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牛肉・豚肉・鶏肉の部位|名前と位置、特徴や向く料理を解説

肉は部位によって味や食感、価格が大きく異なり、どの部位を選ぶかによって料理の仕上りや満足度は大きく変わります。一方で、ロースやヒレといった名前は知っていても、それぞれの特徴の違いや、体のどの位置にあるのかは分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、肉の部位を、牛肉・豚肉・鶏肉に分けて整理し、名称や体の中の位置、特徴を押さえたうえで、料理や目的に合わせて部位を選ぶための考え方を解説します。

牛肉の部位とは?基本構造を理解しよう

牛肉は、体の中のどの位置にあるかによって肉質や味が大きく変化します。ここでは、味や食感、肉質に関わる基本構造について見ていきましょう。

牛肉は部位ごとに味や食感、価格が大きく異なる

牛肉は、一頭の中でも筋肉の使われ方や脂の付き方が部位ごとに大きく異なります。筋肉の使われ方の違いにより、柔らかさや脂の量、風味に差が生じるためです。その結果、ステーキに向くのか煮込みに適しているのかといった料理の適性や、市場での価格帯にも違いが生まれます。

よく動く部位と動きの少ない部位で肉質が変わる

肉質の決定的な要因となるのは、その部位の運動量です。首(ネック)や脚(すね)といった運動量の多い部位は、筋肉が発達しているため筋が多く、赤身が主体で硬めの肉質になる傾向があります。一方で、背中周りのように動きの少ない部位は筋が少なく、柔らかい肉質に脂(サシ)が入りやすくなるのが特徴です。これらは用途によって評価が分かれるため、料理の目的に応じて選びましょう。

牛肉の部位一覧と位置

牛肉の価値や調理法を正しく判断するためには、まず全体像を把握することが重要です。ここでは、牛肉の主要な部位の分類と位置について解説します。

牛の体における主要な部位

牛肉の可食部位は、細かく分類すると13ヵ所に分けて考えられます。なお、牛肉の部位は国産と外国産で分割の仕方が異なります。本記事は、日本で一般的な分割法を前提に、国産牛の見え方に沿って整理しています。

具体的には、サーロイン、リブロース、ヒレ、かたロース、かた、ネック、ともばら、かたばら、らむいち、そともも、うちもも、しんたま、そして、まえすね・ともすねです。それぞれの部位で筋肉の性質や脂の入り方が異なるため、図解で位置を把握することで、料理への理解がより深まります。

牛肉の部位ごとの特徴と向いている使い方

牛肉は13の部位ごとに個性があり、その特徴を活かすことで料理のクオリティを高められます。ここでは、それぞれの肉質や適した調理法について詳しく見ていきましょう。

サーロイン

サーロインはリブロースの後方に続く腰の部分の肉で、赤身の旨味と脂のコクを両方感じやすい部位です。柔らかさとジューシーな味わいを両立しており、「ステーキ」の代名詞ともいえる部位になります。そのため、厚みを活かした調理で、その豊かな味わいを楽しむのが一般的です。

リブロース

リブロースは背中の中心部に位置し、キメ細かい肉質と柔らかさが際立つ部位です。見た目にも鮮やかなサシが入りやすく、風味の良さから高級部位として位置づけられます。「ステーキ」や「焼肉」など、素材そのものの味を堪能する料理に最適です。

ヒレ

ヒレは腰の内側にあり、牛の体の中で最も運動が少ないため、肉質が驚くほど柔らかいことが特徴です。脂肪が少なく、一頭から取れる量がごくわずかなため、最高級の希少部位とされてきました。なお、特に中心部は「シャトーブリアン」と呼ばれ、希少性が高い部位として知られています。柔らかさを味わうなら「ステーキ」が適しています。

かたロース

かたロースは頭に近い背中の肉で、赤身と脂のバランスが良く、コクのある豊かな味わいが特徴です。リブロースへと続く部位のため肉質も良く、比較的手に取りやすい価格帯で日常使いしやすい魅力があります。「ステーキ」や「炒め物」、薄切り肉を使用する「すき焼き」などの料理に適しています。

かた

かたは前脚の付け根周辺の部位で、筋と赤身が複雑に、かつバランスよく含まれています。部位内で肉質の性質に幅があるため、切り出し方によって使い分けられることが多いのが特徴です。「焼肉」や「ステーキ」、部位によっては「煮込み料理」や「炒め物」など、加熱方法を工夫する料理で選ばれやすい傾向があります。

ネック

ネックは首周りの筋肉で、常に重い頭を支えているため運動量が多く、筋がよく発達している部位です。赤身が中心で、肉質は硬いため、口に入れると噛み応えを感じるでしょう。そのまま焼くよりも、ひき肉にしたり、じっくり煮込んだりして食感を調整する料理に使われます。

ともばら

ともばらは、後ろ脚に近い側のお腹の肉です。脂肪が多く、いわゆる「カルビ」として最もポピュラーな部位であり、濃厚な旨味を感じられます。「焼肉」としては定番の部位として人気が高い一方で、「ビーフシチュー」や「牛ばら大根」などその脂の旨味を活かした煮込み料理にも適しています。

かたばら

かたばらは、前脚に近い側のお腹の肉です。筋肉と脂肪が層になっており、肉質はやや硬めですが、濃厚な旨味を持っています。一般的には「ブリスケット」とも呼ばれ、「煮込み料理」や「焼肉」のカルビ用としても活用されます。

らむいち

らむいち(ランプとイチボ)は、ももの付け根からお尻にかけての部位で、赤身が主体です。比較的クセが少なく、肉本来の濃厚な味をダイレクトに活かすことができます。「ステーキ」や「ローストビーフ」など、火入れを細かく管理して仕上げる調理法で選ばれます。

そともも

そとももは後脚の外側に位置する部位で、筋肉がよく発達しているため赤身が中心となります。後述するうちももと比べるとやや筋を感じやすく、しっかりとした歯応えがあるのが特徴です。薄切りにして「炒め物」や、加熱時間を調整することで柔らかく仕上がる「煮込み料理」などで使われます。

うちもも

うちももは後ろ脚の付け根の内側にあり、牛肉の部位の中でも脂肪が少ない赤身肉です。価格は比較的控えめでも、肉質が均一で扱いやすいのが魅力です。さっぱりとした味を活かし、「ローストビーフ」や「煮込み料理」に適しています。

しんたま

しんたまは、ももの部位の中でも中心にある丸い形状の部位です。キメが細かく、脂肪が少ない赤身肉で、ヘルシーなのが特徴です。柔らかいため、「ステーキ」や「焼肉」、「ローストビーフ」など幅広い赤身料理に活用されます。

まえすね・ともすね

まえすね(前脚)・ともすね(後脚)は、脚の下部にあたり、筋膜や腱が多い部位です。長時間じっくり加熱することで、筋に含まれるコラーゲンが溶け出し、深いコクが引き出されます。「カレー」や「シチュー」などの「煮込み料理」、「スープ」に欠かせない部位です。

豚肉の主要な部位と向いている使い方

豚肉の体は、大きく分けてロース、ヒレ、かたロース、バラ、モモ、うで、トントロといった7つの部位で構成されています。牛肉に比べると運動量の違いによる肉質の差が極端ではなく、全体的に保水力が高くて柔らかいため、調理しやすいのが特徴です。また、豚肉特有の脂の甘みと赤身の旨味がバランスよく配置されており、部位ごとに異なる「脂の乗り」や「肉の繊維感」を理解すれば、メニューのクオリティを劇的に向上させることができます。

ロース

ロースは、豚の背中の中心部に位置する、豚肉の代名詞ともいえる代表的な部位です。肉のキメが細かくて柔らかく、外側に上質な脂身が厚めに付いているのが構造上の大きな特徴になります。この脂身には豚肉特有の甘みが詰まっており、加熱することで赤身の柔らかさと脂のジューシーさが引き立ちます。「とんかつ」や「ソテー」といった、お肉の厚みを存分に楽しむ料理で活躍する部位です。

かたロース

かたロースは、首の一部(背中側)の肩から背中にかけて広がる部位で、赤身の中に適度な脂肪が網目状に入り組んでいるのが特徴です。豚肉らしい濃厚なコクと風味を強く感じられる部位のひとつであり、肉質もしっかりしているため、長時間の加熱にも耐えることができます。

厚切りにして「ポークステーキ」にしたり、薄切りにして「生姜焼き」にしたりすると、食べ応え十分なメインディッシュになり、塊のままじっくり煮込む「焼豚」や「ポトフ」にすれば、脂が肉全体に回って柔らかな食感を楽しむことができるでしょう。

バラ

バラは、お腹側のあばら骨の周囲にある肉で、赤身と脂身が三層になって交互に重なっていることから「三枚肉」とも呼ばれます。脂が多くて濃厚な味わいを持っており、とろけるような脂の甘みを堪能したい料理には最適です。強火でカリッと焼いて「焼肉」や「サムギョプサル」にするのも人気ですが、弱火でじっくりと時間をかけて脂を落としながら煮込む「角煮」や「ラフテー」にすれば、お肉が口の中で崩れるような柔らかさに仕上がります。

モモ

モモは、後ろ脚の付け根付近に位置する大きな赤身の部位です。脂肪が少なくてヘルシーでありながら、肉質が均一で扱いやすいため、家庭料理での登場回数が多い部位といえます。さっぱりとした味わいを活かして、お湯にサッとくぐらせる「冷しゃぶ」や、薄切り肉を巻いて使う「肉巻き料理」に適しているといえるでしょう。また、キメが細かくて形が整っているため、自家製の「ローストポーク」や「ボンレスハム」の材料としても優秀で、肉本来の風味をストレートに楽しむことができます。

うで

うでは、前脚付近の筋肉が集まっている部位で、日常的に動かす場所であるため筋肉がよく発達しています。ほかの部位に比べるとやや肉質は硬めですが、お肉本来の力強い旨味が凝縮されています。少し筋が多いため、そのまま焼くよりも、薄切りにして「野菜炒め」のアクセントにしたり、一口大に切って「カレー」や「豚汁」などの煮込み料理に使ったりするのがおすすめです。じっくりと火を通すことで、硬めの組織から深い出汁と旨味が引き出されます。

トントロ

トントロは、豚の背中側に位置する首の一部です。マグロのトロのように脂肪が豊富で、全体に美しい霜降りが広がっているのが特徴です。脂身が多い一方で、独特のシャキシャキとした小気味よい歯応えがあり、噛むたびに脂の甘みが口の中に広がります。その個性を活かすには、強火でサッと焼き上げる「網焼き」や「ソテー」が適しており、レモンを絞ってさっぱりといただくことで脂の旨味がより際立ちます。

 

豚肉の部位についての詳細は、下記の記事をご覧ください。

豚肉の部位一覧|特徴と調理法に合わせた選び方を解説

鶏肉の主要な部位と向いている使い方

鶏は、牛や豚と比較して一つひとつの個体が小さいため、部位ごとの形状や性質がわかりやすく、調理の目的によって選び分けがしやすいのが特徴です。ここでは、もも、むね、ささみ、手羽元、手羽先、せせり、ボンチリについて、その特徴と美味しさを引き出す使い方を詳しく解説します。

もも

ももは、鶏の脚の部分にあたる肉で、鉄分を含んだ赤い身が特徴です。むねに比べて脂肪分が多く、加熱しても肉汁が逃げにくいため、ジューシーでコクのある味を楽しめます。筋肉がよく発達しているため程良い弾力があり、どんな調理法でも美味しさが際立つ部位です。特に皮をパリッと焼き上げる「照り焼き」や、ジューシーに仕上げる「唐揚げ」、「煮込み料理」などでその真価を発揮します。

むね

むねは、鶏の胸部に位置する大きな筋肉で、肉質はキメが細かく、淡白ながらも上品でさっぱりとした風味を持っています。加熱しすぎるとパサつきやすい性質がありますが、短時間の加熱や蒸し料理にすると、しっとりとした柔らかな質感を保つことができる部位です。「サラダ」のトッピングや「蒸し鶏」、また衣をつけて旨味を閉じ込める「チキンカツ」などの料理に最適です。

ささみ

ささみは、むね肉の内側に左右一本ずつある部位で、形状が笹の葉に似ていることからその名がつきました。脂肪が少なく、肉質が柔らかいのが魅力です。脂肪が少ないため、ダイエット中の方や離乳食、健康志向の料理に幅広く活用されています。サッとお湯にくぐらせて「和え物」にしたり、大葉やチーズを巻いて「フライ」にしたりと、軽やかな食感と淡白な旨味を活かした料理に向いている部位です。

手羽元

手羽元は、翼のつけ根の部位です。運動量が多く筋肉が発達しており、肉付きもよいため食べ応えを感じられます。適度に脂があり、加熱すると骨から旨味のある出汁が出るので、コクのある味わいを楽しめるのも特徴です。シンプルな味付けの焼き物や揚げ物はもちろん、煮込んでも形が崩れにくいので「煮物」や「スープ」「カレー」などの煮込み料理にもオススメです。

手羽先

手羽先は、鳥の翼のつけ根以外の部位で、先端部の「手羽先」と中心部の「手羽中」を合わせた部位です。鶏肉の中でも特に旨味が強い部位として知られています。骨の周りには美味しいお肉が詰まっており、素揚げにして甘辛いタレを絡める料理は定番の人気メニューです。また、骨から濃厚で良質な出汁が出るため、「スープ」や「鍋料理」の具材として煮込むことで、料理全体の風味を向上させます。

せせり

せせりは、鶏の首の周りにある筋肉で、一羽からわずかしか取れない希少な部位です。鶏は首を頻繁に動かすため、この部分は身が引き締まっており、弾力のあるプリプリとした食感が楽しめます。脂も適度に乗っており、噛むほどに濃厚な旨味が溢れだすのが魅力です。その独特な歯応えを活かすには、強火で香ばしく焼き上げる「焼き鳥」や「塩焼き」が適しており、お酒のおつまみとしても人気があります。

ボンチリ

ボンチリは、鶏の尾骨の周りにある三角形の突起部分で、一羽から少量しか取れない大変希少な部位です。脂が乗っており、トロリとした口当たりが特徴です。鶏肉の部位の中でも特にジューシーで、脂の濃厚な甘みは、「焼き鳥」などで香ばしく焼き上げることでより一層引き立ちます。

肉の部位を知って選び方の幅を広げよう

肉の部位ごとの名称や位置、そしてそれぞれの特徴を正しく知ることは、仕入れの判断やメニュー設計を大きく左右します。部位ごとの肉質や適した調理法を理解していれば、そのときの予算や用途に合った最適な選択ができるようになるでしょう。

例えば、脂のコクを前面に出したいのか、赤身の食感や旨味を打ち出したいのかで、選ぶ部位と提案すべき調理法は変わります。部位特性に合わせてカット、味付け、加熱、提供温度を組み立てられると、同じ仕入れ条件でも再現性の高い仕上がりにつながります。

重要なのは、部位選びに絶対的な正解があるわけではない点です。店舗の客層、提供単価、回転率、仕込み人員、設備などの条件に合わせ、部位を「目的から逆算して選ぶ」ことが収益性と満足度の両立につながります。今回整理した牛・豚・鶏の部位特性を、自店の看板メニューづくりと日々の仕入れに役立ててください。

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