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    トム・ヨーク、受賞式で音楽業界役員とストリーミングを痛烈批判。「僕らがいなかったら、お前たちなんて何の価値もない」。新曲披露、ニルヴァーナ、ソロ作についても語る

    トム・ヨーク、受賞式で音楽業界役員とストリーミングを痛烈批判。「僕らがいなかったら、お前たちなんて何の価値もない」。新曲披露、ニルヴァーナ、ソロ作についても語る - pic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agencypic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agency

    トム・ヨークが、5月21日ロンドンにて、ソングライターに贈られる英国で最高峰の賞のひとつ、アイヴァー・ノヴェル賞を受賞。ハリー・スタイルズから渡されたその賞のスピーチで、音楽業界役員とストリーミングサービスを批判し、このままだと若い才能が育たないこと、「僕らがいなかったら、お前たちなんて何の価値もない」と今の音楽業界のあり方を痛烈に批判した。

    トム・ヨーク、受賞式で音楽業界役員とストリーミングを痛烈批判。「僕らがいなかったら、お前たちなんて何の価値もない」。新曲披露、ニルヴァーナ、ソロ作についても語る - pic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agencypic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agency

    さらにこの授賞式で、新曲“Space Walk” のパフォーマンスも行なっている。
    映像はこちら。

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    またBBC6ラジオのインタビューに答えて、レディオヘッドのツアーについて、今年後半に発表されると言う噂のソロ作について、またニルヴァーナが登場した時のインパクトについて語っている。いつになく非常にリラックスして、かつエキサイトしたトムの声が聴こえる。


    以下長くなるけど、トムが公に出てきて話す機会も珍しいので、紹介したい。

    ⚫︎受賞スピーチの全文訳。

    トム・ヨーク、受賞式で音楽業界役員とストリーミングを痛烈批判。「僕らがいなかったら、お前たちなんて何の価値もない」。新曲披露、ニルヴァーナ、ソロ作についても語る - pic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agencypic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agency

    「僕に言わせれば、どの世代にも、ビジネスに反抗して鼻で笑い、みんなが間違っていたことを証明する、神から与えられた権利がある。

    音楽や歌を通して、自分たちの時代の中で成長することがどういうことなのかを語る権利がある。そして、スタイル的にも、自分たちが行きたい場所に好き勝手に行く権利がある。だって、それができるんだから。そこにこそ音楽が鼓動があり、音楽が生き続ける理由がある。

    でも、そのためには、業界そのものが彼らを信じなくちゃいけない。若いアーティストたちは繊細で、大抵僕みたいにちょっとぶっ壊れている。だから、支えが必要だ。それから業界には、彼らが成長する時間を与える知恵も必要だ。リスクをとること。ともに失敗をすること。それが文字通り、業界の仕事だと僕は思っている。

    僕らのバンドも、自分たちのバンドがどれだけ幸運だったのかよく分かっている。マネージャーのブライアン、クリス、ブライス、ジュールズのおかげだ。彼らは僕たちのために本当に必死で戦ってくれたから。それから不思議なことに、昔のレコード会社、古き良き時代のEMIも、僕らにかなり自由を与えてくれた。それが全部、ちゃんと報われたんだ。

    でも一方で、運に恵まれず、業界に噛み砕かれて、吐き捨てられたアーティストたちも、僕らはたくさん見てきた。

    アーティストが自分の声を見つけには時間がかかる。技術を磨き、それがどこに向かうのか知るにも時間がかかる。だけどそんな時こそ、すごいものが生まれるんだ。

    でも今の業界は、リスクを恐れ、誰かを支える力を失いつつある気がしてならない。それが僕には全く理解できない。しかも、それは音楽業界だけの話ではなくて、アートも映画も演劇も、あらゆるクリエティブな産業が、この近視眼的な自己破壊見たいな状態に陥っている。

    そんな中で、僕が『ファイナシャル・タイムス』を開くと、そこにはストリーミング企業の株価がどれだけ素晴らしいかとか、全世代の一部のアーティストたちのカタログにどれだけ狂った価格がついているのかとか、金融狂騒の話ばかりが載っている。

    それは彼らにとっては良い話なのかもしれない。でもそれは、彼らがいうところの、音楽業界への投資、なんかじゃない。むしろその真逆だ。僕は思う。そういう連中は、そのレコードが作られるまでに一体何があったのか理解しているんだろうか?と。自分たちが買い漁っている囲い込んでいる音楽伝記を読んでみればいい。あの時代に何があったのか。そして、その歴史も。

    なぜ誰も、この狂った金の上流への流れに、疑問を持たないのか? 僕にはそれが理解できない。そのせいで、新しいアーティストたちには、クズしか残らないのに。

    業界のトップ連中は、音楽の井戸が枯れた時に、次の世代などうなるのか、なんて考えちゃいない。いや、絶対に枯れるんだよ、お前ら。

    その代わりに、かなりの連中が、新しい音楽を支援しているフリだけはする。自己満足なプレイリストを並べて、音楽シーンが活気に満ちているみたいな顔をしている。それなのに、大多数のミュージシャンに、持続可能な収入源のかけらすら与えようとしない。しかも、90年代のメジャーレーベルがやっていたような、あのクソみたいに不透明な会計トリックを今も続けている。

    だから僕は、業界のトップとストリーミングサービスに、ひとつだけ言っておきたい。

    しっかりしろ。

    お前らは、次のおいしいバックカタログをどこから手に入れるつもりなんだ?

    次世代のアーティストと、そのファンの価値をひたすら下げ続けるだけなら、この業界はいずれ終わる。お前らクソ野郎ども一緒にな。

    覚えておけ。僕らがいなかったら、お前たちなんて何の価値もない。

    こうやってぶちまけるの好きなんだ(笑)」

    ちなみに、賞のプレゼンターをしたハリー・スタイルズのスピーチも本当に素晴らしい。

    トム・ヨーク、受賞式で音楽業界役員とストリーミングを痛烈批判。「僕らがいなかったら、お前たちなんて何の価値もない」。新曲披露、ニルヴァーナ、ソロ作についても語る - pic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agencypic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agency

    「レディオヘッドは、自分の一番好きなバンドだ」と語り、当然敬意に溢れているのだけど、「トム・ヨークに会ったことがなかったけど、きっと彼は僕に意地悪かもしれないから会わないほうが良いと思っていた」と冗談を言って会場を笑わせたり、「自分は“Talk Show Host”を聴きながら童貞を失った」と言った後に、「“Talk Show Host”の前奏で童貞を失った」と語ったりして、笑える箇所もすごくたくさんある。しかもハリーらしく全てが正直で、誠意に溢れている。そして思い切りチャーミングだ。本当は全部訳したいくらいだけど、ものすごく長いブログになってしまうので、諦める。

    トムが、自分のインスタアカウントで、「ハリー・スタイルズに多大なる感謝を」と書いていたのは良くわかる。
    トム・ヨーク、受賞式で音楽業界役員とストリーミングを痛烈批判。「僕らがいなかったら、お前たちなんて何の価値もない」。新曲披露、ニルヴァーナ、ソロ作についても語る - pic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agencypic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agency

    ちなみに、トムは珍しく奥さんで女優のダヤナ・ロンチョーネとの2ショットもインスタストーリーズで公開していた。今はバンドのTikTokで見れる(3枚目)。
    https://www.tiktok.com/@radiohead/photo/7642734544050785538

    ⚫︎BBC6インタビュー

    トム・ヨーク、受賞式で音楽業界役員とストリーミングを痛烈批判。「僕らがいなかったら、お前たちなんて何の価値もない」。新曲披露、ニルヴァーナ、ソロ作についても語る - pic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agencypic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agency

    この日、トムは、BBC6のインタビューにも答えている。今年後半に発売されるというソロ作から、ニルヴァーナが与えた影響など答えている。

    ー2025年のツアーについて
    「圧倒的だったよ。本当に、本当にやってよかったと思ってる。でも、事前に聞かれていたら、自分でも分からなかったと思う。だって、“身体を鍛えなきゃダメだな、マジで。これ、死ぬほどキツいぞ! 重労働だ!”って思ってたんだ。いくつか本当に忘れられない瞬間があった。僕らは観客と同じくらい、その体験の一部になっていたんだ。本当に、本当に、本当に、本当に。マドリード初日の、観客の中を歩いていった瞬間は信じられない体験だった。ベルリン初日もそう。月曜の夜なんて、普通なら誰にとっても地獄みたいな日なのに、2万人のベルリンのヒップスターたちが完全にぶっ飛んでいて、“この瞬間は一生忘れない”って思った。最高だったよ、本当に」

    ー今後のツアーについて。エド・オブライエンが1年に20公演ずつ行うと言ったことについて。
    「うん、たぶんね」

    ーソロ作について
    「いま、いくつか仕上げようとしているものがあるんだ。ソロ作品なんだけど、“これは何なんだろう?”って自分でも探りながら作っていて、いまミックスしているところなんだ。Sam Petts-Daviesと一緒にやっていてね(The SmileやFrank Oceanも手がける)。すごく楽しいプロセスだったし、自分にとってかなり“異質”な作品になっているよ。まだ自分が近すぎて、客観的には分からない。でも時々、“これはいいな、気に入ってる”って思える瞬間がある。それで十分なんだよ。他に何を言えばいいかな? “Arse-Kissers”っていう曲があるよ」

    ー音楽とは
    「ほかに伝える術がない時に、自分を表現するための方法。脳の中にいる虫みたいなものなんだ。それが穴を掘り続けていて、外に出さないと、そのクソ野郎は永遠にそこに住み続けることになる」

    ー受賞スピーチを振り返り、今の音楽産業の状況について
    「“テック・ブロ”の時代が終わりを迎えつつある、他の業界の状況とすごく似ている。連中は莫大な金を稼いで、いまやテクノロジーによって、人間同士の交流の必要性すら代替できると思い込んでいる。まるでもっと優れた何か、が存在するかのように。でも、実際にはそんなもの存在しない。
    (同じ人々が現在、過去の音楽カタログを“価値ある投機対象”として扱っていることについて)まるで金庫に眠るピカソの絵画みたいにね。でも彼らは、自分たちの経済モデルそのものが、少しばかりの再分配をしない限り、いずれ終わってしまうことに気づいていない。本当に大した金額じゃなくても、自分が本当に信じるアーティストを支えて、初期の時代を一緒に乗り越えることはできるんだ」

    ー90年代のEMIとの契約について

    「自分の奇妙な人生の中でも、特に印象に残っている瞬間のひとつが、当時のEMIの社長に会った時なんだ。契約書にサインしたあと、彼は握手しながらこう言った。“君たちは絶対に成功する。私は確信している。必要なものがあれば何でも言ってくれ。本気でそう思っている”ってね。だから僕は、“ありがとう。でも僕たちに必要なのは、バンと、機材を買う金、それから数年間そっとしておいてくれることだけだ”と言った。すると彼は、“フェアだな”って答えたんだ。それで実際、2年後に“Creep”を出して、そこから一気に動き始めた。

    だけど、その後レーベルからは、次の“Creep”が必要だ、と求められるようになった。

    でも僕らは、『いや、そんなもの必要ない』と思っていた。それから“次の『The Bends』が必要だ”と言われたけど、それも違うと思った。さらに“次の『OK Computer』を作れ”と言われたけど、僕らは、『またな』って感じだったんだ。マネージメントがずっと僕たちを守ってくれていたおかげで、かなり自由にやらせてもらえたんだ」

    ー息子のバンド、新世代バンドの現状について

    「今、息子ノアがバンドHex Girlfriendで活動しているけど、現在の音楽業界を動かしている上層部には、驚くほど先見性がないように見える。ほんの少し支援するだけで、人は成長できるし、自分の道を見つけることができるのに。

    公平を期すなら、アイヴァーズには本当に面白い人たちがたくさんいたよ。特にJacob Alonとかね。もちろん、僕の考えが間違っていると証明されるなら、それはそれで嬉しい。でも、今の業界の構造がものすごく近視眼的なのは確かだと思う。あまり理にかなっていないんだ。結局のところ、人は失敗を通してしか学べない。でも今は、一度ミスしたら終わりになってしまう。

    それが、僕が言いたかったことなんだ。これは学んでいくものなんだよ。エルトン・ジョンが言っていたみたいに、彼は新しいものにワクワクしている。僕もそうだ。ただ、僕はもっと変な方向に網を投げているだけでね。でも考え方には同意する。僕は、息子の世代に、自分たちがやったことをそのままコピーしてほしいとは思わない。“おい、そんな必要ないだろ。お前たちは、もっと先へ行けるんだ”って思うんだ」

    トム・ヨーク、受賞式で音楽業界役員とストリーミングを痛烈批判。「僕らがいなかったら、お前たちなんて何の価値もない」。新曲披露、ニルヴァーナ、ソロ作についても語る - pic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agencypic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agency

    ーニルヴァーナが登場したころのインパクトについて

    「(ソロ作、レディオヘッドで成し遂げたことに)誇りを感じている。でも、音楽業界は過去ばかりに執着するのではなく、“今”と“次に来るもの”にもっと目を向けるべきだ。現実の世界では、数年に一度、“うわ、なんだこれ”って思わせるアーティストが現れる必要があるんだ。

    例えば、初めてニルヴァーナの『ネヴァーマインド』を聴いた時のことを覚えてる。“OK、始まったな”って思ったんだ。たまに、そういう瞬間が訪れる。それこそ僕が言いたいことなんだよ。

    アイヴァーズ賞という存在自体が、人々がどれだけ音楽を大切に感じているかを示す興味深い証明だと思う。自分にとって、それは二重の意味で衝撃なんだ。ひとつは、“自分に賞を与えたいと思う人たちがいる”ということ。そしてもうひとつは、“人々がそこまで音楽に価値を感じている”ということ。それは本当に素晴らしいことだよ。

    結局のところ、それぞれの世代は、自分たち自身の“言語”を見つけなきゃいけないんだと思う。莫大な金を抱え込んでいる連中は、もし本当に音楽を愛しているなら、それを支援すべきだと理解するだけの感覚を持つべきなんだ。もう口先だけはやめろ。会計を透明化しろ。アーティストに正当な報酬を払え。これ以上、お前たちの戯言は聞きたくない」

    この日、トム以外にも、ジョージ・マイケル、ロザリア、カルヴィン・ハリス、ローラ・ヤング、サム・フェンダー、エルトン・ジョンなどが賞を受賞している。

    トム・ヨーク、受賞式で音楽業界役員とストリーミングを痛烈批判。「僕らがいなかったら、お前たちなんて何の価値もない」。新曲披露、ニルヴァーナ、ソロ作についても語る - pic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agencypic by The Ivors With Amazon Music 2026, Dave Bennett Agency

    トムは、最近そのほかに、スタンリー・ドンウッドとイギリス以外で初の個展をベニス・ビエンナーレの開催と同時に行っている。和紙を使った作品などが展示されている。ここでも短いながら興味深い発言がいくつかある。


    さらに、少し前は、「侘び寂び」をテーマに改築されたというトムの素敵すぎるローマの自宅が建築雑誌に紹介されていた。


    また、コーチェラでお披露目されたレディオヘッドのエキシビジョン『KID A MNESIA』が現在世界を巡回中だ。


    エドのソロ作が発表されたばかりだが、次は、トムのソロ作完成を楽しみに待ちたい。
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