企業活動のグローバル化が進む中、駐在先で過労死した社員の遺族と企業が共同で、過労死防止のためのマニュアルを取りまとめた。海外で働く人の安全を守る法制度や企業の体制に課題があることを踏まえ、国内の労働時間規制の順守などが盛り込まれた。こうした取り組みは全国的に珍しいといい、大阪市内で29日開いた会見で、遺族は「一人でも多くの方の命と未来を守ることにつながってほしい」と話した。(竹谷直子)
◆「海外で働く方々を守る新たなスタンダードに」
作成したのは、2021年に駐在先のタイで過労による自死で亡くなった上田優貴さん=当時(27)=の母・直美さん(55)と、勤務先だったプラントメーカーの日立造船(現カナデビア)。海外で働く人には、労働者を守る労働基準法などの国内法が原則適用されず、長時間労働などが見過ごされやすい実態がある。
マニュアルは、出発前から現地着任後、帰国後までの一連の対策をまとめた。労働時間の管理は、タイムカードなどの客観的記録に基づくとし、移動時間や資料確認など会社の指示に基づく対応や、住居での報告書作成なども労働時間として扱うことにした。海外派遣予定期間の途中で帰国したことで人事評価に影響させないことも明記した。
弁護団によると、亡くなる直前の優貴さんの時間外労働時間は月149時間に上った。労災認定された2024年、直美さんは悲劇が二度と起きないようにと、会社側と約1年半にわたり協議し、作成した。
「この取り組みが...
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