最近の就活生の「志望動機」が完璧すぎる--ここ数年で激変、一体なぜ?
「最近、新卒の志望動機にやけに立派なことが書いてある」——。仕事柄付き合いのあるPR会社の担当者とランチをした際、そんな話を耳にした。 とあるメーカーの人事担当者も「最近の就活生は、志望動機がまさにうちの会社にジャストな内容になっている。それも一人や二人ではなく、ほぼ全員。びっくりしてしまう」と口にする。同担当者によれば、ほんの数年前まではこんなことはなかったという。 一体、何が起きているのか。学生の質がここにきて格段に向上したのだろうか。 多くの読者はすでに察しがついているだろう。就活生がChatGPTをはじめとする生成AIを使って志望動機を作成、あるいは推敲しているとみられる。 マイナビが2026年3月卒業予定の学生を対象に実施した調査では、就職活動で生成AIを利用したことがある学生は66.6%にのぼった。利用目的は「エントリーシート(ES)の推敲」が68.8%で最も多く、次いで「ESの作成」が40.8%だった。別の調査でも、就活生の7割超が生成AIを活用しているという結果が出ており、いまや就活におけるAI利用は一般的なようだ。 前出のメーカーの人事担当者は「志望動機ではもはや判断できない」と嘆く。ランチをしたPR会社の担当者も「たいそう立派な志望動機が書いてあったので、いざ面接してみたら『うーん』という人だった」とこぼしていた。 この現象は、企業の選考プロセスそのものを動かし始めている。象徴的なのがロート製薬の事例だ。 同社は2027年4月入社の新卒採用から、ESによる書類選考を廃止した。代わりに導入したのは「Entry Meet(エントリーミート)採用」と名付けた制度で、応募者は必要書類を提出したうえで面談枠を予約し、人事担当者と原則対面で15分間の対話を行う。全国8拠点で実施するという。 同社は発表文で「生成AIの普及で内容の均質化が進み、従来の方法では一人ひとりの本質的な個性を十分に捉えきれないと感じていた」と説明している。書類でふるいにかけるのをやめ、応募者全員にまず会うことを優先したという。 生成AIに「この企業の理念に共感する志望動機を書いて」と頼めば、ジャストな内容の文章が出力される時代。「人柄」をテキストで判断する時代は終わりを迎えるのかもしれない。