今に活きる経験
――会社員時代の経験が、今の漫画家としての活動に活きていると思うことはありますか?
雪永 はい、確かにありますね。会社員時代に経験したことが漫画のネタにもなっているというのはもちろんですが、他にもプレゼンのやり方やスケジュールの守り方など、会社員時代に学んだことは、漫画家としても役立っています。
特に、プレゼンのやり方は会社員時代にみっちりと仕込まれたことが役に立っていると思います。会社員時代の経験ですが、話が専門的で難しくなるとお客さんも退屈してしまうこともあるんですよね。なので、やはり漫画でもプレゼンでも、とにかく分かりやすくすることは大事だと思います。僕の場合は、自分の想定よりもさらに一歩簡単に、極端にわかりやすくしようということを心がけています。
あとはリサーチ力みたいなものも会社員時代に身についたのかなと思います。これも会社員時代に厳しく教育されたのですが、たとえば営業に行くお客さんのことについて、上司から徹底的に質問されたりするんです。どういう企業規模で、どういう商品を主役にして、今までどういうやり取りをしてきて……といったことを質問攻めにされて、ということが当たり前でした。
――リサーチの仕方は誰かから教わったのでしょうか?
雪永 いえ、誰かから教わったというわけではありませんでした。会社からとにかく膨大な資料を渡されるので、まずはその情報を徹底的に覚え込み、実務を通して必要な情報を収集し、取捨選択していくということをやっていくうちに身についたものだと思います。
そのとき大事なことのひとつは、どこを重点的に学べばいいのか、どういうふうに学べばいいのかを絞っていくことだと思います。私自身、多くの知識と市場知識を詰め込んだつもりでしたが、それでも自社製品の全てを把握しているわけではありませんでした。しかし、実務を通して、どの部分を重点的に知っておけばいいのかということがわかってくるようになりました。
たとえば資料を読むときも、最初は資料を端から端までまで読んで、とにかく網羅的に頭に入れていくのですが、ある程度全体像が把握できるようになると、資料によってはどの部分だけ読めばいいということがわかるようになっていきます。たとえば、製品資料でいえば、料金などの細かい部分は変動するのでそれらはあまり重要ではないですよね。
こうした資料の読み方は、いま漫画を描くにあたって、たとえば格闘技の専門書を読むときなどに役立っています。