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【四次マスター】アンリミテッドブレイドニャークス!【猫化】/Novel by あおいぬ

【四次マスター】アンリミテッドブレイドニャークス!【猫化】

4,648 character(s)9 mins

四次主人=猫、サーヴァント=客、という設定で猫カフェパロもどきをかいてみました。発端は、猫にご奉仕させていただく飼い主=奴隷=サーヴァントじゃね?と思ったことです。バイトはきっと、たぶん、五次ランサー。店長とバイトをナチュラルでホモ関係にしてもかまわんかね?(キリッ

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体はモフ毛で出来ている 

血潮はササミで 心はマグロ 

幾たびの換毛期を越えて冬毛 

ただ一度の爪切もされず 

ただ一度の爪とぎもしない 

担い手はここに独りマタタビの丘で肉球を鍛つ  

故に、生涯に猫でしかなく 

その体は、きっとモフ毛で出来ていた


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 ちりんちりん、と小さな鈴の音をたて、店の扉が開いた。
「おはよう」
 朝一番の挨拶とともに、陽の光を遮断していたブラインドをあける。それが合図であったのか、室内でいくつかの気配が動いた。深夜から午前中にかけて、店内は全くの無人となる。店主が訪れるまで、彼らは思い思いの場所で体を休めているはずだ。
 最初に姿を現したのは、小さな灰色の猫だった。子猫ではないが、完全に成長しきっているわけでもない。生後六ヶ月から八ヶ月程度の若い猫は、他の大人猫に比べ空腹を強く感じるのだろう。棚の上から身軽に飛び降りてきたと思えば、開店準備をしている店主の足元に擦り寄り、まとわりついてくる。
「ウェイバー、ちょっと待ってくれ。君たちの食事は、店内の掃除が終わってからだ」
 ウェイバーと呼ばれた猫は、人の言葉が分かるのか、それ以上店主の邪魔をせず、大人しく店のカウンターに飛び乗り、待ちの体勢に入った。獣の身ながらも客商売を生業にしているためか、この店の猫たちは人の言葉に対し敏感である。猫だけに、気まぐれや我侭を連発することもあるが、店主の言いつけはよく守った。
「おはよう、ケイネス。今日もいい毛並みだな」
 店主は掃除の合間に、猫たちに声をかけていく。目が合うものもあれば、そうでないものもあった。ケイネスは気位の高い猫で、いわゆる血統書付なのだが、ブリーダーから押し付けられる形で引き取ったという経緯がある。基本的に他の猫には寄り付かず、孤高を保ちたがる上に、店の中で最も我侭な猫だが、猫好きの中には自らを「奴隷」として猫に「奉仕」することを喜びとする人種が少なからず存在し、また、血統書付だけあって青い瞳や金色の毛並の美しさには比類がないために、一部に熱心なファンがついている。常連客のディルムッドによれば、人間に奉仕させて当然という傲慢な態度がたまらない、らしい。店のイベントごとにせっせと彼に貢いでくれるので店主としてはありがたい限りだが、人間の女より雄猫に貢ぐその姿勢はいかがなものかと内心でほんのり心配していたりする。
「おはよう、トキオミ。今日もよろしく頼む」
 トキオミ、と声をかけられた赤毛の猫は店主の言葉に優雅な動作でふわりと尾をゆらし、店の窓辺に並ぶクッションに座した。繁華街から少し離れた、人通りの少ないこの店は、猫と紅茶を楽しむためのいわゆる「猫カフェ」である。客人に供される紅茶と甘味が絶品なため、猫が目当てでない客も半数ほどいる。トキオミは、そうした猫目当てでない客をもてなすのが得意だ。彼は別段、何をするわけでもない。穏やかで優雅なただずまいで、猫の魅力を客に伝えるだけである。トキオミの穏やかな気質は、猫に触れた事のない客に、恐れを抱かせない。客がいない時はもっぱら窓辺で日光浴をしているが、それは彼なりの「営業」の姿勢なのかもしれない。
「カリヤ、具合は大丈夫か?」
 夜間に使用した形跡の在る猫トイレを掃除し、新鮮な水を補給する。店主特性の朝食は店の猫たちにとって最大の魅力だ。準備が整った時点で、餌皿の周辺に自発的にあつまってくるのだが、一匹だけ、部屋の隅でうずくまっている白猫がいた。カリヤは、飼い主に虐待された過去を持っている。店主はカリヤの保護に一役かっており、新しい飼い主が決まるまで店で保護する約束で身柄を引き受けていた。虐待の影響か、それとも、生まれつきなのか。片目と、左半身に麻痺があり、できれば一匹だけで彼を飼育できる環境に置くことが理想なのだが、ハンデを背負っているせいかなかなか引き取り手が見つからない。店主はカリヤの調子を見ながら、具合が悪いときは自宅につれて帰るようにしている。虐待の影響か、人間を怖がる臆病な部分と、反動で暴力的になるきらいがあり、店に出ている時は彼の精神が安定している間だけだ。人間だけでなく同種の猫も怖がるきらいがあるが、ウェイバーやケイネスとは波長があうらしく一緒に日向ぼっこをしているときがある。トキオミと、もう一匹、大柄な黒猫は苦手なようで、先方から近づいてくると悲鳴じみた威嚇の唸りを発するのが常だった。
「最近、調子がよさそうだな。そろそろ食事をかえてみるか」
 病弱なカリヤは一匹だけ食事メニューが違う。体をいたわることを第一にしてきたが、そろそろ体力をつける方向に切り替えてもいいかもしれない。
「……リュウノスケ、きみはまた、玩具をズタズタにして…」
 部屋の隅に、惨殺死体もかくや、という状態で鼠の玩具が放置されていた。玩具を壊した本人はそんなことをすっかりわすれているのか、そしらぬ顔で朝食を食べている。茶虎のリュウノスケは店の中でウェイバーのつぎに若く、元気のいい猫だ。狩が得意で、玩具で遊んでもらうのがなによりの娯楽なため、猫と「遊びたい」客にはうってつけの性格だった。猫同士の喧嘩ならば体格のいい他の猫が勝つだろうが、狩猟、という意味では彼の右に立つものはいない。時に気配を遮断し、時に愛くるしい姿形で油断を誘い、はっときがついたときには獲物を奪い去るのだ。唯一、困った点があるとすれば、彼は一度得た玩具を二度と使えなくなるまで壊してしまうことだ。店主はなんどか彼に対し注意を促したが、まるで聞く耳を持たない。自分で狩った以上、獲物をどのようにあつかうかはこちらの自由であり、破壊もまた権利なのだといわんばかりの行動に当初は手を焼いたが、彼は自分がしとめた獲物以外、破壊する気はないらしい。仕方がないので、リュウノスケと遊ぶ時の注意点として、使った玩具は戻ってこない点を店内に表示している。なお、未だに客からクレームが出た事はない。万人に愛される、という点においてリュウノウスケは天才的なまでの才能を持った猫だった。
 壊れた玩具を片付け終えた店主は、最後の仕上げとばかりに店内に明かりをともした。開店まであと三十分。気の早い客は、そろそろ姿を現す頃だ。午後になり、バイトが来るまでは彼一人で全ての業務をこなす。開店時間までの時間つぶしとして、会員専用のポイントカードに使用する肉球型スタンプを自作しようと道具を持ちかけたところで、足元に黒猫が駆け寄ってきた。
「こら、キレイ。爺さんを無闇に追い回すんじゃない。何度言ったらわかるんだ」
 足元に隠れている猫を抱き上げ、追いかけてきた猫から遠ざける。どちらも黒猫だが、キリツグは完全な黒猫で、キレイは胸元の一部分だけが白かった。十字架のようにも見えるその模様は珍しく、体格は店内で最も立派である。確かめたことはないが、猫同士で争えば一番強いのはキレイだろう。すらりとした立ち姿は猫というより狼のように見えるが、普段は非常に我慢強く大人しい猫で、多少問題のある客が来ても彼は何なくあしらってしまう。人間の言葉を最も理解しているのもこの猫で、店が忙しいときなど、オーダーしたい客の気配を察し、かわりに店主を呼んでくれたりもする。猫の中では優等生であり、聞き分けのよい部類に入るのだが、唯一の悪癖が、もう一匹の黒猫を追い回すことだった。
「爺さんも、キレイに襲われたらセーフティに逃げ込んでくれ。せっかく用意したんだ、使ってくれないと困る」
 キレイはもう一匹の猫を追い回すだけで、喧嘩をするわけではない。追いついた場合はどうなるのかと店主は何度か観察したが、嫌がる体を押さえつけてむりやり毛づくろいをする程度である。つかまっても無害といえば無害なのだが、店主が最も愛情を注いでいる黒猫があまりに必死で逃げ回るものだから、専用の避難場所を用意したのだ。そこに逃げ込みさえすればキレイに追われることはないのだが、咄嗟に逃げ道を封じられたか、錯乱するあまり逃げ込むことを忘れてしまったのだろう。急激な運動の余波か、いささかぐったりしている黒猫を片腕に抱いたまま、店主はスタンプの作成を諦め、店の看板を外に出した。
「おはようございます」
「ああ、おはよう。今朝は随分と早いな」
「午後から用事があるので、その。まだ開店前でしょうか?」
 先ほどから店の前をうろうろしていた客に気がつき、予定より少し早く開店したところ、ためらいながらも足を踏み入れてきたのは金髪に碧眼の美少女だった。
「いまあけたところだ。まだ何の用意もないが、それでもよければ入りたまえ」
「ありがとうございます!」
 店に入り、猫のために手を洗い、カフェスペースの席に座る。彼女は猫が好きだが、猫と触れ合うことに慣れていない。何度も来店しているわりには、プレイスペースではなくカフェに陣取る事が多い客に対し、店主もまた洗浄と殺菌を済ませた手で水を出し、今日のカフェメニューとおすすめの茶葉を記した札を置いた。
「……あの」
「何だね?」
「今日は、その、……彼は…?」
 紅茶とケーキのセットを注文した少女が、そわそわしながら店内を見回していた。彼女の目当ては、一匹の黒猫である。窓辺で目が合い、それがきっかけで来店し、依頼足繁く通っている。店主が愛する黒猫は、その手のパターンで客を呼ぶことが多い。男性には全く見向きもしないのだが、店先を通りかかった女性と目を合わせたかと思うと、数秒もしないうちに女性客はふらふらと店に入ってきてしまうのだ。基本的に、彼は自分に好意をよせてくれる女性客に対し愛想がいい。男にはまるで見向きもしないのだが、女相手には完璧なフェミニストとしての側面を見せる。女性客に絶大な人気を誇る黒猫は、しかし、人見知りが激しく気難しい部分もあり、一旦気に入らないとなれば、相手を完全に無視してしまう。朝一番に来店した彼女がいい例で、何度話しかけても、黒猫は彼女に見向きもしない。それでも少女は、黒猫のために店へと通ってくる。まるで、黒猫に自分を認めて欲しいとでもいうかのように。
「キリツグならいるよ、君の足元に」
「……え?」
 今日に限って珍しく彼女の足元に黒猫がいた。朝からキレイに追われたせいだろう。客の相手をしている時は、キレイはキリツグに手を出さない。賢いキリツグはそれを理解しており、足元にちょこんと座るだけでかろうじて接客といえなくもない体裁をつくろっているのであった。
「あの、…触っても…?」
「触れられるのがいやなら逃げるのが猫だ。君が触れて、怒りも、逃げもしなければ、それは彼に許されているということだ」
 店主の言葉に黒猫は一瞬ぎくりとした様子で尾をゆらしたが、それでもキレイの圧力があるためかその場から逃げることはしなかった。少女は恐る恐る、手を伸ばし、その黒い毛並みに触れ。
「……柔らかい…」
 ふわりとした感触に目を細めて、微笑んだ。
 店主はそんな彼女の様子に少しだけ表情を緩め、彼の父親と同じ名の黒猫を優しく抱き上げた。



Comments

  • 雪鳴蒼依

    猫マスターズも気になりますが、バイトと店長の関係も気になります!

    May 28, 2012
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