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5/29おだけかい議員質疑:検察官抗告は禁止すべきか 再審法改正の核心を参考人に問う

2026.5.29 国民民主党おだけかい議員 法務委員会 全文文字起こし
▼本記事は下記動画のうち、参考人の意見陳述およびおだけかい議員の質問部分について文字起こしをしたものです。

参考人の意見陳述

池田公博参考人(京都大学大学院法学研究科教授)

皆様、おはようございます。 京都大学の池田と申します。 本日は、このように参考人として意見を述べる機会を与えてくださり、大変光栄に存じております。
私は、大学では刑事訴訟法の研究教育に携わっております。 そして、今回の法律案につきましては、法制審議会刑事法部会において、委員として調査審議に加わりました。 そこでは、誤って有罪判決を受けた者を1日も早く救済するという観点から、これを妨げてきた再審手続における不透明な運用や、検察官による証拠の出し渋りを正す必要を痛感する一方で、そのような思いの実現に直結する手続に改めることが、確定判決の意義のみならず、救済手続の機能そのものを損ないうる思わぬ反作用をもたらしうることも認識いたしました。
そして、それらのいずれも重要な要請の間で、どのようにその両立を図るかは必ずしも自明ではなく、非常に重い課題として悩みながら、制度設計にかかる意見を述べてまいりました。 とはいえ、今も、一部の事案に限らず、すべての無罪となるべき者が、公平かつ迅速な救済を受けられるようにすることが最優先の課題である、という認識に変わりはありません。 そして、そのためには、検察官や裁判所の裁量に依存する属人的な運用から、客観的なシステムへの移行を図る必要があります。 今回の内閣提出法案は、そうした目的の達成に向けられたものであり、積極的に評価できます。 そこで、以下では、内閣提出法案の内容に賛成する立場から、証拠提出命令制度の整備、開始決定に対する検察官抗告に及ぼすべき規律のあり方、そして、そのほかの手続的規律の整備等の順で意見を述べます。

まず、現行制度の最大の問題は、審理の進捗も証拠の入手も、担当裁判官の裁量次第という運用の不透明さにありました。 つまり、現行制度では、裁判所ごとに、審理に必要な証拠の提出を命じる権限の有無や範囲についての解釈が異なり、必要な証拠が得られないまま、例えば、袴田巖さんの事件で言えば、第1次請求の第1審だけで、13年4か月もの時間が経過する事態が生じました。 内閣提出法案は、この状況を改めるため、裁判所は、再審の請求の理由に関連すると認められる証拠について、提出を受けることの必要性の程度、ならびに、生じるおそれのある弊害を考慮し、相当と認めるときは、検察官に対して、当該証拠の提出を命じなければならない、としています。 このうち、「再審の請求の理由に関連すると認められる証拠」を提出するよう命じることは、再審請求理由の存否を判断することを目的とする、再審請求審の役割から導かれるものです。 そのうえで、要件を満たす限り、裁判所は提出を「命じなければならない」とすることで、審理の迅速が確保されるとともに、明確な範囲で検察官に証拠提出を義務づけることにより、証拠を管理する検察官の裁量を排除し、隠蔽を防ぐ規律として機能します。

さらに、その前提として、裁判官が非公開の場で、裁判所が判断に必要とする証拠や、その指定する範囲の証拠の一覧表を確認する、インカメラ審理を設けています。 これにより、検察官の恣意的な証拠の取捨選択を許さず、裁判所が提出を命じるべき証拠の所在を、迅速に特定することが可能となります。 なお、この一覧表の提示に関しては、請求人等が裁判所に対して証拠提出命令等を請求する際の手がかりとなるものとして、検察官の保管するすべての証拠の一覧表等を請求人等に交付するよう求める意見もあります。 もっとも、再審請求審は、請求理由と新証拠に関連する証拠を、裁判所が、自らの責任で取り調べるべきもので、請求人等によるその対象の選別を前提とするものではありませんので、そもそも、提出命令に先立ち、請求人等が一覧表を見られるようにする理由はありません。 また、仮にそうするとしても、主張に関連する証拠の存否や所在を知るために必要となる証拠の範囲は自ずと限られるのであり、全証拠の一覧を知らせることは、過剰であるばかりでなく、請求人からの多くの提出命令請求を誘発することとなり、これに対応する裁判所の審理の遅延ももたらしかねません。

このほか、発せられた提出命令に不服があれば、即時抗告の申立てを通じて、提出すべき証拠の範囲が、関係人の主張をふまえて迅速に定まる規律も設けられ、これらの規律の整備を通じて、現在生じている根本的な問題への対処が図られています。 もっとも、検察官が、審理に必要と見られる証拠の開示に必ずしも前向きに応じてこなかった、というこれまでの経緯に鑑みれば、検察官の保管するすべての記録の提出を義務づけるべきである、との考えもありうるところです。 しかし、そのような義務づけは、請求理由の存否を判断するという再審審の構造にそぐわないだけでなく、審理の迅速を損なうおそれもあります。というのも、全記録が提出されれば、情報が多いがゆえにかえって重要証拠が埋もれてしまい、あるいは審理の争点が拡散することともなるからです。 この結果、先ほど一覧表に関して述べたのと同じように、当該事件の審理判断を一層遅らせるばかりでなく、さらには、裁判制度の運営そのものを停滞させ、これから救済を受けようとする人の審理を、後回しにさせることともなります。これは、全記録を扱おうとすることが構造的にもたらす弊害です。

また、法制審では、裁判所が必要と考える証拠の提出を、裁量的に命じられるようにすべきとの意見も示されました。 これは、何が関連する証拠か判断がつきかねる際にも、裁判所が必要な証拠を得るための仕組みと理解されます。 しかし、先にも述べたように、再審請求審は、請求人の主張に理由があるかどうかを判断する手続であって、裁判所が請求人の主張や新証拠の内容を離れて、証拠の提出を命じることはその趣旨に沿うものではありません。 のみならず、こうした裁判所の全面的な裁量に依存する規定を設けることは、裁判所ごとの解釈の幅をもたらし、冒頭で指摘した、運用の不透明性を再燃させることにつながります。 仮に審理の過程で、裁判所が必要性を認めるものの請求人の主張との関連が明らかでない証拠が存在する可能性に気づいたとすれば、関連性を要求する規定のもとでも、請求人に主張の補充を促して関連性を認められるようにすることも可能ですから、あえて弊害をもたらすおそれのある規定を設ける必要はありません。 さらに、提出命令制度の創設は、裁判所による開示勧告や、これに応じた検察官による任意開示といった運用を通じた幅広い提出や開示を否定する意味を持ちませんので、改正により、現在より開示の範囲が狭まることにもなりません。

このほか、提出された証拠の複製等の目的外使用を一律に禁止する規定を設けることは、プライバシー等の侵害への懸念に対応するものですが、同時に、検察官から、プライバシー侵害のおそれがあるといった、弊害を盾とした開示を拒む口実を奪うものでもあります。つまりこの規律は、請求人側から見れば、請求人が必要な証拠を迅速に入手するためのテコとして機能する、迅速な救済にとって不可欠の規律です。 他方でこれは、証拠の生データの無秩序な公開拡散を禁じるものであって、弁護団が内容を適切に分析整理したうえで、社会に訴えかけることまで妨げるものではありませんので、妥当な規律と言えます。 以上の規律を通じて、第一審段階での迅速な紛争解決をもたらしうる内閣提出法案の方向性は、適切なものと言えます。

次に、内閣提出法案では、再審開始決定が即時抗告の一般規定から除外され、別に、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限りこれを行いうる、とされました。 こうした規律となったのは、開始決定への検察官の抗告が、不必要に救済を遅延させてきたとの批判に応えたものと思われます。 もっとも、迅速な救済を徹底するのであれば、全面的に禁止すべきであるとも主張されています。 こうした、抗告の一律禁止を求める声の根底にある、1日も早く確実な救済を、という願いは痛切なものであり、私自身もその目的に一切の異論はありません。 しかし、再審開始の判断には、確定により社会がこれを前提として動いている判決を見直すという、判断の内容自体に重大な意味があるほか、確定を待たずして刑罰の執行を裁量的に停止する契機となるなど、付随的にも重要な影響を伴うものであることなどに鑑みれば、その正しさに疑いの余地を残すものであってよい、とも言えません。 のみならず、一律禁止には副作用があります。 抗告で誤りを正せなくとも、検察官は公判で有罪立証ができるのだから問題はない、と述べられることもあります。 もっとも、無罪を言い渡すべき明らかな証拠の存在に、検証の余地が残りながら公判に移行すれば、事実認定をめぐり、第一審を超えて上訴へと争いが継続する可能性も生じます。 そうなれば、争いの場を公判に移すだけであり、救済の迅速化にはつながりません。

そうした事態を避け、開始決定が「無罪の確定」という、本当の救済を迅速にもたらすものとなるためには、手続自体を迅速化させるとともに、請求審段階で開始決定の正しさについて、多層的な確認を経たのちに、開始決定を確定させることも必要なのです。 このような観点から、今回の内閣提出法案の内容を見ると、これは検察官に抗告の機会を残す一方、それが、決定が覆されることに高度の蓋然性が認められる場合に限られること、としています。これは、多層的な検証の余地を残すことによって、開始判断の、ひいては、最終的な無罪判断の確実性を高めるものです。 同時に、こうした規定があることによって、検察官が制度上は認められる抗告を、その十分な根拠がないとして断念したということ自体が、開始決定の正当性を支えることにもなるのです。 さらに、抗告した旨の事実およびその理由の公表義務を課すなど、他の抗告には見られない強い要請が示されたことは、実際に慎重な検討がなされることを強く促す意味を持ちます。 そのうえで、前項で述べた証拠提出命令制度を介して、一審段階で必要な証拠がすべて明らかになることで、抗告審での争いが、再審開始事由の存否という純粋な法的評価をめぐるものに絞り込まれること、加えて、付則3条や5条により、迅速審理が強く要請されていることも合わせ踏まえれば、例外的な場面で抗告がなされることとなっても、多層的な検証を迅速に可能とする手段として機能することとなります。

そのほか、内閣提出法案は、裁判官の除斥事由を拡大し、再審請求審については、原判決に関与したこと、再審公判については、開始決定をもたらした請求審に関与したことを、それぞれ新たに除斥事由としました。 これは、一度事件の実態について判断を下した裁判官が、その判断に固執してしまうことへの懸念に鑑みると、判断の公正らしさに対する信頼を守る観点から妥当な規律です。 また、手続の明確性に資する、調査、いわゆるスクリーニング手続、審理終結等の通知制度などをはじめとして、手続の明確性に資する規定が多く整備されました。 これにより、請求を受けた裁判所の対応が明確になるとともに、関係人の手続的権利も明らかとなり、不透明な運用を改め、再審請求審の進行の迅速化が図られます。 さらに付則の2条に、運用状況の5年ごとの見直しを明記したことは、適正な運用を確実かつ継続的に促す仕組みとして適切であり、評価できます。

冒頭に述べたように、一部の事案に限らず、今も救済を待っている、すべての者を想定した制度設計が必要です。 今次内閣提出法案は、対象を絞った証拠提出の義務づけ、そのほかの手続的規律によって、審理の迅速性を担保しつつ、限定的な検証の余地を残すことで、すべての救済を待つ者の不利益と刑事司法制度の円滑の阻害を防ぎながら、無罪判決の確定という、真の救済を迅速に実現しようとするものとして評価すべきものです。 以上が私の意見です。ご清聴ありがとうございました。

葛野尋之参考人(青山学院大学法学部教授)

青山学院大学の葛野尋之です。 私は、再審の研究を続けてきた研究者としての立場から、再審制度の存在意義と、請求人に対する証拠開示手続、そして、証拠一覧表の提出命令の新設について意見を述べさせていただきます。

現行の再審制度は、憲法39条の要請により、有罪判決の確定により刑を課された本人に有利な再審のみを認めています。 利益再審に純化した再審制度の目的は、端的に、誤った有罪判決という意味の誤判を発見、是正し、無実の人、無辜を救済する点にあります。 誤判による刑罰は、国が個人の人権を正当な理由なくして奪うことにほかなりません。 憲法の求める個人としての尊厳、その基礎にある人間の尊厳を冒すものです。 誤判は決して許されません。

しかし、刑事裁判は、いかに丁寧に手続を進め、どれほど慎重に証拠を評価したとしても、誤判を完全に防ぐことはできません。 それゆえ刑事司法は、誤判の防止とともに、誤判を迅速確実に発見し、是正するためのサブシステムを備えていなければなりません。 このサブシステムが再審です。 誤判が決して許されないことからすれば、誤判を迅速確実に発見是正するという、再審が有効に機能してこそ、刑事司法は全体としての健全性を獲得することができます。 通常審とのバランス、通常審の尊重、という理由から、再審の機能を限定するならば、刑事司法全体の健全性が低下することになります。

時間の関係から(3)は割愛しますが、ここで言いたかったことは、確定判決の確定力、法的安定性の尊重は、確かに裁判制度を維持するために重要ですが、それを理由にして、誤判の是正を抑制し、無辜の救済を怠ることは決して許されない、ということでございます。

証拠開示をめぐって、法制審再審部会の多数意見は、請求審は裁判所が請求人の主張をする再審請求理由の有無を主体的に判断するという、職権主義の構造を取ることから、裁判所が再審請求理由の有無を判断するための、事実取り調べの一形式として、検察官に対して不提出証拠の提出を命じる手続を採用すべきである。 提出命令の対象は、再審請求理由に関連する、裁判所の審理に必要な証拠に限られるべきだ、という立場をとりました。 これに対して、請求人開示型の枠組みは、再審請求理由と関連せず、裁判所がその有無を判断するにあたり必要でない不提出証拠までもを、請求人に直接開示すべきとするものであるから、請求審の職権主義構造に適合しない、という意見が多数を占めました。 こうして、裁判所に対する証拠提出命令が法制審答申において採用され、閣法の中に具体化されています。

しかし、請求審の手続を職権主義一色で性格づけることはできません。 再審請求において、唯一の当事者である再審請求人が、本質的とも言える重要な役割を担っています。 すなわち、請求人の再審請求によって請求審は始動します。 請求人は再審請求に際して、裁判所に対して明白な新証拠を提出し、新証拠に基づき、再審請求事由にあたる具体的な事実の主張としての、再審請求理由を提示しなければなりません。 請求人は、請求審においてその主張する再審請求理由の立証を求められます。 裁判所は請求人の主張する再審請求理由に拘束されて、再審請求理由が認められるかどうかを判断することによって、再審開始か請求棄却かを決定します。 再審請求の過程で請求人は、再審請求の際に提出したものとは異なる新たな新証拠に基づき、再審請求理由を追加修正することができますが、そのときは裁判所は、請求人が追加修正した再審請求理由の有無を判断することになります。 法制審の再審部会においては、請求人の主張する再審請求理由こそが請求審の審判の対象だ、という理解も示されました。 これらの点において、請求人は極めて重要な役割を担っています。 このことは、請求人が重い負担を課されていることにほかなりません。 請求人が担う役割の重要性からすれば、請求人がその役割を十全に果たすことができてこそ、請求手続は有効に機能する、ということになります。

しかし現在、請求人は、請求準備の段階でも請求審の過程でも、捜査追訴機関の手元に残されている不提出記録へのアクセスを厳しく限定されています。 また、実際に弁護人の援助を受けることもまれです。 そのため請求審において、請求人はその役割を十全に果たすことが著しく困難です。 請求人が課されている重い負担に配慮して、請求人がその役割を十全に果たすことを担保する手続保障が必要とされます。

このような手続保障として、閣法にある、裁判所に対する証拠提出命令には限界があります。 提出命令の対象は、請求人の主張する再審請求理由に関連しており、裁判所の判断にとって必要とされる証拠に限られます。 福井事件においては、テレビ歌番組の放映内容に関する捜査報告書が開示され、それにより知人の目撃供述の信用性が決定的に減殺されました。 この例のように、過去、請求人や弁護人が裁判所に対して、再審請求理由と関連する範囲に限定することなく、広く不提出証拠を開示するよう勧告することを求め、裁判所がその要求に応えて、検察官に対して広く開示するよう勧告した結果、確定判決の有罪認定に合理的疑いを生じさせるような証拠が開示され、再審開始の決定を導いた実例が多くあります。 関連性、必要性の限定をかけることによって、有罪認定に合理的疑いを生じさせる証拠が開示されないままに終わるおそれがあります。

確かに、審理の経過に伴い、関連性があるとされる証拠の範囲が広がる可能性はあります。 しかし、再審請求理由との関連性は、当初、請求人が再審請求に際して提示した再審請求理由を起点にして判断されます。 請求人は請求準備の段階で不提出証拠にアクセスすることができず、自ら明白な新証拠を用意して再審請求理由を構成することが困難ですから、再審請求に際して実際に提示できた再審請求理由と関連する証拠の範囲は、かなり限定されたものにならざるを得ません。 さらに請求人が弁護人を選任していない場合には、請求人が裁判所に提出された証拠を閲覧、謄写することは困難であります。

再審請求の実務に携わった元裁判官たちの意見によれば、請求人、弁護人が実際に証拠の内容を検討してこそ、提出証拠の中に再審請求の立証に有用なものがあること、あるいは再審請求理由の追加変更の基礎にすべき新たな新証拠があることを正しく判断することもできます。 私もそのように理解しております。 これらからすると、請求人が担う役割を十全に果たすための手続保障として、閣法にある証拠提出命令には大きな限界がある、と言わざるを得ません。 有罪認定に合理的疑いを生じさせる証拠が開示されないままに終わるおそれが残ります。

有罪認定に合理的疑いを生じさせる証拠は、日本も批准している、国際自由権規約14条3項により、通常審において防御の準備のために開示するよう要求されています。 布川事件国賠請求訴訟の判決は、裁判結果に影響を及ぼす可能性が明白な証拠については、被告人、弁護人から具体的な開示請求がなくとも、また、その可能性が明白でない場合でも、具体的な開示請求があるときは検察官は開示義務を負う、としていました。 通常審において開示されるべき証拠が開示されなかった場合には、有罪判決の確定後、検察官は開示義務を継続して負うというべきです。 検察官が開示義務を遵守していれば、請求人は本来ならば通常審で証拠の開示を受けられたはずですから、検察官が義務に違反して開示しなかったときは、確定後、再審請求のために、開示を受ける機会を保障されるべきです。 有罪認定に合理的疑いを生じさせる証拠が、より確実に開示させることを保障する手続が必要とされます。

請求人がその役割を十全に果たすことを担保する手続保障として、請求審の過程で裁判所が、請求人の請求、または職権により、検察官に対して、請求人が開示を受ける必要のある証拠の開示を命じることができることとすべきであります。 このとき不提出証拠の中にある、確定判決の有罪判決、有罪認定に合理的疑いを提起する証拠は、元々検察官が通常審において開示義務を負っていたものですから、開示命令の対象となります。 請求人は、開示された証拠にアクセスすることにより、再審請求理由の立証に役立つ証拠を獲得することができます。あるいは、新たな新証拠を発見獲得して、それに基づき再審請求理由を追加修正することができます。

請求人が開示請求権を実行的に行使しうるようにするため、また、開示手続を円滑化、効率化させるために裁判所が、請求人の請求、または職権により、検察官に対して、検察官の保管する証拠の一覧表の提出を命じなければならない、とする手続を設けるべきです。 請求人および裁判所が、検察官がどのような証拠を保管しているのかを把握できてこそ、請求人は開示請求権を実行的に行使することができ、裁判所も開示を命じるべき対象を正確に判断することができます。 過去の実務が示しているように、請求人が検察官の保管証拠を把握できないまま、保管証拠を想像して、いわば手探りで開示請求をするということになると、開示まで長時間を要し、非効率であり、また開示されるべき証拠が未開示に終わるおそれを生みます。 2016年の刑訴法改正により、通常審の公判前整理手続において、証拠一覧表の開示手続が設けられました。これに倣うべきです。

法制審の再審部会においては、証拠一覧表の開示手続の提案に対して、裁判所が請求人の請求、主張している再審請求理由の有無を判断するという、請求審の構造に整合しないという批判がなされ、閣法は、裁判所が提出命令を発するかどうかを判断するために、一覧表の提示を命じる手続を設けるにとどまりました。 しかし、今必要とされている一覧表の提出手続は、請求人が主張している再審請求理由に関連する証拠には限定されない、請求人のための証拠開示の手続を円滑化、効率化し、請求人の開示請求権を実行化するためのものですから、各法案の裁判所に対する提出命令を前提としたさきの批判は妥当しません。

再審議連の法案は、請求人の開示請求の前提として、送致書類目録の開示を定めています。 証拠一覧表でなく、送致書類目録の提出手続とすることも、可能なように思います。 証拠一覧表の提出命令は、実は閣法にある証拠提出命令についても、請求人が請求権を実行的に行使することを保障し、手続を円滑化、効率化することに寄与します。 この点からも、是非とも創設すべき手続であります。

裁判所の訴訟指揮権に基づく証拠開示命令を発することができるかについて、検察官は消極的立場をとっていますから、開示命令を定める規定を置く必要があります。 法制審答申は付帯事項として、裁判所に対する証拠提出命令を制度化した後も、裁判所による証拠提出開示の勧告、検察官による任意開示が適切に行われることが期待される、としました。 このことは、法制審答申が、請求人のための証拠開示が必要、有用であって、請求人の必要に応えるための証拠開示が、裁判所の判断のための証拠提出命令と並存しうることを承認したということを意味しています。 しかし、従前の運用から見るとやはり大きな限界があります。 請求人のために開示されるべき証拠が十分に開示されることを保障するためには、開示命令の手続が必要であります。 実際、提出開示の勧告に対する積極性には、裁判所により大きな差異がありました。 検察官は、裁判所の開示勧告に従わないこともありましたし、任意開示の対象についても、再審請求理由との関連性を要求することもありました。 閣法における証拠提出命令の存在によって、そのような限定の可能性が一層高まるかもしれません。 開示命令の手続を設けることは、裁判所の提出開示勧告、検察官の任意開示の実効的な機能を担保するということにもなるでしょう。

新設を提案しました、請求に対する証拠開示の命令、および証拠一覧表の提出命令と、閣法にある裁判所の判断のための証拠提出命令とは、目的、根拠、対象において異なるものです。 それゆえ両者は並存が可能であり、並存させるべきものです。 両手続がともに働くことによって、再審請求手続の有効な機能が保障され、再審は迅速かつ確実な誤判の是正、無辜の救済という目的をよりよく果たすことができます。
以上で私の意見陳述を終わります。どうもありがとうございました。

上谷さくら参考人(桜みらい法律事務所 弁護士)

皆様、おはようございます。 第一東京弁護士会所属、犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長の弁護士の上谷さくらと申します。専門は犯罪被害者支援で、取扱事件の半分以上が性犯罪被害です。 次に、殺人や交通死亡事故などの人が亡くなる事件を多く扱っています。 また、犯罪を犯した人の更生にも関心を持っており、平成28年から保護司として活動しております。今年で10年になります。
令和2年6月から令和3年5月まで、性犯罪に関する刑事法検討会の委員を務め、令和5年刑事法改正に関わりました。 また現在は、こども家庭庁のこども性暴力防止法施行検討委員会の委員を務めております。 裁判所、検察庁、警察庁などで被害者支援に関する研修講師も行っています。 本日私は、そのような経験に基づき、被害者の観点から再審法改正について意見を述べたいと思います。よろしくお願いいたします。

まず、この改正案についての基本的な考え方を述べたうえで、個別の論点についての意見を述べさせていただきます。

再審制度の改正にあたっては、被害者の観点を入れていただきたいです。 犯罪被害者は、自ら好んで被害者になるわけではなく、ある日突然、不幸にも犯罪に巻き込まれて被害者になるのです。 犯罪被害に遭うと、ご遺族や被害者本人はそれまでの人生が一変します。 心身に強いダメージを受け、PTSDを発症して日常生活が送れなくなったり、学校や仕事を辞めざるを得なかったり、夢を諦めたり、貧困に陥ったりします。 人間関係がうまく行かなくなり、孤立したり、家庭に居場所がなくなったりすることもあります。 被害回復には多大の困難を伴います。

しかし、事件が起訴されて刑事事件になり、判決が確定することは1つの区切りになります。 被害者の方にとっては、有罪判決が出ても刑が軽すぎるということでショックを受けることはあります。 しかし、刑が軽すぎるということがあったとしても、有罪判決が出され、それが確定することは1つの区切りにはなるのです。

前を向いていこうと決意したときに、安易に再審開始決定がされたらどう感じるでしょうか。 また刑事事件に巻き込まれることになります。 ご遺族は心をかき乱されるでしょうし、被害者はまた尋問されなければならないのかという怒りや、なぜあの加害者は反省しないのか、仕返しに来るのではないかという恐怖心を抱くこともあるでしょう。 いつまでも裁判が終わらないというのは、犯罪被害者にとっては大きな二次被害です。 そして、事件の証拠が誰にでも見られてしまうようなことになれば、それは重大なプライバシー侵害であり、それ自体が犯罪被害よりも重大な問題をもたらす危険が高いのです。

次に、検察官の抗告禁止について述べます。 現在、検察官の不服申し立てである抗告については原則禁止とし、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限り、例外的に認めるという方向で議論が進んでいると聞いています。 また、全面禁止にすべきという意見もあると聞いております。 しかし私は、被害者支援の立場から抗告禁止には反対です。

まず、抗告禁止を主張する意見の根拠として、再審手続が長期化していることが挙げられていますが、それだけが長期化の原因とは思えません。 現在の刑事訴訟法には、再審に関する手続規定がほとんどないことや、争点が拡散して複雑化したり、古い事件であるため、鑑定やその結果の分析、判断に時間を要するなど、多くの要素が原因になっているはずです。

また、人は必ずミスをしますから、再審開始決定をした裁判官の判断が100%正しいことを前提とする制度には賛成できません。 もし誤って再審開始決定がなされた場合、抗告できないとまた通常審からやり直すことになります。 被害者にとっては、いつまでも裁判が終わらない事態に巻き込まれることになります。 被害者が再度、証言しなければならないことになれば、被害者の負担は甚大で、せっかく判決が確定して被害に一区切りをつけて、日常生活を取り戻せたことが水の泡になってしまいます。 特に、幼い頃に起きた性被害の場合など、またその子を法廷に立たせて証言させることが望ましいのでしょうか。 再審で証言を求められても、時間の経過により事件当時の記憶は相当減退していますから、真実発見に資することにもなりません。

仮に冤罪であれば、確定判決で犯人とされた人は救済され、真犯人が処罰されるべきですが、すでに確定した判決があり、それが正しかった可能性がある中で、十分な議論が尽くされず、不服を言う機会もなく、納得できない形で裁判を1からやり直すことが決まり、思い出したくもない記憶を再び思い起こさなければならないことは問題だと思います。 通常審で無罪の可能性があるから早期に被告人を手続から解放するために一審で終わるべきなどという議論はありません。 もちろん無駄に長期化することは避けるべきですが、再審においては、一度は有罪の裁判が確定しているのですから、慎重に議論を尽くすことが、国民の納得を得るためにも必要だと思います。

特に性犯罪被害者は、事案の性質上、被害に遭ったことを親しい人にも黙っていることが通常です。 親や配偶者、恋人にも黙っている人もいますし、親しい人に知られたくないため、被害申告せずに泣き寝入りすることを選ぶ人もいます。 刑事事件の判決が確定した後、被害事実を隠して結婚する人も少なくありません。 それが再審開始が始まり、通常審からやり直さなければならないということで、検察から久しぶりに連絡があったときの被害者の衝撃は計り知れません。 大事な人に過去の被害を知られたくないという利益は、最大限保護されるべきです。 もし再審請求する人の多くが冤罪被害者であると考えている方々がいるならば、それは実態と大きくかけ離れています。 実態を正しく理解していれば、検察官の抗告を禁止するという発想にはならないと思います。

次に証拠開示について述べます。再審請求審の証拠開示の範囲を広げる点について述べます。 刑事事件記録には、事件当事者のプライバシーが多く記載されています。 事件と無関係のものもたくさんあります。 被害者は本当は言いたくないような話であっても、捜査機関から事件を立件するために必要かもしれないと言われ、犯人を検挙してほしい一心で証拠を提出しています。 まさか将来、それが全部開示されるなんて夢にも思っていません。 再審請求審でそういったものまで開示せよということになれば、被害者は確定判決が出されて被害にひと区切りをつけたあとに、事件とは無関係なプライバシー情報まで開示されることになりますから、日常生活の平穏を害されます。 そんなことになってしまうくらいであれば、事件が起きても捜査協力しないという人が増えるのではないでしょうか。 また、事件と無関係な証拠が開示され、その証拠価値などについて審理することになれば、そのこと自体が再審の長期化を招くことになるのではないでしょうか。

次に、証拠の目的外使用について述べます。 目的外使用を認める意見には絶対反対です。 刑事事件記録には事件当事者のプライバシーが多く記載されていますし、事件発生直後は幅広に証拠採集しますから、事件とは無関係なものも多数あります。 特に性被害の場合、証拠として、性的画像や映像が決定的な証拠となっている事件が多数あります。 性被害そのものよりも、画像などが残り続けるほうが怖い、どうしても画像を消してほしいと訴える方がとても多いのです。 警察や検察がそれらを没収しても、どこか別のところに画像が隠されているのではないか、すでにどこかに流出しているのではないかと不安に感じる人が多いのです。 画像は一旦ネットに流出すると、完全に削除することは事実上不可能です。 令和5年刑事法改正で、検察官が行政手続によって、性的画像などを没収したり消去したりできるようになりました。 その趣旨は余罪の証拠など刑事事件では没収できないものを行政手続で没収できるようにするためですが、その規定があることで、被害者はたくさんの安心を得ることができています。

それなのに、性的画像などが弁護人や警察、検察、裁判官以外の一般の人に見られることになったら、性的画像を入手する目的で、冤罪被害者の支援を装う人が出てくる可能性があります。 その可能性を恐れ、被害申告自体をためらい、泣き寝入りを選ぶ人も出てくると思います。 今、被害者の同意を得ない性的画像はネット上に溢れており、売買もされています。 その画像が刑事事件の証拠であれば、通常より高く売れるかもしれません。 そして、世界中にその画像などが拡散してしまったら、被害者はどのようにして生きていけばいいのでしょうか。 そして、目的外使用がなされると、捜査協力が得られず処罰が困難になることが危惧される可能性があることも指摘させていただきます。

最後に、被害者も冤罪を望んではいません。 犯人ではない人が処罰されても被害回復にはならないからです。 しかし刑事法の改正を検討する際、被害者の立場を十分に考慮しないことは問題があります。 ある改正をする場合、被害者に不必要に負担がかかったり、被害者が理不尽な思いをさせられることがないかどうか、しっかりと検討していただきたいと思います。 以上です。ありがとうございました。

鴨志田祐美参考人(弁護士(日本弁護士連合会刑事法制委員会委員))

おはようございます。 弁護士の鴨志田祐美と申します。

意見を申し述べる前に2つ、申し上げたいことがあります。
1つはですね、今日、配布しているレジュメなんですけれども、緊張のあまり肩書きを前の肩書きを書いてしまいまして、日弁連、レジュメの方には「再審法改正実現本部本部長代行」という1つ前の肩書きが掲載されてます。今日気づきました。本当に申し訳ありません。私の今の肩書きはこちらの紙の方に書いてある、日弁連再審法改正推進室室長でございます。お詫びして訂正をいたします。

もう1つは、今日配布資料として、こちらのパンフレットをお手元に置かせていただいてます。これは、様々な再審事件の経緯であったり、証拠開示の経緯や抗告の実情であったり、その再審事件がどのような経緯をたどったのかという、生きた立法事実です。今日は私は時間の関係でこのような立法事実をすべてつまびらかにお話しすることができませんので、ぜひこちらのパンフレットを後ほどお読みいただきたいということをお願いしたいと思います。

それでは本題に入らせていただきます。
まず何よりも本日は大変貴重な機会を賜り、厚く御礼申し上げます。 私は2002年11月に司法試験に合格し、2004年に鹿児島県弁護士会に登録、現在は京都弁護士会に所属しております。その司法修習生として配属された事務局が、鹿児島の著名再審事件である大崎事件の当時の弁護団長の事務所だったというご縁で、弁護士登録の直後から現在に至るまで、約22年間にわたり、大崎事件の再審弁護活動を行っております。

この再審法改正ということについても、その事件の弁護をやる中で、様々な問題を知るに至ったことが契機です。特に、静岡地裁で袴田巖さんに再審開始決定がされたことがきっかけとなって、2014年に日弁連に設置された、再審における証拠開示に関する特別部会の座長となったのをきっかけに、このレジュメにあるような役職を経て、現在に至っております。
また、昨年4月から今年2月まで設置されていた法制審議会刑事法再審関係部会に、池田先生とともに委員も務めさせていただきました。法制審の再審部会には、日弁連推薦の委員幹事が4名おりましたけれども、実は本格的な再審弁護の経験があるのは私1人だけでした。すなわち、この再審部会メンバー25人いたわけですけれども、再審弁護人は私だけだったということです。そのような次第ですので、本日も私は再審弁護人という立場からお話をさせていただきたいと思います。

まず、大崎事件が示す現行再審制度の問題点についてです。 大崎事件が第2次再審を申し立てた2010年の頃から、布川事件、東京電力女性社員殺害事件、袴田事件など、証拠開示によって再審開始に至る事案が相次ぎました。そこで大崎事件も、弁護団は繰り返し証拠開示請求を行いました。しかし検察官は「第1次再審で任意開示した証拠以外には存在しない見込み。警察は、存在したとしてもすべて検察に送致した」と回答し、鹿児島地裁の当時の裁判長はその言葉を鵜呑みにして、何らの訴訟指揮もしないまま、再審請求を棄却しました。

即時抗告審の福岡高裁宮崎支部には、袴田事件のあの5点の衣類のカラー写真などの証拠開示を実現させた、当時の裁判長が静岡地裁から異動してきていました。私たちは再び、この証拠開示を強く求めたところ、弁護人の請求する証拠の存否を調査し、リストを作って弁護人に開示せよ、という趣旨の書面による証拠開示勧告を出してくれました。 しかし検察官はこれに激しく抵抗し、リストの開示には頑なに応じませんでした。が、個別に213点の証拠を開示しました。その中には、すべて検察官に送致したと回答していた鹿児島県警から見つかった証拠も30点以上含まれていました。 この中で、その証拠の表目の1点として「46本のネガフィルム」というものがありました。検察官はこの時ネガの現物は開示せず、「フィルムケースの中で腐食が進んで写真がプリントできないものがあった」として、ネガからプリントできた写真を500枚程度提出してきました。そして、これらの開示のあと、検察官は大崎事件に関する証拠はもはや存在しない、不検討ではなく不存在である、と公言しました。

第3次再審において弁護団は、第2次再審では現物の開示を受けられなかった46本のネガフィルムの現物の開示を求めたところ、鹿児島地裁は検察官にネガの提出を勧告し、提出されたネガの現物を直ちに弁護人に貸し出しました。弁護団が写真店にプリントを依頼したところ、ネガのすべてから1243枚の写真が印画することができました。 また、開示されていたネガフィルムが入っていたフィルムケースに、通し番号が振ってあったんですけども、21番というのが欠けていました。これを契機として、裁判所がさらに証拠開示勧告を行ったところ、18本のネガフィルムが新たに警察から開示されました。第2次再審で検察官が裁判所の勧告に従い、リストを開示していれば、また当初からネガの現物を弁護人に直接開示していれば、このような漏れはなかったのではないでしょうか。 しかも、確定判決の事実認定と明らかに矛盾する、関係者の現場再現写真のネガフィルムが、事件から37年の時を経て、この時に、第3次再審で初めて開示されたのです。これがもし、第1次再審段階で開示されていたら、第1次再審の開始決定は即時抗告審で覆ることはなかったかもしれません。証拠が開示されない場合はもとより、証拠がさみだれ式に開示され、長い期間を要することで、弁護人が適切な主張を組み立てられない、ひいては冤罪被害の救済が困難になってしまうという現実があるということです。

また、大崎事件ではこれまで地裁、高裁で合わせて3度、再審開始の判断がされています。しかしそのすべてに検察官が抗告を申し立て、上級審で再審開始が取り消されました。最初の再審開始決定が出たのは、24年前の2002年の3月。私が司法試験に合格するよりも前でした。事件当時52歳だった大崎事件の元被告人、原口アヤ子さんはこの6月で99歳になります。現在第5次再審請求審が鹿児島地裁に継続しています。 私はここで、アヤ子さんは無罪だというアピールをしたいのではありません。再審開始決定は無罪判決ではありません。確定した有罪判決に合理的な疑いが生じているから裁判をやり直すべきだという決定なのです。これまでに3つの裁判体の合計9人の裁判官が、もとい第4次再審では最高裁で再審開始すべきという反対意見を書いた宇賀克也裁判官がおりましたので、10人の裁判官が裁判をやり直すべきという判断をしたのに、一度も自白せず満期服役し、まもなく99歳になろうとする原口さんを、再審公判の法廷に立たせないままで良いのかということが言いたいのです。大崎事件は、証拠開示のルールがないことにより、裁判所ごとの、裁判官ごとの再審格差が生じ、再審開始決定が出ても検察官の抗告が可能だという、まさに現行再審制度に翻弄された事件ということができます。

そこで、この再審制度の目的や立法事実をふまえた法改正の必要性について述べたいと思います。 私は冤罪被害者に寄り添う再審弁護人という立場からですので、今回提出された各法案では、冤罪被害者を再審手続によって迅速かつ確実に救済することは難しいと考えています。ではどのような法案とすべきかということですが、まず証拠開示については、閣法にはこれまでも参考人の方々がおっしゃったように、閣法は証拠の提出命令制度というものが設けられました。一定の場合には裁判所の検察官に対する証拠提出命令が義務づけられたわけですが、その範囲は再審請求理由との関連性、必要性、相当性といったものに限定されており、再審請求人が証拠提出命令を請求する場合には、これらを疎明しなければなりません。

しかし実際の事件において、請求人・弁護人は捜査機関にどのような証拠が眠っているかを判断すること、把握することはできません。手探りで、個別の証拠の存否を模索し、膨大な時間と労力をかけて証拠開示を実現させてきました。
布川事件では第2次再審だけで、合計21回もの証拠開示請求を行って、4年以上かけてさみだれ式に個別の証拠の開示を実現させました。
東京電力女性社員殺害事件では度重なる証拠開示請求の結果、さみだれ式に開示された証拠が蓄積され、申し立てから4年半以上経過してようやく裁判所が三者協議を開き、再審開始決定までに7年以上がかかりました。
福井女子中学生事件でも第一次再審でも95点の証拠が開示されていましたが、第二次再審で新たに287点の証拠が裁判所の訴訟指揮によって開示され、その無罪を言い渡すべき明らかな証拠と認定されたのはすべて、第二次再審で初めて開示された証拠でした。もしこれが第一次再審の段階で開示されていれば、この事件は第一次再審の段階で解決していたのではないでしょうか。
また、日野町事件ではほかの最新事件とは異なり、検察官が保管証拠について第一次再審段階で証拠のリストが作成されて、これは検察官が作成したんですけれども、裁判所に提示されていました。そういう意味ではこの事件は画期的であったわけですが、第二次再審で初めて開示されたのは警察から検察に送られていない未送致証拠でした。これによって再審が動いたという経緯もあります。

証拠が一度に開示されなければ、請求人・弁護人は的確な再審請求理由を組み立てることができず、審理が長期化し、冤罪被害の救済の遅れを招きます。再審請求人に新証拠を提出するという重い負担を課している以上、まずは捜査機関にどのような証拠が保管されているのか、個々の証拠開示命令に先んじてまずは、証拠の全体像を把握できるリストを開示させることが不可欠です。通常審には刑訴法316条の14の規定により、証拠の一覧表の交付が認められていますから、これに類する条項の追加が再審手続にも必要と考えます。

また、布川事件で開示された取調べの録音テープを、請求人本人が直接聞いたことで初めてそのテープには多数の編集痕があるということが明らかになったように、その証拠が持つ証拠価値は請求人本人が確認しなければわからないということもあります。裁判所への提出だけでなく、請求人への直接開示命令を定める条項も必要です。 さらに請求人のみならず、実は裁判所も捜査機関がどのような証拠を保有しているのかはわかりません。なので、裁判所の職権による提出命令に関連性といった要件の縛りをかけると、裁判所が必要な証拠を把握できず開示漏れが生じるおそれもあります。実際の再審事件において再審開始、再審無罪につながった開示証拠は、請求人も裁判所も想定していなかったものであるということが多いのです。これらのことから、各法案の証拠提出命令の条文に加えて、裁判所の裁量により検察官に対し、請求人への直接開示を命じる権限を与えるという規定も加えるということが不可欠だと思います。

27日の、一昨日の本委員会の質疑において、平口法務大臣は、裁判所による証拠の提出勧告等の従来の実務運用を否定するものではなく、法制審の答申においては、そのことを前提として、従来の実務運用も引き続き適切に行われることを期する趣旨で付帯事項が盛り込まれた旨、答弁されました。裁判所の広範な裁量による、また、請求人への直接開示を認める運用を否定しないという答弁なんですけれども、ということであれば、それを条文化すればよいということだと思います。明文規定がなければこれまで同様証拠開示は、当たった裁判官次第という再審格差は解消されません。

時間の関係がございますので、目的外使用と調査手続については、後の議員の先生方からの質問にお答えする形にしたいと思います。

検察官の不服申し立てについて一言申し上げておきます。
検察官の抗告によって、初めて再審開始決定がされてから、最終的に再審開始が確定するまでに、袴田事件は9年、福井事件は13年、日野町事件は7年7ヶ月、免田事件は24年4ヶ月、かかっています。検察官の抗告が、冤罪被害者の迅速な救済を阻んだのは、紛れもない立法事実です。

自民党の、事前審査の激しい議論において、再審の決定についての即時抗告ができる場合を定めた現行法450条から、第448条第1項を削除するという修正が、これは再審開始決定のことですけれども、検察官の即時抗告が制限されるということになった、これは素晴らしい成果だと思っています。 しかし、一昨日、一昨日の質疑において、法務省はこの例外的に抗告ができる場合、新設条文の450条の2の効力について、検察官に対する行為規範である旨の答弁をされました。450条で抗告が原則禁止となった以上、同条の2は、新たに抗告できる場合を創設する規定ということになります。それが裁判規範ではなく、検察官の自主規制に委ねるような行為規範であるとすれば、抗告禁止はまったくの骨抜きになってしまいます。仮にこのような解釈を改めないのであれば、450条の2を削除するとともに、抗告は全面禁止すべきだと思います。

今一度、誰のための、何のための、再審法改正かということを考えていただきたいと思います。個人の尊厳を究極の価値に置く日本国憲法のもとで、無実なのに処罰されていい人間など1人もいていいはずはない、というのは当然のことです。刑事司法において、無実の人を迅速かつ確実に救済することは絶対的な正義であり、これに異を唱える者はいないでしょう。ですから、今回の法改正は何よりもまず、冤罪被害者のために、冤罪被害者を迅速確実に救済するためのものでなければなりません。

しかし、再審法改正は、犯罪被害者やご遺族のためのものでもあります。犯罪被害者やご遺族と、冤罪被害者は、対立するものではなく、どちらも、歪んだ刑事司法の犠牲者ということができます。犯罪被害者やご遺族の憎しみや悲しみは、誤った裁判によって処罰された無実の人に対してではなく、真犯人に向けられているはずです。冤罪は、真に憎むべき真犯人を取り逃がしているという意味で、二重の不正義であり、これを解消するには、真実発見のための証拠が開示され、裁判を見直す必要が生じたならば、直ちに、被害者も参加できる公開の法廷で、再審公判を行い、迅速に決着をつけることが必要です。再審の長期化が、時効や、真犯人の死亡により、真犯人の適正な処罰を妨げることがないようにするためにも、再審法改正は必要なのです。

そして、冤罪は、いつ誰の身に振りかかるか分かりません。自分や大切な人が、冤罪に巻き込まれたとき、早く助けてほしいと誰もが思うでしょう。再審法改正はすべての国民にとって、自分のために必要なものです。さらに、我が国では、一般市民が裁判員として刑事裁判に参加します。自分が裁判員として関わった刑事裁判で、有罪判決を言い渡した被告人が無実であると分かったのに、救済されずに何年も獄中で苦しめられているような事態は、善良な市民であればあるほど、耐えがたいことではないでしょうか。再審法改正は、冤罪被害者を救うだけでなく、冤罪加害者になってしまうリスクを負う、すべての国民にとっても福音となるものです。

最後に、国会の皆様方におかれましては、刑訴法施行から77年目にして、初めて再審制度にメスが入るという、歴史的な重みを噛み締めながら、唯一の立法機関の構成員である誇りと矜持をもって、のちの世に、あの時が日本の刑事司法の転換点だったと称賛されるような改正を実現していただくことを切に願っています。再審法改正の議論は、再審請求手続において、検察官が証拠を開示しないことにより、また再審開始決定に対し検察官が抗告を行うことで、冤罪被害者の救済までに膨大な年月と労力を要することに対する、深刻な懸念から始まったものです。そのような法改正を、いわば規制の対象となる検察官と一体となっている、法務省の手に任せきっていては、人権保障と三権分立を定めた、日本国憲法のもとでの、あるべき刑事手続は構築できないのではないでしょうか。
今回の再審法改正が、この国の刑事司法を、法務検察から、国民の手に、そして国民の代表である、国会議員の手に取り戻すための、歴史的な第一歩となることを心より期待しております。ありがとうございました。


参考人に対するおだけかい議員の質疑

おだけかい議員:
国民民主党のおだけかいです。本日もありがとうございます。まずは4人の参考人の皆様、大貴重なご意見いただきましてありがとうございました。あの、聞きたいことたくさんありますので、早速入りたいと思いますけども、まずはですね、上谷参考人、鴨志田参考人にお伺いしたいという風に思います。
先ほどの三木委員の質問にも延長する形になりますが、証拠の目的外使用禁止についてですね、上谷参考人はこの禁止規定を削除する方向には反対という風にいただきました。また一方でこの、犯罪被害者も冤罪は望んでいないというようなご発言もいただきました。今回の閣法では、この目的外使用を一律に禁止している方向ではありますが、これがですね、正当な活動も萎縮効果を生むんじゃないかという風に、私は懸念してるところでありまして、もちろん証拠を営利目的であったり、個人のプライバシー保護にするっていうことを、否定しているものではありませんが、正当な活動までも萎縮させるということに関しては、結果として望んでいない冤罪までも生み出す可能性があるのではないかという風に考えております。適切に運用されることを期待しながらも、正当に活動されている方々を不当に縛らないというこのことは、犯罪被害者の観点から、こういった規定を設けていくことは両存すると考えられるのか、その上で、鴨志田参考人には、この個人のプライバシー保護をしっかりと守りながらも、目的外使用禁止について正当な活動には萎縮させないようなためにはどういった条文構成であることが望ましいと考えるかお答えください。

上谷参考人:
正当な活動という解釈は非常に難しいと思います。それぞれの正義がありますので、冤罪を主張する方と被害者の方とは、正当な意味が違うと思います。そういった正当な活動をしているという風に、冤罪被害者と主張する方の弁護人が判断するのであれば、その人に直接見てなくても、こういったものがあるんだと口頭で説明することで足りるのではないかと思います。そして、例えばですね、そういう目的外、不当に目的外使用したというときに、仮に罰則をつけたとしてもですね、あまり罰則はもう意味がないんです。先ほど言ったように、ネットに出てしまうともう罰則が意味がないんですね。ですから、ここは厳しくする必要があって、やはり法曹資格を持った人に限定されるべきではないかなと考えています。

鴨志田参考人:
ありがとうございます。お答えします。もちろん、私も弁護士でございまして、被害者参加の代理人をした経験も、また性犯罪の被害者側の代理人をやったことももちろんあります。複数あります。そのような中で、被害者の名誉やプライバシーの保護の必要性があるということは、本当に身に染みて、私自身が実感するところではあるのです。
ただですね、それを理由として、何が問題かというと、一律に目的外使用というものを禁止して禁止してしまう、目的外の目的外が何なのかということとも、どうも、一昨日の答弁を聞いていると曖昧かもしれないという風に非常に危惧しています。供述調書を要旨であれば当たらない、全部を朗読すれば当たる可能性があるというようなやり取りもされていたように思います。
またですね、袴田さんの事件ではご承知の通り、5点の衣類のカラー写真、これが1年2ヶ月味噌に浸かっていたとは到底思えないという非常にビビッドな色だったということから、支援者さんが弁護士と一緒に実験を始めて、その色調がまったく違うということが、再審開始無罪に大きく動いた原動力になりました。で、一昨日の答弁の中で、その支援者さんに提供して一緒にその実験をやるということは、目的の範囲内であるという答弁があったかと思うのですけれども、一方で、その開示された証拠のコピーそのものをマスコミに提供すると、これは目的外使用禁止になるのだという答弁もまた別途あったように思います。
そうだとすると、実験をしました、その実験結果がこういう色になりましたという、茶色くなってたり黒くなってたりするものと、この元々の開示されたカラー写真の色がこんだけ違うんですという形でマスコミに公表しなければ、この実験の本当の価値は伝わらないと思うんですね。こういう色というようなものを、どうやって、じゃあ口で、口頭で概要説明することができるんでしょうか。それはまったくインパクトが違ってくるという風に思います。
ですので、私は、やはりその名誉プライバシー保護のためにはですね、他の法律で閲覧謄写の制限とか一部禁止といったようなものは、例えば少年審判規則等にもありますので、立法技術でそういったところを取り入れながら、一方で目的外は全部禁止というそういう包括的な要件ではなくて、どのような場合が、この禁止に当たるのかということをきちんと限定列挙するという形で、例えば、営利目的とか、まさにわいせつ目的とかいうようなところが列挙されているという形であれば、この両方の要請を満たすということができるのではないかと考えております。以上です。

おだけかい議員:
はい、ありがとうございました。もう1問、鴨志田参考人に聞きたいと思います。今言われたように、個別に列挙して、積極要件化と言いますか、具体的に書かれた上で、そういう場合に修正をされたとしてもですね、法務省との答弁の中で、通常審とのこのバランスをたびたび説明されております。
ここですね、通常審との整合性が問われるという点に関しては、どのような理解をすればいいと思いますでしょうか。

鴨志田参考人:
お答えします。そもそも論として、通常審における証拠の目的外使用禁止規定の合理性というものも議論されなければならないと思っております。とりわけ、国家賠償請求訴訟において、今取調べの録音録画を、まさにその警察や検察の違法を争うために、その刑事事件で開示された録音録画をですね、民事である国賠請求訴訟の証拠として提出するということが、目的外使用の禁止に当たるということで、両当事者が、要は元被告人側も、その取調べた警察や、検察も、みんな当事者はその証拠を知っているにもかかわらず、民事裁判の証拠として原告は提出できないというですね、こういう問題が現実にあります。これをやるためには、文書提出命令という別の申し立てをして、その決定にまた不服申し立てがされたりとかして、最高裁まで争われて、この証拠を提出するということだけに、民事訴訟で1年以上かかっているというような、こういう現実がありますので、目的外使用禁止規定が、通常審にあるから再審にも取り入れていいのだという前に、通常審の規定が、これでいいのかということを、是非とも一緒にお考えいただきたいと思います。
その上で、通常審の規定が仮にそのままであったとしたとしても、大きく再審と違うのは、審理の公開の有無です。通常の裁判は、公開の法廷で裁判が行われますから、証拠物は展示と言って、現物が法廷で出ます。そこには傍聴席に一般の方もいらっしゃいますし、マスコミの方もいます。しかし再審請求の手続は、ほぼ非公開で行われます。公開しちゃいけないというルールはないのですけれども、実際には公開を要しないということで、証人尋問であっても法廷に鍵をかけてわざわざ行うような運用がされております。となると、そもそもブラックボックスで請求手続が行われている、さらに証拠も、開示証拠も見ることができないとなったときに、この再審請求がどのように進んでいるのか、この開始決定が妥当かどうかということが、外から検証する機会がまったくもって奪われてしまうということは、通常審と大きく異なります。今回政府案の450条の2に、政府は抗告をした場合には、抗告をしたこととその理由を公表するという規定がおかれたと承知しております。しかしこれ、理由が公表されても、その新証拠が明白性があるかどうかということを一般の目で吟味をするという、そういう趣旨で公表するんだと思うんですけど、その明白な新証拠と認定されたものが開示証拠だったら見ることできないわけですから、公表されても何、何の判断もできないということになります。このような観点、公開というところとの関係でぜひ再審のところはお考えいただきたいと思います。以上です。

おだけかい議員:
はい。ありがとうございます。
次に、池田参考人に1問お伺いしたいと思います。 先ほどの陳述の中で、証拠提出命令制度については、再審制度の構造上、裁判所主体でありまして、今回の作られ方というかインカメラ方式で足りると、適切に運用されれば、それで事足りるというような説明を伺いました。 のちに、葛野参考人からは、福井事件を引用されて、夜のヒットスタジオの放映日との違いであったりとか、請求人が唯一の当事者であるというような意見がありました。また、鴨志田参考人からは、布川事件のテープが編集をされており、本人は例えば30分喋ったテープが短くなっていたらそれは気づくわけですけども、なかなか当事者でしかわからない部分があるというような、意見陳述を重ねられたように伺いました。
この点、のちのお二方の参考人の陳述を聞いて、今の構造上というか、インカメラ方式は、当事者は見えない形になりますが、どういった整理をされるかご見解をお願いいたします。

池田参考人:
お答え申し上げます。 再審請求審の審理が、裁判所が主体になって、再審理由の存否を判断する手続きであることから、 証拠の提出は一次的に裁判所に対してなされるべきだという考え方に変わりはありません。その上で、インカメラ審理に際しては、関連性が認められないかもしれない証拠も含めて点検した上で、そこで関連性の判断をするということで、一覧表の範囲も裁判所の指定する範囲とされてますけれども、それは関連性のかかる範囲に限られずにある程度幅広な指定をされるはずですし、その上で、この範囲でということがわかれば提出させたものは 請求人に見せられると。審理の対象となる以上、請求人が見ることができるということになります、その上で、証拠を分析することは十分可能であると考えますと、このような構造をとることが、請求人の主張の妨げになるという風には考えておりません。

おだけかい議員:
はい、ありがとうございました。 次に、もう1問池田参考人、鴨志田参考人にお伺いしたいと思います。 再審開始決定に対する、この検察官抗告のあり方について、お二方の意見が相反しているというか、対立しているように感じました。 池田参考人からは、すべて禁止となれば再審請求審が公判に場所を移すだけであって、判決にまた控訴すればまた結果として迅速化というか期間が短縮化されることにはつながらないというような意見を承りました。仮に期間としては同じだったとしたとしても、期間という軸だけで見れば一緒だとしたとしても、公開と非公開というこの違いがあるという風に思います。鴨志田参考人からは、大崎事件の引用をされまして、無実とアピールしたいのではなく、 満期服役し、まもなく99歳になろうとしている原口さんを、再審公判の法廷に立たせないのままで良いのかというような意見がありました。こういう方向で意見を言っていただくような形になるかもしれませんが、お互いのそれぞれの意見に対して、ご見解というか、ご所見ありましたらお願いいたします。

池田参考人:
はい、お答え申し上げます。 私は手続き保障が充実しているから公判に行くべきだという議論があることも承知しておりますが、 そうであれば、誤って再審請求を棄却された方についても、迅速かつ公開の法廷で、自分が救済を受けるべきものだということを主張させて然るべきであるようにも思われますが、どなたもそのようなことはおっしゃっておられず、棄却決定との関係では、再審請求審のフィルター機能は果たされている正当であるということが前提となっているように思われます。あくまで開始決定との関係だけで、それは 先に進めていい、誤っていたとしても先に進めていいのだとおっしゃっているわけですが、その結果、棄却決定にとどめられた方が、その方の立論の前提からすると不十分な手続き保障のもとで、複数回の抗告を強いられるということについてどのようにお考えになっているかということは、私の理解の及ばないところがございます。そうではなく、その上でさらに、再審公判というものは、相応の犯罪事実全体の立証を伴うものでありまして、先ほど上谷参考人のご意見にもあったように、今度は、証人尋問なども含めて、全面的な立証に至るわけでありまして、抗告審の対象が請求理由の存否という限られた範囲であるのとは異なりまして、相応のコストをかけるということでもあるわけです。そうなりますと、そのことは手続き全体の負荷となりまして、真に救済を待っている方々、その他の方々の審理を遅らせるという悪影響もありうるので、開始するかどうかの判断は、なお慎重にされるべきだという意見を持っております。以上です。

鴨志田参考人:
お答えします。 まず、再審開始決定に対する抗告、そもそも再審請求手続きというものが、通常の控訴上告と同じように、被告人と検察官がそれぞれが当事者して異なっているということを、前提にしていただく必要があると思います。
再審請求は、再審請求人のみが当事者であって、その再審請求の理由があるかどうかを裁判所が職権で判断をするという、職権主義の手続きであるということは、争いのないところです。
ではなぜ当事者ではない検察官が、これまで不服申し立てができるということになっていたのかというと、当事者性を根拠にした主張はないと思います。言われているのは、当事者ではないけれども、 公益の代表者として、再審開始決定が誤っているような場合には、その自分は公益の代表者としてこれを是正するのだという、公益の代表者を根拠に抗告論を展開するというのが多いように思います。
しかし、福井事件の例を見ればすぐわかる通り、証拠を一方で隠しながら、隠したまま再審開始決定に抗告をして、実際に再審開始決定を取り消させたという事例が現に存在するわけです。先ほどいくつか事件名だけは挙げましたけれども、袴田事件、それから免田事件、この福井事件、これすべて一度再審開始決定取り消された経験のある事件なんです。だとするとその元の再審開始決定は間違ってたのかと、間違ってたから公益の代表者に取り消されたのは当然なのだという話になるのかということなんですね。そうではないでしょうということです。
何度も言うように、再審開始決定というのは、有罪無罪の結論がそこで出るという話ではないです。色々と新しい証拠が出た結果、これまで通常審では出されていなかった新しい事実、新しい証拠が出たことによって、この裁判もう一度見難してみようよというレベルの決定です。それに対して抗告をするということは、例え話をすれば、コロナの、自分がコロナにかかってるかもしれないという人が、市販の検査キットで陽性と出た。これ市販のキットだからおかしいからもう一回別の市販のキットを試してみようって、そういう話には多分ならないと思うんですね。あくまでも中間的な仮の判断は、その後ちゃんと病院に行ってすればいいだけのことですから、これは、実際に、再審公判でやるということが、まさに司法の中での手続き全体の健全性につながると思います。これは時間の長い短いの話ではないということを改めて申し上げておきたいと思います。以上です。

おだけかい議員:
はい、時間になりましたんで終わりたいと思いますが、本日4人の皆様本当に本日はありがとうございました。終わります。


その日の午後に行われた質疑がこちらです


おだけかい(小竹凱)議員紹介

建設業界から政治へ飛び込んだ「金沢の若武者」

石川県第1区(金沢市)選出のおだけ議員は、1998年生まれ。石川工業高等専門学校建築学科を卒業後、大手ゼネコン「大林組」に入社し、建設現場の最前線で4年間汗を流しました。深刻な人手不足や担い手不足という建設業界のリアルな課題と向き合い続けた末に「政治を変えなければ現場は救われない」と一念発起、26歳で国政に挑戦しました。

学歴や肩書きではなく、ヘルメットを被って働いた「現場の経験」と「地元・金沢への愛」を武器に、2024年の衆院選で初当選、さらに2026年の衆院選でも比例復活で再選を果たしました。インフラ・建設・地方の雇用といった等身大の課題を誰よりもリアルに語れる議員として、国民民主党の「地に足のついた政治」を体現する存在です。

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