強盗殺人、48歳男に死刑 差し戻し裁判員裁判
名古屋市南区で2017年、近くに住む80代夫婦を殺害し財布を奪ったとして、強盗殺人罪に問われた無職、山田(旧姓松井)広志被告(48)の差し戻し裁判員裁判の判決で、名古屋地裁は2日、金銭目的の身勝手で生命軽視の態度が表れているとして求刑通り死刑を言い渡した。弁護側は即日控訴した。
強盗殺人罪が成立するかどうかが主な争点だった。弁護側は、被告には軽度の知的障害があり、直前の被害者の言動に怒りを覚え衝動的に事件を起こしたとして、殺人罪と窃盗罪にとどまると主張していた。
森島聡裁判長は判決理由で、被告は毎月知人らに借金をし、生活保護費で返済するなど経済的に困窮しており、殺害後直ちに夫婦宅を物色していた点を重視。「殺害時点で強盗目的があった」として強盗殺人罪を適用した。「軽度知的障害の影響があるとしても限定的」と完全責任能力を認めた。
その上で「落ち度のない2人の生命が奪われた結果は極めて重大だ。生活保護費の大半をパチンコに費消するなど自業自得で酌むべき事情はない」と非難した。22年に診断された末期の膵臓がんについても「犯行後のことで刑を減軽する事情にならない」と判断。「死刑の選択はやむを得ない」と結論付けた。
差し戻し前の一審でも求刑は死刑だったが、名古屋地裁は19年、殺害後に金品を盗むことを思い立った可能性を否定できないとして殺人と窃盗の罪を適用、無期懲役とした。
二審名古屋高裁判決は、借金支払いを気にしていたことなどを考慮すれば強盗目的を推認できるとして一審判決を破棄、審理を地裁に差し戻した。弁護側は不服として上告したが、最高裁は棄却を決定。審理を地裁に差し戻した二審判決が確定した。
判決によると、17年3月1日、大島克夫さん(当時83)と妻のたみ子さん(同80)の首を刃物で突き刺して殺害、現金約1200円などが入った財布を奪ったとしている。〔共同〕