槍弓ネタ
こんなのが見たいなー→誰か書いてくれないかなー→あれ、いつのまにネタが→えーい、書いちゃえー→イマココ!!■てなわけで投下してみた俺得ネタ小説です。もそもそと書き続けてただけなんで続くかは未定。べ、誰か続きとか書いてくれても構わないんだからねっ(/ω・\)チラッ
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<まず大前提として>
私立冬木学園。そこは冬木市にある全国区で有名な女子高である。山奥に建立されているが寮も完備されており市街地への直行バスも運営している。校内設備も真新しく部活動も数が豊富でその多くが優秀な成績を収めている。かわりといってはなんだが偏差値はかなりのものでその分学費も普通の私立の倍は高い。だがもちろん市や国からの支援金もあるし特待生枠も存在するためそれらが入学希望者の数を減らすといったことはなかった。どころかその数は年々増えていくばかりである。数多の女子中学生は夢と希望を胸いっぱいに募らせ入試という厳しい試練に立ち向かっていくのだ。
そして新入生がいるのならばもちろん卒業生も存在する。三年という長いようで短い時間を過ごし終えたいわゆるOGと呼ばれる彼女たちは社会に羽ばたき、そして驚くべきかそのほとんどが何らかの形での実績を残していた。最近テレビでよく聞く名前があるなあ、なんて思っていたらその女性の母校が冬木学園だったなんてことがざらに存在する。入学希望者増大の理由の一端がこれである。しかしこうも冬木学園の卒業生が活躍しているとなればその秘密を知りたくなるのがマスコミというもの。そして見事卒業生の一人に話を聞くことに成功したマスコミはそこで耳を疑った。更におかしいのが別のマスコミが他の卒業生に話を聞いても同じような言葉が出てきたということだ。謎に包まれたその言葉。しかし卒業生は必要以上には口を割らず、また冬木学園自体も取材を拒否しているため、未だにその謎は解明されていない。
そう。彼女たちは違う時間、違う場所にいながらもまるで示し合わせたかのように口をそろえてこう言ったのだ。
―――冬木学園には“王子様”がいる、と。
<全てのきっかけ>
その子供が生まれたのは冬の寒さ厳しい二月の初めだった。まさに世間の荒波に揉まれまくったかのようにくたびれた黒コートが似合い死んだ目をした男と、これ以上絶世の美女という言葉が似合うものはいないだろうと誰もが絶賛するだろう若く美しい女の間にその子供は生まれた。褐色の肌に、母の銀に似た白い髪を持つ玉のような赤子の名は父によって付けられることになっており、そして父親である男は考えに考え抜いて自分なりに最高と思える名前を準備してきていた。
「士郎、だ」
名を告げた瞬間、偶然その場を通りがかって会話を聞いていた看護師は固まることとなった。彼女は悪くない。正直「何言ってんだコイツ」とか思ってしまっても彼女は決して悪くないのである。だって妻であり母となった女性も固まってるんだもの。
「えーと、切嗣?」
「何だい、アイリ」
「もう一度言ってくれるかしら?」
「“士郎”にしたんだ。いい名前だろう」
普通ならば、だ。だが生憎と今この場は普通ではなかった。
「ええ。でもそれ、男の子の名前よね?」
「……だって、男の子だろう?」
「女の子よ?私たちの赤ちゃんは」
「え」
なんてこった。
<白愛の王子>
王子様、というのは冬木学園特有の制度である。ぶっちゃけプ●プリの姫制度の逆バージョンなんで詳細はそちらを調べてね!というわけで数多の特典と引き換えに容姿と性格で選ばれた女生徒達は、他の生徒達の擬似アイドルとしてその学園生活を潤す役割を担っているわけだ。ちなみにいえば一度選ばれればよっぽどのことがない限り卒業までやり続けることになる。
さてここでその冬木学園が誇る“王子様”を紹介していこう。まずは三年にアルトリア・ペンドラゴン、通称“騎士王”。一応王子様だがあまりの人気ぶりとそのカリスマ性から一歩飛び越えて王様扱いされている。通称がかのアーサー王から採用されたほどだ。冬木学園王子制度が始まって以来の生きた伝説でもある。そして同じく三年、葛木メディア。“乙女様”と呼ばれており異例の王子様でもある。なにしろ彼氏持ちだ。しかしその経験を生かして多くの生徒達の相談に乗ったりと他の王子とは別次元で人気を博している。ぶっちゃけ“王子様”をちゃんとやってくれるのならそこらへんは意外とゆるかったりするのだ。
続けて二年にメドゥーサ・ライダー。知的でメガネ、幼馴染持ちに生徒会所属、しかも骨董店にてバイト中でありちょびっとドジっこ、乗り物関係で暴走癖アリと属性が多い。ちなみに彼女は二年生からの就任で、実を言えば現在一年の衛宮士乃も彼女同様二年生就任と強制決定されている(なので今は候補生)。そして最後に衛宮士郎。苗字で解るように士乃の姉であり、かつ他の三人に負けないどころかアルトリアすら越えかねない人気ぶりを持つ通称“白愛の王子”。なぜ白愛なのかというと、博愛と彼女の髪色である白をかけているからとか。その上名前の通り老若男女全てに優しくそのフェミニストぶりというか単に呆れるくらいのお人よしだった。しかも正義感が強く、困った人には手を差し伸べるのが当たり前、礼には礼を尽くし女性には優しいと、お前狙ってるだろそれ、と疑問に思えど全て素であるという恐ろしい人物である。
これほど王子様に相応しい人物はいないだろうと中学生のときから学園側がスカウトしていた位だ。勿論特待生枠と特典で釣り上げた。そして学園側の狙いは大当たり。衛宮士郎が王子様となって一年、その人気は不動のものとなっていた。
<騎士王と候補生>
「……というわけでシロ姉は士郎って男の名前付けられたってわけ」
「それはなんというか……ご愁傷様です」
ここは冬木学園東棟一階、第二食堂のオープンテラス。その左端の席にアルトリア・ペンドラゴンはいた。その前に座るのは衛宮士乃。“白愛の王子”衛宮士郎の妹であり、現在王子以外でアルトリアを王子扱いしない数少ない親友の一人である。
ここ冬木学園はとにもかくにも生徒数が多い。そんなわけで食堂が四つもある。だって一度王子が食事に来ればあっというまに詰まっちゃうし。この第二食堂はアルトリアの教室からいちばん近いため、アルトリアはよくここを利用しているのだ。そして今日も彼女のためだけに作られた特性大盛り御前に舌鼓を打つ。対して士乃の昼食は普通のAセットである。
そんな二人がパラソルにより日差しが遮断された快適な空間の下で話しているその内容は、士乃の姉についてだった。
「ですがシノの父君は何故シロウを男児だと?生まれてからのお楽しみということにしていたのでは?」
「いやうん、ほらウチのばーさんが“見”たんだと」
「見た、とは?」
「未来」
実にあっけらかん言い放った士乃。普通は突拍子もないことを言われたら驚くのが普通なのだが、生憎と士乃や士郎など『衛宮』もといその母の“血筋”に関わって以来アルトリアは滅多な事では驚かなくなってしまっていた。
「母君とは違う能力なのですね」
「それでじーさん……親父がシロ姉の名前で悩んでるから助言のつもりで言っちゃったらしいんだよ。ここでのシロ姉のこと」
「あー……」
思わず納得。それは男だと勘違いしてもおかしくない。なんたって冬木学園に在籍中の衛宮士郎は“王子様”なのだから。王子イコール男で結びつけるのが普通だろう。
「おかげで女ってわかった後すっごく落ち込んでたってさ、じーさん。アイリさんがそう言ってた」
アルトリアはもう苦笑するしかなかった。
話も終わりちょうど食事も終わって二人一緒に返却口へ向かう。その最中もずっと感じていた視線は外れることはなく、士乃は自分より少し背が高いアルトリアをちらりと見た。その視線に気づいたのか首を傾げ尋ねてくるアルトリアに眉を寄せる。
「よく耐えられるな、いつものことだけど」
「……ああ。慣れてしまえばそれほど気になりませんよ?それに私たちは見られるのが仕事ですから」
シロウ同様に、と微笑するアルトリアに流石“騎士王”と思わず感嘆する。
「それに見られているのはシノとて同じでしょう」
「……やっぱり?」
「ただでさえシロウの妹として有名だったのが今度は“候補生”ですからね」
「かんべんしてくれよ……」
姉と同じ道を辿るのは流石に遠慮したい士乃だった。だが姉のような人間になりたいと思っているのもまた事実なため、同じように仕送り無しでもやっていけるようになるには“王子様”就任が絶対条件なため、結局やる羽目になるんだろうなあと理解している。
世の中、本当に上手くいかないものであった。