ロシアとウクライナが今月、3日間の停戦を実施した。4年以上にわたるロシアのウクライナ侵攻で初めてとなるものの、戦争終結のめどは立っていない。

 ロシアとウクライナの継戦能力を考えてみよう。ここでの継戦能力とは、武力衝突や有事の際に、弾薬や燃料の補給、装備品の可動状態、人員を維持し、組織的な戦闘を継続できる能力のことを指す。狭義には物資の備蓄、装備品の稼働率、兵たんと輸送、人員確保などの構成要因からなるが、広義には一国の経済力や産業基盤だ。

 特にウクライナ戦争では、精密誘導兵器や砲弾の極めて高い消費スピードに対し、国内に十分な軍需生産ラインを持たない国は他国からの物資提供に大きく依存せざるを得ない。つまり、ウクライナの継戦能力は、アメリカやヨーロッパ諸国からの支援にかかっている。

 一方、ロシアは比較的自己完結しているが、それでも自国財政がつぶれたら継戦能力が怪しくなる。その意味では、エネルギー価格が高ければ財政が安泰で、低ければ危なくなる。

 この観点からみると、ロシアからのエネルギー輸入を欧米諸国が禁止したのはやや疑問が残る。欧米以外の諸国は禁止しておらず抜け穴がありロシア財政に打撃を与えられないばかりか、結果としてエネルギー価格の高値安定に寄与した側面がある。

 原油価格の推移をみると、4年前のウクライナ戦争開戦前は1バレル=70ドル程度つけていたが、開戦後は110ドル程度に跳ね上がり、その後は徐々に低下しイラン紛争前には60ドルドル程度になっていた。ところが、イラン紛争後は100ドル以上に跳ね上がっている。

 最近では、トランプ政権はロシアからの輸入禁止を見直そうとしている。中間選挙を意識してガソリン価格の低下を狙うものだが、意外とロシアの継戦能力を割くかもしれない。

 他方、ウクライナについては、戦争直後は完全にアメリカ依存であったが、2025年以降のアメリカによる支援停滞に伴い、欧州からの支援シェアがアメリカを上回っている。欧州としては、近隣ロシアの横暴を許すことはできず、ウクライナの継戦能力に貢献している。

 いずれにしても、ロシアとウクライナの双方でどちらかが一方的に負ける状況でないので停戦は難しい。ともに膠着(こうちゃく)状態で、厭戦(えんせん)ムードもあるので停戦一歩手前だが、調停国不在だ。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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