記者が見た高市首相の原点 松下政経塾設立に込められた使命とは
高市早苗首相、立憲民主党党首の野田佳彦元首相と2人の首相を輩出した松下政経塾。世襲議員など地盤看板がものを言う政界で、松下政経塾はなぜ中核的な役割を担う人材を供給し続けることができたのか。神奈川県茅ケ崎市にある松下政経塾を訪れ、秘訣(ひけつ)を探った。
「何をしたい」が問われる講義
JR東海道線の辻堂駅から県道を20分ほど歩き、正門をくぐると、そびえ立つ白色の巨大な塔が目に入ってきた。政経塾のシンボルの「黎明(れいめい)の塔」で高さは36メートル。敷地面積2万平方メートルに及ぶ広大な土地に白い壁と茶色の屋根の本館や、講堂などが入る研修棟、体育館や寮が囲むように並ぶ。
政経塾は、創設者でパナソニックホールディングス(旧松下電器産業)創業者の松下幸之助氏の希望で民主主義発祥の地・ギリシャの地中海風の建物の色で統一したという。研修棟の前には松下幸之助氏の銅像が建っていた。
「国内の反中感情が、中国にとってプラスに働くこともある」「現実問題として、日米同盟基軸でやっていくしかない」――。
研修室では、円卓を囲みながら、塾生たちが講師に対して自身の考えを積極的に発言していた。
この日のテーマは東アジアの安全保障論で、講師は、元防衛大教授で軍事史が専門の村井友秀・東京国際大特命教授。「ありがとうございました」。終了後、講師が乗ったタクシーが正門を出て姿が見えなくなるまで海外からのインターン生を含む6人の塾生たちが深々と頭を下げていた。
このあと読めること
・現役塾生の入塾理由
・塾生生活の実態
・松下幸之助氏が設立した背景に「赤字国債」
・幸之助氏の教え
・現在の政経塾の課題
・高市首相は政経塾の使命を果たせるか
2025年4月から入塾した46期生の栗山博雅さん(26)は、東大法学部卒業後、内閣府で経済分析や統計作成などのエコノミスト業務に従事したが、「経済政策を通して日本を豊かにしたい」と政治家を志して門をくぐった。「『どう思うか』ではなく、『何をしたいのか』と問われることが多い」と話す。
政経塾の研修目標は「国家百年の大計をつくる」と「リーダーにな…
この記事は有料記事です。
残り2758文字(全文3649文字)
全ての有料記事が読み放題