モバイル通信の品質に関して、利用者からの信頼を損ねているNTTドコモ。多額のコストを投じて改善を進めているが、それでも利用者の評価は厳しい。同社のネットワークに何が不足しているのか。改善に向けてどのような取り組みをしているのか。ネットワーク担当者に話を聞いた。
コストをかけても評価が高まらない
NTTドコモは2023年、大都市部を中心に通信品質を著しく低下させた。その後、コストをかけて通信品質の改善を図っているが、利用者からの評価は高まっていない。「NTTドコモはつながらない、遅い」といった評価が一部で見られる。
なぜNTTドコモの通信品質の評価は高まらないのか。同社の執行役員ネットワーク本部長を務める引馬章裕氏は、大都市部のような混雑した場所で高い通信品質を実現するには、基地局の数を増やすだけでは難しいと話す。
基地局の数に加えて、基地局1つ当たりの処理能力、そして使用する電波の帯域幅をかけ合わせた「設備容量」が重要になると説明する。
同社は2025年度、独自調査により競合他社と設備容量を比較し、自社の弱点を探った。その結果、2つのことが判明した。1つは大都市圏の設備容量が競合より見劣りしていること。そしてもう1つは、4G向けの周波数帯を5Gに転用した、低い周波数帯の5G基地局が不足していることだ。
後者に関しては、総務省の調査でも示されている。2024年度末時点で、競合2社は4Gから5Gに転用した基地局を約5万~8万局設置しているのに対し、NTTドコモは約1万局にとどまった。
そこでNTTドコモは設備容量を増やすため、大容量通信に強い6GHz以下の「サブ6」と呼ばれる周波数帯と4G向けの周波数帯を、5Gで使用する取り組みを強化した。2025年度には、前年度比15%増となる5万2300局の5G基地局を全国に設置。5Gの設備容量も、前年度比で15%向上したという。
同社が「主要都府県」と位置付ける、大都市部を多く含む南関東と大阪府、愛知県に絞った場合、5Gの基地局数と設備容量は、前年度比でそれぞれ18%増および19%増と、全国を上回った。
その結果、大都市部において人が多く集まる場所および時間帯での体感品質は確実に向上していると引馬氏は話す。