高市早苗首相は、中東情勢に伴う物価高に対応するため、2026年度補正予算案を編成すると表明した。規模は3兆円強で、ガソリン補助の継続や、夏場の電気・ガス代の補助復活が主な項目になる見通し。

 財源として特例公債を追加発行するが、前年度分の特例公債のうち3兆円分が発行不要となる見通しで、発行総額は増えないという。

 国債増発と連想されて長期金利が上がったとも報道される。その側面も否定しないが、それほど問題には思えない。

 今月19日に発表された1~3月期のGDP速報をみると、名目GDP成長率は25暦年、25年度、今年1~3月期のそれぞれにつき4・5%、4・2%、3・4%と高い。

 長期金利は上がっているが、2・8%程度だ。経済全体としてみれば、名目GDP成長率は稼ぎであり、長期金利がそれより低ければ、基本的に債務残高対GDP比が発散することはない。この意味では問題ない。これは、経済学では、ドーマー条件としてよく知られている。高市政権は成長を目指しているので、それとの関係で金利をみなければいけない。

 なお、政府だけをいえば、政府の関係法人を含めた金融資産は多いために、それらの金利収入が税外収入になるので、それを考慮すると、金利上昇による利払い費増加は政府にとって大した問題でない。

 さらに、長期金利上昇を最近の円安と関係づけて問題視する向きもあるが的外れだ。

 フローとしては円安はGDP増加をもたらす。これは自国通貨安は自国経済に有利だが他国経済には不利となる「近隣窮乏化」として古今東西知られていることは本コラムで何度も指摘している。

 また、ストックとしては外為特会に含み益をもたらす。1ドル110~120円で取得されたドル債が200兆円近くあるわけで、含み益は全体で50兆円以上だろう。今回の為替介入で2・5兆円程度の含み益が実現益となり、今回の補正予算案で使うかどうかは別として税外収入となったはずだ。

 この含み益を実現させようとすると、介入になるからまずいという意見もあるが、ドル売り介入には、ベセント財務長官の来日で分かるように、外から何も言われることはない。さらに介入せずとも、「単価調整」という手法により、他の特会間取引で外為特会の含み益を出すことも可能だ。もし外為特会の含み益を利用すると、各種政策において「財源はどうするんだ」という主張を繰り返す、いわゆる「財源ガー」の意見を一掃できる。

 今年度の補正予算を編成することで、経済成長に弾みがつく。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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