年50億個を突破した宅配便、輸送力確保は外国人頼み…ドライバー不足に根強い懸念
[ニッポンクライシス]第2部「人・くらし」<4>
「左右よし、後方よし。安全確認できました」 【写真】自動走行する貨物車の専用道、公道で初の実証実験
5月中旬、神奈川県厚木市にある物流会社「ナカノ商会」(東京都)の拠点では、20~30歳代のベトナム人男性3人がトラックの運転手として働くための研修を受けていた。3人は今年1月末に来日し、国の「特定技能1号」制度による5年間の在留資格が認められた。すでに日本の運転免許証を取得し、現在は日本の交通ルールや文化を学ぶ。今年中には、関東地方で中型トラックを使った企業間物流の業務に就く予定だ。
ナカノ商会は、宅配便大手ヤマト運輸の親会社ヤマトホールディングス(HD)の傘下で、約700人の運転手を抱える。今のところ、運転手不足には直面していないが、高田祐輔常務取締役は「外国人の運転手を採用していかなければ、将来的な輸送力の低下は避けられない」と強い危機感を示す。
物流を担う運転手に外国人を採用する動きは、業界全体に広がる。ヤマトHDは、2027年から5年間で、ベトナム人の運転手を全国で最大500人採用する。物流大手SBSHDも10年以内に運転手の3割にあたる約1800人を外国人にする計画だ。
背景には、少子高齢化による将来的な運転手の減少がある。総務省の労働力調査によると、道路貨物運送業における運転手の数は横ばい傾向が続いている。一方、年齢構成比では50歳以上の割合が年々高まり、25年は47%となった。若年層は10歳代が1%、20歳代が10%にとどまり、高齢化による退職者増加で運転手が不足するとの懸念は根強い。
一方、荷物量は、インターネット通信販売の普及により、宅配便の取扱個数が毎年増加している。24年度は50億3147万個で、30年度には60億個超になるという推計もある。物流業界関係者は、「ネット通販が独自の配達網で届けている荷物を含めれば、すでに60億個を超えている」との見方を示す。
現場では業務の逼迫(ひっぱく)感が強まっている。昨年12月には、年末商戦で急増した荷物に対応しきれなくなり、宅配便のシェア(市場占有率)が1位のヤマト運輸、2位の佐川急便で配達に遅延が生じた。