳をしようとする双葉の言葉を遮るように、俺は指先に力を込め、その巨大な膨らみを左右から中央へと、無理やり寄せ集めた。
ニットがはち切れんばかりに引き伸ばされ、双葉のバストが逃げ場を失って上へと盛り上がる。
太刀葉の繊細な指が、その肉の柔らかさに深く沈み込んでいく。
「本当は、双葉ちゃん自身も楽しんでたんじゃない? 私が困ってるのを見て」
俺はさらに密着を深め、太刀葉の桜色のワンピースを双葉の背中に押し当てた。
双葉の頭が、俺の肩に預けられる形になる。
鏡がないのが惜しい。
今、自分(太刀葉)がどんなに冷酷で、かつ欲情した表情で、このトップアイドルを後ろから支配しているのか。
「あ……あぁ……。太刀葉ちゃんの手、意外と力が強くて……っ。なんか、昨日と立場が逆みたい……」
双葉が観念したように、声を漏らした。
彼女の大きな手が、俺の——太刀葉の腕を弱々しく掴む。
だが、拒絶する力はない。
むしろ、その刺激を求めているかのように、双葉の身体は俺の動きに合わせて、しなやかにしなり始めた。
俺は、片方の手をさらに上へと滑らせた。
タイトなニットの襟元から指を潜り込ませ、ブラの縁に指を掛ける。
「太刀葉ちゃん……そこは、……ダメ、だよ……っ。誰か来たら……」
「大丈夫。誰も来ないよ。……ねえ、双葉ちゃん。ここ、昨日よりもずっと熱くなってるよ?」
俺は指先で、あのエステでも、撮影でも、執拗に刺激されていた「そこ」を、ニット越しに、だが確実に捉えた。
「ひゃ……っ! ぁ……っ、ん、あああ……っ!」
双葉が弓なりに反り、畳の上で膝がガクガクと震える。
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(たまんねぇ……。あの双葉が、俺(太刀葉)の手の中で、こんなに無防備に崩れていく……)
清彦の理性が、快楽の波に飲み込まれそうになる。
太刀葉としての優雅な所作を忘れ、俺は獣のように双葉の項に顔を埋め、彼女の甘い香りを深く吸い込んだ。
昨日のステージの熱狂、ネットのバズり、大人の事情。
そんなものはすべて、この畳の上の、二人だけの密室の熱量に溶けて消えていく。
「ねえ、双葉ちゃん。もっと、めちゃくちゃにしてほしい?」
俺がそう囁き、さらに指を深く沈めようとした、その時。
「――失礼いたします。お料理の天ぷらをお持ちいたしました」
襖の向こうから、仲居さんの落ち着いた声がした。
「っ!!」
俺と双葉は、爆発したかのような勢いで距離を取った。
太刀葉は慌てて座布団に戻り、桜色のワンピースの裾を整え、お茶を淹れるフリをする。
双葉もまた、顔を真っ赤にして、乱れたニットの胸元を必死に手で押さえながら、背筋を伸ばした。
「は、はい……どうぞ」
双葉の声が、明らかに上ずっている。
襖が開き、仲居さんが何食わぬ顔で天ぷらの皿を運んでくる。
沈黙。
油の揚がる香ばしい匂いだけが、気まずい空気を埋めていく。
仲居さんが去り、再び二人きりになった瞬間、双葉が力なく畳に突っ伏した。
「死ぬかと思った……。太刀葉ちゃん、あんなの、心臓に悪いよ……」
「あはは、ごめんね。ちょっと、昨日の仕返し、やりすぎちゃったかな」
俺は太刀葉の笑顔を作りながら、内心では舌打ちしていた。
(チッ。いいところだったのに)
だが、双葉の潤んだ瞳と、今にも零れ落ちそうな胸元の乱れ。
彼女の身体に残された「太刀葉(俺)の指の感触」は、まだ消えていない。
SNSでの「百合営業」が、現実の「侵食」へと変わった瞬間だった。
「ねえ、太刀葉ちゃん。……続き、また後で……いい?」
双葉が消え入りそうな声で、上目遣いに俺を見つめてきた。
清彦は、太刀葉の唇をそっと噛み、勝利を確信した笑みを浮かべた
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料亭の門を抜け、黒塗りの送迎車に乗り込む。
運転手は前方を向いたまま、鏡越しにこちらを気にする様子もない。
車内は外界から遮断された密室だ。
俺――太刀葉の身体に憑依した清彦は、隣に座る双葉とのわずかな隙間に、得も言われぬ緊張感を抱いていた。
ニットワンピースから漂う、甘く濃厚な香水の匂い。
料亭での出来事を引きずっているのか、双葉は明らかに落ち着きがなく、太刀葉の膝に自分の膝を何度も擦り合わせている。
「……ねえ」
双葉が、運転手に聞こえないように、俺の耳元に唇を寄せて小さく囁いた。
その温かい吐息が、太刀葉の繊細なうなじをくすぐる。
「太刀葉ちゃん、この後、どうするの? このまま帰っちゃうの?」
俺は窓の外を流れる景色を眺めるふりをして、彼女の方へ顔を向ける。
「うーん、どうだろう。特に予定はないけど……」
わざとらしく小首を傾げると、双葉はさらに身を乗り出し、俺の手を太ももの上でそっと握りしめてきた。
「私のマンション……来ない? マネージャーもスタッフも誰もいないの。料亭の続き、あそこでやりたいの」
双葉の瞳は、誘うような、それでいてどこか「飢えた」獣のそれだった。
昨日のステージでの「絡み」、そして料亭での中断。
それらが導火線となって、彼女の中の理性を焼き切ってしまったのだろう。
(本気かよ。双葉のプライベートな部屋に、太刀葉の身体で。最高すぎるだろ)
俺は心の中で狂喜乱舞しながら、太刀葉の唇を少しだけ噛み、コソコソと声を潜めて返した。
「いいの? そんなところ、入って」
「いいよ。むしろ、太刀葉ちゃんにしか見てほしくないから」
双葉が、太刀葉の耳たぶを甘噛みするように触れる。
車内は、外の喧騒とは無縁の、湿り気を帯びた空気に支配されていた。
「あ、そういえば」
双葉が運転手に向かって、あえていつものアイドルらしい声で、だが少しだけ上ずった調子で言った。
「運転手さん、事務所じゃなくて、私のマンションの方にお願いしてもいいですか? ちょっと忘れ物しちゃって」
「承知いたしました」
運転手は淡々と答える。
双葉は勝ち誇ったような、それでいて艶っぽい笑みを浮かべ、俺の手をさらに強く握りしめた。
マンションまでの距離は、あと数十分。
その時間は、俺と双葉にとって、獲物を逃さないための「準備時間」に過ぎなかった。
(双葉の部屋で、ニットを脱がせて……その下に隠された本当の姿を、全部俺のものにしてやるんだ)
太刀葉の身体で、双葉の鼓動を感じる。
彼女もまた、この「侵食」を望んでいる。
マンションに足を踏み入れた瞬間、そこはもうテレビの中のキラキラした世界ではない。
二人だけの、ドロドロとした欲望を解放するための「戦場」になる。
「太刀葉ちゃん……覚悟しててね。私、昨日の続き、すっごく我慢してたんだから」
双葉の耳元で、俺は「太刀葉」として、清彦の悪魔的な欲望を込めて囁き返した。
「私もだよ、双葉ちゃん。楽しみにしてて」
車が高級マンションの地下駐車場へと滑り込んでいく。
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「ガチャリ」
重厚なエントランスの鍵が閉まった瞬間、部屋の空気が一変した。
これまで双葉が纏っていた「清楚なアイドル」の仮面が、剥がれ落ちる音が聞こえた気がした。
彼女の背中が、まるで獣のように低く沈む。
振り返った双葉の瞳には、さっきまでの甘えた色はなく、獲物を狙う鋭い光が宿っていた。
「やっと。二人きりだね、太刀葉ちゃん」
低い、底冷えするような声。
俺――太刀葉の身体に憑依している清彦は、その圧倒的な気迫に気圧され、一歩後ずさった。
だが、そこは行き止まりの壁だ。
「え、あ……双葉ちゃん?」
「『ちゃん』呼びなんて、もういいよ」
双葉が一瞬で距離を詰める。
その動きは、先ほどまでの「ニットワンピースを着た華奢な女の子」のそれではなく、獲物を逃さない捕食者の動きだった。
彼女の手が、太刀葉の細い両肩を力任せに掴む。
その握力は、俺の想像を遥かに超えていた。
「昨日のステージからずっと、我慢してたんだよ。太刀葉ちゃんが、私の身体を後ろから弄んで、あんなに甘い声を出すのを見てたら、理性が保てるわけないじゃない」
「っ!?」
俺が何かを言う暇も与えず、双葉はそのままの勢いで、太刀葉の身体をソファへと突き飛ばした。
柔らかなクッションに沈み込む、太刀葉の華奢な肢体。
上に乗った双葉の体重が、太刀葉の身体を逃げ場のない場所へと固定する。
「あはっ、太刀葉ちゃん、顔、真っ青……。もしかして、怖いの?」
双葉は太刀葉の桜色のワンピースの裾を、膝まで一気に捲り上げた。
無防備になった太刀葉の白い脚が、無様に宙を蹴る。
俺は太刀葉の身体で、双葉の圧倒的な肉体と、彼女が放つ猛烈な支配欲に支配されていた。
清彦として憑依していながら、太刀葉の身体が、本能的に「このままでは全てを奪われる」という恐怖と、それ以上の悦びで震えているのが分かる。
「双葉、ちゃん……そんな、乱暴に……っ」
「乱暴? 昨日のステージよりマシでしょ。あの時、太刀葉ちゃんだって、私の胸に触れられてゾクゾクしてたの、全部知ってるんだから」
双葉はそう言って、ニットワンピースの襟元を掴み、乱暴に引き下げた。
双葉自身のブラが露わになる。
昨日のステージでも、料亭でも、俺が散々愛でたあの爆乳だ。
彼女は、太刀葉の細い手首を掴み、無理やり自分のその柔らかな「山」に押し付けた。
「さあ、昨日の続きだよ。今度は私から、太刀葉ちゃんをめちゃくちゃにしてあげる」
(嘘だろ。獲物を誘い込んでいたつもりが、完全に裏をかかれた)
双葉の豹変ぶりは、清彦の想像を遥かに超えていた。
だが、その支配的な態度に、太刀葉の身体も、そして俺の意識も、逃れられないほどの高揚を覚えていた。
「ふ、ふふ……。いいよ、やってみてよ。どこまで『アイドル』の皮を剥げるか、試してみようか」
俺は太刀葉の口元で、挑戦的な笑みを浮かべた。
双葉は妖艶に微笑み、太刀葉の桜色のワンピースのボタンに手をかけた。