参政党潜入記者が見た“東大・神谷代表講演会中止騒動” 臨時会見で神谷氏の見解を問うつもりが、「この人、潜入取材をした人ですよ」と退出命令
幹事長は「信義則に反する」
私が黒メガネ氏と不毛なやり取りをしている間に始まった記者会見で、参政党の幹事長・安藤裕はこう述べた。 「冒頭、少し時間を取りましたけれど、一部の記者さんに退室をしていただきました。これは意見が違うからといって、退出をしていただいたわけではなく、我が党に対する取材の方法があまりにも信義則に反するといったことが過去にありましたので、そういう方をこの場に、皆さん方と対等な立場で、入れるわけにはいかないという判断をいたしましたので、退室をしていただきました」 信義則とは、不都合な報道をしたジャーナリストを排除するための便利な言葉ではない。 私宛に記者会見の案内を送り、潜入取材したことが分かったうえで入室を許可しながら、その直後に追い出すことの方が信義則にもとる。 会見において、神谷は五月祭中止についておおむね以下のように語った。 東大の五月祭で予定されていた自身の講演について、会場周辺での座り込みや殺害・爆破予告があり、学生側と大学の協議の結果、中止になった。そのうえで、意見の違いを理由に脅迫や実力で講演を妨げるのは、言論空間や民主主義の根幹である知る権利、さらには学生の質問機会を奪うという由々しき問題だ、などと批判した。 「意見が違うからといって講演会や街頭演説に対し有形力の行使のようなことをするのは、絶対許されないはずだ」(神谷) この発言の問題は、座り込みを行った学生と、殺害・爆破予告を、同列に扱うような言説である。 講演会中止をめぐる相関図を見てほしい。講演会が中止になったのは、匿名アカウントが爆破・殺害予告をしたことが原因である。 座り込みを行ったのは東大生を呼びかけ人とした30人ほどの有志の会《差別とデマのない五月祭を》だ。呼びかけ人の男性は、私の取材に対し、爆破・殺害予告とは「無関係だ」と語った。 学生たちに党派性はあるのか、と問えば、関係者の1人はこう答えた。 「私はチームみらいのボランティアをしたこともある。政治的には右でも左でもない。仲間の政治信条も違う。ただ、参政党の差別やデマ発言が、あまりにもひどくて見過ごすわけにはいかないと、今回はワンテーマで集まった」 この匿名アカウントは事件翌日、日本大学教授の西田亮介にも爆破・殺害予告を送っており、「東大の五月祭を爆破予告でつぶしたのは俺だ」と書き込んでいる。典型的な愉快犯の行動で、特定の思想は窺えない。なお、現在、このアカウントは凍結されている。 (後編に続く) 【プロフィール】 横田増生(よこた・ますお)/1965年、福岡県生まれ。関西学院大学卒。予備校講師を経て、米アイオワ大学ジャーナリズム学部で修士号取得。『輸送経済』記者、編集長を経て、1999年独立。2020年に『潜入ルポamazon帝国』で第19回新潮ドキュメント賞。『「トランプ信者」潜入一年』で第9回山本美香記念国際ジャーナリスト賞を受賞。 ※週刊ポスト2026年6月5・12日号
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