Kaggleトップ1%のAI人材、なぜNTT東日本に? 若手データサイエンティストの活躍
3年目で異例の昇進
こうした実務での成果や外部での実績は、社内評価にも直結している。NTT東日本は従来、年功序列型の評価制度を採用しており、在籍年数に応じて等級が決まっていたが、2023年4月からは専門性の発揮度を軸とする制度へと移行した。 具体的には、「データサイエンティスト」「セキュリティエンジニア」など18の専門分野ごとに、求められるスキルや役割を明確にしたグレードを設定。併せて、高度な専門性を持つ社員が管理職に就かなくても評価や処遇を高められる「スペシャリストグレード」も新設した。 3人はいずれも若手ながら早いペースで昇格しており、中でも森田氏は際立っている。入社3年目でスペシャリストグレードに昇格しており、20代で同グレードに到達している社員はいないという。スペシャリストグレードへの昇格には、社内での業務実績に加え、社外でも通用する専門性が求められる。Kaggle Masterの称号や技術力の高さが評価された。 「このグレードにおいては、NTTグループ全体でのAI分野のプレゼンス向上に加え、現場でAIを使いこなせる人材を増やしていくことを期待されていると感じています。自分で手を動かすだけでなく、人を育てる側にも回っていく必要があると思っています」と森田氏は話す。 AI分野のプレゼンス向上については、青柳氏や小林氏も同様の問題意識を持っている。3人は「N東Kaggler会」を立ち上げ、通常業務と並行してプログラミングやデータ分析の講座を企画・運営し、社内に展開している。加えて、社内向けのAWS勉強会の開催や、社外に向けた情報発信にも取り組んでおり、NTT東日本のAIチームの認知度向上にも寄与している。その役割は技術開発にとどまらず、人材育成にも広がっているといえるだろう。 「社内には、AIを活用すれば解決できる課題に気付いていない人や、学び方が分からない人、やる気はあっても上司の理解が得られない人などが確実に存在します。そうした人たちをつなぎ、意欲や取り組みが途切れないようにしていくことで、AIを当たり前に活用できる組織へと変えていきたいと考えています」(森田氏) Kaggleで培った専門性が実務で価値を生み、それが評価され、さらに組織へと還元されていく――その循環を体現する3人の姿は、NTT東日本における人材活用の新しいかたちを象徴している。
ITmedia ビジネスオンライン