衆議院憲法審査会 議事録 2026年5月28日

■古屋圭司(憲法審査会会長)
これより会議を開きます。日本国憲法及び日本国憲法に密接に関係する基本法制に関する件について調査を進めます。本日は日本国憲法及び憲法改正国民投票法の改正をめぐる諸問題について討議を行います。この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず各会派1名ずつ大会派順に発言していただき、その後各委員が自由に発言を行うことといたします。それではまず各会派1名ずつによる発言に入ります。発言時間は7分以内とします。質問を行う場合、発言時間は答弁時間を含めて7分以内といたしますので、ご留意願います。発言時間の経過につきまして、概ね7分経過時にブザーを鳴らしてお知らせをいたします。発言は自席から着席のままで結構です。発言の申し出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。

■新藤義孝(自由民主党・無所属の会)
自由民主党の新藤義孝です。5月14日、21日と2週に亘りまして、緊急事態条項のイメージについての活発な議論が交わされました。これによりまして、各会派の意見が概ね集約できたという意味で「ピン止めされた論点」と、複数の見解があって「今後さらに議論を深めていく論点」とが整理をされ、議論の土台ができたことは大変良かったとこのように思っております。今後はこの土台をさらに具体化する作業に入っていく必要があるわけであります。私としては兼ねてより提案しております条文起草に関する取り組みについて、各会派の皆さんと相談し、実現を図ってまいりたいとこのように思っております。
本日は憲法改正の本体論議の中で、私なりに考えてる議論すべきテーマについて申し上げたいと思います。
まず、「9条」に関してであります。近年ロシアによるウクライナ侵略、中国の軍事力の増強、そして北朝鮮による核やミサイル開発の進展、緊迫する中東情勢など我が国を取り巻く安全保障環境が劇的に変化してる中で、国家の基本法にいついかなる時でも国と国民を守るための根拠規定を置くことの必要性、ますます高まってるという風に考えております。自衛隊の実際の活動については、2015年の平和安全法制の整備や2022年の防衛三文書の閣議決定で着実に体制を整備してきており、防衛三文書についてはさらなる改定に向けた議論が行われています。
これら一般法レベルでの法整備により、存立危機事態や重要影響事態における活動、財団法人等の保護措置などの整備が行われ、国の存立や国民の生命・財産を守るために必要なこの体制は完成しており、我が国防衛のための措置は必要かつ十分に行うことができる、このようになっておるわけであります。
しかし、この一般法の根拠となる憲法には、「誰がどのような手段で国を守るのか」というこの国家の最重要任務に関する国防規定が定められておりません。自民党が提案してる条文は、平和主義を定める9条1項・2項はそのままにして、新たに「9条の2」を規定しようとするものであります。 その中に、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つ国防規定を創設する、その担い手たる「自衛隊」を明記して、これに対するシビリアンコントロールの規定を設ける、こういった3つの要素を含めたわけであります。
自民党案はこれによって緊急事態条項の創設とともに日本国憲法のいわば未完成部分を補い、憲法を頂点とする国家の法体系を完成させようとするものであります。憲法改正の議論は賛成か反対かの2者択一ではなく、何のために行い、どのような効果をもたらすのかを国民の皆様にお伝するものにしなければならないと思います。例えば、自衛隊は、自衛のための必要最小限度の組織であって、持てる力の最小限度しか発揮できず、それでは不十分だという意見を聞くことがしばしはあります。9条の解釈論で使われる「必要最小限度」とは、我が国防衛のために必要な実力のことであり、我が国防衛のためであれば、それは全て必要最小限度の範囲内、必要最小限度の実力行使だということになるわけであります。 できないのは、自国防衛を超えて相手国を占領することや、自国防衛と関係のない局面での純粋国際協力の場面で武力行使をすることです。
自衛隊は必要最小限度のもと、国と国民を守りきるために必要かつ十分なことは全てできる。その状態になってることを丁寧に説明することが重要だとこのように考えています。同じように「自衛隊は国際的には軍隊だが、国内的には軍隊ではない。これは詭弁だ」という意見もしばしば聞かれます。 国の平和と独立、国民の生命・財産を守るために武力行使をする という点では、各国が持つ軍隊と自衛隊の役割は何ら変わることはなく、そのような定義であれば、自衛隊は国際法上も国内法上も軍隊と言える組織です。しかし、我が国の自衛隊は他国を占領しないであるとか、地獄防衛と関係のない純粋国際協力の場面で武力行使は行わない組織であり、この部分においては他国の軍隊とは違う面があるということだと思います。さらに、我が国の自衛隊はその行動が警察作用と位置づけられ、ポジティブリストで規制されている。他国の軍隊のようにネガティブリストによる行動規範になっていない。これでは警察組織と同じではないか、国防になるのか、といった意見もこれもしばしば聞かれるわけであります。確かに自衛隊がこれまで活動してきた災害派遣、海上警備行動、スクランブル発信といったものは警察作用に属する活動に位置づけられますが、それは他国の軍隊においてもこれらの活動は警察作用でございます。ポジティブリストで規制されているわけであります。
他方、幸にして、これまで一度も発動されていない防衛出動においては、自衛隊法88条2項の規定により「事態に応じ、合理的に必要と判断される限度を超えない限り、何でもできる」こととされております。 この点では、他国の軍隊と何ら変わらない活動を行うものであり、防衛出動においては文字通り、ネガティブリストに基づく活動を行うことになるわけであります。
次に、合区解消、地方公共団体に関する憲法改正の必要性について申し上げます。今後、少子高齢化人口減少がますます進み、都市と地方の格差が拡大していく日本社会のあり方を踏まえると、法の下での平等を謳う憲法14条に基づく1票の格差の問題に加え、地域の民意の適切な繁栄という民主主義の基本的な観点も重要だと考えております。選挙区の設定に関しては、この2つのバランスが大事と考えますが、合区については果たして地域の民意の適切なエリアとなっているのか、疑問の声が当該地域より上がっており、投票率にも影響が出ているとの指摘も聞いております。参議院における合区の解消議論は吃緊の課題であり、今後早急に議論すべき論点と考えております。こうした憲法改正の本体論議に加えて、手続き法である国民投票法の整備についても議論が必要だと思います。 投票環境を定める外形的事項に関しては、2019年と2022年に、悪天候による 離島で開票する際の、「開票立会人規定整備」「投票立ち会人の選任要件緩和」そしてAM放送に加えて「FMによる政権放送」という3項目の公選法改正が行われています。これらは国民投票法においても投票環境の外形的整備事項として、速やかに反映されるべきです。いわゆる国民投票法の3項目案は、衆議院解散により廃案となっておりまして、早急に再提出して法整備を行う必要があると考えております。
加えて国民投票の質の向上を図るため、令和3年の国民投票法改正の際には、附則4条で検討条項が設けられており、この議論を深めることも当然です。以上、今後議論すべきテーマの一端について申し上げましたが、何のテーマにするにせよ、ある程度絞って集中的に議論することが重要と考えます。次回のテーマをどうするかは本日の討議を踏まえ、筆頭間協議を行い、幹事会で決めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ありがとうございました。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
次に階猛君

■階猛(中道改革連合・無所属)
中道改革連合の階猛です。本審査会では、このところ緊急時の議員任期延長のイメージ案を中心に議論が進んでいます。その願目は、いついかなる時も国会機能を維持することであると承知しています。しかし、國重筆頭も指摘している通り、国会機能の維持については、発生確率が極めて低い緊急事態のみを想定するのではなくて、通常自体も想定して議論を深めるべきです。この議論の必要性と重要性は過去1年の国会の動きを見ても明らかです。 昨年は物価高が進む中で、実質4ヶ月も臨時国会が開かれず、自民党は党内政局に明け暮れていました。また、今年は任期を2年8ヶ月も残して、通常国会の冒頭に衆議院が解散され、真冬の厳しい天候の中、800億円以上の巨額の経費と関係者の膨大な労力を費やして総選挙が執行されました。結果、本予算の審議入りが2月末と例年より1ヶ月も遅れ、イラン情勢への対応も後手に回りました。この1年、国会は十分に機能したとは言ません。 このような国民の生活にとって望ましくない国会の空転を避け、国会の機能を十分に発揮するため、通常時の臨時国会の召集期限の設定や解散権の行使の制限については、緊急時の議員任期延長とセットで検討すべきです。私からそのうち「解散権の制限」について議論を深めるべく、制限を要する4つの根拠と、考えうる3つの制限の方向性を述べたいと思います。
根拠その① 解散は首相の専権事項という巷に流布する言説と憲法の明文規定との間には大きな乖離があること。解散は首相の専権事項という言説は、1980年代から新聞等で見られるようになりました。ここから解散について首相は嘘をついていいとか、首相は最も効果がある時に解散してもいいというナラティブが生まれたようです。しかしながら、憲法の明文規定を素直に読む限り、首相はもちろん内閣の解散権すら明らかにされていません。69条は「不信任案の可決等があった場合につき、内閣は衆議院が解散されない限り総辞職しなければならない」とし、解散権の所在を定めてはいません。また、7条は衆議院を解散することを天皇の国事行為としており、内閣にはその際の助言と承認権限を与えたに過ぎません。いついかなる時でも国会機能を維持したいのであれば、解散は首相の専権事項と強弁し、いついかなる時でも解散権を行使できるようにするのは矛盾です。 この矛盾を解消するためにも、内閣の解散権を制限するための法規案を憲法または法律に明記する必要があります。
根拠その②  解散権の乱用に対し、司法による事後的な是正が期待できないこと。1960年の苫米地事件最高裁判決は「衆議院の解散は極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為である」と述べ、違憲審査権を放棄しました。以降、裁判によって解散が無効になるという社会的、政治的混乱を恐れることなく、自由かつ大胆に解散権が行使されるようになりました。その分、解散権の乱用乱発で国会機能が停止する危険が高まっています。
解散権の乱用に対する司法の事後的な是正ができない以上、裁判で争いようのない解散権の行使に関する明確なルールを憲法や法律で定め、解散権の乱用を牽制ないし、抑止するべきです。
根拠その③ 主要国においても首相の解散権を制約する例が多いこと。立命館大学法学部の小堀教授によれば、2021年時点でコスタリカを除くOECD加盟の37カ国中、解散権がない国が米国など7カ国、解散を制限する国がドイツなど10カ国、残りの20カ国は大統領や首相に解散権限があるものの、制度として定着しているのは日本を含め、わずか4カ国に過ぎません。 民意で選ばれた議員の身分を尊重し、国会を機能させる考え方が世界の主流であるということを指摘しておきます。
根拠その④  公平適正な選挙を担保する規定がないこと。前の総選挙は解散から投票まで 戦後最短の16日間しかありませんでした。これでは候補者は十分な選挙準備ができず、有権者も十分な判断材料を得て、熟慮の末に投票先を選ぶことは困難です。憲法54条1項は解散から40日以内の総選挙実施を定めますが、解散から投票まで最低何日の間隔を置くかについて定めがありません。 公平適正な選挙運動を担保するという意味で、極めて不都合です。また、議員任期延長のイメージ案では、選挙困難事態の事前承認のため、解散で全国に散らばった前の衆議院議員を国会に招集することになっています。前の総選挙のように解散直後に総選挙が始まる場合、それが実務上可能なのか疑問です。 緊急時の国会機能の維持という見地からも、解散から投票までの期間は一定程度間隔を開けるべきです。 以上を考慮しつつ、解散権の制限の方向性につき、いくつかの案を述べます。
方向性その① 憲法上、衆院解散の場合を極力限定する。 衆議院の解散中に緊急事態が起き、国会が機能しないリスクを問題視するならば、そもそも衆議院が解散されるケースをできるだけ少なくするべきです。そこで、例えば憲法に明文がある、内閣不信任案可決等の場合に解散を限定する方向性がありえます。これに対し、国政の重要問題につき、民意を問うという解散の民主的機能を重視する立場から批判が想定されます。国会機能の維持と、直接民主主義の両立を図る解決策として、国民の代表からなる国会が必要と判断した場合、特別多数の賛成によって自律的解散をできるようにしたり、憲法改正案以外の重要問題の賛否を問う一般的国民投票の制度を設けたりすることも考えられます。
方向性その② 憲法上、内閣が解散権を有することを前提に、「行使できる場合」を限定列挙する。解散権の乱用乱発を防ぐ上で一定の効果は期待できますが、司法府の事後的是正が期待できない以上、究極的にはやったもの勝ちとなってしまい、国会機能の維持がないがしろにされる危険があることに留意が必要です。
方向性その③ 法律上、内閣から国会への「解散事由の事前説明義務」と解散日から投票日までの「最短期間の定め」を置くこと。解散権の乱用乱発を防ぐ上で、ある程度の効果が期待できるとともに、公平適正な選挙の実現にも資するものです。なお、この案は他の案と併存可能です。 以上で解散権の制限につき発言を終わりますが、本審査会で議論が深まることを期待して私の発言を終わります。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
次に馬場伸幸君

■馬場伸幸(日本維新の会)
日本維新の会馬場伸幸です。 この4年あまり本審査会でメインテーマとなっていた緊急事態条項について、議論の集大成たるイメージ案を巡る討議を2回にわたり行い、大きな方向性が見てきました。 先週の本審査会で我が党の阿部圭史委員が述べた通り、選挙困難事態における国会機能維持のための議員任期延長等、おおむね合意を得られると見なされる「ピン留めできる部分」については、一定の結論として仕上げに歩みを進めることが肝要です。 可及的速やかに条文起草委員会を常設し、イメージ案をベースに改正条文案の作成に入ることを改めて強く求めます。また、「緊急政令」「緊急財産処分」等、なおも煮詰める必要がある部分については、条文化作業と並行して議論を続け、最適解を見出していくべきです。 全会派にご賛同、ご協力を切に求めます。
その上で、緊急事態条項の条文化作業に合わせ、本審査会で次回以降、向き合うべき事項について述べさせていただきます。
第一に、緊急事態条項と同様、喫緊の項目である本丸の「9条」を次の主要テーマに据えて、集中的に討議を行い、正案を得るべきだと考えます。我が党は昨年10月の連立合意に基づき、自民党との間で「緊急事態条項」と「9条改正」の憲法改正条文起草協議会を設置し、それぞれ、条文案策定に向けた議論を進めていますが、本審査会での今後の討議において、「9条」に軸足を置き議論を重ね、改正を是とする会派間の溝を速やかに埋めていく作業が不可欠です。 我が国を取り巻く現状の厳しく複雑な安全保障環境を受け、日本維新の会は昨年9月、「21世紀の国防構想と憲法改正」という提言書をまとめ、9条2項削除による「集団的自衛権の全面容認」「自衛権や国防軍の明記」などを打ち出しました。 もはや憲法への「自衛隊」の明記だけでは、国家国民を守り抜くことはおぼつかないとの判断からです。GHQが日本の非武装化を狙って作った現行憲法は時代の要請を受け、自衛権行使のための必要最小限度の実力は保有できるという曲芸的な解釈変更が施されました。 そこで約72年前に誕生したのが「戦力なき自衛隊」です。 国防組織なのに憲法上は軍隊ではない。 歴史上類を見ない究極の矛盾です。 自衛隊はこのままでは張り子の虎に過ぎません。周辺ではウクライナ侵略を続けるロシアに加え、中国も軍備増強にひた 走り、日本有事に直結する台湾有事の生起が現実味を及び、北朝鮮は弾道ミサイル発射を繰り返しています。これら核を持つ専制独裁国家に囲まれながら国の根幹をなす最高法規に安全保障上の危機を乗り切るだけの実効性が担保されていないことは明白です。 NATO諸国やフィリピンなど、米国と同盟を結ぶ日本以外の国々は、フルスペックの集団的自衛権行使を前提に、相互防衛を約束しています。 国力差があっても法的に対等に守り合う関係が世界の同盟の常識です。 9条1項は「人類の不戦の戦い」と「侵略戦争の禁止」を謳う国連憲章と同旨であり、人類の金字塔ですが、日本の非常識性は陸海空軍その他の戦力を持てず、国の交戦権を認めないとする屈辱的な9条2項の規定にあります。
戦争が起こっても国のために戦いません。 と丸腰ノーガード状態を宣言したに等しく、国際法上、主権独立国家に認められている全面的な集団的自衛権の行使も禁じられています。 9条2項を甘受し続ける惰弱な日本に対し、周辺の独裁者たちはさぞ、ほくそ笑んでいることでしょう。 このまま迂回路に逃避し続ければ、日本は一層危機に瀕するだけです。 このあり様に対し「早い話、北朝鮮が拉致被害者を返すのだろうか」と谷口智彦元内閣官房参与が先日の産経新聞コラムで嘆いていましたが、全くの同感です。 憲法違反だからと座して死を待ったり、困ったら米国にすがりついたりするのは、まともな国の振る舞いではありません。 自衛隊を軍として明確に位置づけるために、真剣に憲法改正の実現に向かうべきです。 このまま放置している暇はありません。
9条改正論議も加速させ、可及的速やかに条文起草委員会を設置し、条文化の作業に着手することが立法府の重大な使命・責務です。
世界各国の憲法研究の泰斗である駒沢大学の西修名誉教授は、「『平和』『国防』『国家緊急事態対処』の3点セットを憲法条項として導入することは世界の憲法常識であり、緊急事態条項と9条改正は一体だ」と主張されています。 そうであるのに、ここに来て改憲勢力とされる会派の間では、参議院選挙の「合区の解消」を優先すべきだという声が大きくなりつつあります。我が党は先週、阿部委員が表明したように、これに与する気はありません。
そもそも「緊急事態条項」と「9条」を差し置き、平時の選挙のための「区割りの見直し」に駆け込もうとする姿勢には、疑念を抱かざるを得ません。 無論、1票の格差是正が重要である点は共有していますが、選挙どころではなくなる可能性を孕む国家的有事への対応整備が死活的に重要な1丁目1番地であるときっぱり申し上げておきます。
一方こうした憲法本体の議論と共に、車の両輪をなす国民投票に関わる諸課題を巡る議論も、双方パラレルで真摯かつ速やかに進めていくことも不可欠です。 具体的なことは2巡目に意見を述べる池畑浩太朗委員に託すこととし、私の発言を終わります。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
次に飯泉嘉門君

■飯泉嘉門(国民民主党・無所属クラブ)
国民民主党の飯泉嘉門でございます。国民民主党では前回、玉木代表から意見表明をいたしました。 改憲項目につきましては、衆議院で一定の積み上げがやられております緊急事態・選挙困難時における「議員の任期の延長」について、また参議院において、大変に今議論が進んでおります「合区の解消」いわば、これら選挙制度に関わるつまり、民主主義の基盤整備、この2つのテーマ、こちらを優先すべきとこのように考えております。
本日はそのうち参議院の「合区の解消」について意見を表明をさせていただきます。
私は全国知事会を代表いたしまして、平成28年11月この「合区解消」のための憲法改正並びに法律改正こちらの案を取りまとめ、衆参議長また憲法審査会会長、さらには各党の代表の皆様方に説明をさせていただくとともに、参議院改革協議会の参考人招致、こちらにも応じさせていただきました。
さて、平成28年7月の10日、憲政史上初となる参議院通常選挙を合区によってなされたところであります。
では、これによって何が起こったのか? 鳥取県からは参議院を出すことができず、3年後は鳥取県から参議院議員がいなくなってしまう。 絶望にも近い声が聞かれたところであります。 また、投票率、高知県が全国最下位、徳島県がブービー、さらに徳島県はその後、昨年の選挙まで全て最下位となったところであります。
では、どうしてこんなことが起こってしまったのか?であります。 実は、従来「1票の格差」こちらを巡る訴訟いわゆる定数訴訟が提起された場合、例えば5倍を超える場合であっても、「合憲」の判決が下されました。 その根拠となったのは、昭和58年4月27日の最高裁大法廷の判決についてであります。 こちらのポイントでは、憲法が「二院制」こちらを採用してることを踏まえ、政治的なまとまりを有する都道府県を単位、例えば医師会、弁護士会、経済団体などあらゆる団体組織、こちらが都道府県単位で政治的合意を形成をしており、参議院が独自の選挙制度には合理性があり、事実上、都道府県代表的意義を有していたとしても、議員が国民の代表的性格 これを持つこととは矛盾をしない。 例え、投票の価値の平等、こちらを一定の限度で譲歩を求められたとしても、こちらは憲法違反とは言えない。 このような判決でありました。
しかし、この判決が覆ったのが平成22年7月の参議院選挙にかかる定数訴訟であります。 衆参のねじれ国会を受けて、参議院が衆議院とほぼ同等の権限を持つことを指摘をされ、投票の価値格差5.00倍、こちらは違憲状態とされ、立法府に対し「違憲状態を速やかに解消すべきである」 強く求められたところであります。
ポイントとしては、憲法上、都道府県の位置付けがないこと、国・地方との関係において、都道府県の役割も明文化をされていない、 よって、「投票の価値の平等」という憲法上の原則を優先すべきとのことでありました。 この要請に立法府が対応したのがこの「合区」でありました。 ただし、皆様方、是非覚えておいていただきたいと思います。 つまり、この「合区」は緊急避難措置であるということ、10年経った今もなお改善されていないことを決して忘れないでいただきたいと思います。 まさに立法府、その怠慢との誹りを免れないところであります。
しかもこれを追い打ちをかけるのが5年ごとの国勢調査であります。 明日5月の29日、令和7年の国政調査が総務省の方から速報値として発表がなされ、既に前回、国政調査では福井県を基軸とする1票の格差は違憲状態の3倍を超えたところであります。 そこで今回、福井県とその次になる山梨県は、ほぼ合区対象に当確と言っても過言ではない。そして、これらはしかも飛び地となっていることから、福井県は例えば隣接をする石川県と、山梨県は隣接する長野県との合区が濃厚となります。しかし、これまでの4県はほぼ人口が同じであった。しかし、これらの組み合わせは人口比が約2倍。 つまり福井県と山梨県から参議院議員は出すことが困難となり、新たな合区となる福井県・山梨県では投票率が激減することは必至となるところであります。
まさに「合区」は、国民が選挙に参加しづらくなる、国民主権に抵触をしかねない制度、今こそ憲法に都道府県を位置づけ、また参議院の特色を地方の府として明記をし、合区を解消すべきであります。
さて、これまでの審議と5月24日行われました NHKの「日曜討論」を拝見して、以下2点申し上げたいと思います。
まずは「合区の解消」には法改正のみで十分である、 このご意見であります。 全国知事会におきましても、憲法付属法と言われる国会法の改正、あるいは定数増や大選挙区制限連記制など、「公職選挙法の改正」こちらを提案をいたしましたが、違憲訴訟あるいは国民の皆さん方のつまり世論の批判、免れ得ず、結果としては憲法改正しかないのであります。
また維新の皆様方に是非この機会でお聞きをしたいと思います。 先ほども「合区」 こちらは優先課題ではない、このように言われておりますが、かつて全国知事会で「合区解消」の決議を私が取りまとめる際、当時の大阪府・松井知事さんの方から「反対である」この表明がなされ、その理由として「国会は一院制であるべき。 また、行政の無駄をなくすために、都道府県ではなく大括りである[道州制]こちらを導入すべきであり、合区はその一里塚」とのことでありました。しかし、現行憲法上は二院制であり、未だ道州制もあるいは導入されていないところであります。 是非、次回ご説明をいただければありがたいと思います。 合区の制度は投票率の激減から対象県の国民の参政権に大きな支障をきたし、憲法三大原則であります国民主権を揺るがしかねず、都道府県間に大きな格差を生む制度であります。 しかも国政選挙の改正、周知期間は1年間。よって来年の7月までには憲法改正がなされなければ、次回の参議院選挙は再び合区、いや、対象県を増やしての合区となります。 これで良いのか、我々はまさに今、問われているところであります。どうぞ憲法改正での「合区解消」に是非ご協力をいただきたいと思います。以上でございます。 ありがとうございました。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
次に和田政宗君

■和田政宗(参政党)
参政党の和田政宗です。 今回は憲法審査会における議論のテーマ出し討議ということで開かれていますが、参政党は改めて、憲法を1から国民の手で作り直す「創憲」を提起します。 現行憲法は国民の自由な意思で作られていません。 占領下におけるGHQ草案が元になっており、原案を書き上げたのはGHQです。日本国憲法はGHQの作った草案に基づいて主権が制限されている状態の中、占領下で制定されたものであり、国民の自由な意思に基づいて作られたものではありません。また、憲法についての国民投票も1回も行われていません。そして、現行憲法には外国の侵略から国を守る仕組みが備わっていません。 自らの国を自らが守る体制になっていません。 自国の独立を外国任せにすることはそもそもあり得ず、自らの国の独立を国民の手で守る憲法が必要です。
日本の憲法が未だに、占領時代に外国の草案に基づいて作られたままで国の独立を守れるか、疑問符がつく内容となっているものを根本から変えるべきです。
当憲法審査会においては、前2回において「緊急事態条項」をテーマに議論が行われましたが、選挙困難事態における「議員任期延長」が中心でした。議員任期の延長を規定する憲法改正については、有事や大災害等に国家としてしっかりと対応できる憲法とする本質論の憲法改正でなく、「これならやれる」というところから入っているのではないかとの疑問を持っています。 衆議院解散後の大災害や参議院議員選挙も同時に行われる衆参同日選を控えた中での大災害により選挙の実施が困難であっても、参議院議員の半数124人は国会議員として存在し、緊急集会も開くことができます。 緊急集会でどこまで決めることができるのかの整理や、衆参両院同時活動の原則は合理的なのか、こだわるのか、という観点の議論が当憲法審査会において必要だと考えます。
憲法54条2項は「衆議院が解散された時は参議院は同時に閉会となる。 ただし、内閣は国に緊急の必要がある時は参議院の緊急集会を求めることができる」となっていますが、衆議院解散時でも参議院は開会できるとの憲法 改正を行えば、参議院により国会審議は保たれることになり、緊急集会も不要となります。 このように議員任期の延長が必要かどうかについては、他の改正方法を検討し、憲法全体を見直す中で議論すべきではないでしょうか。 このような「議員任期の延長」といった各論では付け焼き刃的改正であり、真に有事や大災害等に国家として対応できる憲法とはならないのではないかと考えます。
緊急事態対応については、「9条改正」とセットで議論しなければ真に国家国民を守る憲法を改正になりません。
さらに「憲法9条」については根本改正の議論が必要です。現行憲法に「自衛隊」を明記するだけでは不十分であると考えています。 現状維持のまま自衛隊の存在を記すだけでは、国防体制の強化になりません。 現状、自衛隊の行動はポジティブリスト方式で雁字搦めに制限されており、他国の国防軍のようなネガティブ方式になっていません。自衛隊のポジティブリスト/ネガティブリスト問題が解決しなければ「事前に決められたできること」だけに拘束される、あくまで警察権の延長の組織でしかなく、「やってはならないこと」を定める各国の国防軍とは大きくかけ離れた組織を憲法で担保するだけになります。これでは何も変わりません。
米軍の駐留が続き、国防における米国依存は変わりません。 ですから、根本的な国家としての国防のあり方を議論し、真に国土と国民を守れる憲法とすることの議論を行うべきであると考えます。
先ほど自民党筆頭理事から国防についての「9条」の解釈、また、ポジティブリスト/ネガティブリストについては、自衛隊法も併せ、解釈について説明がありましたが、内閣法制局資料『憲法関係答弁例集(第9条・憲法解釈関係)』は500ページを超えています。様々な解釈が生じる憲法条文でなく、読めばわかる、 明確に国家・国民を守れるという、根本的な9条改正が必要です。
参政党は日本国憲法を部分的な改正ではなく、根本的に前文からもう1度、国民が自分たちで考え、1から作り直す必要があると考えています。 現行憲法の前文は「て、に、を、は」が日本語としておかしいですし、国体や国柄、日本人の精神性や我が国の伝統文化に基づいたものになっていません。 前文についても改正の議論が必要と考えます。 さらに、参議院の憲法審査会で重要項目として審査が続いている「合区の解消」について、衆議院憲法審査会で深い議論を行うことを提起をいたします。 地方の声が失われることなく、しっかりと地方の声が反映される国会を改めて築くことは喫緊の課題であると考えます。「合区解消」については憲法上どのように規定するのかということが重要ですが、参政党は基本的に賛意を示します。衆議院憲法審査会において、「合区解消」の議論を深めることが重要です。
最後に、改めて「緊急事態条項」の議論について申し述べます。
緊急事態の対象範囲が「大規模自然災害」「感染症の大規模満延」「内乱等による社会秩序の混乱」「外部からの武力攻撃」「その他これらに匹敵する事態」となっていますが、「感染症の蔓延」との文言が入っている限り、参政党は反対をいたします。さらに緊急事態の対象範囲とされている「その他これらに匹敵する事態」も定義が曖昧であり、恣意的な事態認定が排除できず、参政党は懸念を持っています。
憲法は国の最高法規ですから、要件を厳格に書き込むべきと考えます。こうしたことを含め、現行憲法の一部手直しではなく、私たち日本国民が自らの手で外国語の翻訳ではない 正しい日本語で憲法を書き、諸課題を解決することが真の独立国として問われていると考えます。参政党は先月から憲法タスクフォースを党内に設置し、憲法を国民の手で1から作り直す「創憲」に向け、さらなる作業を始めています。 昨年発表した『新憲法草案』をさらに高め、党員のみならず国民が積極的に議論に参加し、国民が作り上げる真の日本国憲法の作成に入っております。 衆議院憲法審査会においても、真に国家・国民を守るための憲法を1から作り上げる「創憲」を提起します。 以上です。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
次に古川あおい君

■古川あおい(チームみらい)
チームみらいの古川あおいです。 本日は今後の議論のテーマ設定について申し上げたいと思います。 前回までは「緊急事態条項」について議論してまいりましたが、こちらは論点も多岐に亘り、各会派内での議論にもなお時間を要すると考えられる中、並行し、本審査会で合意形成が可能と思われる論点をまず取り上げ、議論を前に進めていくことが有効ではないかと考えております。 その立場からチーム未来としましては、本審査会の議論テーマとして3点ご提案させていただきます。
「投票環境向上」「国民投票法」そして「オンライン国会」の3点でございます。これらはいずれも「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という三大原理を堅持した上で、立法事実に基づいて議論を積み上げるという党の基本姿勢に沿うものであり、また会派の意見の別を超えて議論することができる論点であると考えております。 これらは別個の論点ではなく、災害、パンデミック、人口減少といった制約下でも民主主義を止めずに動かし続けるための制度整備という共通の問題意識で繋がっているものでもございます。
「投票環境向上」と「国民投票法」は主権者である国民が意思を表明する仕組みを整備するもの。
「オンライン国会」は国民の意志を法律に変換する国会自身が有時平時を問わず、機能し続けられるようにするもの、と整理することができます。
第一に「投票環境向上」について申し上げます。「緊急事態条項」の議論が選挙ができない事態に備えるという性格を帯びている以上、平時においても投票が困難な方が現に存在するという現状に向き合うことなしに、緊急時の任期延長などを語ることには問題があると考えております。 在外法人の方、離島居住者の方、施設入所者の方、障害のある方など現行制度の下でも実質的に投票アクセスが確保されているとは言いがたい方が存在することは、各種データや参考人質疑でも繰り返し確認されている共通認識でございます。 直近の衆議院議員選挙では、積雪により投票所への来場が困難になった地域もありました。 また、自治体の職員数の減少に伴う投票時間の繰上げや投票所の減少が現に進行しております。 この点について、具体的に議論すべき点としましては、「在外投票の制度的課題」「国内における共通投票所や移動投票所などの運用改善」そして「電子投票、インターネット投票などの検討」が挙げられます。 これらの取り組みは選挙制度そのものの強靱化により、選挙困難事態の発生リスクを下げることに直結するものでございます。 「投票環境の整備」自体については、立場が割れる論点ではないと考えております。 続いて申し上げる国民投票法の改正三項目案も投票環境整備の延長線上にあり、本テーマと一体的に議論することが可能でございます。
第二に、「国民投票法」について申し上げます。 改憲に対して、推進/慎重 いずれの立場であっても、主権者である国民の意思表示手続きの公正性は共通の前提として整備されるものでございます。 令和3年改正法の附則において、施行後3年を目処に検討を加えることとされた論点、すなわち「広告放送やインターネット有料広告の制限」「運動資金の規制」「インターネット利用の適正化」につきましては、検討期限が次にすでに経過しております。 また、三項目改正案すなわち「開票立会人」「投票立会人」「FM広報放送に関する改正案」は令和4年に自民・公明・維新・有志の会から共同提出されましたが、令和6年の衆議院解散により廃案となっている状況にございます。 「国民投票法」について、具体的に議論すべき論点といたしましては、三項目改正案の早期解決、附則第4条第2号に関する事項の実質的検討、また、生成AIによる偽情報や誤情報への対処・手続きと、中身の切り分けが必要だと考えます。 三項目改正と附則第4条第2号の議論を切り離さずに平行で進める形につきましては、中道改革連合の泉委員、国民民主党の浅野委員からもご提案があったところでございます。
生成AIにつきましては、近年状況が急速に変化しており、ネット適正化規制の議論のアップデートが必要であり、技術的観点からも具体的な検討が必要であると考えております。 「憲法論議の進み具合に関わらず、国民投票の公平性の確保は、主権者の権利の保障の問題として独立に整備する必要がある」という論理については、会派を超えて共有可能なものではないかと考えております。
第三に、「オンライン国会」について申し上げます。 前回5月21日の本審査会において、高階委員より「オンライン国会」について、平時においても有益、また緊急事態における国会機能を維持するため、有効かつ重要な手段の1つとのご認識が示されました。 併せて、憲法56条1項を改正してオンライン国会を明文上認めることが必要かどうか、 また「停電や通信の途絶」「採決時の本人確認」「不正アクセスや改ざんへの対策」など、具体的な実務上の課題についても重要なご指摘をいただいたところでございます。
チームみらいといたしましても、本指摘の重要性並びにその基本姿勢に賛同いたします。 これらの論点を本審査会で具体的に深めていくことは非常に価値のある作業であると考えております。経緯を改めて整理いたしますと、208回国会コロナ禍期における憲法56条の「出席の概念」の議論は、論点の説明から集中討議、参考人質疑、総括討議までの段階を踏み、緊急事態が発生した場合等においては機能に着目して「オンライン出席も含まれる」との見解を、各会派の体制として取りまとめ、衆議院議長に報告した経緯がございます。 一方で議員自身のオンライン出席を可能にする衆議院規則の改正には至らず、本会議のオンライン審議は実現しないままになっております。参考人のオンライン質疑を可能とする衆議院規則の改正は実現しており、昨年5月には衆議院安全保障委員会において、米国在住の参考人へのオンライン質疑が行われました。 委員会ではこのように部分的に運用が始まっているものの、本会議及び議員自身のオンライン出席という部分は宿題として残されている状況です。 緊急集会や任期延長の議論と並行して、現行憲法の下で可能な対応を尽くすという選択肢を整理することは、改憲議論そのもの前提整理としても不可欠であると考えております。
以上、3つのテーマについて申し上げてまいりました。 これら3つのテーマはいずれも困難な状況下においてもいかに主権者の意思を反映する民主主義を成立するか、成立させ続けるかという問いに対する具体的な検討項目でございます。 改憲か護憲かという2択ではなく、論点ごとに必要な具体的根拠を精査するというチームみらいの基本姿勢に沿って、この審査会において取り上げていただきたいと考えております。 以上でございます。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
次に畑野君枝君

■畑野君枝(日本共産党)
日本共産党の畑野君枝です。 今日は、国会は憲法問題をどう議論すべきかについて、いくつか意見を述べます。 私はこれまで国民の多数が改憲を求めていない中で、国会の側が改憲をあおり、国民に押し付けるような議論はやめるべきだと主張してきました。憲法99条は「天皇または摂政および国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負う」と定めています。 これは憲法に反する現実に対し、憲法の実現を確保させ、国民の基本的人権を守り、立憲主義を徹底しようというものです。 この立場から憲法の原理原則を現実の政治に生かすための議論を、予算委員会や各常任会の場で行うことこそ、私たち国会議員が果たすべき責務だということをまず強調しておきたいと思います。
その上で、憲法に反する現実の政治の問題で問われているのは、憲法9条に反して、自民党政権が「軍事強化」と「戦争する国づくり」を進めてきたことです。安倍政権は2014年に、それまで歴代の自民党政権も憲法9条の下で認められないとしてきた「集団的自衛権の行使」を一辺の閣議決定で容認し、安保法制を強行しました。 さらに岸田政権は2022年に策定した『安保三文書』で「敵基地攻撃能力の保有」を明記しました。 政府は今年3月に国産の長距離長射程ミサイルの配備を強行し、そして米国製の長距離巡行ミサイルトマホークの配備を進めています。 2023年には、次期戦闘機の第三国への輸出を容認し、今年4月には殺傷兵器の輸出を全面的に解禁しました。 世界の紛争を助長し、武器輸出によって儲ける死の商人国家への道を突き進むものです。 そもそも武器輸出禁止の原則は、国会での議論の積み重ねの上に、衆参両院の全会一致で、その国会決議で確立した憲法の平和主義に基づく国是です。 時の政権の恣意的な決定で覆すなど到底許されません。
さらに高市首相は、今年中の安保三文書の改定を明言し、アメリカのトランプ政権の要求に応え、軍事費をGDP比3.5%に増額するための議論を進めています。 日本国憲法の平和主義を蹂躙し、軍事強化のために国民の生活を踏みにじろうというもので、断じて認められません。
憲法9条が求めているのは、絶対に戦争を起こさず、徹底した外交努力で争い事を解決することです。今こそこの9条の精神が世界の平和のためにも求められています。 それは、イラン戦争を終わらせ、国民の暮らしを守るためにも極めて重要です。
今、「憲法9条を守れ」の声が大きくなっているのも、そのことを国民が求めているからです。 憲法9条の生命力を世界中に発揮することこそ求められています。
もう1つ、憲法が保証する「基本的人権」を巡って指摘しておきたいのは、再審法と冤罪の問題です。 冤罪は無実の人を長期間にわたって、その自由を奪い、個人の尊厳も名誉も蹂躙する国家による最大の人権侵害の一つであり、絶対に許されません。 日本国憲法は世界に類を見ないほど、詳細な刑事手続きの保証を定めています。 それは、戦前の明治憲法下で多くの国民を不当に弾圧してきたことへの反省によるものです。 明治憲法は国民の刑事手続きに関する人権保障を欠いており、そのもとで検察や警察による自白の強要や長期間の拘束が横行し、多くの無実の国民が処罰されました。 とりわけ治安維持法の下で特攻警察による拷問や脅迫により、国民を厳しく弾圧し命を奪ってきました。 この教訓から日本国憲法は18条で「人身の自由」を保障し、31条から40条に至るまで10か条に亘って刑事手続きについて定め、公正な手続きの保障、公平迅速な裁判を受ける権利、自白の強要や拷問脅迫の禁止など、詳細な人権保障を規定しています。 冤罪を許さないことを徹底して求めているのです。 にもかかわらず、自白の強要や人質司法、証拠の捏造などは横行し、冤罪が繰り返されてきたことは極めて重大です。 その上、冤罪被害者を救済するための再審開始を不当に引き延ばすことは幾重にも許されることではありません。 袴田巌さんは、冤罪を晴らすまでに48年もの間、不当に拘束され、死刑囚として過ごした34年間、死刑執行への恐怖を強いられました。 このような人権侵害を二度と繰り返してはなりません。 憲法の精神に基づき、冤罪をなくすための徹底した審議を行い、再審法を抜本的に改正することが国会に求められているということを強調して発言を終わります。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
次に委員各位による発言に入ります。発言を希望される委員はお手元にある名札をお立ていただき、会長の指名を受けた後にご発言をください。発言は自席から着席したままで結構です。なお、発言の際には所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いいたします。 発言が終わりましたら名札を戻していただくようお願いいたします。 また、幹事会の協議に基づき、発言時間は5分以内といたします。 質問を行う場合、発言時間は答弁時間を含めて5分以内といたしますのでご留意を願います。 発言時間の経過につきまして、概ね5分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。 それでは、発言を希望される委員は名札をお立てください。 それではまず星野剛士君

■星野剛士(自由民主党・無所属の会)
自由民主党の星野剛士です。 先ほどの新藤筆頭幹事のご発言を受け、私からも本審査会において、今後議論すべきテーマとして、「緊急事態条項」及び「憲法9条自衛隊明記」について意見を述べさせていただきます。
まず、「緊急事態条項」についてです。 本審査会では毎週開催が定着したこの4年間の多くの時間をこのテーマの議論に費やしてきました。 今国会においても、5月14日には緊急事態条項のイメージが示され、先週の審査会ではイメージについての深掘りした議論がなされました。 その結果、多くの論点について、ピン止めができ、議論の土台ができたものと認識をしております。今後はこの土台を元にして残された論点と詳細な制度設計について詰めていくために、速やかに条文起草に向けた作業を進めるべきだと思います。兼ねてより私どもが提案をしております条文起草委員会も含め、さらに作業を加速させるべきと強く提案をいたします。
次に「憲法9条」についてです。 本審査会では、究極の緊急事態は国家有事であるという観点から、9条に関する議論が積み重ねられてまいりました。 我が党の憲法9条議論の基本姿勢は、9条1項・2項をそのままに、平和主義の精神を尊重し、「9条の2」を新たに追加しようとするものであります。 国の最大の責務は、いかなる場合においても、国民の生命と財産、領土や主権を守り抜くことであります。 この国家の最重要任務である国防規定が憲法に全く存在しないのは、日本国憲法がGHQによる占領下で制定されたためです。 このような憲法は独立主権国家の憲法として不自然であり、現行憲法には最も根幹にあたる規定が欠落していると言わざるを得ません。 このような問題意識のもと、現行の9条1項・2項はこのまま維持した上で、新たに「9条の2」を追加することを提案をします。 自民党案は単に自衛隊違憲論を払拭するための自衛隊明記だと指摘されることがありますが、決してそうではありません。国の安全保障の基本である「9条」に国防規定を創設し、そのための実力組織として、「自衛隊」を明記し、内閣総理大臣及び国会によるシビリアンコントロールの規定を設けるものであります。 自衛隊明記に関する議論においては、シビリアンコントロールを重視し、72条や73条に明記してはどうかという意見があることも承知しています。 この点については、国防規定とその担い手たる自衛隊という国家の根本的な規定との実力行使の限界を定める「9条」の平和主義の規定、そしてその活動に対するシビリアンコントロールの規定は密接不可分であり、憲法の中でより近い位置に規定することが望ましいと考えていますが、引き続き本審査会でのご意見を伺っていきたいと思います。
また、憲法論議の中でよく聞かれる話として、現行「9条」の下では必要最小限度の実力行使しかできないのでは? という指摘がありますが、平和安全法制の整備等により、自衛隊の活動は限定的な集団的自衛権の行使を含め、自国防衛のための措置ならば、必要かつ十分に何でもできるように一般法において整理されております。
必要最小限度でできないこととは、新藤筆頭幹事が度々言及されることに関係の無いとされるように、他国を占領し、占領行政を敷くとか、我が国の防衛と関係のない純粋な国際協力の場面で武力を行使することなどに限定されているのが、政府の見解としても整理されているからであります。「9条」については、各会派においても様々なご意見が示されているところだと承知しております。さらに今後、議論を深めるため、論点整理など具体作業へと進めるべきだと考えます。 以上です。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
次に泉健太君

■泉健太(中道改革連合・無所属)
中道改革連合の泉健太です。本日はテーマ出しということで、中道改革連合として階委員が触れた2点、「臨事会の召集期限」そして「解散権の制限」について提起いたします。
まず、各会派で何らかの合意形成が可能ではないかと考えられるのが、憲法53条に関する「臨時会の召集期限」についてです。 憲法53条の「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣はその召集を決定しなければならない」という条文は、議会少数派の数少ない権利でありながら、その機能は実質的に形骸化しておりました。 これを実行性あるものにすべく「20日以内に召集することを決定しなければならない」との案が、2023年に維新・国民・有志の憲法改正案によって、また立憲・維新・共産・有志・れいわの議員立法案によって示されました。自民党も2012年に同様の「20日以内」というものを書いた案を示しております。中道改革連合としても、立憲主義・議会制民主主義の観点から何らかの期限を定めるべきと考えます。 この召集期限については、昨年一度、集中討議がなされましたが、議会の構成は大幅に変わっており、新会派である参政党、チームみらいの皆様にも是非次回以降、ご見解をいただければという風に思います。
前の「緊急事態条項」の集中討議では、各会派から国会機能維持の必要性が提起されました。中道改革連合はこの審査会において、「緊急事態条項」の議論と「臨時会の召集期限」の議論はセットで並行して行われ、決して積み残されることなく結論が出されるべきものと考えます。自民党においても審議員が増たわけでありますので、是非この「臨時会の召集期限」について、党内で議論を深め、今日的な党見解をお示しいただきたく存じます。
乱用の防止を検討しつつ、合理的期間の具体化に向け、議論を進めてまいりましょう。
次に、「解散権の制限」についてです。今年1月の解散までの議員の在任日数は1年3ヶ月、454日でありました。これは戦後3番目に短い任期であります。 少し前の民意と数百人の議員の職務が一瞬にして失われる。 これが解散です。私は時の総理が、時の内閣が、自らの政治責任に基づく解散権を有する、そのこと自体を否定するつもりはありません。 しかし、一方で総理には解散権のみが存在すると考えるのではなく、解散時における国会に対する一定の説明責任が存在するものと考えますが、この点、自民党のお考を聞かせいただきたく存じます。 例えば、解散の前後には、総理会見や政府声明の閣議決定が行われますが、これらはいずれも官邸内において総理単独で行われます。国権の最高機関を解散するのですから、やはり総理自身が国民に開かれた衆議院において、その解散理由を明示する、 これがあるべき姿ではないでしょうか? これは従来の「解散権の制限」という捉え方ではなく、「解散時に必要な国会への手続き」「国会の機能強化」と捉え、議論を深めるべきではないでしょうか。
この点、昨年6月に立憲民主党が国会に提出した『解散権に関する議員立法』がたたき台になると考えます。
この法案では、解散予定日と理由を10日前までに衆議院に通知し、併せて議運または1/4以上の要求があれば本会議において質疑を行うという案であります。私自身は、総理は少なくとも本会議場で解散理由を説明すべきと考えますが、これも一案として、是非国会における手続きを通じて、国会の機能強化を図り、国民に重要な判断材料を提供する、この点についても、参政党そしてチームみらいの皆様に次回以降、ご所見をいただきたく存じます。
その他、「デジタル社会における自己情報コントロール権」「情報アクセス権」「情報環境権」また「合区の議論」「国民投票法の三項目の改正議論」「ネットCM規制」「資金規制」「偽情報」など、今後議論を深めたいテーマがございます。 審査会長を始め、各会派幹事の皆様のご配慮をお願いをし、また、こののち自民党さんからご答弁をいただければという風に思います。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
今、泉委員から各会派、他会派への質問がございましたけれども、もう時間が迫っておりますので、次回にそれぞれの会派から、お答えをいただくということで対応させて頂きたいと思います。 それでは次に池畑浩太朗君

■池畑浩太朗(日本維新の会)
日本維新の会池畑浩太朗でございます。 国会法で定められた憲法審査会の権能は、憲法に関する調査、改正原案の審査及び憲法改正国民投票法の審査であります。 これらを並行的に進めていくことが審査会本来の使命であります。 それを鑑み、優先的に議論を進めていくべき「国民投票に関わる諸課題」について意見を述べさせていただきます。
国民投票法をめぐっては、次々に課題が出るからといって全ての課題が解決するまで引き延ばしていては永遠に結論は出ません。 憲法本体の改正案がまとまっても国民投票法の整備が追いつかなければ、国民から主権行使の権利・機会を奪う重大な不作為であることを、我々は肝に命じるべきだと思います。 国民投票法に関する主要な課題の一つは、令和3年改正、いわゆる7項目案附則4条の検討条項に規定されている事項の着実な履行であります。 検討条項の附則4条1号は、投票環境整備について国民投票法の公職選挙法並びにアップデートをする規定であり、その要請に応えるべく令和4年4月に自民・維新・公明・有志の4会派が国民投票改正の三項目案を国会に提出をいたしました。 三項目案は令和元年と4年に倫選特委で全会一致で可決された改選公選法と平仄を合わせるものでありまして、①開票立会人の選任にかかる規定の整備 ②投票立会人の選任要件の緩和 ③ラジオによる憲法改正案の広報の放送へのFM放送の追加 であります。 内容的に党派性や政策論が入り込む余地はなく、速やかに整備してしかるべきものであります。 ところがですね、国民投票法改正の三項目案は、趣旨説明後に塩付けにされたまま措置を講じる期限に目処とされた令和6年9月が過ぎ去り、翌10月の衆院解散によって廃案となりました。条件条項を提案したはずの当時の立憲民主党が、附則4条2号の国民投票の公平公正の問題が決着していないことを理由に、審議に背を向けたことが要因でありますが、争点が皆無と言える事項から、順次、遅滞なく法制化し、合意未達の事項は引き続き議論を深めていくべきことが立法府の責任ある対応であります。
そこで我が党は、今国会会期内に国民投票法改正の三項目案を改めて提出をいたしました。成立を期すべきと考えております。 よもや反対する会派はないと存じますけども、この4年間の空白に総域を埋めるためには、より多くの会派に賛同を求めていただきたいと存じます。 もう1つの国民投票法に関する主要な課題は、「国民投票法広報協議会の規定等の整備」であります。 これについては、広報協の組織面を定める「広報協協議会の規定」広報協の活動名を定める「放送・新聞広告等の実施規定」そして事務局に関する「事務局規定」などありますが、漠然と議論を続けるのでなく、しっかりと確定されることだという風に思います。 その項目の大半は事務的・技術的なものであり、憲法審査会事務局及び法制局に速やかな原案を作成していただき、正案を得るべきだと思います。
尤もこれまでに示された実施規定案においてインターネット空間における偽情報・フェイクニュースの氾濫や外国からの介入等の対策については定まっておらず、現在進行中の与野党の選挙運動に関する協議会における議論や、正案等をいかに反映させるかを含めて政治的論点について早急に意見集約を図るべきだと考えております。
衆参両院が足並みを揃えてしっかりと進んでいくことは不可欠であります。 広報協の関係規定を決定し、広報協事務員、そしてその身分に関係する国会職員法等の関連法の改正を得なければ、憲法改正の国会発議にも国民投票にも進めません。 永田町の悪しき前例主義に拘泥することなく、直ちに国民投票法を巡る諸課題の整備作業に入り、ゴールを見すえてギアをあげていくべきことを強く要望して私の発言とさしていただきます。 以上です。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
次に玉木雄一郎君

■玉木雄一郎(国民民主党・無所属クラブ)
国民民主党の玉木雄一郎です。 今日も大変危機感を感じております。 今日を除けば今国会での憲法審査会もあと6回です。で、やるべきことはいっぱいあってですね、 先ほど池畑さんからもありましたけど、あるいは古川さんからもありましたが、手続き法について、やっぱ議論を深めていかなければいけないっていう課題が残ってます。 で、同時に我々衆議院ですけれども、憲法改正は衆参の3分の2の総議員の発議ということになってますから、衆参で合致した項目で出さないと憲法改正は無理なわけですね。 ですから、衆参の合意、そして実体法と同時に手続き法をどうしていくのか、ということをしていくにあたっては、あと6回で本当にどこまでできるのかと。 総理のおっしゃる、自民党総裁のおっしゃる「来春の発議の目処」っていうのは、このペースというか、このやり方で本当にたどり着くのかということについて、率直な危機感を感じております。 で、その上で今日は少なくともこの本院における、与党の中での項目の一致は不可欠だと思うので、2点だけ自民党と維新の会の皆さんにお伺いしたいと思います。
1点目は、前回も提起しました「緊急政令」でありますけれども、これは我々も提起をしておりましたが、2024年の6月の5会派合意の中では、これ取りました。 なんでかというと、その包括的な法律と同じような権限を政令として内閣に制定を認めるということについてはなかなか難しいということと、 そして、確か私の理解では自民党も維新も「法律に定めるところにより政令を定めることができる」という現行法体系と原行憲法下でできることを、「確認規定」的に盛り込む「緊急政令」だったと理解しています。 ということは、「確認規定」であり、かつその緊急政令を出すと国民の理解が得られず反発が出るということであれば、それはあえて幅広い合意を得るという観点からはですね、書かなくてもいいだろうということで、5会派合意をした記憶があるんですが、改めてまず1点目はですね、両党にお伺いしたいのは、両党が目指す「緊急政令」は、いわゆるその包括的な法律に相当する政令の制定権を内閣に認めるものなのか? それとも例えば、現行の災害基本法109条であるような、法律で定めたら政令ができますよっていうことを改めて「確認規定」で盛り込む趣旨なのか、どちらなのかを両党からまず伺いたいのが1点です。
で、2つ目は、今日も出ました「憲法9条」ですけれども、これもう両党に端的に聞きます。 自民党が目指す憲法改正をした後の自衛隊は、現行の9条2項が禁止する「戦力」なのか? 「戦力」じゃないのか?
で、維新のは多分「戦力」だと思いますが、改めてそこは確認します。 で、合わせてその改正後の自衛隊ができることは、現行憲法下における自衛隊と比べて、追加で何ができるのか。そしてその追加でできることは我が国を取り巻く、戦後最も複雑でかつ緊張感のある安全保障環境の中で、一体いかなる安全保障上の目的を目指すために、その追加の権能・権力が必要なのか?ということを合わせてお示しをいただきたいと思います。
片務性の解消による地域協定の見直しであったり、あるいはNATOへの参加であったり、様々な安全保障上の目的は考え得ますけれども、新藤幹事からもありました通り、中国、ロシア、安全保障環境は厳しくなっておりますが、であれば自衛隊の権能は憲法改正によって増えるべきでありますけれども、1項・2項をそのままにして、その解釈もそのままにして、等身大の「自衛隊」を書き込むということであれば、それは変化する安全保障環境に対応する自衛隊の機能強化にはつながらない憲法改正になってしまうのではないかと懸念しますけれども、この点について、残りの時間で両党から意見を伺いたいと思います。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
今、玉木委員から自民並びに維新会派に対して質問がございました。もう玉木委員の時間もほとんど残っておりませんので次回以降にできれば…

■玉木雄一郎(国民民主党・無所属クラブ)
いや、それ答えてください。もうそれいつも同じこと聞いてます。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
両党でこの短時間にお答えができるということなら、ひとこと時間内でお願いします。

■新藤義孝(自由民主党・無所属の会)
あの、まさに今のようなことを議論すべき、議論するために今日のテーマ討議があると思います。極めて重要な、また、ポイントだと思いますから、そこに絞った議論っていうのを、できる機会を是非作りたいと思います。その時に明らかにしますし、そういった状況をいつ作るかは各会派の皆さんとご相談したいとこのように思います。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
もう予定した玉木委員の時間が終了しました。 維新の会派も、今の新藤筆頭のお答えで異論がなければ、これで収めたいと思います。 よろしいですか?
はい、ありがとうございました。次に中山泰秀委員

■中山泰秀(自由民主党・無所属の会)
発言をお許しいただきましてありがとうございます。 自由民主党の中山泰秀でございます。私からは憲法改正の本体論議に加えまして、もう1つのテーマである「手続き法」つまり「国民投票法の整備」に絞って意見を申し述べたいと思います。 国民投票法の議論は大きく分けまして、投票環境整備など、投開票に関わる「概形的事項」に関する議論と、CM規制などに代表される「投票の質に関する議論」から構成されます。
令和3年6月に成立した国民投票法改正の附則4条でも、第1号で、投票の概形的事項である「投票環境の向上について」、第2号で、投票の質に関する事項である「 CM規制などについて」検討条項が設けられています。
まず、投票環境整備など「外形的事項」に関する部分については、選挙と共通することから公職選挙法並びで整備されてまいりました。 令和元年と令和4年の公職選挙法改正に対応する「開票立会人の選任にかかる規定の整備」「投票立会人の選任の要件の緩和」「FM放送による憲法改正案の広報のための放送にかかる規定の整備」この3項目について国民投票法の改正が必要になります。
この三項目の改正のため令和4年4月、自民・維新・公明・有志の4会派が国民投票法改正案を提出し、本審査会で趣旨説明が行われました。 しかし、令和6年10月の衆議院解散により廃案となってしまいました。
この3項目は公職選挙法ではすでに措置されている事項で、その審議においても異論はなかったものであり、早急に国民投票法に反映するべきものであると考えます。 三項目案を改めて衆議院に提出をし、今国会中に成立させるべきであると思います。
続いて「投票の質に関する議論」について申し上げます。 まず、この議論の前提として、国民投票法制定時の基本的な考え方は、国民投票は国民主権の最大の発露の場であり、国民投票運動はできるだけ自由に、というものでありました。 その結果、CM規制に関しては法的な規制をできるだけ避け、事業者の自主規制によって国民投票の公平・公正を確保することとし、放送CMについては「期日前投票が始まる2週間前からの禁止」に落ち着いたということでございました。 放送CMの自主規制につきましては、これまでの議論において、量的側面も含めた民法連の実施規制によって一定の担保がなされることが確認をされております。 また、SNSを始め、インターネットの適正利用に加え、サイバーセキュリティの確保やインターネット空間における安全性・信頼性の維持も重要な論点です。 この点につきましては、国民投票より頻繁に行われる選挙において、どのような対応がなされるかを踏まえて、さらに議論を進めていくことが重要です。
現在、通常選挙について超党派の議論が進んでおり、この議論の状況を見ながら検討していくべきだと考えます。 また、国民投票においては、国民投票広報協議会が国会に設置され、憲法改正案についての国民への広報を行うこととされております。 広報協議会の活動内容などの詳細を速やかに詰め、広報協議会規定などの関連規定を定めるべきだと考えます。 以上、国民投票法の課題について申し述べました。
まずは投票環境整備のための三項目案については、各会派とも内容に異論はないものと考えられるので、早急に成立させるべきと考えます。 一方でこれと並行して、投票の質の向上については本日申し上げたように、CM規制やネットのあり方に関して、公選法も含めて議論すべき重要な課題であると考えます。
そこで、次回の審査会では国民投票法に関する集中的な討議を行ってはどうかとご提案を申し上げたいと存じます。是非、幹事会でご協議賜りますように、心からお願いを申し上げまして、私の発言といたします。 ご清聴ありがとうございました。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
次に若林健太君

■若林健太(自由民主党・無所属の会)
自由民主党の若林健太です。私からは今後議論するべき論点として「合区」地方自治に関する憲法改正について意見を述べたいと思います。 特に「合区」の問題に関しては、参議院議員としての経験も踏まえ、1票の格差にのみ注目するだけで果たして良いのかという観点から、強い問題意識を持っております。合区の問題は、地域の民意の適切な反映が損なわれかねないということにあります。1票の格差の縮小は、憲法14条の「法の下の平等」と要請であり、言うまでもなく重要なものです。しかし、これを徹底すると、過疎化による人口減少が著しい地域では選挙区が広域となり、身近な議員を出せなくなってしまうという問題があります。
国会議員に求められる、都市部から山間部、海辺など様々な地域の実情と民意の国政への反映、すなわち地域の民意の適切な反映が困難になる恐れがあるということであります。 このことは衆議院・参議院に共通する問題ですが、参議院議員選挙における合区制度において特に深刻です。実際、合区に対しては有権者の不満も高まっているようであり、例えば、合区実施後初めての2016年参議院選挙では、合区対象県、特に、候補者を出せなかった県で投票率が低下しています。 2025年の参議院選挙においても、鳥取・島根では投票率は前回を上回ったものの、合区導入前と比べて低いままであり、また徳島県では投票率が全国最低を記録するなど、合区の弊害が今も見られているところです。なお、現在実施されてる合区は、隣県同士の合区ですが、地方の人口減少がさらに進めば、例えば、九州と関東といったような離れた県を合区するような「飛び地の合区」といった問題も出てくる可能性があり、仮にそうなればですね、地域の民意の適切な繁栄は一層困難になってしまいます。 憲法は「選挙区、投票の方法その他両院の議員の選挙に関する事項は法律でこれを定める」とするのみで、選挙のエリア設定のあり方を定める規定を欠いています。憲法14条の「法の下の平等」の要請に偏った形で、選挙区のあり方が論じられてしまい、地域の民意の適切な反映が損われてしまっているという今の現状は、こうした必要な規定を欠いた現行憲法の帰結であるというふうに思います。 このような日本国憲法の足らざる部分を補い、国家基本法としての未完の部分を完成させるため、自民党では憲法47条の条文イメージを提示しています。これは、投票価値の平等の確保と地域の民意の適切な反映のバランスを取るべく、 47条を、人口を基本としつつも「行政区画」「地域的な一体性」「地政」等を総合的に勘案する旨、明記し、地域の民意を適切に反映できる選挙制度が構築できるよう改めるというものであります。 特に、参議院議員の選挙については、合区を解消できるよう憲法上担保することとしています。
併せて、条文イメージにおいては、第8章において基礎自治体、市町村ですね、から公益自治体である都道府県を明記することも提案しています。現行の日本国憲法8章には4か条しか規定がなく、その冒頭の92条は「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は地方自治の本旨に基づいて法律でこれを定める」とするのみで、地方公共団体にはどのようなものがあるのか、あるいは地方自治の本旨とは何かといった 基本的な事項でさえ全て解釈と法律に委ねられてしまっています。 これを先ほど述べたように改めることで、地域の民意の繁栄の基盤となる自治体を憲法上に位置づけるとともに、広域自治体を参議院の選挙区と定める根拠とし、地方自治の充実強化を図ろうとしているものであります。以上、「合区」「地方公共団体」に関して申し上げました。この問題については、本審議会でしっかりと議論を行っていく必要があると考えております。 一方で憲法改正の手続き法である国民投票法についての議論も必要です。まず、投票環境整備など、「投開票に関わる外形的事項」に関する三項目案の早急な成立が求められます。また、放送CMやネットの問題など、「投票の質」に関しても公選法の議論の状況を見ながら深めていく必要があります。 国民投票法に関する集中的な討議を行うことを提案いたしますので、是非、幹事会でお取り計らいをお願い申し上げます。 以上です。

■古屋圭司(憲法審査会会長)
予定していた時間が経過をいたしました。これにて討議は終了いたしました。 次回は広報を以てお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。


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衆議院憲法審査会 議事録 2026年5月28日|憲法審査会会議録(非公式)
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