「私はイヤです」訴えた職員はうつ病に 闇に葬られた談合告発
「不正行為」に加担させられ心身を壊した職員の公益通報は、なぜ闇に葬られたのか――。熊本県八代市の市議ら3人が逮捕された汚職事件の舞台となった新庁舎建設工事を巡っては、入札後の2020年6月、市の担当職員が公益通報窓口の人事課に不正を告発する文書を出していた。しかし公益通報とは扱われず、新庁舎は22年に完成。告発された不正の一部は時効を迎えた。毎日新聞は関係者から告発文書を入手し、経緯を追った。
<主な内容>
・A4用紙7枚にまとめた「告発文書」
・提出後の市の対応は
・識者の見解
「今やっていることは、とてもやばい。もし、ばれたら、俺たちに責任を押しつけられる」。関係者によると20年6月、新庁舎建設課に所属していた男性職員は危機感を募らせ、内部告発する意思を複数の部下に明言した。同月19日、A4用紙計7枚にまとめた「八代市新庁舎建設工事に係る改ざん行為」と題する文書を人事課に提出。自らも加担させられた入札前後の「不正行為」の詳細を記載した上で、こう訴えた。
「普通の業務がしたいです。なんで、こんな業務をしなければいけないのでしょうか。組織として黙認され、どうすれば良いのかが分かりません」
特定業者が明らかに有利に
新庁舎建設工事は19年7月、制限付き一般競争入札(総合評価落札方式)で公告された。男性職員は公告前、部下と共に入札の採点基準を作成したが、当時の副市長から担当部長を経由して新たな基準案を手渡され、変更を余儀なくされた。新基準案は、受注を有力視されていた大手ゼネコンが大幅な減点となる一方、準大手ゼネコン「前田建設工業」(東京)を中心とした共同企業体(JV)が有利となる採点項目が追加されていた。公平性に疑義があるとして一部修正されたものの、大筋は変わらず、有利となった前田JVが1社応札で落札した。
こうした経緯を男性職員は告発文書で「(採点基準が変更され)前田建設工業が有利になっており、この段階で、官製談合が実行されていたと私は認識しています」と指摘していた。
「不正」の片棒を担がされる状況は、入札後も続いた。
新庁舎建設課は…
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