ナフサ輸入が5割減、中東以外からの代替調達5割増 4月の貿易統計
財務省が28日発表した4月の貿易統計(確速値)によると、ナフサ(粗製ガソリン)の輸入量は前年同月比で47%減の114万キロリットルだった。中東混乱の影響が広がっている。中東以外からの輸入量は5割増えた。
中東からの輸入量は79%減の34万キロリットルだった。3月は37%減っていた。ナフサは化学製品の原料となる。日本国内での原油の精製過程で得られるとともに、輸入もしている。
中東は従来、日本のナフサ輸入の7割を占めていた。4月はそれが3割に低下した。中東以外からの代替調達が急速に進んでいる。中東以外からの輸入量は80万キロリットルとなり、1年前と比べて52%増えた。
なかでも米国からの輸入量が27万キロリットルと209倍に急増し、国別で最大の調達先となった。アルジェリアやペルーなどからの輸入も拡大した。
ナフサの輸入金額は輸入量ほどは落ち込んでいない。全世界からの輸入額は1182億円で1年前と比べて20%減だった。世界的なナフサ不足により、調達価格が上がっていることを映し出す。
貿易統計から4月のナフサの輸入単価を算出すると、1キロリットルあたり約10万3300円となった。イランでの軍事衝突前までは6万円台で推移していた。
単価上昇の主要因となっているのが、中東以外からの代替調達品だ。4月の輸入単価は約10万9300円となり、中東産の約8万9300円より2割ほど高い。石油化学メーカーなどは通常より価格が高くても、量の確保を優先している。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「世界中でナフサの需給が逼迫している。ホルムズ海峡の封鎖が長引けば、今後も輸入単価は高止まりするだろう」と話す。
価格は上昇する一方で、代替調達が進むことで輸入量の落ち込みは徐々に和らぐ見込みだ。宮前氏の試算によると、海峡の封鎖状態が長期に及んだ場合、原油高も相まって2026年度の貿易赤字は10兆円を超える可能性が高い。
ナフサの輸入価格の高まりは企業の調達コストの上昇圧力になる。ナフサはポリ袋やゴム手袋、マスク、シャツ、タイヤといった幅広い製品に使われている。政府は備蓄原油を使った国内精製と、中東以外からの代替輸入で確保に取り組んでいる。
原料価格の高騰は段階的に最終製品にも波及する。企業や家計の負担増につながる恐れがある。宮前氏は「価格転嫁が食料品を中心に広がり、今年夏から秋にかけて消費者物価は上昇することになる」と指摘する。
代替先となる中東以外からの輸入量について政府は、4月は中東情勢が緊迫する前の2倍にあたる90万キロリットルに上る見込みだと説明してきた。貿易統計上は80万キロリットルで、届いていないように見える。5月は3倍の135万キロリットルを超えるとの見通しを示していた。
経済産業省の担当者は28日、代替調達に関してホルムズ海峡を通過していないナフサの輸入量が4月に104万キロリットルになったと説明した。「『中東以外から』の代替調達は『ホルムズ以外から』という趣旨だ」と話し、目標を上回ったとの見解を示した。ホルムズ海峡を通らない中東産を想定より確保できたとみられる。