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#33

ラオスの児童買春問題怒りと焦りの中で見つめた、
ラオスで日本人がこどもを買っている現実

date2026.4.16

かものはしプロジェクトの活動を支えてくださる皆さまへ。いつも温かいご支援をいただき、本当にありがとうございます。

2025年の総会で、インド事業を終了した後も国際事業を続けていくこと、そしてラオスでの児童買春問題に取り組み始めたことをご報告しました。

カンボジアとインドで、こどもが売られる問題に向き合ってきた経験をラオスでどう活かせるか。そうした問いのもと、調査を開始してから約1年が経過し、現在は具体的な活動も進みつつあります。

そこで今回は、2部構成でその歩みをお伝えします。前編では、私たちが今ラオスで何を見つめているのかという「現在地」をお伝えします。

2025年11月調査時に訪れたラオスの首都ビエンチャンの街並み

「急いで、なんとかしなければ」
こどもの写真をみたときに
込み上げてきた怒り

ラオスでの活動をはじめたきっかけ、それは日本人によるラオスでの児童買春の実態に関する2025年1月の共同通信の報道でした。

カンボジアやインドでこどもが売られる問題に向き合ってきた私たちにとって、それは決して見過ごすことのできないものでした。特に、日本人が小さなこどもたちを買っているという現実、それは許されることではないと感じました。

早速、記者に連絡をとり、状況について情報をいただくとともに、インターネット上の情報収集を開始しました。その時点では、検索すれば容易にラオスでの買春情報や体験談の載った複数サイトにアクセスでき、中には幼いこどもの裸の姿や、買春現場の生々しい写真も数多くありました。

20年前カンボジアで見聞きしたものが、いまもなお、こんなにも普通に存在している。どうしようもない怒りの感情と、早くなんとかしなければという焦り、そしてもどかしさがこみ上げてきました。

2025年5月調査時に訪れた「置き屋(売春が行われている場所)」との情報があった店舗の入り口

ラオスでの現地調査を通して、
見えてきたこと

2025年5月の初回訪問時、私たちはこの搾取の構造に日本人が深く加担している事実に直面することになりました。現地の居酒屋では、50代の日本人男性が「小さい子なら任せて」と豪語し、周囲の客も笑いながら風俗情報を交換している。児童買春が日常の「娯楽」として、あまりに低いハードルで語られている異様な光景に戦慄を覚えました。

調査で特にショックだったのは、現地で耳にした「日本人は特に小さい子が好きだから」という言葉です。一部の日本人の行動が、現地で「日本人」という属性そのものを象徴してしまっている。これは決して遠い国の悲劇ではなく、私たちの地続きにある「日本の課題」なのだと痛感しました。

チャイナタウンの置屋では、客引きに腕を掴まれ強引に連れ込まれた部屋で、幼さの残る12歳から15歳ほどの少女たちと対面しました。郊外の食堂で出会った16歳の少女たちは、村から出てきたばかりのあどけなさを残し、友達同士で無邪気にふざけ合っていました。しかし、その幼い仕草の裏にあるのは「家族のために体を売る」という日常です。

2025年11月調査時に訪れたビエンチャンの中華街。この近くにも置き屋が並ぶ一角がある

調査を進める中で突きつけられたのは、経済格差という壁でした。日本とラオスの間にある格差はもちろん、ラオス国内の都市部と農村部の乖離も深刻です。

貧しい村で暮らすこどもたちは、家族を支える「稼ぎ手」として都市部へ送り出されます。しかし、教育や十分なスキルがない場合、それらのこどもたちに残される選択肢は、極めて限られています。「きれいな服を着てキラキラした場所で働ける」という現実とは異なるイメージに吸い寄せられ、気づけば児童買春の渦中に飲み込まれてしまう子。あるいは、レストランの給仕として雇われたものの、あまりに低い賃金を補うために売春へ追い込まれる子……。

目の前のこどもたちに「幸せになってほしい」という切実な願いを抱きながらも、巨大な搾取の構造を前に、拭いがたい無力感ともどかしさを抱えたまま、現地を後にしました。

繰り返される連鎖を断ちたい。
日本人が加担する構造と
向き合う

カンボジアやインドの活動を通して、私たちはこどもが売られる背景には複雑に絡み合う加害ー被害の連鎖があるということを学んできました。

日本人が加担しているこの連鎖を本質的に断つとしたら、ラオスでは、まず何から始めることができるか。私たちは入り口として、足元の「日本人の加害抑止」というアプローチを選択しました。

オンラインやラオス現地での警告発信に加え、性依存症の専門家を招いた勉強会など、児童買春を繰り返す「加害者」が持つ心理、そこに至るまでの背景にもメスを入れ、対症療法ではなく、根源的な「構造」を変える方法を探っています。

チャイナタウンの置き屋が並ぶ一角。夜になると各店舗内に横並びに座って客を待つ女の子が見える

名古屋の法廷で
突きつけられた「問い」

ところ変わり、2026年1月中旬。私たちは名古屋地方裁判所の傍聴席に座っていました。 昨年8月、ラオスなどで児童・女性への買春を繰り返し、その様子を盗撮したとして逮捕・起訴された被告人の裁判を傍聴するためです。

目の前に立つ被告は、60代後半の男性でした。一つの企業で新卒から定年まで勤め上げたという、一見どこにでもいる「ごく普通の、穏やかな高齢男性」という印象です。しかし、検察官とのやり取りの中で、次のような場面がありました。

買春行為を盗撮したことについて、彼は「少しなら許されると思った」と口にしたのです。 検察官がすかさず「(日本ではやらないことを)なぜラオスなら『少しなら許される』と思ったのですか?」と問い返しました。

被告はしばらく「うーん……」と唸ったまま沈黙し、最後には「それは、話せない」という主旨の言葉を絞り出すように答えました。

この沈黙の中に、私たちが向き合うべき根深い課題が凝縮されていると感じました。なぜ、国境を越えた途端に、こどもたちの尊厳をないがしろにする行為を自分に許してしまうのか。この状況を許容し再生産しつづける社会はどうやって作られたのか。この問いこそが、私たちが今、ラオスで活動する大きな理由の一つです。

2025年12月から
「こどもを買わせないプロジェクト
inラオス」を
開始しています。

潜在的な加害者や関心層にへ向け、正しい情報を届けるとともに、児童買春に手を出さないように警鐘を鳴らしています。後編ではこのプロジェクトの内容も解説します。

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date2026.4.16

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