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5年の経験生かし開かれた裁判員制度に

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刑事裁判に市民が参加する裁判員制度が始まって、5年がすぎた。今年3月末までに4万9434人が裁判員や補充裁判員に選ばれ、計6396人の被告に対して判決を言い渡した。

制度はおおむね順調に定着しつつある。だが裁判員の辞退率が6割台に上ることや、守秘義務が厳しすぎて経験を広く共有できないことなど、課題も多い。

新たな問題として注目されているのが量刑の判断だ。裁判員制度が導入されて、性犯罪や児童虐待を中心に従来より重い判決が出るようになった。検察官による求刑を上回る判決も増えた。

裁判員が被害の深刻さや犯行の卑劣さを重く見た結果であろう。市民感覚を反映させる制度の趣旨に沿ったものといえる。しかしこれは一方で、刑罰の公平や安定を損なうことにもつながる。特に被告の命を奪う死刑判決の場合、それは一層際立つ。

このため裁判員裁判の判断を、「過去の例に比べて重すぎる」として、裁判官だけで審理する二審が減刑する事例が目立ち始めている。死刑判決では、裁判員裁判で出た21件のうち3件が高裁で破棄され、無期懲役となった。こうした現状を放置していいのかどうか、入念な検討が必要だ。

守秘義務が厳しすぎることも、依然として大きな問題として残っている。過去の量刑と市民感覚のバランスのあり方を考えるうえでも、守秘義務の範囲を狭め、明確化することが欠かせない。

個々の裁判の場で、裁判官は過去の量刑相場の意味をどう説明しているのか。それを受けた裁判員はどんな議論を経て判決を導いたのか。こうした実態が伝わらないからだ。

高裁が破棄した3件は上告された。最高裁は一つ一つの事件についてこれまで以上に、裁判員となる国民を意識した判断を示すべきだ。判決に至る経緯を分かりやすく、丁寧に説明しなければならない。判決が出れば時間をおかずに公表することも必要であろう。

裁判員制度は裁判官、検察官、弁護士という司法のプロだけで完結していた裁判に民主的なコントロールをきかせる仕組みだ。

裁判員の負担をできる限り減らして、より多くの人が参加しやすい環境づくりを進めなくてはならない。守秘義務も緩めて裁判員の経験を社会全体で共有し、制度を育てていきたい。

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